魔法少女リリカルなのは~管理局員の奮闘~   作:愛川蓮

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9歳~否定と運命~後編


第13話

「……なのは」

「フェイトちゃん……どうして、なんで……」

「……なのはには関係のないことだよ」

俺達が男に向けてデバイスを構えていると向き合っているなのはとテスタロッサがそんな会話をしていた。

 

「……テスタロッサが魔導師だってこと話さなかったのが裏目にでたな」

俺が舌打ちをするとテスタロッサは完全に事情を理解したようにこう言った。

 

「そっか、なのはがスクライア君と喧嘩する原因になったのはジュエルシードについてだったんだね?」

「っ……! う、うん……」

「テスタロッサさん! それを渡して欲しいんだ! それはとても危険な……」

「フェイトをたぶらかすな淫獣!」

「ユーノを殺らせるかよ!」

テスタロッサの説得をしようとしたユーノに斬りかかった男のデバイスである剣を受け流しがら空きの胴体(騎士甲冑纏ってるけど)に蹴りをいれるが……

 

「いってぇ!?」

逆に蹴りをした足が痛みしかも相手は吹き飛ばないという俺が考えていたのとあべこべな結果になった。

 

「馬鹿め! 権力に眼が眩み訓練を怠っている管理局員ごときの攻撃で俺の騎士甲冑がダメージを受けるものか! 死ね! 『龍炎剛斬』!」

『ドラゴニックフレア』

俺が足の痛みに怯むと男が訳のわからん事を言いながら炎を纏ったデバイスで斬りかかってくる……けど!

 

「そこはユウヤの射程範囲だ!」

「マシンガンバレット、マシンガンシューター、ランダムシュート!」

「バインド!」

「な……!?」

ヤマトのバインドで縛られた男が驚く隙も与えずにユウヤのマシンガンバレットとマシンガンシューターによる魔力弾の豪雨が降り注ぎカンリを滅多撃ちにする。

やったか……!?

 

「それはやってないフラグだよ!?」

ユーノのそんな言葉に俺はあっと思う。

 

「俺が管理局が作った非殺傷設定などというおもちゃにやられると思うか……傲慢な管理局員風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 『龍光豪砲』!」

『ドラゴニックブラスター』

そして土煙の向こうか凄まじい熱量をもった砲撃が来やがった!?

てかベルカミッドの複合式かよ!? 確実に管理世界のどっかにいやがったな!

 

「てめぇ! いったいなにもんだ!」

「そうか、自己紹介はそこの管理局員にしかしていなかったな。俺の名は傲慢な管理局から全ての次元世界を救う救世主、カンリ・ヒテイだ。その名を刻み死んでいけ!」

……自分から救世主を名乗るってなんか違わなくねぇか?

 

「俺は管理局のアヤト・ミズサキだ! 今すぐ武装を捨てて投降しろ!」

「っ!? 管理局員!? アルフ!」

「あいよ!」

「うわぁ!?」

俺がT4Wをカンリに向けて構えるとテスタロッサが驚いた顔で何かの名前を呼ぶと赤毛の狼が現れてユーノに襲いかかりやがった!?

 

「ユーノ君!? お願いフェイトちゃん、止めて!」

「ごめん、なのは。私は……止まるわけにはいかないんだ!」

「テスタロッサさん……どうして、高町さんと友達なのに……なんで……」

狼がユーノに襲いかかってるのをみてなのはが止めようとするがテスタロッサは悲壮な顔でなのはに襲いかかる。

それを見てさっきまでテスタロッサのそばにいた鮎川が涙目になりながら呟く。

 

「フェイトがなのはと既に友達だと……!? そうか……お前達がフェイトを洗脳してなのはと友達にしたんだな!? なのはを管理局に繋ぎ止める為に!」

……何を言ってんだこいつは!?

 

「誰がそんな真似をするか! テスタロッサとなのはは自分達から進んで友達になったんだよ! お前こそ洗脳されて変な考えに染まってんじゃねえのか!?」

「黙れ! フェイトを洗脳してなのはと友達にした後で戦わせるとは……許せん! 悪の権化管理局の手先め! 覚悟しろ!」

「そんな真似はしてねえよ! 本当になんなんだよお前はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

訳のわからないことを言いながら斬りかかってきたカンリの剣を受け止めて鍔迫り合いになると途端に俺は不利になった。

 

「……くっそ! なんなんだよこの馬鹿力は!?」

「これが俺の力だ! 貴様等が滅ぼした俺の世界の神器の力だ!」

神器……まさかロストロギアか!?

 

「ロストロギアによるドーピングかよ! きったねぇな!」

「ふん! 俺の世界に与えられた力だ! それをフル活用して何が悪い!」

俺は鍔迫り合いを止めてカンリとデバイスをぶつけ合いながら所定の位置に飛び退く。

 

「バインド!」

「ふん、バカの一つ覚え……」

「『バインドバレット』、『バインドボマー』シュート!」

「なにぃ!?」

ヤマトがバインドでカンリを縛るとカンリはせせら笑いながらバインド解こうとしてユウヤが放ったバインドバレットとバインドボマーでさらにがんじがらめになる。

 

「寝てろ! 『アクセルバンカー』!」

俺はカンリのがら空きの顔面に加速魔法を組み込んだ刺突を叩き込むとすぐになのは達の方を向く。

 

「フェイトちゃん、お願い止めて! 私……フェイトちゃんと戦いたくない!」

「なのはに無くても私には戦う理由がある! サンダースマッシャー!」

「っ!?」

『ワイドエリアプロテクション』

なのはが泣きながらテスタロッサに懸命に呼び掛けるもテスタロッサは容赦なく雷の砲撃を撃ち込むけどレイジングハートがすぐさまバリアを張り防ぐ……

 

「良いデバイスだね……でも!」

『ソニックムーブ』

テスタロッサは防がれると同時に加速魔法でなのはの後ろ回り込もうとしているのを見て俺達はそれを阻むべく動こうとして……

 

「「「!? 散開!」」」

悪寒を感じた俺達は慌てて散開した。すると俺達がさっきまでいた場所に光を纏った剣が振り下ろされた。

……冗談だろ?

 

「連携、判断力、個々の技量全てが平均以上だ。税金泥棒の管理局員にしてはだがな……だが魔力が軽かった。……お前達は未熟だ、引導を渡してやる! セイヴァー、カードリッジロード」

カンリがそう言うとデバイスから薬莢が排出される。カードリッジシステム……! ベルカ式の切り札か!

 

「『ランチャーバレット』、ファイア!」

ユウヤが4連装のランチャーに変化させたJ5Sからユウヤの持つ最大級の魔法弾を放つがカンリにあっさりと全弾撃墜された。

 

「まだ非殺傷設定などというおもちゃに頼るか……! そんな管理局の傲慢の結晶などさっさと捨ててしまえ! 手を汚す覚悟がないなら戦いにでるな!」

「うるさい! 何が傲慢の結晶だ! 僕らは犯人を出来るだけ無傷で捕まえるのが仕事だ! そんな人間がホイホイと人を殺したら誰もその組織を信じられなくなる! 僕は、僕らは誇りにかけても非殺傷設定を保ったままお前を捕まえてやる!」

「同感だ。大体お前はさっきから管理局の事を悪だの傲慢だの言っているが具体的に管理局のどこが悪で何が傲慢なのかを言ってもらいたいな!」

「誰かを殺す覚悟なんてしてたまるかよ! 俺達が覚悟をするのは罪もない奴等が傷付かないようにするための守る覚悟だ! つか仮にも次元世界をまたにかける組織が誰かを殺す覚悟なんいるかよ! 公務執行妨害、殺傷設定魔法使用及び様々な余罪で逮捕するぜ!」

「俺が下手に出てれば付け上がりやがって……! その傲慢を正してやる!」

カンリが言った言葉に俺達はそれぞれのデバイスを突き付けながら吠えるとカンリはこめかみをひくひくさせながらそう言った。

何処が下手に出てたんだっつの……!

 

「貴様ら3人とも!」

「っ!? はや……がは!?」

カンリは猛スピードでヤマトに接近するとそのまま剣の腹で殴り飛ばした。

 

「ヤマト!」

「その傲慢な管理局が植え付けた理想を抱いて!」

「ぐぅ!?」

ユウヤがヤマトを心配するとカンリは剣を地面に刺して剣を軸にユウヤに回転蹴りを叩き込みヤマト同様に吹き飛ばす。

 

「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! スパイラルバンカーぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「溺死しろ! 救済一閃!」

『セイヴァースラッシュ』

俺がスパイラルバンカーを放つとカンリは光の刃を作り出し斬りかかってくる。

激突した魔法は少しの間拮抗したがやがてスパイラルバンカーが光の剣に押し負け俺はそのまま吹き飛ばされた。

 

「がは!?」

「ふん、止めだ。せめて苦しまずに眠らせてやろう」

俺は木に叩き付けられた衝撃で動けずゆっくりと近付いてくるカンリを睨み付けるしか出来なかった。

 

「何か言い残すことはあるか? 管理局員」

「……地獄に堕ちろ!」

俺はカンリの顔に唾を吐くとカンリは顔をひくつかせながら剣を振り上げた。

 

「減らず口だけは達者だな……死ね!」

そのまま剣が俺に……

 

ガキン!

「……それ以上やるなら私が相手になるよ」

振り下ろされたがなのはを倒したと思われるテスタロッサがデバイスで受け止めながらカンリを睨み付けた。

 

「フェイト、君は管理局と敵対しているんだろう? だったら局員がいない方が……」

「悪いけど君に名前を呼んでほしくない。それに局員を殺したら管理局が本腰を入れて介入してくる可能性があるから殺させない」

馴れ馴れしく話しかけてきたカンリをたんたんと論破するとテスタロッサは気絶しているなのはとユーノ、涙目の鮎川を見て「……なのは、鮎川君……ごめん」と言って何処かに飛んでいった。

 

「……ち、命拾いしたな。フェイトに感謝しろよ管理局員。そして命を奪う覚悟がないなら出てくるな」

そう言ってカンリもーはテスタロッサとは別の方向に飛んでいった。

それを見届けた俺はアリサ達の俺達を探す声を聞きながらそのまま気絶した……

 

…………

 

「「「「「……」」」」」

すずかの家からの帰り道。俺達は全員無言だった。

あの後傷だらけの俺達と気絶しているなのはとユーノ、涙目の鮎川を見つけたアリサ達に何があったのかを伝えた俺達はすずかに全力で謝った。

そして鮎川には俺達の正体や魔法の事、ジュエルシードの事などを話して何がどうなってるのかを説明した。

それから鮎川が保護していた子猫は鮎川になついたため鮎川の住んでいるマンションで飼われる事になった。

 

「……なのは」

「ユーノ君。私、決めたよ。私はフェイトちゃんと戦う。戦ってどうしてフェイトちゃんがジュエルシードを集めるのかを知りたい。フェイトちゃんは戦う理由がないって言ったけど今出来た」

ユーノがなのはに話しかけようとしたらなのはは俯きながらユーノの言葉を遮って話す。

 

「……なのはらしいね」

「にゃはは……」

ユーノが苦笑いをするとなのはもまた苦笑いをして誤魔化した。

……2人がこんなにポジティブなら俺達も前を向かないとな。

 

「俺達はあのカンリとかいうくそやろうをぶっ飛ばす。そんでもってテスタロッサにジュエルシード集めを止めさせる。それが俺達の今回の事件での目標だ」

「……ああ!」

「……うん!」

俺の言葉にユウヤとヤマトが力強くうなずいた。

うし、そのためには……

 

「特訓だな。今の今までサボってたが訓練をもう1回やるか!」

「私もやるよ、フェイトちゃんより強くなるために!」

「僕も出来る限りの事はするよ。元々は僕の問題だったんだから」

そう言って俺達は前を向きながら家路についたのだった……




如何でしたか? 次回は橋出君視点で温泉に行きます。
次回もお楽しみに!

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