「……此処は、何処だ……?」
俺は目を開けるとそこは何処かの通路だった。
「これは……写真か?」
通路には幾つもの写真が……って、これ聖覇の決戦の頃の写真か!? ユーノが見たら狂喜乱舞しそうな写真だぜ……
俺は写真を一枚一枚じっくり見ながら歩き始める。
写真には色々あったが、主にあったのはそれぞれ七つの武器を持った男女と黒い弓を持った赤毛の男の写真だった。
「……これって、『七つの武器を持ちし乙女達と黒弓の男』か? でも、他の7人は一体……?」
俺は写真を訝しげに見ながら呟いた。……でも、写真を見る限り15人とも仲が良さそうなんだよなぁ……特に炎を纏う双剣を持った黒髪の女と炎を纏っている刀を持った金髪の優しそうな男って、どう考えても娘に見える奴と一緒に撮った写真があるし。
「っと、此処が終点か」
俺は最後の写真がある壁に辿り着くと、そこにかけてある写真を見る。
そこには……
「なんと言うか……」
「スッゴい……」
「幸せそうだな」
そこには(多分)自分達の思い人の隣を巡って争う大半の女性陣(一部男性あり)とそれに苦笑いする男性陣と一部の女性陣の写真。黒髪のフォークを持った男に争っていた女性陣と男性陣全員が頭にフォークが刺さった状態で正座させられ説教されている写真。そして、中央にガチガチのタキシード姿の覇王とウェディングドレスを着て微笑みを浮かべる聖王を配置して覇王側に男性陣、聖王側に女性陣が並んでの写真だった。
……って!
「ユウヤにヤマト!? どうして此処にいるんだ!?」
「それは此方の台詞だよ! 気が付いたら此処にいて……」
「……どうやら俺達は3人とも何時の間にか此処に来たようだな」
俺がユウヤとヤマトがいることに驚くと、ヤマトがそれにツッコミ、ユウヤが苦笑いしながら呟いた。
……でも、謎があるぞ?
「俺はミツルギ姉の攻撃で死にそうになって、女の声に導かれて此処に来たんだけど……お前らは?」
「僕は矢鱈とテンションが高い女の人の声だったけど……?」
「俺は冷静な男の声だった」
……どうやら俺達はそれぞれ別の人間に連れて来られたようだな。
「にしても誰が……」
『太陽いわく燃えよカオス!』
「おうわぁ!?」
俺は誰が俺達を此処に連れてきたのか考察しようとした時……いきなり後ろから物凄いハイテンションな声と共に現れた女に驚いてひっくり返るはめになった。
「こ、この人だよ! 僕を呼んだ声の人は!」
『はいは~い! 何時もニコニコ這い寄る混沌! 『ニャルラトホテプ』こと『ニャル子』の
ヤマトの言葉に反応した銀髪アホ毛の女が意気揚々と自己紹介をしようとした所で……写真に写っていた黒髪の女と、オレンジ色の髪に額に火を灯した男がその後頭部に拳を叩き込んでいた。
『……いきなり彼らを混乱させるな』
『ジョットの言う通りだよ。いきなり出てきて彼らを混乱させたニャル子が全面的に悪いよ?』
『ううう……それでも私は諦めなイアガラの滝!?』
俺達は頭を押さえながらもテンションをあげていこうとする銀髪の女の顔面に容赦なく拳を叩き込んだ。
「話が進まねえから早く自己紹介してくれねえか?」
「……ああ、それに此処が何処だかも知りたいしな」
『それもそうだね。僕の名前は『アレクサンドラ=アルシャーヴィン』。少し長いから『サーシャ』で良いよ。君を呼んだのは僕だよ、ミズサキ君』
『俺は『ジョット』。お前を呼んだのは俺だ、アカツキ』
俺達は向こうで踞っている(フリ)をしているニャル子と呼ばれた女にちらりと目を向けつつ自己紹介をされる。
「……で、此処は何処なんだ?」
『……着いてきて』
俺は質問に踵を返すことで答えたサーシャさんに着いていく……ん?
「……他の二人は?」
『これから先の『試練』は一人でやらないといけないから』
……試練?
俺がサーシャさんの言葉に疑問符を浮かべながら着いていき……ついた場所は真っ白な広い部屋だった。
「……此処が試練の場所か?」
『そうだよ。あそこの黒い弓は見える?』
「ん……見えるけど……?」
俺はサーシャさんが指を差した場所にある黒い弓に少し心を奪われそうになりながらそう答えた。
『……あれを取れば良いだけだよ』
「……? それが試練……?」
『うん。……簡単じゃないだろうけどね』
俺はサーシャさんの言葉に眉を潜めながら弓に触れ……次の瞬間、襲いかかってきたあらゆる悪感情に弓を手放しながらひっくり返った。
「なん、だよ……これは……!?」
『その弓は君の鏡とも言える弓。そこから流れる悪感情に逆らわずに、全部の悪感情に対する自分の思いをきちんと告げれたら試練は終了だよ』
俺はサーシャさんに告げられた内容に苦笑いをする。9年間生きてるだけでこれだけの悪感情が湧くのかよ……
「まあ、なんにせよ……やってやるか!」
俺はもう一度弓を手に取り、集中する。
……なんで、なんで『あの人』は『あんな奴』を……! 俺が、俺の方が先に……!
「(……これは、俺の『初恋の人』に対する悪感情か)」
俺の故郷での、俺が師匠に弟子入りして、管理局に入るのを後押ししてくれた……あの人。俺の初恋の人とその人と現在進行形で付き合っている幼馴染みに対するものか。
「(だけど……んなもん、とっくの昔に……乗り越えてねえか。今でも高校生くらいの俺があの人に告白してるの、夢に見るし)」
それでも、あの人達を守るために強くなる。そう師匠に宣言した決意はあの日から変わっていない。だから……負けてたまるかよ!
何もかも無駄なんだよ。権力には逆らえないんだよ……
「(おいおい……今度は俺達が3人で初めて挑んだ事件かよ)」
確かあの時は有名な女子高で生徒を使った売春で不正な利益を得ていた理事長一派と癒着していた管理局の高官が勇気を振り絞って告発した生徒の恋人(教師)に冤罪を着せて無理矢理事件の解決を図ったんだっけか。
「(だけど……俺達3人は、命令なんて無視して捜査を進めたんだっけ)」
どうにかこうにか証拠を見つけて、無茶もして犯人達を逮捕したから良いけど……下手をしたら俺達は3人揃って消されてたな。
それから……
俺に才能なんてないんだよ。諦めろよ。お前に高町達と戦う資格なんてないんだよ。
「(一緒に戦うのに資格なんてあるかよ!)」
敵うわけないだろ、あんな力を持った化け物によ。
「(……それでも、それでも管理局を否定しかしていないあいつに負けるわけにはいかねえんだよ!)」
……お前は依存しているだけだろ? あの2人の友情にさ。
「(依存なんかしてねえよ! 俺がユウヤやヤマトに抱いている友情と信頼は悪意なんかに歪められやしねえよ!)」
鮎川を見下しているんだろ? 魔力がない一般人の分際でって。
「(んなわけあるか!)」
様々な悪感情があることないことを吹き込んでくるが、俺はそれをことごとくはね除けながら言葉を返す。
そして……
なんで、なんであの女を助けようとするんだよ。さっきだって殺されかけたのに……さ。
俺の頭の中に映像が浮かぶ。そこには駆け付けてきたクロノから真相を聞かされたことでヒテイに対する憤怒と憎悪に満ちた目から人形の様な虚ろな目になったミツルギ姉弟と、その2人に対し、満足そうに頷きながらユーノ達を殺すように命じるヒテイの姿があった。
……クロノから聞いた通りだな。ミツルギ姉弟の世界は、アイツが父親を唆して黒い炎の力を無理に手に入れさせた所為で崩壊したんだ。
だから、俺は……
「(許せねえからだよ)」
……許せない? どっちを?
「(ヒテイだよ。自分が世界を崩壊させておきながら、それをさも管理局や転生者って奴等がやったように言って、ミツルギ姉弟を洗脳したのもそうだけど……本当の意味で許せないのは、2人やなのは達を物扱いしてるからだ)」
皆は生きている人間だから。アイツのおもちゃじゃねえから。だから……!
「俺はアイツをブッ飛ばす! そのために、力を貸してくれ!」
…………汝の思い、理解した。受けとるが良い、魔弾の王と戦姫、そしてそれに付き従いし剣士達の力を……!
…………………………
「ミツルギさん、しっかりして!」
「マスター!」
「ご主人、目を覚ますにゃ!」
「……管理局員、ユーノ・スクライア、抹殺、まっさつ、マッサツ。高町なのは達を確保、かくほ、カクホ」
「ユウト、しっかりしろよ! 俺だ、シロだよ!」
「ダメだ! 完全に操られている!」
「管理局員、殺す、ころす、コロス」
ハロー! 現在進行形で緊急事態の橋出だぜ! 俺達はフェイズを制圧し、カンリ達を追いかけるために行動をしようとしたんだが……その直後に現れたカンリ達とほぼ同時に現れたクロノ達の口から衝撃の事実が放たれた。
元々カンリ達の世界には『禁断の炎』……リボーンのラスボス組織『
……それを聞かされ、騙された挙げ句、自分達の世界の仇に散々利用されたことに気付いてぶちギレたミツルギ姉弟がカンリに襲いかかったんだが……2人のデバイスに仕込まれていた洗脳機能により2人は洗脳され俺達と戦わされているんだ。……2人が展開した匣兵器も含めて。
「くはははははは! 良いぞ! そのままKYどもをぶち殺せ! なのは達は俺がいただくからな!」
そう言ってカンリは自分の匣兵器の1つ『
くそ! 好き勝手にしやがって……!
「くくく……KY達もすぐにあの管理局員達の……」
「後は追わねえよ」
「……へ?」
得意顔のカンリが大苦戦している俺達にそう言うが……後ろから聞こえた声に振り向いた瞬間……
「僕の『宇宙CQC・フルフォースマキシマム』! 『怒りの撲滅鉄拳』!」
「ぐべら!?」
「穿て……『
「ぎゃばら!?」
「吹き荒れろ、『アリファール』! 轟け、『クシャルダオラ』! 『
「がばっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
そう言ってニャル子の『フルフォースフォーム』の豪華版(腕にはクー子の炎、背中にはハス太の風とルーヒーの水を翼状にしたもの、足にはアト子の糸がついてる)を身に纏ったハギノ、額に見たこともない死ぬ気の炎を灯し、手には同じ炎を放つリボーンに登場するどのリングにも似ていない指輪を装備したアカツキ、『魔弾の王と
……マジでどうなってんの!?
リアルで忙しく、大幅に時間がかかってしまいましたが何とか出来ました。次回も遅れそうですが、何とかエタらずに頑張りたいです!
次回もお楽しみに!