原作:ラブライブ!
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しかし、新たな自分を受け入れられず思い悩んでいた時、穂乃果とことりに再会するが、背徳感から2人と距離を取ってしまう。
そして、穂乃果とことりも新たな海未の姿に受け入れられずにいた。
果たして、三人は分かり合うことが出来るのか⁉︎
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といわけで仮面ライダーとラブライブのクロス第2弾です。今回は海未が仮面ライダー2号として、悩み、葛藤し成長する物語になっています。
夜の人気のない山奥の道に突き刺すような冷たい風が吹く。木々は震えるようにざわめく。
そしてざわめきの中、バイクのエンジン音が鳴り響く。そのバイクには絵里と希の2人が乗っていた。
仲良くツーリングというわけでなく、何やら張り詰めた雰囲気を漂わせる。すると、左側から別のバイクが現れ、隣に張り付き並走し始める。絵里はスピードを上げ、振り切ろうとするが謎のバイクは高い操作技術で絵里を抜き去り、阻むかのようにドリフトしてブレーキをかける。そして、絵里も止むを得ずブレーキをかける。
「よく来ましたね。ホッパー。」
黒いジャケットを着た謎のバイクの持ち主はヘルメットを外し、その端正な素顔を現す。腰までの青みがかかった繊細な黒髪と凛々しい目付き。
「あなたが園田海未さんね。」
生徒会長として全生徒のことを調べ尽くしている絵里には一目でわかった。と言うのも文武両道、才色兼備で有名な生徒であったため、他の生徒以上に目をつけていたのもある。
だが、そんな彼女は1週間前に行方不明となった。警察を中心に大規模な捜索活動がおこなわれたが一向に見つからず、絵里もショッカーに誘拐されたと考え、個人で行動していたが、めぼしい情報は見つからなかった。
しかし、行方不明になってから5日後、希が生徒会室にとある手紙が届けられているのに気づいたことにより、事件は進展を迎えた、
『園田海未は2日後のY県のX号線の道路で待っているだろう』
この手紙を読み、絵里はショッカーによるものだと考え、罠と考えながらも言われた場所に向かい、現在に至る。
「そんな名前はとうの昔に捨てました。今の私は……」
すると海未はジャケットの前身頃をめくり絵里と同じベルト、タイフーンを見せる。
「ホッパー2!」
黒いジャケット姿から強化スーツ姿へと変身する。その姿は絵里のと酷似していたが、色合いが少し淡い。
「エリチ、戦うん?」
「えぇ、ウチの生徒でもあるのだけど……」
海未を一瞥する。今まで戦ってきた怪人とは一線を凌駕する程の殺気を感じる。
「なるべく……努力はしてみるわ。」
「うん……無理しないで。」
絵里は黙って頷き、海未と同様に白いジャケットの前身頃をめくり、変身する。
「戦場に他人を連れてくるとは、私を侮辱しているのですか‼︎」
「いいえ。ただ、希が私を見守りたいと言ってね。それに守るべき人が後ろにいる。その方が私はやりやすいからね。」
「……まぁ、いいです。誰かに頼って戦う力など無意味だと言うことを死をもって思いしらせましょう!」
怒りを露わに海未が絵里に襲いかかる。絵里も同様に攻め、パンチを与えようとする。しかし、海未は攻撃を受ける寸前できりもみジャンプをして避け、絵里の後ろにつく。
「せい‼︎」
絵里ほどではないが強力なパンチを背中に与え、絵を吹っ飛ばす。絵里は空中で体勢を立て直し、着地する。
「ショッカーライダーとは比べ物にならないわね。」
「あんな量産型と一緒にしないで欲しいですね。」
おそらく、ショッカーライダー軍団と海未は同等の強さ。いや、それ以上の強さと絵里は分析する。
その間にも海未は絶えず、絵里に攻撃を続ける。拳と脚の嵐。絵里は何とか捌き、カウンターを仕掛けるが、逆に背負い投げで返される。
「エリチ‼︎」
希は不安で焦りを抱く。どんなに力が強くても攻撃さえ当たらなければどうということはない。まさに海未はそれを体現しているかのような戦いぶり。言うなれば「技のホッパー」。反対に絵里は「力のホッパー」だろう。
「失望しました。所詮、これほどの力しかないのですね。」
ため息を吐きながら、絵里を見下ろす海未。ただ、絵里もこの程度ではやられることはなく、直ぐさま立ち上がる。
「ふふ、そうでなければ面白くないですね。噂どうりで何よりです。」
嬉しそうに不気味な笑う。それを見た絵里は力強く突き当る。
「……あなたは何のために戦うの?」
「はい?」
「ショッカーの忠義のため?それとも世界を征服したいため?」
絵里は見定めるように海未を見つめる。それに気づかず、淡々と海未は話しを始める。
「忠義、世界征服ですか……そんなこと、私にはどうでもいい。ただ私は強くありたいだけです。」
「何のために強くなりたいの?」
「理由なんてありません。ただ、そうしたいと思っただけです。」
満足そうな海未と不満足そうな絵里が対象的に映る。そして今度は絵里が失望し、海未に告げる
「……独りよがりなのね。」
「何…?」
「なら、はっきり言うわ。あなたはこれ以上強くはなれないし、私にも勝てない。何も持たず、背負もしないあなたが成長するわけないでしょ。」
「言わせておけば‼︎」
淡々とした絵里に激しい怒りを込めたパンチを喰らわせる海未。しかし、絵里はゆうゆうと片手で受け止める。そして、そのまま腕を捻り、地面に倒す。
「くっ!」
絵里は海未の顔を踏み潰そうとするが、海未は関節を外しながら絵里を叩きつけ、攻撃を避ける。
「類稀なる執念ね。」
「私は……絶対に……負けない‼︎」
外れた関節を自力で治す。そして海未はタイフーンを回し、力を溜める。
「それは私もよ。私が負ければ、希が危険な目に合うもの。」
絵里は右腕を腰に位置に引き、左腕を右斜めに構えを取る。
「「はぁ‼︎」」
同時に高く跳び、必殺技の「ライダーキック」がぶつかり合う。
「エリチ!負けないで!」
2つの巨大な力がぶつかり合ったことで衝撃波が起こり、希は飛ばされないように必死に踏ん張る。
「ハァァァァァア‼︎」
最終的に力負けしたのは海未のほうだった。
「ぐはっ‼︎」
空中から地面に叩きつけられ、ゴロゴロと転がる。仮面は外れ、傷と血だらけになった顔が露わにになる。
「ま、まだ……こんなところで!」
海未はボロボロになりながらも満身創痍で立ち上がろうとする。そんな努力をしてる間に絵里が目の前に立ちはだかる。
「危うく負けそうだったわ。でも希が応援してくれたおかげで何とか勝てたわ。」
海未の全てを否定するかのように見下す絵里。それを海未は歯をくいしばり、悔しそうに地面に伏せる。
「……私はこんなところで!死ぬわけに行かない!」
「あなた、本当に力を求めるだけなの?そんな状態でまだ戦うなんて正気じゃないわ。」
「うるさい!強くならなければ何も守れないじゃないですか‼︎」
「守る⁉︎」
予想だにしない単語を聞こえ、思わず聞き返す。どうやら海未は無意識で出た言葉らしく、自身ですら何でこう言ったのか驚いている。
「エリチ⁉︎どういうこと?改造されるなら脳改造もされるんじゃないの?もしかして、エリチと同じように……」
「いえ、それはないわ。例え他の怪人とは雰囲気が違っていたけど根本的には変わってなかった感じはしたけど……」
ここで絵里は一つの仮説を立てた。それはライダーキックの一連の行動により脳に衝撃が与えられ、それが結果的に脳改造の影響を消したと考えた。しかし、幾ら何でも上手く出来すぎてはないのかと疑ってもいた。
「私は……何を守る…と⁉︎」
頭を押さえ酷く動揺する海未。その姿を見た絵里は一つの可能性に賭けた。
「希、今回は見逃しましょう。もしかしたら正気には戻るかもしれないわ。」
「そうやね。それにエリチに同じ学校の生徒を……」
「そうね。後味も悪いわ。」
そう言って、絵里は希とともにバイクに乗り、家へと帰ろうとした。
「待ってください!こんな無様に負けを晒すなら今すぐ私を殺してください!」
海未はおぼついた足取り立ち上がり、言葉を吐き捨てる。
「……今は出来ないわ。ただし、次に会った時にあなたがあなた自身を思い出すことが出来なかったら、望みどおりにしてあげる。」
そう言葉を残し、絵里はバイクを駆り、その場を後にする。一人、残された海未は膝から崩れ落ち、四つん這いになる。
「私が……誰かって⁉︎私は私ではないのですか!なら、私は誰なのですか‼︎」
空虚な叫びが暗闇の空間に響き渡る。
♢♢♢
数日後、海未は噴水のある綺麗な公園のベンチで項垂れていた。あの後、重い足取りでアジトに戻り、上司であるカメレオンにはただ叱責され、一言添えられただけだった。
『次、失敗すれば貴様はどうなるかわからんぞ。』
その言葉が死という恐怖を明確に思い知らせ、焦燥感をも抱かせる。しかし、海未にはそんなことはどうでもよかった。死ぬことよりも自分が何かわからないことのほうが恐怖であった。
たまたま、発したあの言葉。絵里の言っていたとうり何も守るものもない海未には意味のない言葉、言う必要のない言葉。では何故言ってしまったのか?そして、一体何も守るのか?
ここ最近はそんなことをずっと考えている。
「はぁー。」
深くため息をつき、気分転換にバイクに乗り、ブラブラとする。冬の冷たい風が身に染み、周りの景色が流れるように過ぎ去っていく。クリスマス間近の街は色鮮やかになり、さらに浮かれた人々によって活気に満ちていた。
そんな中、海未はふとカメレオンの言っていたことを思い出す。
『俺は幸せそうにしてる奴を見るとな、すごく殺したくなるんだ。わかるか?弱いくせにいけしゃあしゃあと調子に乗っててムカつくのだ。』
正直言って、海未にはわからないものだった。むしろ弱い者を殺して何になるのか?弱い者を殺すことは、、海未にとっては道端に生える雑草を引っこ抜くようなもの。簡単に言えば幼稚でくだらないことなのだ。
そんなふうに時間をつぶしていると、辺りは茜色に染まっていた。これからどうするかと海未は頭を抱える。ここ最近はアジトには戻らず、野宿しており、その野宿する場も探さないといけない。
さらに憂鬱な問題が増え、またもため息を吐くと、とある公園の前を通りかかった。
「ここは?」
来たこともないその場所に懐かしさを覚え、何かに引き込まれるように公園の中に誘われる。
「この木……」
中央にはずっしりと構えた大きな木が立っていた。
「何故でしょうか。見たことがないはずないのに……懐かしいです。」
見たこともないはずのただの木。だが、見れば見るほど、心の中から湧き出る不思議な感覚に囚われる。言葉にするなら、大切で懐かしい。そんな感覚であった。
「海未……ちゃん?」
感傷に浸っていると何者からか声をかけられる。後ろを振り返ると、そこにはオレンジ色の髪のポニーテールの高坂穂乃果。隣には白髪の南ことりが海未をじっと見つめていた。
「海未ちゃん!今まで何処に行ってたの⁉︎」
「みんな、心配してたんだよ!」
安堵と嬉しさが混じった表情で2人は海未に詰め寄る。だが、その表情は一瞬で崩れ去ることになる。
「あ、あの……あなた達は誰なのですか?」
「も、もう海未ちゃん〜。いくらなんでもそんな冗談は……」
しかし、海未の記憶と心にはこの2人はいない。今の海未にとっては初めて出会った人。そのためいきなり名前を呼ばれて戸惑ってしまう。
「ですから私はあなたたちのことなんて知りません!」
「そんな……本当に海未ちゃん……ことりたちのこと……」
「う、海未ちゃん⁉︎なんで!なんで忘れちゃったの!」
海未の表情を見て2人は確信する。本当に私たちのことをを忘れているのだと。そして、忘れられてことにショックを受け、酷く動揺する。そんな姿を見て、海未は何故か胸を痛める。
「こんなところにいたのかホッパー2。」
「カ、カメレオン!」
すると、後ろからほっそりとした中年男性が3人のもとに歩み寄って来る。彼はマスクを外しているカメレオン。どうしてここがわかったのかと、海未は困惑する。
「戻ってこないから心配したぞ。だから、わざわざ迎えに来てやった。感謝しろ。」
「私は戻りません。そんな気分ではないので。」
「家出少女ってことか。年頃の女はめんどくさい。まぁ、そう言うならやりたいようにやらせよう。なんだって期待のルーキーだからな。」
横暴。しかし、穂乃果とことりは別だ。
「だが、一度はアジトに戻ってもらうぞ。そこの女を2人を連れてきてもらうためにな。」
「なっ⁉︎」
海未は2人を一瞥する。2人とも不安な表情でこちらを見つめている。それを見て、海未の鼓動が早くなる。
「海未ちゃん……どういうこと⁉︎」
「ことりたちを連れていくってって……何処に⁉︎」
胸が一層と締め付けられる。これは私の仕事。何故、こんなにも気がひけるのか。確かに海未にとっては弱者を拉致するよりも戦うほうが余程マシであった。
「ホッパー2!どうした!早くせんか!」
しかし、今は明確な思いが海未の責任感を妨げる。この2人を危険な目に遭わせたくない。傷付けたくない。初対面の相手なのに抱く、不思議な思い。
「ええぃ!もういい!貴様ら、あの2人をひっ捕らえろ!」
「イーッ!」
戦闘員たちがカメレオンの掛け声とともに穂乃果とことりを拘束しようと迫り来る。それに2人は恐怖で反応できず、足がすくんでしまう。
「ひっ!」
「こ、来ないで!」
四方八方に戦闘員たちに囲まれ、2人は顔が引きつる。
「「助けて……海未ちゃん!」」
海未の心の中でこの言葉が反響する。この言葉……そういえば、昔にこんな言葉を聞いたことがあるような。海未の心を覆っていた霧が晴れるかのような解放感。
「セイ!」
次の瞬間、海未は戦闘員に拳を振るい穂乃果とことりを守った。
「ホッパー2!貴様!裏切る気か!」
「裏切る……いいえ、私はあなたたちに忠誠を誓ったつもりなどありません。ただ私は自分の為すことをしていたまでです!」
海未はタイフーンを回し、ホッパー2へと変身する。
「う、海未ちゃん……⁉︎」
「思い出しました。私は……あなたたちを守ると約束してましたね。」
悲しみと正体を隠す仮面を被り、変身が完了する。
「そうか、貴様の覚悟は理解した。……それなら、望みどうり死なせてやろう!」
怒りを露わに、カメレオンは仮面を被り、怪人へと変身する。
「殺ってしまえ!」
「イーッ!」
命令とともに戦闘員たちが海未に襲いかかっていく。数は17体。しかし、海未にとってはそれほど大層なことではない。足下にいるただ蟻を踏み潰していくように、戦闘員たちを軽くあしらっていく。
「はあっ!」
海未の攻撃を受け、戦闘員たちは次々と泡となっていく。
「こりゃあ、予想以上だ……」
目の前の惨劇にカメレオンは身震いを覚える。そして、分が悪いと考え、能力によって透明化してその場から撤退した。
「待ちなさい‼︎」
「じゃぁな、ホッパー2!次会うときこそは貴様の最後の時だ。」
そう言い残し、公園には海未と穂乃果とことりがポツンと取り残される。
3人の間に気まずい空気が流れ出る。それもそのはず、今までずっと一緒にいた幼馴染が行方不明になり、再会したと思えば、目の前で別の者へも変身する。穂乃果とことりにとってはわけのわからないことであった。
「ね、ねぇ、海未ちゃん……どういうことなの⁉︎」
穂乃果が後ろから海未に触れようとしたその時、海未は怒号のように声を荒げた。
「触れないでください!」
穂乃果はビクッと驚き、1歩だけ、海未から距離を取る。そして、この言葉にことりは涙を流す。完全に拒絶されたという喪失感から流れたものだった。
「あなたたちにはこんな汚らわしい体を触れて欲しくない……」
哀しそうな後ろ姿を佇ませ、2人に告げる。そして海未はバイクに乗り、2人とこの公園を後にする。
「待ってよ海未ちゃん!」
「せめて話だけでも聞かせて!」
2人の呼び止める声を引き離すように海未は颯爽と去っていった。
♢♢♢
次の日の朝、クリスマスの日。そして、終業式の日の登校中、穂乃果とことりは何とも言えない喪失感に襲われ、いつもどうりの元気はなかった。
昨日、海未との再会し、喜んだのも束の間。突然、化物に襲われ、それに対抗するため海未も化物へと変身して戦った。終了後にどうしてこうなったかと問いただそうしたが、強く拒絶され、結局何も知ることも出来ず、ただショックを受けただけだった。
そして昨晩、2人は海未について話し合った。海未が化物でも拒絶されても海未であることであることは変わらない。親友としてどんなことがあっても信じようと結論を出した。しかし、2人の心は何処か浮わついている。あの姿を見たせいで、海未を海未とは思えずにいたのだ。
そのこともあって2人の心は沈んでいたのだった。
「あなたたち。」
「あ、あなたは……」
門の前に佇む、金髪のスレンダーな女性が2人に話しかけてきた。学院で名前を知らない人はいないくらい有名な人が何故、私たちを訪ねたのかと気になりながらも、穂乃果はその美しい容姿に見とれる。
「生徒会長の絢瀬絵里よ。昨日、園田さんに会ったらしいわね。」
「な、何でそのことを⁉︎」
「そんなこと、今はどうでもいいわ。とにかく私はあなたたちから園田さんについての話が聞きたいの。今から生徒会室に来てくれるかしら?」
何故、この人が海未についての話が聞きたいのか気になったが、穂乃果とことりは言われるがまま、生徒会室へと案内される。
「ここでなら誰にも聞かれる心配はないわね。」
案内した後、絵里は部屋の鍵を閉め、完全な密室にする。鍵が閉まる音を聞いた2人はどこか不安な気持ちに苛まれる。
「早速、話しましょう。昨日、どうやって園田さんと出会ったのかしら。」
「それは……」
穂乃果が昨日の出来事について話そうとしたが、すぐに口を紡ぐ。昨日の一連の出来事を話だところで信じられるのか?目の前に怪人が現れ、その脅威から再会した海未が同様に怪人となり、自分達を守った話など誰が信じるものか。だからといって信じることになったとしてもそれはそれだ。海未が怪人扱いされて、どれほどの苦痛になるか。
「だんまりなのね。」
腕を組み、高圧的な態度の絵里に2人は身動くことも出来ず、息を呑む。
「もしかして、何か言えないことでもあるのかしら?」
「例えば……怪人に襲われたり、その怪人と園田さん戦ったり……なんてね。」
2人の背筋が凍りつく。まるで昨日のことを見ていたかのように言う絵里。さらにいたずらな表情、でも目は変わらず冷ややかなその姿。そして、ある一つの疑惑が湧き、恐怖を覚える。
この人も怪人と同じなのではないか。
「どうやら、的を得ていたようね。大丈夫よ。私はショッカーの一員ではないわ。そうは言っても園田さんと同じ改造人間なんだけどね。」
「えっ⁉︎」
「か、会長さんが⁉︎」
昨日、襲ってきたショッカーの仲間ではないと言われて安堵するも束の間。唐突なことを告げられ、2人は驚きを隠せない。まさか、こんな身近に改造人間がいるなんてと生唾を飲み込む。
「そう。と言っても信じられないかもしれないわね。なら、証拠を見せてあげる。」
そう言って、絵里は棚から1つのマグカップを取り出す。そして、いきなりそのマグカップを握りしめ、砕いた。地面に破片が落ち、部屋に乾いた音が反響する。
「言っておくけど、これでもかなり加減しているほうよ。」
不意に昨日の出来事が頭をよぎり、体が固まる。
「も、もし、本気で握ったら……」
「まぁ……言葉どうり、粉々になるわね。」
穂乃果の顔が青ざめていく。穂乃果が考えていた以上に改造人間は凄まじい存在だと痛感する。そして、同様の存在である海未にも恐怖を覚える。
「それは園田さんも例外じゃないのよ。彼女もあなたたちの手を少しでも強く握ってしまったら、このマグカップみたいになってしまうのよ。」
「う、海未ちゃんはそんなことしない!海未ちゃんは私たちを守ってくれた!だから……」
「だから?昨日助けてくれたからってこれからも助け続けるなんて保証は出来るの?それに、私は園田さんに殺されかけたの。私にとって彼女は敵なの。」
「な、何で!じゃあ、海未ちゃんはことり達を守ってくれたのは……何だったの……」
「演技かもしれないわよ。所詮、改造人間なんてそんなものよ。」
欠片となったマグカップを眺めながら、絵里は淡々と話を続ける。そして、2人に踏み込んだ質問を投げかける。
「手を取り合うことも、抱きしめあえることの出来ない彼女を……それでもあなたたちは親友を言えるのかしら?」
♢♢♢
ほぼ同時刻
とあるアパートの一室で、ベッドに横たわる海未がいた。
「おはよう、海未ちゃん。」
海未の寝顔を見るために顔を覗き込む希を見て、海未は少々不機嫌になる。
「…………おはようございます。」
「えらい不機嫌やな〜。もしかして、朝は苦手なん?」
「………そうですね。朝は苦手ですね。だから話かけないでください。」
「苦手な割にはようしゃべるなぁ。まぁいいや。」
空返事をして、希は一人リビングへと戻る。海未ははっきりとした意識で中で昨晩のことを思い出す。
戦闘が終わり、穂乃果とことりから逃げるように去った海未。その最中、数日間、まともに寝ても食べておらず、疲労が溜まっていた海未はバイクに乗ったまま、道路に倒れてしまった。指一本動かすことも出来ず、一抹の不安を抱いた。すると、ちょうどそこに希が現れ、海未を希の自宅へと運んだ。そして、ベッドへと寝かされ、久しぶりの柔らかさが心地よく、そこからの記憶はない。
「何であの人は私を助けたのでしょうか。」
希の行動に疑問に抱いたが、後で聞けばいいと思い、起きようと布団をめくる。すると、自分が一糸纏わぬ姿であることに気づいた。
「ウワァァァァァァ‼︎」
「ど、どうしたん⁉︎海未ちゃん⁉︎」
海未の大声を出しを聞き、台所から希が飛んでくる。
「どうして私は裸なのですか⁉︎」
「どうしてって……海未ちゃんの服汚すぎやったから洗濯するために脱がしたんやけど。」
「なら、せめて代わりの服でも用意してくれてもいいじゃないですか!」
「いや〜……それはそれで酷な話かなって思って……」
「もういいです、とにかく服を貸してください!」
「わかったから。……最後に海未ちゃんに言いたことがあるんやけど。」
「はい?」
「綺麗な体やったよ。」
希はそう言葉を残し、着替えを取りに行った。一人取り残された海未はふと窓を見る。そこには裸で顔を真っ赤にした海未が映るはずだった。
しかし、窓には余計な傷が映っていた。
♢♢♢
「そういえば、あなたに聞きたいことがあるのですが。」
「希でええよ。」
「それでは希、何故私を助けたのですか?」
希の作った簡素な朝ごはんを終え、借りた服の胸元の緩さに絶望しながらも、海未は抱いていた疑問を希に投げかける。一体どんな思惑で助けたのだろうといろんな考えが思い浮かんだが、答えはとてもシンプルなものだった。
「う〜ん、道端に倒れていたから?」
「それだけですか⁉︎」
「そうやけど。」
呆気なく答える希をよそに海未は何故、あれほど複雑に考えていたのかと拍子抜けする。
「だ、だって私はホッパーを倒そうとしたのですよ!いわばあなたの敵でもある。寝首を狩られる可能性だってあったのですよ!」
「でも、海未ちゃんはやらなかったね。」
「そ、それは……」
「まぁ、海未ちゃんはそんな卑怯なことは好まないと思ってたしね。」
得意げ表情で答える希。だからこそ、海未はそんな希にさらに疑問を抱いてしまう。
「どうして……どうしてあなたはそんなに私を信じるのですか!」
拳を握り締め、真剣な表情で希を睨みつける。そんな表情を見て、希もつられて真面目な顔になる。
「悩んでるからやな。」
「私が……悩んでる⁉︎」
「そう、海未ちゃんは悩んでる。自分が普通の人間じゃなく改造人間であることを。」
的を得たその言葉に海未は心を見透かさせれてる感じがして、不快になるが、同時に驚きも隠せずにいた。
「な、何でそのことを!それにどう私を信じる理由とどう結びつくのですか⁉︎」
「エリチと似てるからかな?」
「はい?」
「エリチも同じようなことで悩んでるからね。なんとなく、その姿が似ていたからね。」
お茶をすすりながら達観したように言う希を海未は凝視する。
「それに、本当の改造人間は改造人間であることに悩まない。後、人間を守るなんて絶対にしない。」
湯飲みを置き、先ほどと変わらない表情で海未に語りかける。
「でも、悩んでも海未ちゃんは元の海未ちゃんには戻れない。だから気休めにこう名乗って欲しいの。ホッパーなんて名前じゃなくて。」
その真面目で凛々しい希の目を、海未は吸い込まれるかのように見つめる。
「普通の人間でないことに苦悩しながらも、人間の平和と自由のために戦う戦士の名前。」
一つ、深く深呼吸して、その名誉ある名前を海未へと授ける。
「仮面ライダーって。」
「私が……」
その言葉の重みを噛み締め、海未は考える。自分の為すべきこと、存在意義。園田海未として、仮面ライダーとして自分はどうするべきか。
「仮面……ライダー……」
だが、答えは簡単に見つかった。やるへきことはただ一つ。
「海未ちゃん?どこに行くん?」
「えぇ、ちょっとやるべきことを思い出しましたので。希、相談に乗っていただきありがとうございました。」
海未は感謝の言葉を述べ、希の家を後にした。去り際に海未を見た時、目には迷いがなく、決意に満ちた目していたのを希は確認した。
♢♢♢
終業式のおかげで学校が午前中に終わり、穂乃果とことりは幼稚園のクリスマスイベントの手伝いをしていた。クリスマスで喜び、浮かれている園児を他所に打って変わって、2人は朝同様、否、より一層沈んだ気持ちになっていた。
「あれ?2人とも元気ないね?だいじょうぶ?」
「え、はい。ことりたちはだいじょうぶです。」
「そう?疲れた休んでもいいからね。」
1人の若い女性の先生に気をかけられ、心境を悟られぬように2人は平然を装う。そして、先生がいなくなったのを確認し、穂乃果が呟く。
「ねえ、私たちどうすればいいのかな?」
「海未ちゃんは親友なのに……あんな姿になったからって穂乃果たちは……最低だよ。」
「穂乃果ちゃん……」
穂乃果は悔しそうにうつむきながら、自分を蔑むかのように呟く。結局、絵里から言われたあの言葉を言い返すことが出来なかった。それは海未を信じていないという証拠であった。だからこそ、悔しく、そんな自分が許せないのだ。
「ことりは海未ちゃんを信じたい。信じたい……けど……」
ことりも同様だ。海未を信じたいのは山々だが、心の隅で恐れている。
「何⁉︎」
突然の発砲音に驚き、2人は外へと飛び出る。すると、そこには中年男性が園長に拳銃を向けていた。その拳銃の銃口からはしろい煙が立ち込め、園長はパタリと倒れてしまった。
「ほう、こんなに子供がいるとは。格好のカモだ。」
「あ……あっ!」
2人はその中年男性は見覚えがあった。そして、その男性の本当の姿が頭にちらつき、恐怖を覚える。
「貴様らは……あぁ、ホッパーの連れか。」
カメレオンが2人に気づき、ニタリと笑う。
「あ、あなたは何をしに来たの!」
穂乃果がどもりながらも、カメレオンにいがみ合おうとする。
「別に貴様らには何しようが関係ないはずなのだが……まぁ、いい。冥土の土産に教えてやろう。簡単に言えば、子供を改造人間のサンプルにするのだ。」
「最……低‼︎」
カメレオンの計画に穂乃果とことりは吐き気すらも覚える怒りが込み上げる。だが、その怒りすらもカメレオンにとっては無に等しいものだった。
「はっ!何度でも言え!力のない貴様らに何が出来ると言うのだ!」
後ろから黒ずくめの戦闘員達が現れ、ククリ刀を構える。
「さぁ、自分の非力さを呪いながら死ねっ!」
そして戦闘員達は穂乃果とことり、園庭の隅に襲いかかる。
「止めて!」
園児を守ろうと、穂乃果が戦闘員達の動きを止めようと羽交締めにする。しかし、力の差は歴然。直様、拘束は解かれ、地面に叩きつけられる。
そして、戦闘員のククリ刀の刃先が穂乃果に向けられる。
「穂乃果ちゃん!」
この時、穂乃果は死を覚悟した。このまま何も出来ずに死ぬのかと。カメレオンの言ったとうりになってしまうのか。別にそれは良かった。ただ、穂乃果が思ったのは一つ。子ども達だけは助けたかった。
そして、身勝手に助けを求めた。どんなに最低でも、自分勝手でもいい。この状況はくつがえせるのは……ただ1人。
「助けて……」
「海未ちゃん!」
そして、ヒーローは現れる。
「ハァァァァァ!」
その願いが届き、仮面ライダーとなった、園田海未が満を持して、2人の元に現れた。
「助けに来てくれたんだね!」
「約束したではありませんか。あなたたちを絶対にお守りすると。」
「ホッパーァァァ!来たか!」
カメレオンは指を鳴らし、上機嫌な雄叫びを上げる。そんなカメレオンに海未はマスク越しに睨みつける。
「はは!ピンチに現れるとは痺れるねぇ。だがなぁ!貴様一人でこの人数の人間を守りきれるか⁉︎」
50人程いる戦闘員の前に海未は唾を飲み込む。そして、後ろを一瞥する。穂乃果とことりを含めておよそ60人。正直、全員守りきれるか不安を抱いた。
「守りますよ。……守らなくてはいけないのですから‼︎」
海未は勢いよく駆け出し、戦闘員たちの集団へと突っ込む。そして鬼神の如く、戦闘員たちを叩きのめし、あっという間に倒してしまう。
「ふぅん。流石だなホッパー。だがこれをどうやって対応するかな?」
海未は咄嗟にカメレオンの声が聞こえたほうを向く。しかし、そこにはカメレオンはいなかった。いや、本当はいる。しかし、カメレオンの特性で周りの景色と一体化して見えないのである。
「グッ!」
見えない拳で腹を殴られ、うずくまる海未。その隙にカメレオンは見えないことをいいことに一方的に海未を攻める。
「ぐわっ!」
さらに海未は殴られ続け、最後に強力な拳を決められ、数メートル程飛ばされる。そして、その衝撃でマスクが割れ、今まで隠されていた顔が露わになる。
「ほほう。貴様、いい面構えではないか。」
「海未ちゃん……その顔……。」
穂乃果の声に反応し、海未はガラスに映った自分の顔を見て気づく。そこには目の下に涙が流れた後のような傷が浮かび上がっていた。
「……改造手術の傷跡ですか。」
この傷は海未にとって、普通の人間ではないことの象徴であった。気持ちが高ぶる度に浮かび上がる、忌々しい傷。洗脳前の海未にとっては何でもないことであったが、洗脳の解けた今となってはただの重い枷でしかなかった。
「ははっ!結局てめぇは人間じゃねぇんだよ。俺たちと同じように恐れられる化け物だ!後ろのガキどもを見てみろよ。その面を見て泣いてる奴だっているぜ。」
海未は後ろを一瞥する。確かにタートルの言っているように、泣いてる子供、恐れている子供がいる。
「所詮、てめぇが守りたいとか思ってようが関係ねぇ!周りはなぁ、化け物のてめぇを受け入れることは絶対にねぇんだよ!」
海未の全てを否定し、嘲笑うカメレオンの狂言。しかし、海未の心には少しも届かない。仮面ライダーとして生まれ変わった海未の心はそうやすやすと折れるものではない。
「確かに私は化け物です。それでも私はみんなを守りたい!どんなに恐れられても、拒絶されても、独りになっても!私は戦います‼︎この世界で誰かが助けを求める限り!」
決意に満ちた叫びが、穂乃果とことり、園児の心に響き渡る。そして、誰もが海未の曇りのない真っ直ぐな瞳を見て確信する。
園田海未は私たちの味方だということを。
「えぇい!なら貴様の戦いを今!この手で終わらせてやる‼︎」
血が滲み出るのかと思うくらい強く拳を握りしめながら、カメレオンは海未に迫っていく。海未もそれに反応して、構えを取ろうとしたその時、2人の間に1つのバイクが割って入る。
「いいえ、終わらせないわ。折角できた仲間だもの。そう簡単に死なせたりしないわ。」
「ホッパー……」
金色の髪をなびかせる絵里が颯爽と登場する。
「その呼び方は止めて頂戴。私の名前は絢瀬絵里よ。」
「えっと……それではえ、絵里と呼ばせてもらいます。」
「ふふ、よく言えました。」
絵里はいたずらに笑みを浮かべ、海未を安心される。さらにあの絵里が味方ということもあってより一層、安心する。
「このぉ!ホッパー共‼︎」
「行くわよ!海未!」
絵里はバイクに乗ったまま、タイフーンを回し、仮面ライダー1号へと変身。
「わかりました!絵里!」
海未は右目が欠けたマスクを拾い、再び装着する。
「ウォォォォォ‼︎」
雄叫びとともにカメレオンは景色と一体化して、仮面ライダーの視界から消える。すると、絵里はバイクを駆り、カメレオンがいた場所へと走らせる。そして前輪を軸に、その場で回転し始める。
「流石……絵里ですね。」
地面とタイヤが擦れることで、絵里の周りに砂けむりが舞う。その砂けむりの中に、違和感のある人型の影が動いているのを海未を発見する。
「そこですね!」
助走をつけ、海未はその違和感に向けて拳をくらわせる。
「何⁉︎」
影の正体はカメレオン。景色の同化に自信を持ち、攻撃されることはないと確信していたたためだけにあり、一撃をくらっただけでひどく動揺する。
「あなたはただ周りと同化しているだけ。消えたわけじゃない。その場にいるのだから動けば何かしらの跡は残る。私はただ、その跡を見やすくしただけよ。」
「き、貴様ら!」
「あなたの相手はこの私です!」
海未は後ろから回し蹴りを与えようとするが紙一重で避けられる。先程から自分の思い通りならず、イラついていたカメレオンはついに怒りに狂い、がむしゃらに海未に拳を振るう。海未はそれを防御し、カウンターを決める。しかし、カメレオンもパンチを決め、拳同士がぶつかり合う。
「俺らの拳は!何かを奪い、壊すものだろう!そんな拳で何を守れると言う!」
「……確かにこの拳は人を傷つける武器です。ですが、使い方しだいでは人々を襲うあなたたちという驚異を打ち砕く拳にもなる!」
カメレオンの左腕ににヒビが入り、血が吹き出る。
「何!」
「私は悪を打ち砕くために!大切なものを守るため!私はこの拳を振るい続ける!」
海未の正義の鉄拳がカメレオンの醜悪の腕を吹き飛ばす。カメレオンはない左腕を押さえながら、断末魔の叫びをあげる。
「あああああ!貴様ァァァ!殺しやるゥゥゥゥ!」
まだしぶとく立ち上がる姿を見て、海未と絵里は止めを刺そうとマスク越しに目で合図を送る。そして絵里はカメレオンの背後に回り込み、掴む。
「後は任せるわ。海未!」
そのまま、自身ともに竜巻を発生させるほど回転し、カメレオンを宙へと放りだす。
「クッ!空中では身動きが取りづらい!」
空中で放り出され、とにかくもがくカメレオンはある違和感に気付く。
(俺は今、空中にいる。雲ひとつもない!なのに!何故!)
「何が光を遮っているのだ‼︎」
カメレオンは光の源、太陽へと視線を向ける。そこにはとある人影。
「ホ……ッパー‼︎」
マフラーをたなびくせ、宙へとまった海未がそこにいた。
「ま、まさか!あの竜巻の勢いで!」
そして、海未は空中で一回転する。
「ハァァァァァ‼︎」
カメレオンに向けて、右足を出し、必殺技「ライダーキック」をくらわせる。
「グォォォォォォォォ‼︎」
そのまま、カメレオンはキックを受けたまま、流星のように空中から一気に地上へと落ち、地面に着いた瞬間、大きな爆発が起きる。
「「海未ちゃん‼︎」」
2人は危険を顧みず、爆発地点へと向かう。大量の砂埃と爆風に苦しみながらも何とか着地地点へとたどり着いた。
「あ……」
そこにあったのは小さなクレーター。そしてその中心には。
「よ、よかった……」
仮面ライダーでもなく、ホッパーでもない、園田海未そのものがいた。
2人は海未のもとに駆け寄るやいな、力強く抱きついた。
「よかった海未ちゃん!」
「ことり達、心配したんだよ!」
海未の胸で子供ように泣く2人に対し、海未は憂いの表情でただ優しく頭を撫でる。
「心配かけてすみません。」
「ですが、私はもうあなた達の知っている園田海未でありません。それに手をつなぐことも抱擁することも出来ません。それでもあなた達は私と一緒にいてくれますか?」
海未が2人の耳元で優しく、問いかける。その問いに2人は直様、はっきりと答える
「当たり前だよ!」
「そうだね。海未ちゃんは海未ちゃんだもんね。」
「2人とも……ありがとうございます。」
海未は大粒の涙を流し、2人の感謝の言葉を何回も繰り返す。そして、2人は海未が抱きつけない分、力強く海未を抱きしめる。
「まったく、これでは、私が入る隙間がないわね。」
3人の甘いやり取りに絵里は微笑む。それに気付いた海未はそのまま、絵里と希にも礼を言う。
「絵里、……。ありがとうございました。、あなた達ががいなければどうなっていたことか。」
「別にいいわよ。礼を言うなら希に言ってあげて。それに私達は仮面ライダーなんだから。ライダーは助け合いでしょ?」
「そうですね。」
そして、絵里は手を指し出す。同じ志を持つ仲間として、これから共に戦い続ける覚悟を共に背負う印として、握手を求めた。
「これからもよろしくね。海未。」
「こちらこそよろしくお願いします。絵里。」
2人は硬い握手を交わす。そして、彼女達の絆は途切れることのないものとなった。