試運転で自分の子ども時代に戻ることにしたのだが・・・。
今回のお題は、【白色】【トマト】【ゆがんだ子ども時代】
ジャンルは、【SF】
博士は、長年の研究の末、タイムマシンを完成させた。
「これを使えば、過去にも未来にも飛ぶことが出来るぞ」
他の人から見れば、ただの鉄の円柱に赤い球が乗っていて、白色の扉が付いているようにしか見えない。
しかし、その中には数多くのコードや機器が備え付けられている。
そして、円柱のてっぺんに取り付けられたトマトのような球体は、今いる時代と過去と未来を繋ぎ止める役割を果たしている。
「早速試し乗りをしてみようと思うが、さて、何処に行こうか」
悩みに悩んで、博士は自分の学童期に戻ることにした。
タイムマシンが到着したのは辺り一面田畑が見渡せる丘だった。子どものころ、よくこの丘で一人本を読んでいたのを覚えている。
遠目で田と田の間の道を見ると、幼いころの自分がトボトボと家路についていた。
そこでふと思い至った。
このころの自分は根暗で、よく虐められていた。学校に居てもいなくても、常に虐められるか虐められないかを考えていた。
それが影響してか、今では何をするにしても思い切りが良くない。これは研究者としてはいかがなものか。
だが、ゆがんだ子ども時代の自分に少し教えを与えれば、元の時代に戻ったときに自信の性格も変わっているはずだ。
博士は急いで子供のころの自分のところへ向かった。
「やぁ、ボクくん」
「おじさん、誰?」
小さな自分におじさんと言われるのもおかしな気分だ。
見ると、少年の服は泥だらけで、頬に切り傷がある。
どうやら、誰かに虐められた後のようだ。
幼い自分を傷つけた相手に怒りを覚えるが、今は押さえておく。
虐めを受けるのもこの日までだ。
「いいかい、ボク君。男の子はね、強くないといけない。弱いままだったら、大人になってから踏ん張りが利かなくなる。いじめた相手をやっつけるくらいの男でないとだめだぞ」
その言葉に感銘を受けたのか、少年の目は先ほどよりも輝いて見えた。
これで良いとばかりに、博士はタイムマシンに乗り、元の時代に帰ってきた。
タイムマシンから降りると、身体の節々から力が湧いてくるような感覚を覚えた。心なしか腕が太くなったように見える。
気持ちの方も思った通りで、今ならどんなことでも思いきってやれる気がする。
タイムマシンの研究に成功し、さらには過去を変えることまで出来たのだ。
これほど嬉しいことはない。それなのに、なぜだろう、変な焦りを感じる。
何があったのかを理解するより先に、研究室の中に拳銃を持った警察官が飛び込んできた。
取り押さえられた博士は、目を白黒させている。
博士が押さえつけられるのを確認して、ひとりの警官が無線でどこかへ連絡した。
「殺人犯を取り押さえました。殺されたのは犯人が子どものころの同級生で、よく虐めを受けていたみたいです。こんなに長い間恨みを持ち続けているとは思いもよりませんでした」
ツイッターの診断メーカーで指定されたお題で書いてみました
今回のお題は、【白色】【トマト】【ゆがんだ子ども時代】
ジャンルは、【SF】