スーパーロボット大戦3F ~マクロス・コンサート~   作:デスフロイ

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第12話 グラドスVSティターンズ

『グローバル艦長!』

 

 ユリカが、いつになく強い口調で、マクロスに通信を送ってきた。

 

『ソロモンの救援に行くつもりなんですか!? 私は反対です!』

「ユリカ艦長。ティターンズを助けるのが気に入らないのかね?」

『当たり前です! ティターンズは、ラクスちゃんを引き渡せとか要求してるんですよ? 私、ラクスちゃんとはすっかりお友達になりましたから。私のお友達に手を出すような組織に、私は絶っっ対! 屈服もしませんし、手を差し伸べるつもりもありません!』

「……君の友誼はよく分かる。だがな」

 

 グローバルは、持て余した様子を見せていた。

 

「ソロモンに侵攻してきているのは、グラドス軍だ」

『どこが相手だろうと関係ありません! 大体私は、元からティターンズなんて大っ嫌いです! あんな横暴で非道な組織は、いっそ壊滅すれば……』

「ユリカ君!!」

 

 グローバルが、ユリカ以上に強い口調でその言葉を遮った。

 

「我々は、連邦宇宙軍に認可されている独立部隊なのだぞ。ティターンズもまた、地球連邦に属する組織だ。確かに、同意しかねる活動も見受けられるが、友軍には違いない。壊滅してしまえはなかろう?」

『……確かに、ちょっと言い過ぎたかもしれません。ですけど!』

「さらに言おう。グラドス星人もまた、地球侵略を狙う勢力だ。エイジ君が、どんな思いで地球に危機を知らせに来ているか、考えてみたまえ!」

『……』

「彼は、生まれ故郷に背いてまで、地球の危機を救いに来て、我々をレイズナーで助けてくれている。グラドスの侵攻に対して、指をくわえて眺めているなどというのは、彼の真心を踏みにじるのと同じ事だぞ」

 

 ユリカは、いつしか目を伏せていた。

 

「ユリカ君。ラクス嬢の身柄は、私が何としても守り抜く。同時に、宇宙からの無体な侵略を断固阻止する、そのために我々ロンド・ベルは存在しているのだ。この場合、君の友誼と、果たすべき使命は、決して両立しないものではないと私は考えている。今は、グラドスの侵攻をくい止めることを優先してくれ」

『……分かりました。ナデシコは、戦闘準備を整えつつ、マクロスと同行します』

 

 ユリカがうち沈んだ様子でモニターから消えるのを確認して、グローバルは一つ、ため息をついた。

 

「艦長」

 

 マックスが声をかけた。

 

「彼女は素直な性格ですし、とびきり優秀な艦長です。まだ若い彼女を育てていくのも、我々年輩者の役目ですよ」

「百も承知だ。ただ、正直、あの真っ直ぐさが少し羨ましくもある」

 

 グローバルは、ほんの少し、遠い目をしていた。

 

 

 

 

 

 

 宇宙要塞ソロモン。

 かつての十三ヶ月戦争の頃に、ジオンの手によって作り上げられたものである。アムロ=レイの操縦するガンダムも参加した激戦によって、司令官ドズル=ザビを撤退させた後は、統合軍所有となった。統合政府崩壊の後は、連邦軍が受け継ぎ、現在ではティターンズの宇宙での一大拠点となっている。

 そのソロモンにて、またも激戦が行われていた。

 

「地球人ごときの要塞など、赤子の手を捻るようなものだと思っていたが」

 

 白い甲冑のような衣装に身を包んだル=カインは、微笑みさえ浮かべて、戦況を母艦から眺めていた。

 

「どうやら、面白いものも少しはいるようだな。まるで野獣のような俊敏さ。ふふ……この星は刺激に満ちている!」

 

 その視界に捉えられていたのは、三機のモビルスーツだった。

 連係攻撃でグラドスのSPTを次々と撃墜し、劣勢を余儀なくされるティターンズ迎撃部隊の中で、唯一気を吐いていた。

 

「次から次へと、モビルスーツもどきが! ラムサス、ダンケル。どうやら他の連中は頼りにならん。気を抜くんじゃないぞ!」

 

 二人の部下たちの返答を耳にしながら、ヤザン=ゲーブルは口角を上げた。

 

「あれはモビルスーツ・ハンブラビですね。飛行形態への変形が可能で、遠近どちらの距離にも対応可能な武装があります」

 

 ル=カインの傍らにいた、眼鏡の青年が説明した。

 

「ロアン=デミトリッヒ。お前の知識は非常に参考になる。グラドスによる、速やかなる地球の進歩への貢献は、歴史に残るものとなるだろう」

「もったいないお言葉。私は、ル=カイン様のお役に立ちたいだけです」

 

 ロアンが頭を下げる前で、ル=カインは再びモニターに目をやった。

 

「……む? ゴステロめ、あやつを狙うか」

「野獣には野獣。ちょうどよろしいでしょう」

 

 SPTダルジャンの中で、ゴステロは高笑いをあげていた。

 

「ひゃははは! どけどけどけぃ! 貴様らもぶっ殺すぞぉぉ!」

 

 味方の機体に体当たりしかねない勢いで掻き分けながら、ハンビラビに突進してきた。

 

「殺す、殺す、そこの三角野郎! 俺は、人殺しがだぁい好きなんだぁぁぁ!!」

「ふん! 何だかキテレツな奴が来やがるな。だったら相手をしてやるよ!」

 

 ダルジャンの猛烈な連射を、強引な挙動で回避するハンブラビ。

 間合いを詰めると、ハンブラビの手元から【海ヘビ】と呼称されるロッドが伸び、ダルジャンに巻き付いた。そこから強力な電流がダルジャンに流し込まれる。

 

「うぉぉぉぉ! 脳がはちきれそうだぜぇぇぇ!!」

 

 ゴステロは喚きながら、ハンブラビを振り回すようにダルジャンを駆った。

 危うくダンケルの機体にぶつけられそうになり、ヤザンは急遽海ヘビを解いた。

 

「何だこいつは? 相当なイカレ野郎だな」

「へははは! 俺には分かるんだよぉ。お前も、敵を殺したくて仕方がないんだろう? 俺もそうなんだ。仲良くしようぜ? え?」

「一緒にするな! 反吐が出るんだよ、戦場を汚すんじゃねえ!!」

 

 ハンブラビが変形し、モビルアーマー形態をとった。

 高速でダルジャンに接近し、腕部クローで掴みかかる。

 これをギリギリで回避したダルジャンは、身を翻して肩口からレーザード・バスソーを抜き出した。

 だが狙ったのは、ヤザンではなく、ラムサスの機体。

 他のSPTを相手にしていたラムサスは回避が遅れ、背中から斬りつけられた。

 

「ラムサス!!」

「おっと間違えた! あははは!」

「この狂犬が……! どうも貴様だけは、この場で殺しておかないといけないらしいな?」

 

 ヤザンの目に、凶暴な光が宿った。

 その時ハンブラビが、戦闘空域に接近する多数の反応を感知した。

 

「……ロンド・ベルか! まさか、救援に来たんじゃないだろうな?」

 

 ヤザンの台詞に答えるように、マクロスとナデシコから、各機が飛び出してきた。

 猛烈な火線が、SPTをみるみる砕いていく。

 新手の中に、ル=カインは蒼い機体を見いだしていた。

 

「アルバトロ=ナル=エイジ=アスカか。いいだろう。私が出る価値はありそうだ」

 

 ル=カインはブリッジを出ると、金色に輝く愛機ザカールに乗り込んだ。

 宇宙を駆け抜ける金色のSPTに気づいたのは、デビッドであった。

 

「ル=カインが、出てきた!」

「何だそいつは?」

「グラドスの地球侵攻軍司令官だ……恐ろしく強い」

「面白え! いっちょ、当たってみるか」

 

 イサムは、YF-19を駆って、ザカールの前に飛び出した。

 

「そこの金ピカさんよ! 司令官なんだってな? ちっと相手してくれや!」

「分をわきまえぬ野蛮人が。推参であろう、下がれ!」

 

 ザカールのレーザードガンが、連射された。

 イサムお得意のアクロバット飛行が、これをすり抜ける。さらにガウォーク形態になりつつ、マイクロミサイルを振りまいた。

 ザカールは素早い挙動でこれを回避。機体を回転させつつ、目前を通り過ぎていくYF-19にさらにレーザーを浴びせた。そのうちの一撃が、YF-19を捉える。

 が、YF-19の機体に当たる前に、レーザーは弾かれて、ダメージを与えない。

 

「バリアを機体に張り巡らせているか。小賢しい!」

「この俺に当てた!?」

 

 イサムはバトロイド形態に変形させつつ、振り返る。

 その眼前に、すでにザカールが高速で迫っていた。クローアームが、YF-19を捉えようとする。

 間一髪、これをイサムは回避した。背中を冷や汗が流れるのが、感じられた。

 

「ほう、今のを避けるか。ただの小鳥ではなさそうだな! 気に入ったぞ」

 

 ザカールが、急に間合いを広げた。空いた空間を、ミサイルがすり抜ける。

 

「らしくないな、イサム!」

「るせぇ! 俺はスロースターターなんだよ!」

 

 援護したガルドに、イサムは怒鳴り返した。

 

「強がるな。確かにこいつは強い。二人でかかるぞ!」

「ち!」

 

 イサムとガルドは同時に発砲するが、ザカールは全てを回避しきった。

 

「む……小鳥も二匹となると、少し厄介か」

 

 さすがのル=カインも、余裕がなくなりつつあった。

 一方。

 エイジはザカールに向かおうとしていたが、邪魔が入っていた。

 

「エイジぃぃぃ! やっと見つけたぜ。今すぐ、コックピットから引きずり出してやる。血の沸騰する音を聞きながら死にやがれぇ!」

「ゴステロ! 相変わらずの外道だな!」

 

 半ばうんざりしながら、エイジはダルジャンに仕掛けていった。

 ダルジャンが、レーザーを撃ちながら距離を詰めていく。

 肩口のレーザード・バスソーが、レイズナーに迫った。

 これを、レイズナーはギリギリで回避した。

 

「へはは、惜しい! 次こそは、うぎゃあぁぁ!!」

 

 部下に押しつけたはずのハンブラビが、高速で飛来して、クローアームをダルジャンに叩きつけていた。

 

「あんな雑魚で足止めとは、ずいぶんナメられたもんだな俺も!」

「て、てめぇ! 邪魔するな! 俺はエイジと戦ってるんだ!」

「それがどうした。言ったはずだぜ? お前は絶対、ここで殺しておくってな! ダンケル、ラムサス、クモの巣だ!」

 

 ハンブラビ三機が三角形に位置し、互いにワイヤーを飛ばして、クモの巣状に展開する。

 そのワイヤーの巣を、ダルジャンにかぶせるようにぶつけると、三機同時に高圧電流を流し込んだ。

 さすがのゴステロも、この攻撃に悲鳴を上げる。

 

「ハイパーボイルだ! 黒焦げになりな!」

 

 ヤザンが、凶悪な笑みを浮かべていた。

 エイジは邪魔がなくなったことで、ル=カインに向かおうと、そちらを見た。

 ザカールが、YF-21に後ろから抱きつかれ、YF-19のピンポイントバリアパンチを受けようとしていた。

 その時。

 ザカールの機体が、真っ赤に燃えるように発光した。

 

「V-MAX!?」

 

 エイジが叫んでいた。

 ザカールは、YF-19とYF-21を同時に弾き飛ばす。そこから高速で弧を描き、両機を次々と体当たりで打った。

 そのまま、ロンド・ベルの各機が、予想しない体当たり攻撃に弾かれていく。

 ル=カインは、まだダルジャンを痛めつけていたハンブラビ三機にも、ぶち当たっていった。

 

「ぐ!? 何だ、この派手な野郎は……!」

 

 慌てて逃げ出すダルジャンを無視し、ヤザンは真っ赤に輝くザカールを見やった。

 

「アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ。またも相まみえることができて嬉しいぞ。だが、貴様はレイズナーのV-MAXを、まだ使いこなせてはいるまい? このザカールの完成されたV-MAXに、立ち向かうことができるかな?」

「く……」

 

 エイジが小さく唸った。

 その様子を、ソロモンの司令室から眺めていたのは、ジャマイカンだった。

 

「ぬう、ロンド・ベルも不甲斐ない! ゲーツ=キャパに出撃指示を出せ」

「サイコガンダムMkⅡですか!? あれはまだ調整が」

「今使わずして、いつ使うのだ! このままでは、ア=バオア=クーに詰めておられるバスク大佐に顔向けできん! いいからやれ!」

 

 そして、ソロモンの発進口から、巨大なサイコロを思わせる、紫の物体が吐き出された。

 その側には、ゲーツ=キャパの乗り込むバウンド・ドッグがいた。

 

「ロザミア。お前の任務は、あの金色の機体と、敵の母艦の殲滅だ。ロンド・ベルには手は出すな。仮にも援軍だからな」

「分かってるよ、お兄ちゃん! あの光ってるのを……う……!?」

 

 サイコガンダムMkⅡのコックピットにいるロザミアは、その輝きに、封印されていた記憶を呼び起こされつつあった。

 かつて、コロニー落としを目の当たりにした精神的な大きな傷。強化人間として精神までいじられていた彼女にとって、それは耐え難いストレスとなっていた。

 

「どうした、ロザミア!?」

「う……うああーっ!! 空が、空が落ちてくるーっ!!」

 

 サイコガンダムMkⅡは、巨大なモビルスーツ形態に変形すると、拡散メガ粒子砲を辺り構わず乱射し始めた。

 

「落ち着け、ロザミア……!」

 

 ロザミアをコントロールしていたゲーツの制止も効果がない。逆に、メガ粒子砲を機体に受けてしまう。

 

「く、強化がうまくいかなかったか! ロザミアは、もうダメだな」

 

 どうにもしようがなく、ゲーツは逃げ出していった。

 ビームをやたらと放ち、グラドス軍にもロンド・ベル各機にも、自軍であるはずのティターンズの機体にまでも損害を与えながら、サイコガンダムMkⅡは、ザカールに迫っていった。

 

「何だこやつは! 暴走しているのか!?」

「お前が、空を落とすのか!! 消えろ!!」

 

 巨大な手が、ザカールに掴みかかる。ル=カインは、本能的にそれを回避していた。

 エイジは、側にいたヤザンに問いかけた。

 

「何ですか、あれは!?」

「ジャマイカンが隠し持っていたオモチャだ。人間をいじくった戦闘人形を乗っけてやがる。どうやら、制御に失敗したみたいだな。くだらねぇものを作るからだ!」

 

 ヤザンが吐き捨てた。

 

「制御できてないってことですか!? 止める方法はないんですか! このままだと、被害が増えるだけだ!」

「あれのコックピットは頭部のはずだ。そこを潰しちまえば、操り手のない人形は止まるだろうな」

「コックピットを潰す……って、殺すということですか!」

「言っただろう? 乗ってるのは、強化人間っていう戦闘人形さ!」

「……それでも! 僕は、できるならば殺したくはない!!」

「ずいぶん甘ちゃんだな。戦場でそんなこと言ってると、長生きできんぞ」

「僕は! ……ただ、納得したいだけです!」

 

 レイズナーは、サイコガンダムMkⅡへと飛来していった。

 

「アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ! 貴様ごときで、この怪物に太刀打ちできると思うのか? 下がっていればいいものを!」

「やらなければ、大勢の人が巻き込まれる! 僕はやる!」

 

 レイズナーは、サイコガンダムMkⅡの頭部に迫ろうとした。

 

「私に触れるな!」

 

 ロザミアは、レイズナーの動きを読み、サイコガンダムMkⅡの手を伸ばさせた。

 その巨大な右手が、レイズナーの脇を捉え、握りこむ。そのまま潰そうとする圧力が、機体にかかり始めた。

 

「やるしかない……! レイ、V-MAX発動!」

『レディ』

 

 その瞬間。

 レイズナーの全身を、ザカール同様に光が包んだ。こちらは、蒼い輝き。

 サイコガンダムMkⅡはその手を振り払われ、レイズナーを解放した。

 

「お前も空を落とすのか!?」

 

 今度は、左手がレイズナーに迫る。

 レイズナーは、高速でその左手に体当たりした。大きな掌が、粉々に砕け散った。

 

「レイズナーが、輝いている……!?」

「みんな、聞いてくれ!」

 

 エイジは、全軍に呼びかけた。

 

「あのガンダムのコックピットは頭部だ! そこからパイロットを救出すれば、あの暴走は止まる! 力を貸してくれ!!」

 

 レイズナーが、V-MAXを維持したまま、さらにサイコガンダムMkⅡに体当たりする。そちらに、残された右手が迫った。

 その手が、赤い輝きに撃ち抜かれ、またも粉々になった。

 

「ル=カイン!?」

「この怪物を好きにさせておいては、我が軍にも損害が広がる。やれると思うなら、やってみせい!」

「言われなくても!」

 

 レイズナーとザカールが、繰り返し体当たりをする。乱射されていたビームが、少しずつ減っていく。

 さらに、強力な連射が別の方向から飛んできた。メガ粒子砲の発射口が、次々と潰されていく。

 振り返るエイジの目に、フリーダムの姿があった。

 

「パイロットを殺したくないんだろう? 僕も同じだ! 力を貸す!」

「キラ……! すまない、頼む!」

 

 ハンブラビも回り込み、サイコガンダムMkⅡのブースターをクローで破壊する。

 

「まったく、甘い連中ばかりで嫌になる! 救援を受けた義理もある。手伝ってやるよ!」

 

 ヤザンが、忌々しそうに吐き捨てた。

 薄くなった火線の中を、ファイヤーバルキリーがすり抜けた。

 

「ここは俺の出番だろ! 暴れてないで、俺の歌を聴け!!」

 

 スピーカーポッドを撃ち込むと、バサラは演奏を始めた。奇しくも、ロザミアが潜入した時のものと、同じ曲だった。

 

「う……ああ……え? 一体どうなって……」

 

 ロザミアが、戦闘の衝動から解放されていった。そのまま、彼女の意識が遠のいていく。

 メガ粒子砲が、全て停止する。

 

「あの機体のコックピットをこじ開ける! 行くぞカムジン!」

「おいこら、呼び捨てにするな! 俺は師団長だぞ!」

「それはブリタイ艦での話だ! ロンド・ベルでは同格だ!」

 

 クランとカムジンが、クァドラン・レアとヌージャデル・ガーで接近する。

 サイコガンダムの頭部に取り付くと、クランはこじ開けにかかった。

 

「パイロットを無力化すりゃいいんだろ? 潰しちゃダメなのか?」

「殺さないですませろということだ! これも地球文化の一端だ、お前も手伝え!」

「やれやれ、地球文化は面倒くせぇんだよなぁ」

 

 渋々、カムジンもクランを手伝い始めた。

 コックピットが開き、ノーマルスーツに身を包んだロザミアの姿が見えた。

 

「あ!? こいつ、こないだビルに潜入しようとした奴だ!」

「何だ、潜入役やってた女か。まあいい、使い道はありそうだから、連れて行くか」

 

 カムジンは、クランからロザミアを受け取ると、マクロスへと帰還していった。

 ジャマイカンは、口を開けたままそれを眺めていたが、ふと我に返ると、

 

「グローバル艦長!! 我が方のパイロットを拐かすとは何事だ! 速やかにこちらに戻せ!」

「それはできません。先ほど報告がありましたが、相当悪い状態のようです。動かすのは危険だと思われます。こちらで治療します」

「何を勝手なことを!」

「強化人間が、どうとかいう話も報告にありましたが?」

「む……」

「人間をいじくった挙げ句、無理に出撃させて暴走を招き、敵味方関係なく大きな損害を与える結果となった。そちらに戻せば、同様の悲劇が繰り広げられる可能性が高いと考えられます。私としては、それをする気にはなれません」

「……バスク大佐は、決して貴様らをお許しにならんぞ! 覚えておけ!」

 

 ジャマイカンは、捨て台詞を吐いて通信を切った。この場で無理矢理取り戻そうにも、ティターンズは損害が大きすぎて、今すぐ荒事に訴えるのは不可能だった。唯一可能性があるのはヤザンだけだが、それもサイコガンダムMkⅡとの戦いに加わっている上に、普段からジャマイカンと反りが合わないとあっては、指示に従わない恐れがあった。

 

「アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ」

 

 ル=カインの呼びかけに、エイジは振り返った。すでに、双方ともV-MAXの制限時間を使い切り、機体を動かすのが精一杯の状態だった。

 

「我が軍も、いささか消耗した。これではあの要塞を攻略するのは不可能だ。我らは体勢を立て直す。次に合う時まで、その命、預けておこう」

 

 ザカールは反転すると、母艦へと戻っていった。

 エイジは、その姿をじっと見送っていた。

 

 

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