「な、なんだありゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
俺は時の庭園から飛び出した巨大な火柱に愕然とした。
「あ、あれは一体……?」
「時の庭園で何が起こってるの!?」
「今の現象のスキャンを急げ!」
師匠、リンディさん、クライドさんの順で疑問やその疑問を解決しようとする動きがあって……! チャンスだ!
「(ユーノ!)」
「(わかったよ……?)」
俺達が師匠達の注意があの火柱に向かった隙を突いて時の庭園に向かおうとした時……
「これは……!? 艦長! 緊急転移システムが強制起動しています!」
「何だって!?」
緊急転移システム……確か十年前の『
「なんで起動しているの!?」
「わかりません! 対象者は……!? 民間協力者四名と鮎川君、テスタロッサさん達にミズサキ君達です!」
「な……!?」
「アヤト!」
そう言って師匠が俺に手を伸ばし……俺に届く前に俺達は転移していた。
…………
「っ……! くそ!」
そう言ってクレアは僅かに自分の弟子に届かなかった手を拳にして壁に叩きつける。
「落ち着け。今は彼らが何処に転移したかを知るのが先決だ」
「……わかっている、わかっているさ」
ゼストがそんな彼女を気遣うようにそう言うと、クレアは悔しそうな顔のままに握り拳を解いた。
「エイミィ、彼らが何処に転移したかを探るんだ!」
「わかりました! 転移した座標は……え?」
クライドがエイミィにアヤト達が何処に転移したかを探らせ、エイミィはその命令通りに何処に転移したかを転移座標を目安に探し……とある少年が何処に転移したかを知り、顔を青ざめた。
「……どうしたの?」
「……ミズサキ君達、高町さん達民間協力者、テスタロッサさん達は時の庭園にいるのを確認しました」
「待って。鮎川君は……?」
リンディがエイミィの顔が青ざめたのを見て問い掛け、エイミィは『鮎川春雄以外』のメンバーが何処にいるのかを言い、クイントが疑問に思うような顔で話しかける。
そしてエイミィは告げた、鮎川春雄が彼らにとって最悪の場所に飛ばされた事に。
「鮎川君は……『虚数空間』への転移を確認しました」
………………………
「が……ば、あ……」
「くそ! 間に合わなかったか!」
アースラの電脳空間で転生者『
「鮎川春雄を虚数空間よりアースラへ転移! 急げ!」
『虚数空間内での転移は不可能です』
「良いからやれ!」
『不可能です』
「……くそ! 俺は『傲慢な転生者から原作を守っている』と驕っていた時からそうだ……何時も、何時も肝心な所でへまをやらかす……! このままじゃあハッピーエンドは……!?」
男は額に手を当て、後悔しているような表情になるがすぐに何かに気付いたような表情になる。
「これは……久々の『予言』か。何々……『無垢なる少年が機械天使と浄化されし巨悪の巨人、地球の神に会うとき、神に力を与えられし猫と共に次元の狭間を超え愛しい少女を救う』……か。ならば、俺がすべき事は……!」
そう言って男は転移で何処かへと消えた……
…………………………
「……此処、何処……?」
僕が目を覚ますと、そこは黒い嵐が渦巻く空間でした。
僕は膜のようなものに包まれてその空間に浮いていて、まるで川の中で揺れ動く葉っぱのような気分です。
「目覚めたか、
僕が声に振り向くと、そこには深紅の髪に、天使のような白い羽を生やしていて……わわ!?
「何故目を隠す……ああ、この格好は主ぐらいの年齢には厳しいか」
その人の服装は大きい胸を殆どさらすような服でした。
「……換装、『
「……?」
僕が目を開けると、そこには僕の学校の高等部の制服を着た女の人がいました。
「えっと……此処は何処ですか? 貴方は誰ですか?」
「私か? 私の名前は、
「えんじぇろいど……? まるちおふぃさー……?」
「あ~……まあ、天使みたいな
僕がアステリオスさんの言ったことを必死に理解しようとしていると……
『ほぉ……誰かと思えば、お前か。アステリオス』
「……やはり虚数空間だったか。久々だな、『ベリアル』」
声が聴こえたので振り向くと、そこには紅い、大きな火の玉がそこにいました。
「~~~~~~~~~!?」
「……主、あれは人魂ではない。とある事情で魂だけになった私の仲間だ。……『元』が頭に付くがな」
僕が咄嗟にアステリオスさんに抱き付くと、アステリオスさんは頭を撫でながら火の玉が人魂ではないというのを説明しました。
「あの、所でどうして此処にいるんでしょうか僕達……?」
「私は修復が完了して主の危機を感じたから出てきたんだが……ああ、そう言えば私が出た時には既にこの膜は展開されていたな」
『俺は『
『あーら、三人ともお揃いで♪』
僕が声に振り向くと、そこにはぐったりとしたミャオとそのミャオを抱えた派手な格好をした女の人がいました。
「ミャオ!? ミャオに何をしたんですか!」
『ん~……『最終調整』かしらん?』
「ミャオをまるで物か機械の様に言わないでください! ミャオ、大丈夫!?」
僕は女の人から慌ててミャオを取り返すと、そのままアステリオスさん達の所に下がりました。
『そんなことより……貴方の大切な人が大変よん?』
「そんな事って……!」
『はい、映像だすわよ~!』
僕が女の人に怒っていると、女の人は何処からかテレビを出して電源もないのに着けました。
そこには……
「ぐえ!?」 「むぎゅ!?」 「ぐあ!?」 「うげ!?」
「おっと!」 「よいしょっと」 「くっ!?」 「くそ!」 「は!」
「にゃ!?」 「うわっと!?」
時の庭園の床に顔面から落ちた水崎君、萩野君、暁君、橋出君。
上手く着地した黒埼君と雪村君とフェイト、アルフさんとリニスさん。
尻餅を着く高町さんとスクライア君達でした。
「いてて……此処は何処だ……?」
「此処は時の庭園だ、管理局員」
水崎君が顔を押さえながら言った言葉に唐突に現れたトウラーノ君がそう言いました。
「ようこそ、
「他は……?」
「殺すって事だろうね……」
萩野君の呆れが入った言葉と共に、無数のロボットとそれを率いる人達がフェイト達の周りにいました。
「さて、覚悟は出来たかな?」
「……待て、鮎川は何処だ?」
トウラーノ君が性格が変わる前の不深山君のような笑顔でそう告げますが、橋出君が僕がいないのをみてそう質問しました。
「鮎川……ああ、あの
「な!? お前……なんて事を!」
「……え?」
トウラーノ君が心底蔑んだ目でそう言うと、橋出君が愕然とした表情になり、フェイトの顔には絶望が宿りました。
「ゆ、ユーノ君……虚数空間って……?」
「……この世界で言う『ブラックホール』みたいなところで、生きて帰った人は誰もいない、最悪の場所だよ」
「そ、そんな!?」
「嘘、でしょう……?」
「マジかよ……!?」
高町さんが青ざめた表情で此処の事をスクライア君に聞き、スクライア君が此処の事を言うと、高町さん、黒埼君、雪村君はショックを受けたような顔になりました。
「うそ、だ……嘘だ! 嘘だ! 嘘だ!」
「本当さ。証拠にあのゴミが虚数空間へ落ちていった画像でも見せるか?」
「あ、あああ……ああ……」
「フェイト、あの分不相応なゴミは死んだ。あんなゴミは忘れて俺と共に……」
「春雄、ごめん……ごめん、ね……」
トウラーノ君は涙を浮かべたフェイトに尚も何かを言おうとしましたが……フェイトは絶望した表情のまま、手に持っていたバルディッシュを落としそのまま倒れてしまいました。
「フェイト!」
「フェイトちゃん!?」
「フェイト!」
「お嬢様!」
僕は画面を叩きながら叫び、高町さん達は慌ててフェイトに駆け寄りましたがフェイトは光のない目で虚空を見たまま動こうとしません。
「……何故だ? 何故、ゴミが死んだくらいでフェイトが……」
「黙れよ……!」
「何……?」
「黙れよって言ったんだよこの糞野郎!」
トウラーノ君があり得ないと言いたげな表情で愕然としていましたが、水崎君が激昂した顔で叫びました。
「き、貴様……!」
「黙れって言ったよな!? お前、さっきの通信で自分達が正義の味方だの解放者だの言ってたけど……なんの罪も力もない鮎川を、正義の味方って名乗るなら守らなきゃいけない人間を殺した時点でお前は、お前達は正義の味方でも解放者でもない! 唯の……人殺しの悪党の集まりだ!」
「ば、バカな……」
「それにテスタロッサさんに対しても失礼だよ! 『ゴミが死んだくらいで』だって!? それはな……テスタロッサさんの初めての友達になった鮎川君とテスタロッサさんを侮辱する言葉なんだよ! このフニャ○○のキ○○○の生ゴミ野郎が!」
「ああ、テスタロッサにとってはな鮎川春雄は大切な友人だったんだ! それを侮辱する事は俺達が許さない!」
「ユウヤ、ヤマト! これは鮎川の弔い合戦だ! 全力で勝つぞ!」
「ああ!」 「うん!」
「おいおい……俺達も混ぜろよ!」
「鮎川様を殺したあいつらを……特にあの男は許してはおけません!」
そう言って水崎君、暁君、萩野君、黒埼君、雪村君はトウラーノ君率いる部隊に突撃を仕掛けました。
「も、戻らなきゃ……皆のところに……戻らなきゃ!」
『……どうやって?』
「……あ」
そうだった……此処は帰ってきた人が誰もいない場所でした……
『それに……よしんば戻れたとしても、何の力もない貴方がどうやって戦うのかしらん? 逆に皆の足手まといになるんじゃないかしら?』
「うう……」
確かにそうかも知れません。だけど……でも!
「それでも僕は皆のところに戻りたい!」
「……それは、どうしてですか?」
アステリオスさんが微笑みながら僕に理由を聞いてくる。
僕が戻りたい理由……それは……!
「フェイトに、泣いて欲しくないから……フェイトは滅多に笑顔を見せないけど、だから、だからその笑顔はとても綺麗だったから! フェイトに笑顔でいてほしいから! フェイトに……あんな顔をしてほしくないんだ!」
これは嘘偽りのない、僕の本当の気持ち。この胸の思いはまだわからないけど……今感じているこの思いは、全部本物なんだから!
『……くすくす、合格よ!』
「……ふぇ?」
『……御主人、見ていて首筋が痒くなるような言葉をありがとう』
女の人がくすくす笑うと、僕の腕から呆れたような声が聴こえてきました。
「ミャオ!? しゃ、喋れるの!?」
『……おい、
「妲己、お前……この猫を……!?」
僕が驚いていると、ベリアルさんとアステリオスさんは二人とも信じられないような顔で女の人を見ていました。
『ええ、その子猫はわらわが『
「え……?」
『……御主人の力になりたかったから……御主人が泣いたりしている時に、助けたいから! 例え普通の猫として生きられなくても、僕は御主人を助けたいんだ!』
「ミャオ……ありがとう。行こう!」
『うん!』
『じゃあ、出血大サービスでわらわが時の庭園まで飛ばすわ。貴方はその子猫……神造宝貝『
「はい! ありがとうございます!」
『待て、女狐! 何故俺まで……』
ベリアルさんの抗議を無視して、女の人……妲己さんは僕らを転移させた……
………………………………
『さ~て……あの子達や『あの女の子達』も送った事だし……』
そう言って妲己は後ろを振り向くと……そこにはボロボロの神々しい服を纏った者達が数人ほどいた。
これらは転生者達を送り込んだ神(一部)であり、不用意に地球に干渉しようとしたことで妲己の怒りを買い、神がいるべき場所から虚数空間まで引き摺り出されたのだ。
『拷問を……続けようかしらん?』
妲己の言葉を皮切りに、虚数空間内では憐れな神達の苦痛と断末魔の絶叫が暫くの間鳴り響く事になる……
…………………………………
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「くはははは! 良いぞ! 俺がフェイトを管理局員から奪還するまでそのまま足止めをしろ!」
俺達は鮎川の弔い合戦の為にトウラーノの元に突進したのは良いんだが……トウラーノは俺達(なのはも含む)の相手を傀儡兵や配下に任せ、自分はテスタロッサの元へと向かうという事をしていた。
「シロにクロ! あんた達ねぇ……! 自分達の主が何をしているのかわかってるのかい!?」
「……肯定。だけれど私達にはどうしようもない」
「……わかってるよ。わかってるけど、俺達にはどうしようもねぇだろうが!」
「それは諦めって言うんだよこのバカちんどもが!」
「ユカリ、見損ないましたよ! 年齢も、主も違っていても思いは一緒だと思っていたのに……」
「……そうだね。私は、私達は結局御主人達を変えられない臆病者揃いだにゃん……だけど! 決着だけはつける!」
「望むところです!」
唯一テスタロッサを守れそうな使い魔達も、ミツルギ姉弟の使い魔達に押さえ込まれてるし……このままじゃ、テスタロッサが!
「…………」
「フェイト、俺と共に行こう。そしてあの毒婦と、管理局を打ち倒そう」
「私、は……私は……」
「大丈夫だ、なのは達もすぐに俺達の元に来る。心配することは何もない」
下卑た顔をしながらトウラーノはテスタロッサを抱き上げて……ん?
「なんだ、あの空間の歪みは……?」
橋出が俺と同じようにそれに気が付いたのか声を出し……
「フェイトに……!」 「「テスタロッサ(さん)に……!」」
「誰だ……」
「触るな!」 「触るんじゃないわよ!」 「触らないで!」
「ぐばらぁ!?」
そう言いながら空間の歪みから現れ、トウラーノを蹴り飛ばしてテスタロッサを奪い返したのは……すずかとアリサ似の誰かと、黒い猫の絵柄が描かれた外套を纏った鮎川だった……
難産でしたが出せました……
次回は無双回になるかもしれません。
次回もお楽しみに!