魔法少女リリカルなのは~管理局員の奮闘~   作:愛川蓮

3 / 27
9歳〜ファーストコンタクト、それは不思議な出会い〜


第2話

「見つけた! 2人ともまだ無事だ!」

数分後、俺達は魔力源に急行すると、デバイスと思われる物と契約しようとしている俺達と同い年の茶髪の女と、魔力源と思わしき怪物の突撃を防ぎながら詠唱を教えている同じく俺達と同い年の金髪の男がいた。

 

「データベースからの照合完了。男の方は『ユーノ・スクライア』。スクライア一族の1人だ!」

「女の子の方は不明! でも此処の現地民の可能性大!」

ユウヤの言葉で男の方の名前は分かったが、ヤマトの言葉で頭を抱えたくなった。

これが終わったらなんて説明すれば良いんだ?

 

「ま、良いか! 俺が突撃して怪物の気を逸らす! ヤマトはその隙にユーノ・スクライアと女の保護を、ユウヤは俺の援護だ!」

「わかった!」

「了解!」

俺は指示を終えると、足の下に魔力を蓄えるとそのまま魔力を爆発させて怪物に突撃をかまし吹っ飛ばす。

 

「え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 誰なの!?」

「こちらは時空管理局です! 何がどうなっているかわかりませんが事態を打開する為に速く詠唱を!」

「時空管理局!? 来てくれたんだ!」

俺が怪物を吹っ飛ばすと女は驚き、スクライアはほっとした顔になる。まあ、驚くのは無理もないけどな。

 

「って、言ってる場合じゃないか」

俺は吹っ飛ばした怪物から手応えが無かった事に違和感を感じ……

 

『ギャアァァァァァァァァァァ!!』

「やっぱ倒れてないか! 『ラウンドシールド』!」

俺は全く無傷の怪物が突進してきたのを見ると即座に防御魔法を張り、怪物を防ぐ様に見せ掛けて……

 

「『サーチャーチェンジ』……モードマシンガン! マシンガンシューター! ランダムシュート!」

別の方向からスナイプサーチャーを別のモードに切り換えたユウヤの乱射が怪物の足下に何発も炸裂し、怪物は形は崩れ速度は落ちたものの突進は止まらなかった。

これではっきりした。あいつは魔力の塊だから普通の攻撃じゃ無傷で再生しちまうのか。

 

「す、凄い……彼はサーチャーにシューターと同じような働きを持たせた上に両方の機能を損なわない様に……」

「ユーノ君! 感心してる暇があったら早く詠唱を教えて!」

「そうだよ! 僕らのデバイスは揃って封印機能がぶっ壊れたんだから、この子のデバイスだけが頼りなんだよ!」

「ああ!? ご、ごめん、なのは! 僕に続いて!」

「う、うん!」

『ゴアァァァァァァァァァァ!』

「ああ、もう! ラウンドシールド!」

「そっちを見るんじゃねえよ化け物が!」

スクライアと女に突撃した怪物をヤマトがラウンドシールドでなんとか防ぎ、俺が突進することで気を再び反らす。

 

そして……

「「風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。『レイジングハート』、セットアップ!」」

詠唱を終えると女の身体がデバイスと共に光、光が消えると……青い袖以外は全て白いバリアジャケットを着た女がそこにいた。

 

「……え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? なんなのこれ!? 何がどうなってるの!?」

「「「…………ですよね~」」」

いきなり魔導士になった奴にバリアジャケットを解れと言う方が困難……ってやべぇ!

 

「すまん! 抜かれた!」

「ええ!? バインド! ……って、不発!? どうして!?」

俺は女の方に再び突撃を開始した怪物に振り切られ、それを知ったヤマトが慌ててバインドで怪物を止めようとするが何故かバインドが出なかった。

 

 

「これは……まさか、魔力切れ!? しまった! 完全に回復していなかったのか!」

自身のバインドが出なかった最悪の理由にヤマトが行き着くと、俺とユウヤは思わず舌打ちをしたくなってしまった。

俺達の中で一番魔力ランクが低い(つっても俺とユウヤもドングリの背比べだが)ヤマトが魔力切れって事は……

 

「すまん、アヤト。どうやら俺もこれ以上の戦闘は無理らしい」

ユウヤが歯痒い顔で俺に言う。

 

「くそったれ! これじゃあ間に合わねえ!」

俺が慌てて追いかけるが怪物は既に3人の側にいた。そして怪物の突撃は女、スクライア、ヤマトを……

 

『プロテクション』

吹っ飛ばす前に張られたプロテクションに弾き飛ばされた。

 

「い、インテリジェントデバイス!? 最高級品のデバイスじゃねえか!」

「それどころか張られた魔法はプロテクションだぞ!? 一体どんな魔力してんだあの女は!?」

「す、凄い……」

「!? 気を緩めちゃだめだ!」

俺とユウヤが女のデバイスと魔力に驚いていると、別の意味で女も驚いたらしく気を抜いてしまう。

それはつまりプロテクションも弱まるということで……

 

『ギャォォォォォォォォォォォォォォォン!』

「っ!? あ……」

「なのは!」

プロテクションが怪物に破られ女に突撃が届く……寸前でスクライアが女を庇い吹っ飛ばされる。

……って、あっち電柱があるじゃねえか!?

 

「……バリアジャケットも消滅寸前だけど仕方ない!」

スクライアが電柱に当たる寸前で、ヤマトがスクライアに追い付きクッションになる。

 

「ぐぅ!?」

「……う」

2人とも打ち所が悪かったのかそのまま気絶してしまう。

しかも怪物はもう一度突進の準備をしてやがる!

 

「させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

俺はT4Wの使える魔法の中で最大の威力を持つ魔法を発動させ、そのまま怪物に突っ込む。

 

「スパイラル……バンカー!」

螺旋状になった魔力が怪物を削り、核となっていると思わしき宝石を露出させる。

 

「後は、頼んだ……ぜ」

そのまま俺は重度の魔力切れで意識を喪失した。

……意識を2回も失うなんて厄日だな今日は。

 

…………

 

 

「……ん」

俺が目を覚ますと、そこには怪物は影も形もなく、地面が所々抉れている以外は平和な公園だった。

 

「起きたか、アヤト」

「ああ、ユウヤか。怪物はどうなったんだ? いないって事はあの核になっていると思われるロストロギアを封印したんだろうが……」

「ああ、あの女が1人で封印したよ。誰の手も借りずにな」

「マジかよ!?」

「本気と書いてマジだよ。凄かったらしいよ?」

俺がユウヤの話で驚いていると、濡らしたタオルを持ったヤマトが現れた。

 

「で? あいつは何処だ?」

「ユーノ・スクライアを看病中だ」

「僕は頭にのせる為のタオルを持ってきたわけ」

俺はユウヤとヤマトの言葉を聞いて、成る程と頷きながらヤマトに着いてく事にした。

 

…………

 

「う、う~~ん……」

「あ、ユーノ君、気が付いたんだ」

「あ、なのは……って何で膝枕なの!?」

俺達がつくとスクライアは起きていたんだが……何故か女に膝枕されていた。

 

「何でだ?」

「知らん」

「僕にも……でも初対面じゃないってことは確かだよ? 名前呼びしてたし」

そう言えばそうだったな。スクライアは遺跡の発掘及び探索を主軸とする一族だ。過去に此処を訪れた際に現地の人間と仲良くなってても可笑しくないな。

 

 

「あ〜〜……お取り込み中所悪いんだが少し良いか?」

「ひゃっ!?」

「にゃ!?」

俺が話し掛けると2人は顔を真っ赤にして離れた。

 

「あ、か、管理局の人でしたか! お陰で助かりました!」

「ちげえよ、助かったのはこっちだ。俺達は絶賛迷子になっているんだからな」

「……え?」

俺の言葉にスクライアは若干顔が引きつったような気がした。

 

…………

 

「そうですか、天国の門が再起動を……あれはスクライア一族でもそろそろ封印が弱まるだろうと言われてて封印魔法が得意なメンバーが一時的に出向する手筈でした。それをたった3人で、しかもランクとしては平均でB-で封印をするなんて……」

「いやいや、俺達も中々とんでもない博打をしたと思ったがお前も同じくらい危険な事をしたからな? 事故があってロストロギアの『ジュエルシード』が此処第97管理外世界……通称『地球』に流れ着いたのを見て船から飛び降りた挙げ句の果てに自力で全部集めようなんて自殺行為にも等しい暴挙だからな?」

「それはそうかもしれないけど……」

「あの、さっきからユーノ君達が言っている事が理解出来ないんだけど……?」

俺達が情報を交換していると女……さっき自己紹介されたが『高町なのは』と言うらしいが俺達の話に着いていけずに話し掛けてきた。

 

「ああ、時空管理局ってのは平たく言えば地球や様々な異世界を守るでかい警察みたいな組織だな。俺達はその中でも下っぱ……こっちの警察に当てはめるなら巡査って所だな」

「因みにこっちでの刑事にあたる『執務官』と呼ばれる役職もあるが……今は関係ないな」

「ロストロギアは簡単に言えば普通の人間が下手に弄れば確実に暴走してその世界が壊滅、下手をすれば世界がまるごと消滅しちゃうような代物かな?」

「僕達スクライア一族はそんなロストロギアを発掘、封印しては管理局に行ってそのロストロギアを悪用されないように守ってもらっていたんだ」

「え、え〜と……あ、あんまり理解出来なかったけど……取り敢えずユーノ君達が好い人だってのは理解したの!」

つまり要約するなら殆どわかってないって事だな。

 

「(アヤト、高町さんどうする? 正直巻き込むのはこれっきりにしたいんだけど……)」

「(無理だ。考えてもみろ俺達のデバイスは封印機能がぶっ壊れてるから封印はどうしても高町にやってもらう必要がある。それに魔力だって回復しきってないしな)」

「(そうだな。いっそのこと現地協力者としてジュエルシードの回収と封印に協力してもらった方が幾分か気が楽だ)」

「(……それもそうだね)」

俺達は念話で高町の事について話すとそのまま高町に向き直る。

 

「高町、情けない話だが俺達はまだ魔力が回復しきってねえ。それにデバイスの封印機能もぶっ壊れて使い物にならねえ。そこで物は相談なんだが……」

「現地協力者として僕達に協力していただけませんでしょうか?」

「え……? う、うん! いいよ! 私、ユーノ君達と一緒にジュエルシードっていうのを集めるよ!」

「ええ!? 良いんですか!? なのははまだ魔法について素人ですよ!? それにどんな危険があるかわからないし……」

「そん時はどんな手を使ってでも高町からデバイスを取り上げてこの戦いから外す。それが俺達からの条件だ」

「……わかったよ」

「うし、交渉成立だな」

「良かった! ……ところでみんな住む場所は決まってるの?」

「「「「…………あ」」」」

俺達四人は高町の言葉に同時に硬直した。




如何でしたか?
次回は転生者Sideの話です。

次回もお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。