魔法少女リリカルなのは~管理局員の奮闘~   作:愛川蓮

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9歳~連携と決意~


第10話

「よし、ここまで来れば充分だろ」

あれから十数分後、俺とヤマトはバニングス達を連れて結界から出ていた。

……最も、バニングス達から発せられる質問は全部無視してだが。

 

「さあ、話してもらうわよ! 何がどうなってんのよ、何でなのはがあんな化け物に立ち向かわなきゃいけないわけ!? あんた達一体何者なのよ! 答えによってはただじゃすまないわよ! 焔、構えなさい!」

「……春人、お願い」

「……あいよ」

「わかりました」

バニングスと月村がそう言うと、黒埼が拳を、雪村が竹刀を構え自分達の主人の前に立つ。

……確かにただじゃすまなそうだな。

 

「わかった、わかった! 後で話す! 後で話すから今は全員家に帰ってくれ! でなきゃ車椅子が壊れたそいつが大変だろうが!」

俺が、雪村が背中から降ろしてさっきまで気絶してた黒髪の男に背負われている茶髪の女を指差すと、茶髪の女は「あ、気にしてくれてありがとな」と言い、黒髪の男は「気にしてくれたのは良いけど人に……特にはやてに指差すなよ」と言った。

……うん、まあ自分でも指差して悪いと思ってる。

 

「……そう、わかったわ。『今は』大人しく退いてあげる。でも絶対に後で1から10まで話してもらうわよ! もしも気にくわない話だったら……あんた達絶対に許さないから!」

「あ、アリサちゃん落ち着いて!」

「近所迷惑だろ!」

「落ち着いてください!」

「怒るのもわかるけど話聞くまで我慢や、我慢」

「落ち着け、そして五月蝿い」

バニングスが怒りの表情で俺達を振り返りながら怒鳴り、そんなバニングスを残りの5人が宥めながら6人はそれぞれの帰路についた……のを確認した俺とヤマトは回れ右をして、そのまま結界の中に突入した。

 

「ユーノとユウヤ、それになのはは大丈夫かな!? それからジュエルシードの事とか全部話す気!?」

「大丈夫だろ! フミーダイの事を考えてみろ。あんな慢心した構えの奴ほど俺達みたいなのに油断すんだよ! それにアニメでもあいつみたいなのはド派手に噛ませ犬にされるしな! なのはもきっと大丈夫だろ! あんだけ自信ありげに来たんだからな!

それから話すのはしょうがないだろ! 魔法も使っちまったし、それになのはも関わってんだ。話さないと俺達は本当にボコボコにされかねん!」

ヤマトが結界に残してきた3人を心配するが、俺は何故だか全く心配していなかった。

ユウヤの場合は一緒に訓練したり仕事したりしたからってのもあるが、何よりあいつは俺やヤマトのように目標とする人間がいる。

その人に追い付くまで誰にも負けないし、死なないという誓いを俺達は立てたんだ。あいつがそう簡単に負けるわけがねえ。

魔法やら何やらを話すことは……まあ、なのはを協力者にしている以上、何時かはバニングス達にもバレる事だ。それが今日だっただけ……だと思いたい。

俺達はそんなことを言いながら、ユウヤ達の元へと急行するのだった……

 

…………

 

アヤト達が立ち去ってから数分後、塀から2匹の猫が舞い降りると猫は2人の人間になり、何処かに連絡するとまた猫へと戻り何処かへ去って行った……

 

…………

 

「なのは!? どうして……なんで……」

「ふん、なのはが来るのが遅かったが……まあ良い、俺の強さをなのはに知らしめるために死ね! 淫獣!」

「お前には悪いが、ユーノは死なずにお前のデバイスを取り上げさせてもらおうか」

俺『ユウヤ・アカツキ』は、ユーノに向けて止めの一撃を放とうとした男に向けて『マシンガンバレット』を放ち牽制すると同時に、ユーノと男の間に体を滑り込ませた。

 

「ちぃ! 管理局員のモブキャラ風情が俺の邪魔をしてんじゃねえ!」

「……悪いが邪魔をさせてもらう。それにお前のハーレムとやらはどうにも胡散臭いものでな、絶対に阻止させてもらうぞ」

「ふん、そうかよ……じゃあ淫獣もろとも死ね!」

そうして男はデバイスの剣を俺に向かって振るってくるが……

 

「遅い! お前の剣はハエでも止まってるのか!」

「な!? げふお!?」

「次いでだ食らえ! 『ショットガンバレット』!」

「うぎゃあ!?」

俺はJ5Sの銃床で受け止めると、そのまま男の腹に蹴りを叩き込むとそのまま至近距離から近距離用の射撃魔法であるショットガンバレットを顔面に撃ち込み吹き飛ばす。

 

「き、きさ……」

「喋っている暇は無いぞ、ユーノ!」

「わ、わかった! 『ストラグルバインド』!」

男が何か言おうとするが、俺が言うとユーノが即座にバインドの中でも最上級の魔法を使い男を束縛する。

 

「っ!? 淫獣ごときのバインドで……『ジャキ』『ブオン』縛れ……る?」

男がバインドを解こうともがくが、俺はそれを待たずにガトリング砲の銃身に変化させたJ5Sを顔面に突き付け、男の周囲に『ガトリングシューター』出現させた。

 

「チェックメイトだ」

「ま、待て……」

「待つか。『ガトリングバレット』、『ガトリングシューター』……フルバースト!」

男が命乞いをしようとするのを聴かずに、俺は容赦なくガトリングバレットとガトリングシューターの一斉射撃を叩き込み男を沈黙させた。

 

「よ、容赦ないね……」

「……こういう手合いは沈黙させないと五月蝿いからな。俺のやり方で黙らせただけだ」

アヤトなら槍で、ヤマトなら拳で俺と同じような事をしただろうな。

 

「そ、そうなんだ……じゃなくて! なんでなのはが此処にいるのさ!?」

「知らん。誰かに唆されたか……それとも自分の意思で来たのかのどちらかだな」

「そんな!? 僕はなのはに怪我をしてほしくなくて無理矢理やめさせたのに……」

「ああいうタイプにはそういうのは余計なお節介だったんだろうな」

「!? アヤト! どうしてなのはが戦うのを止めなかったのさ!」

俺がユーノと話していると、バニングス達の避難を終えたアヤトとヤマトが合流しており、ユーノは即座にアヤトを非難した。

 

「まあ、俺も反対しようとしたんだがな。それをするとバニングス達が危ないうえにジュエルシードをほっとくてのもあれだったんで、戦闘を許可しなきゃいけなかったてのもある」

「でも!?」

「はいはい、積もる話は後にして今はジュエルシードに集中しよ」

アヤトの言葉にユーノは更なる反論をしようとしたが、ヤマトがそれを止めてジュエルシードの方に向き直る。

 

「そんじゃま……行くか」

俺達はアヤトの言葉と共にジュエルシードへ向けて突っ込んだ。

 

…………

 

「こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

『ディバインバスター』

私がディバインバスターで枝を数十本纏めて消し飛ばすと、ジュエルシードは怯むけどすぐに消えた枝が生えて襲い掛かってくる。

 

「……いい加減しつこい!」

私にはユーノ君と話さなきゃいけない理由があるのに……! こんなところで躓くわけにはいかないの!

 

「落ち着けよなのは、カッカしたら負けだぜ?」

そう言って私の頭をアヤト君がポンと叩く。

 

……うん、そうだね。怒ったら冷静な判断ができなくなるって確かにお兄ちゃんが言ってた。

 

「ごめん……」

「それじゃあ、なのはが冷静になったところで作戦会議をしようか」

私がアヤト君達に謝ると、ヤマト君が両手を叩いて私達の注目を集める。

ユーノ君は私に背中をみせて私達をジュエルシードの攻撃から守っていた。

 

「それじゃあ作戦を決めようか。って言っても即興の作戦になるだろうけどね」

「それはしょうがねえだろ」

「ああ、実際3人で半人前の小隊と民間協力者のチームだ。即興になるのは仕方あるまい」

ヤマト君が苦笑いをしながらそう言うと、アヤト君とユウヤ君も頷く。うん、まあ仕方ないか。

 

「じゃあ、作戦を言うね」

そう言ってヤマト君が提案した作戦は凄くシンプルな作戦だった。

要約すると私が最大出力のディバインバスターを撃って枝と根を一時的に一掃した後で、アヤト君が突っ込んでスパイラルバンカーでジュエルシードを抉りだして私が封印する。って作戦で、ヤマト君とユウヤ君、ユーノ君はアヤト君の援護と私の護衛って役割になった。

 

「それじゃあ……行くよ!」

『カウントダウンスタート。10、9……』

レイジングハートがカウントダウンを開始すると、レイジングハートの先端に魔力の塊が出現してどんどん大きくなる。

 

『3、2、1……GO!』

「ディバイン……バスターぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

私がディバインバスターを撃つと、ディバインバスターは一瞬でジュエルシードが防御の為に張り巡らした枝と根を吹き飛ばす。

 

「アヤト君、行って!」

「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

私の掛け声と共に、アヤト君は弾丸みたいに飛び出す。

 

そして、ジュエルシードが自分を守る為に枝と根を慌てて張り巡らそうとするけど……

 

「「バインド!!」」

「マシンガンバレット、マシンガンシューター……ランダムシュート!」

ユーノ君とヤマト君がバインドで根を縛ると同時に、ユウヤ君の射撃が枝を吹き飛ばす。

 

「往生際が悪いんだよ……これで終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! スパイラル……バンカー!」

スパイラルバンカーでジュエルシードが抉り出された……いける!

 

「ジュエルシードナンバー20……封印!」

私がジュエルシードを封印すると、怪物は街路樹に戻って地面に叩き付けられた。

 

「あ~……大惨事だな」

……仕方ないよ。ジュエルシードが暴れてたらもっと大惨事だったはずだし。

 

「……さてと」

「なのは! どうして……」

私がユーノ君に向き直ると、ユーノ君はすぐに何かを言おうとしたけど……

 

「やめないよ」

私はすぐに私の意思をユーノ君に伝えた。ユーノ君は面食らった表情になったけどすぐに気を取り直して何か言おうとしてるけど……そうさせない。

 

「私は絶対にジュエルシードを集めるのはやめないよ。だって、最初にジュエルシードを集めるって決めた時に言ったはずだよ。この街には守りたいものが一杯あるって、例えユーノ君がレイジングハートを取り上げたって私はやめるつもりはないよ」

「っ! なのは、僕は君に危険な目にあってほしくなくて……」

「私は、ユーノ君に守られてばかりのお姫様になりたくない。ユーノ君と一緒に歩めるお姫様になりたいの!」

これは私の偽りのない気持ち。ユーノ君と一緒に歩んでジュエルシードを集めたいっていう私の本音なんだ!

 

「……ユーノ、やめとけ。こりゃ何を言っても時間の無駄だ」

「アヤト、でも!」

「なのはほど強固な意思を持ってる奴を言葉で屈伏させるのは無理だ。つーかマジでレイジングハートがなくても俺達を追って来かねんぞ。それならまだ一緒に戦わせた方が面倒くさいことにならずに済む」

アヤト君がユーノ君に苦笑いをしながら、私がまた一緒に戦うのを許可してくれた。

 

「……賛成だ。目の届かない所でとんでもないことをされるより、目の届くところで無茶をされた方がマシだ」

「同じく」

「ユウヤにヤマトまで……はぁ、仕方ないなぁ!」

ユウヤ君とヤマト君がアヤト君に同調すると、ユーノ君がため息を吐きながらこう言った。

 

「……これからよろしく、なのは」

「うん、よろしく。ユーノ君」

こうして、私は再びユーノ君達とジュエルシードとの戦いに身を投じることになったのです。

 

 

「あ、バニングス達に説明するの手伝ってくれ」

「あ……」

そういえば、明日はジュエルシードとは違う意味で手強い敵が登場するのを忘れていたのでした……

 

ズドン!

「「「「ユウヤ(君)!?」」」」

「いや、なんか視線を感じたんだが……気のせいか?」

帰り道につく前に銃を撃ったユウヤ君に、私達は慌ててツッコミました。

 

…………

 

なのは達がユウヤを怒りながら去った後……

 

「くぅ~~あの管理局の男……絶対に許さないんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

着弾した額を擦りながら、黒髪をツインテールにした女がふらふらと飛んでいったのを誰も知らない……




如何でしたか? 前後編後編部分になりました今話です。
そして次回は橋出視点になります。
次回もお楽しみに!

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