「しまった、完全にやり過ぎた……」
はい、読者のみなさんこんばんわ。傍観系転生者橋出観男ですよ。
現在、俺は猛烈に後悔をしていた。
俺はサッカーの試合で不深山からジュエルシードをスリ盗った……のは良いんだが、調子に乗ってジュエルシードの封印を少しだけ解いたんだ。
そしたらジュエルシードはとんでもない大暴走を起こし、原作のあいつよりも凄まじい化け物になってしまったんだ。
お陰で、俺は枝には追い回され、根には絞め殺されかけと傍観系としては散々な目にあった後で、千里眼でジュエルシードの周囲を確認して……罪悪感で押し潰されそうになった。
何故なら、ジュエルシードの発生の際に巻き込まれたのか、壊れた車椅子の傍にいる茶髪の女の子……つまり『八神はやて』が気絶していると思われる黒髪の男に必死に呼び掛けていたからだ。
「優斗! 優斗! しっかりしてえな!」
「……」
俺は慌てて2人を避難させようとしたが、何故か結界内にいたアリサ達が慌ててはやて達に近寄ったので隠れざるおえなかった。
「はやてちゃん!? どうしたの!?」
「す、すずかちゃん、優斗が優斗が……」
「……幸い命に別状はなさそうです。頭は……打ってる様子はなさそうですね。気絶してるだけです。じきに目覚めるでしょうが……」
「悠長に待ってる暇はないな! 急いで避難だ!」
そう言って、黒埼は優斗と呼ばれた男をおんぶすると、アリサがはやてをお姫様だっこする。
……する事逆じゃね?
「こういうことは優斗にされたかったわ……」
「文句言うとる場合か!」
はやてもそう思ったのかよよよと泣くが、アリサに一喝された。
で、逃げ出そうとして……何故か枝が黒埼達男子をロックオンしてるのは気のせいかな?
「……げ!? 百合島!?」
俺が周囲を見回すと、そこには百合島が神様転生で得た特典でジュエルシードの枝を操り、黒埼と雪村に向けて放とうとしていた。
「っく! やらせるか!」
「きゃあ!? ……橋出! やっぱりあんた転生者だったのね! 『私の』なのは達の清らかな体をあの下劣で汚物にも劣る男たちから守るためにも死んでもらうわ!」
俺は百合島に突撃し撥ね飛ばすが、百合島も俺が転生者だと気付いたらしく、ジュエルシードを操って俺に襲いかからせて来やがった!?
「くそ、冗談じゃねえぞ! ついでになのは達はお前のじゃないぞ!?」
「五月蝿いわね! あんたみたいな『ハーレムハーレムぅ』言いまくってるであろう豚野郎がなのはを名前で呼ぶんじゃないわよ!」
俺が聞き捨てならないことを言った百合島にツッコムが、百合島は凄まじく極端な事を言って俺を容赦なく攻撃する。
……くそ! 反撃できやしねえ!
「……ふふふ、間一髪割り込んだ管理局員のモブキャラのシールドももたないみたいだし、私のアリサにまとわりつくあの野蛮人と私のすずかにまとわりつくなよ男ももうお仕舞いね」
「くそったれが……!」
「うふふ、後はあの男達を失ったアリサ達を私が……」
「ディバイン……バスター!」
「慰め……て?」
俺が歯噛みをし百合島が皮算用をしていると、突如として上から桃色の砲撃が黒埼達の方面に発射され、放たれた枝を全て凪ぎ払った。
「……え?」
「……まさか!?」
俺が黒埼達の方を向くと、急降下でミズサキの前に降り立つなのはがいた。
「なのはが……なんで!? どうしてあんな下劣な男達を助けるのよ!?」
「これはフェイトがA'sで言う台詞を改編したものなんだが、今の状況に合うから言わせてもらおう……『友達』だからだ」
俺がこう言うと同時になのはが急上昇してジュエルシード向けて突撃するのと、百合島が驚愕の表情で俺の方を向くのがほぼ同時だった。
「友達……? 友達ですって!? なのはとなよ男や野蛮人が友達ですって!? バカも休み休み言いなさいよ!」
「むしろ本気だっつの。……だからこそなのはは強いんだよ」
俺や百合島のような打算のない優しさと勇気。それこそが高町なのはという主人公の最強の武器なのかもしれない。
「認めない……認めないわ! なのはがあいつらの友達なんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「……元男なのに良くもまあそんなことを言えるね全く」
俺は百合島に呆れつつも突撃を敢行する。
「っ!? 舐めないで……」
「『傍観』! 『フューチャーショット』!」
『イエス、フューチャーショット……シュート!』
「……あべぎ!?」
俺は、デバイスである傍観にどういうわけか組み込まれていた『少し先の未来を千里眼で見れる』能力と『そこに前からあったように魔法を仕掛けられる』能力を応用した魔法を百合島の顔面に叩き込みノックアウトした。
……まだまだ改良が必要だなこの魔法。何せ射程距離が半径1メートル、持続時間が30秒しかないからな。
さてとミズサキ達は……ミズサキはハギノと行動を共にしてアリサ達を無事に結界の外に脱出させたようだ。
……その後で話す約束をさせられてたけど。
で……リーゼロッテにリーゼアリア!? いたならなんではやて達を助けなかったんだ!?
「……ごめんお父様、管理局員がいたから『闇の書』の主と『光の書』の主の護衛を出来なかったよ」
……光の書ってなに!?
「ええ、2人はその管理局員達が無事に脱出させました。はい、行方不明になっていた首都航空隊の3名です。早めに次元航行艦による迎えを」
俺がリーゼアリアの言葉に混乱していると、リーゼロッテが次元航行艦……多分『アースラ』による増援と迎えを越させるように通信している相手『ギル・グレアム』に要請していた。
……あれ? アースラが早めに地球に来たらどうなるんだ?
「っと、考えるのは後回しだな」
俺がジュエルシードの方を視ると……5人の見事な連携でジュエルシードを封印するところだった。
……よし、これからはジュエルシードを踏み台達や織主から奪い取ったら『たまたま』落ちていたふりをしてなのは達に渡そう。
俺は今回の失敗からそう決意をして……ん? アカツキのデバイスが此方に向いているような……?
「ヤバイ!? レズバリアー!」
「う、ううん……? あ、あんた何を……『ズガン』ふぎゃ!?」
俺は慌ててアカツキの射撃魔法から百合島を盾にする。……百合島が完全に気絶したから記憶を書き換えとこう。
俺は百合島が気絶したのはアカツキの魔法弾に撃たれたからだという記憶に差し替え、そのまま転移で家に帰ったのだった。
…………
翌日の放課後、俺は屋上を千里眼で視ていた。
何故かって? それはなのは達がアリサ達に何がどうなっているかを説明するからだ。
「……来たわね」
そう言って仁王立ちのアリサが待っていたのを見て、ミズサキ達は微妙そうな顔になる。
まあ、女の子がする態勢じゃ、あんまりないからな。
「アリサちゃん、すずかちゃん遅れてごめん!」
「け、結構重いんだね車椅子って……」
「えへへへ……」
「……こうする必要はあったのか?」
なのはとユーノが、転移魔法で車椅子と優斗にお姫様だっこされてご満悦のはやてを連れて来た。
「……先ずは自己紹介からだな。俺は『石田優斗』、母さんがはやての主治医なんではやてとは一応幼馴染みだ。よろしく頼む」
「うちは八神はやてや。足がこの通り悪いんで学校には来れないからこういうのは新鮮やな……あ、将来の夢は優斗のお嫁さんなることで……」
「こいつの言うことは忘れろ」
「も~……優斗のイケず~」
「……うるさい」
……なんというかまあ、はやてのお相手さんだな。うん、互いに顔を赤らめてるしな!
で、他のメンバーの自己紹介は以下略!
「……自己紹介もすんだところで本題に入るわよ。あれはなんだったの? なのはのあれは何? あんた達は何者なの!?」
本題に入ると、アリサはまるでマシンガンのように早口でミズサキ達に説明を求める。
ま、アリサ達としては親友が化け物と戦ってるのを見せられて気が気じゃないのは当然だよな……
「……アヤト君」
「わかってるよ。1から10まで全部話すよ」
そっから先は、ミズサキによる今までのあらすじみたいな話だった。
自分達が時空管理局という組織に属する人間だということ、ユーノをスクライア一族という次元を旅する一族の人間だということ、そして魔法や次元世界のこと、ロストロギアのこと、ジュエルシードのこと、ジュエルシードが落ちた原因やなのはとミズサキ達が出会うことになった経緯、なのはを民間協力者にしたことやフミーダイのこと、そして昨日の喧嘩の原因までだ。
「……つまり水崎達は公務員で」
「スクライア君は……考古学専門の遊牧民族のような感じでしょうか?」
「そんでもってすごく危険な物がこの街に降ってきて……」
「水崎君達はたまたま迷いこんできて……」
「そして、高町と再会したスクライアがたまたま魔法の杖を持ってたんで共闘を開始ししたと?」
「なんか魔法少女もののアニメみたいな展開やな~」
……実際魔法少女もののアニメが元の世界なんですがね。
「……あんた達が魔法使いだって証拠は?」
「でると思ったT4W、セットアップ。ついでにバインド」
「……うお!? 腕が動かねえ!?」
ミズサキがそう言うと、バリアジャケットが展開されると同時にバインドが発動されて黒埼の腕が拘束されるとアリサ達がちょっと驚く。
「次、あんた達が公務員だって証拠は!」
「これ。因みに偽造は出来ないよ、管理局員だってデータを偽造したらすぐに『本物の』管理局員がすっとんで来るからね」
そう言ってハギノがデバイスを撫でると、ハギノの階級や所属部隊が書かれたデータが浮かび上がった。
そして反論しようとしたアリサの言葉を先んじて潰した。
「その危険な物……は昨日の怪獣を視たから信用はできるわ」
まあ、ジュエルシードについてはすぐに信用するわな。目の前で見たんだしな。
「……アリサちゃん、黙っててごめんね?」
「……別に。ただなのはが戦線を離脱させられた際に私やすずかに相談してくれなかったのは正直ムカついたわね」
「……うん」
「でも……強制されたなら兎も角、自分の意思で戦うことを選んだんなら、あたしに止める事は出来ないわね」
「アリサちゃん……」
「愚痴ぐらいは聞いてあげるから何時でも家に来なさい!」
「うん!」
「そのジュエルシードってのは発動されなきゃ暴れないんだろ? だったら発動される前に探さなきゃな」
「放課後に皆で手分けして探しませんか?」
「二人一組の方が良いんじゃないかな?」
「待て待て待て! お前らも手伝う気かよ!?」
「ああ、自分が育った街に危険な物があるんだ。探すのが筋ってもんだろ?」
「優斗、臭いで」
「……うるさいな」
それからはあっという間にアリサ達も手伝うことが決定し、ミズサキ達は呆然としつつ頭を抱えていた。
…………
「黙れ! フェイトを洗脳してなのはの友達にした後で戦わせるとは……許せん! 悪の権化管理局の手先め! 覚悟しろ!」
「だからそんな真似はしてねえよ! 本当になんなんだよお前はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、俺はPT事件がとんでもない方向にネジ曲がったのをこの数日後知ることになる。
如何でしたか?
次回はいよいよ物語が加速します。
それではよいお年を!