▼多分、この慎二は女遊びが出来てないです。悉く桜に潰されてます、女の子が。女好きは変わってないけど下手に声を掛けると女の子に被害が及ぶので、迂闊に声が掛けられない感じ。あれ? 本当に良い奴っぽくなってきた……?
▼こうなってくると、慎二が聖杯戦争に出る理由も変わってきますね屹度。ただ桜の代わりに出るだけじゃなくて、「聖杯を得て桜をマキリから出させて彼女と決別したい」とかそういう暗い理由になりそうな。ライダーもちょっと困りそう
昔から、叔父に似ているところがあるとはいわれた。
『慎二、お前は性根がお人好しだ。……だから心配だ。雁夜みたいになるなよ』
そう呟く父は、僕と目を合わせようとしなかった。
それが、僕の桜に対する態度を指している事だと気付いたのは、少しあとの事だ。
「兄さん、起きて」
蠱惑的な声。それが、不意に僕の意識を浮上させる。
薄暗い部屋。月明かりの中で、この家の色に染まった髪の少女が見える。それはまだ湿っていた。バスタオルを肩から被っているものの、最近頓に豊かになってきた撓わな乳房が2つ、僕の顔に差し迫る勢いでぶら下がっていた。だから僕は、眉を顰めながら彼女にいうのだ。
「――……桜、服を着ろ」
「兄さんに着せて貰いたくて」
「あのな……せめてパンツくらいは自分で穿け、パンツは」
義妹の身体を、手で押し退ける。すると存外素直に退いた彼女は、僕のベッドにぺたりと座り込んだ。その傍らには、パジャマと下着という着替え一式が置かれていた。……持ってくるくらいなら自分で着替えろと思うが、こうして服を着せにかかってしまう自分も大概だ。
「ねぇ兄さん」
どろりとした目が、見上げてくる。バスタオルを頭に被せる中で、彼女は僕を見詰めてきた。妙な力強さを持つそれが、濃厚な艶を湛える。唇が開いた。
「今日も、蟲蔵で頑張ってきました。いいこいいこ、して下さい」
「……そうか」
そうして口にする言葉は、えげつないのにあどけない。だから僕は、それに苦笑して、いわれるがままに彼女の頭を撫でるのだ。
……嫉妬はした。魔術の家を継ぐ事が出来ず、役立たずの自分と違って才能に溢れた義妹。けれど、その溢れた才能のせいで、保護の名目でこの家にやられてきたのも知っていた。保護など名ばかり、あの戸籍上の祖父は、桜を次代の間桐の為の胎盤としか考えていない。それ以外にも桜の中には「何か」が仕込まれている。それが何なのかは、魔術の素養を持たぬ自分は知らない。わかっているのは、自分が彼女に対して持った気持ちが、嫉妬よりも憐憫の情が遙かに強くなってしまったという事。
(いっそ当たり散らせた方が楽だったかも知れない、けれど僕は……)
「ねぇ、兄さん」
「何――うわ」
ほぼ無意識に撫でていた。目の前の裸同然の義妹が、不意に押し倒してくる。
再び仰向けに転がった僕の上に、頭からバスタオルを落とした桜は微笑んで跨る。ぎくりと身を強張らせた僕に、彼女はそれはそれは艶やかに微笑んだ。
そして、その手を僕自身の上へと、布越しに添える。柔らかな手だ。だからこそ、慌てる僕に桜はいう。
「兄さん、可愛い。……蟲なんかより、兄さんの『これ』を入れておきたいくらい」
「――桜っ、だからこういう事は」
「兄さん」
身を捩る僕の腹に、もう1本の手が置かれる。それだけで身体が硬直した。まるで子供に言い含める時のように、桜が頭を傾けて微笑む。
「……私、兄さんの子供なら、いつ産んでもいいです」
「桜、っ」
桜の身が、僕の下半身の上で屈められる。とても柔らかな乳房が太腿に触れ、情けないくらい素直に僕自身が反応した。
いっそこんな桜を「重い」と突き放せるような人間だったらよかったのに。
(叔父さん、貴男はこういう時、どうしていたの)
ほとんど顔も知らない、今は亡き叔父を偲んだのは、僕が「お人好し」という名の弱い人間だからだ。
End......?