魔法少女リリカルなのは~管理局員の奮闘~   作:愛川蓮

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9歳~始まりの転移は変態の追撃から~


P.T事件編
第1話


6年前……

 

「なあ、ユウヤ……」

「なんだ、アヤト」

俺の溜め息混じりの言葉に、ユウヤが答える。

 

「首都航空隊ってよ、陸の中では精鋭なんだよな?」

「精鋭だよ、給料も他の部隊よりは高いしデバイスも陸では最高級の物を使用してるしね」

俺の言葉に、ヤマトが苦笑いをしながら言う。

 

だったらよぉ……!

「なんで俺達は隊舎の屋根を直さなきゃいけねえんだ!」

俺は怒号と共に、手に持っていたトンカチを釘に降り下ろした。

 

「しょうがないでしょ? 予算の半分以上が海に持っていかれていて業者に頼むだけのお金がないんだから」

「それから力一杯降り下ろすな。下の人間に響くぞ」

俺の言葉に、ヤマトは苦笑いをユウヤは呆れ顔で突っ込んだ。

俺達は、先日とうとう雨漏りが発生した首都航空隊『第3084隊』の隊舎の屋根の補修作業に入っていた。

なお、俺達が選ばれた理由は隊長曰く隊の中で一番若いからだそうだ。

 

「でもよお……俺が知ってる首都航空隊ってよ、クラナガンで暴れる犯罪者を格好良く逮捕する部隊なんだよ……」

とほほと言いながら、俺は屋根に板を打ち付ける為の釘にトンカチを降り下ろし続けた。

 

「まあまあ、僕らの出番が無いってことはそれだけ平和って事だからね? 出来るだけ首都航空隊が出番がないほうが良いんだよ」

「ああ、大体首都航空隊が出張るような事件がそう簡単に起こってたまるか」

俺の不満混じりの言葉に、ヤマトとユウヤが落ち着くように言い……

 

「3人とも一時作業を中断しろ! 警備隊から応援要請があった!」

それがフラグであったかのように、隊長が下から出動を要請した。

 

「事件ですか!? 犯人はどんな凶悪犯……」

「事件だが犯人は違う。下着泥棒だ」

ブリーフィングルームにやって来た俺達は、隊長の言葉に揃ってずっこけた。

 

「し、下着泥棒って……」

「首都航空隊が出張るような事件ではないような気がするのですが……」

「と言うか、下着泥棒に逃げられたのかよ警備隊は!?」

ヤマト、ユウヤ、俺の順で隊長にツッコミをいれる。俺達以外にもツッコミはいれなかったが不満はあるような表情をした先輩達は何人もいた。

 

「確かに下着泥棒は下着泥棒なんだが……使う魔法が『古代ベルカ式』のうえに身体能力も恐ろしく高いのでランクが低いあるいは魔導師ではないのが多い警備隊では捕縛する事が出来なかったらしい。そこで我が首都航空隊に要請が来たのだ。総員、心してかかるように!」

俺達は下着泥棒の使う魔法に驚きながらも敬礼をして出撃したのだった。

 

…………

 

「にしても凄い才能の無駄遣いだよな、その下着泥棒」

「確かにな。古代ベルカ式なんてレアな魔法を使ってるのにやることが下着泥棒とは……」

「確かにそうだけど、任務は任務なんだからちゃんとしないと」

小隊事に別れて探す事になったため、俺達はヤマトのエリアサーチの情報を下に空を飛びながら下着泥棒を探していた。

 

それにしても……

「ヤマト、本当にここら辺にいるんだろうな?」

「その筈だよ? 僕のエリアサーチの精度は知ってるでしょ?」

「知ってるけどよぉ……ここらはクラナガンの中でもトップクラスの豪邸が建ち並ぶ地区だぜ? 幾ら古代ベルカ式だからってこんなところで下着泥棒を……」

ユウヤの疑問に答えたヤマトに、俺は更なる疑問を言おうとして……

 

「ふわ~はははははwwwwww! 俺、参上wwwwww!」

「「……下着泥棒がいたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

頭に女性用の下着を被り、手にはパンツとどう考えても被ってるのより小さい女性用の下着が大量に入った鞄を持った変態が豪邸から出てきた。

 

「ね? いたでしょ?」

「言ってる場合か! さっさと捕まえるぞ!」

「捕まえた後は補修の続きだ! 行くぜ!」

ヤマトのドヤ顔を無視して、俺とユウヤは戦闘態勢に入って変態を取っ捕まえるべく突撃を開始した。

 

…………

 

「待てこら、変態野郎!」

「ふははははは! 私は変態野郎ではないwwwwww! 私は……変態と言う名の紳士だwwwwww!」

「結局変態じゃねえかこの野郎!」

あれから30分、俺と女性用の下着を被った変態との追いかけっこが繰り広げられていた。

 

「くそ! 変態のくせに速い……!」

「ふはははははwwwwww! 何故君が私に追い付けないのか知りたいかいwwwwww? それは……教えてあーげない!」

「結局教えないんかい! それからキモいわ!」

俺は変態野郎の言葉にイライラしながら追いかけ……

 

「(アヤト! 配置に着いたぞ!)」

「(アヤトの姿は捉えてあるから射程もバッチリ!)」

「(わかった! タイミングは任せろ!)」

念話でユウヤとヤマトの言葉が聴こえたので、俺は更に加速する。

 

「むむwwwwww!? は、速い!? だがしかし! この俺には到底……」

変態野郎が加速しようとして……

 

「今だ!」

「(スナイプサーチャーの出力、オールグリーン。仰角、魔力圧縮は全て良し! スナイプシューター……シュート!)」

「へ……wwwwww? あ、あべし!?」

変態野郎の周りを、飛んでいたユウヤ特製のサーチャーである『スナイプサーチャー』を利用した特殊な魔法『スナイプシューター』が全弾炸裂し、変態野郎は変な悲鳴と共に墜落する。

 

「ヤマト!」

「了解! バインド!」

「ぬふぉ!? こ、この俺が縛りプレイに……」

「寝てろ、変態野郎! ストライクスピア!」

「ひでぶ!?」

墜落する変態野郎をヤマトがバインドで捕らえると、変態野郎が変なことを言おうとするが俺は容赦なく変態野郎に槍型のデバイスである『T4W』による刺突を叩き込み黙らせた。

 

「たく……変態野郎に時間掛かっちまったぜ」

「アヤトー! 隊長があと10分位で来るからそれまで見張ってろだって!」

「あいよ!」

俺はヤマトのバインドの上に更にバインドを重ねながら後ろにあるものを見る。

 

「お、これって……」

「管理局が初めて封印に成功したロストロギア……確か『天国の扉(ヘブンズゲート)』だっけ?」

「ああ、暴走すれば次元世界を丸ごとどっかに吹っ飛ばすから管理局が封印したんだそうだ」

俺達は背後にある門型のデカイロストロギアの前で話す。

にしてもこれだけデカイ物を作るって古代ベルカってのはどんだけ凄かったんだ……ん?

 

「なあ、2人とも。これ……起動してないか?」

「アヤト、そんなわけないでしょ? 封印処理はきちんとしてあるんだから」

「いや、この前ニュースで『封印が徐々に解けているから再封印が済むまで近寄らないように』と言っていたような気が……」

俺とヤマトは、ユウヤの言葉に空気が凍ったかのような状態になった。

えっと……つまり、その……

 

「今……これが起動してるってことだよな?」

「……多分、いや絶対に起動してるね」

「……ああ、そういうことになるな。しかも暴走寸前だ」

俺達は顔を見合わせると……

 

「ヤマト、お前一応封印魔法残してあるよな?」

「そう言うアヤトやユウヤもでしょ?」

「お前らなあ……そんな何時使うのかわからない魔法よりももっと実用的な魔法を……って、俺が言えた義理じゃないか。それよりも俺ら程度のランクがロストロギアを封印なんて馬鹿な真似をしたことで怒られそうだな」

「やって怒られるか、やらなくて後悔するかの違いだからなぁ……お前ら一緒に隊長に怒られろよ?」

「わかってるよ」

「当たり前だ。お前1人だけの責任にするかよ」

俺達は頷きあいながらデバイスを構える。

そんじゃまあ……やりますか!

 

「行くぞ! タイミング合わせろよ!?」

「それは此方の台詞だ!」

「2人とも! これは訓練校でやってないコンビネーションだからね!?」

俺達はそんなことを言いながら天国の扉の核に向けて飛び、そのまま核が中心になるように位置を合わせる。

そして……

 

「角度及びフォーメーション、良し。プロテクション、展開完了! 一斉に行くよ?」

「何時でもOK!」

「こっちもだ」

「それじゃあ、1、2の……」

俺達は3の掛け声と共に核に全力で封印魔法を放ち……そこで俺達の意識は途絶えた。

 

…………

 

「……い、お……ヤト。おい! アヤト!」

「……んが?」

俺はユウヤの呼び掛けに目を開ける。

 

「良かった、生きていたか」

「ああ、ユウヤ……ここは何処だ?」

「それはこっちも同じだ。少なくともミッドチルダの何処かではないというのは確かだ」

つまりまるでわからないって事か……

 

「確か天国の扉を封印してそれから……」

「いきなり正常起動した天国の扉に下着泥棒もろとも引き摺りこまれてこの様だ」

「因みにあの下着泥棒はいなかったよ。天国の扉でどっかに飛ばされたか、もしくは逃げ出したかのどっちかだね」

……大手柄どころか大目玉だな。

 

「アヤト、つまんないよその洒落」

「うるせえ!」

俺はヤマトのツッコミに不貞腐れながらユウヤに聞く。

 

「ところでデバイスは大丈夫か?」

「ああ、なんとかな。全力は無理だが戦闘はこなせそうだ」

「僕も大丈夫だよ。アヤトのもね」

こんな時に数年前の品は頑丈で助かる……

 

「封印機能は完全に壊れてるけどな」

ですよね~……

 

「救難信号は出してるから後はサバイバルをしながら……」

ヤマトの言葉を遮り、轟音と共に何かが暴れまわる音がした。

 

「おいおいおい! 魔力が駄々漏れじゃねえか!?」

「近くに……ロストロギアの反応!? しかも近くに人が2人もいる!」

「冗談じゃない! 此所にあるロストロギアが何であれ下手をすればえらい事態になるぞ!」

「わかってるさ! 行くぜ、市民の救出だ!」

「市民とは限らないけどね!」

俺達はヤマトの先導の下、慌てて魔力源に向けて突っ走った……

 

この時の俺達はまだ知らなかった。これが『ジュエルシード事件』又は『PT事件』と言われる事件の始まりだと。

そして、これから長い付き合いになる奴等とのファーストコンタクトになるとは思いもしなかったのだ。




如何でしたか?
次回はなのは、ユーノとのファーストコンタクトです。
次回もお楽しみに!
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