インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~ 作:ガーネイル
とちあえず今回で鈴編は終わりです。
それではごゆっくりと
クラス代表戦当日。
エミルはセシリアと共に観客席にいた。すでに鈴はフィールドで待機している。一夏の出番の為今頃ハッチで準備していることだろう。
しばらくしたら一夏がハッチから出てきた。そして試合開始のブザーが響き渡る。すると、一夏が先手必勝とばかりに攻撃を仕掛ける。当てることを重視した攻撃は徐々に相手を追い詰めていく。
「よし、練習の成果が出てる。けど……」
「でも決定打には欠けますわ」
「あれは最終手段だからね」
そんな会話をしていると、鍔競り合いをしていた一夏が突然吹き飛ばされる。
「あれは一体……」
「中国の専用機、甲龍の肩にある非固定浮遊部位は空間圧作用兵器・衝撃砲で名前は『龍砲』。砲身斜角の制限なしで砲身と砲弾が見えないのが特徴です」
「見えない砲弾……」
エミルは自分だったらそれに対処できるかどうかを考えていた。かつて旅をしていた時にはそんな敵を相手にしたことはない。もっとも実際に対峙する場合と見てるだけの場合は全然違うから本当のところは分からない。
龍砲に順応してきた一夏は回避に徹する。鬼ごっこのような状況が続いていた。
一夏と鈴は上空で、口喧嘩のようなものをしている。
「あぁもう! いい加減当たりなさいよ!」
「負けると分かっていて当たるやつがいるかよ!」
「一夏のくせに生意気よ!」
「なんだと!?」
若干痴話げんかのように感じなくもない。試合中だというのに緊張感に欠ける会話である。それでも試合は続いていく。一夏が瞬時加速で勝負を仕掛けようとした時、何者かがシールドを突き破って乱入してきた。
「一体なんですの!?」
セシリアが驚愕している。他の生徒も何が起きたと騒ぎ出す。それを余所に、生徒やお偉方を守るために観客席に付属しているフィルターが下りてくる。すると、千冬がアナウンスを入れる。
『試合は中止だ! 凰! 織斑! 直ちに戻ってこい! 一般生徒も直ちに避難しろ。これは訓練ではない。繰り返す。これは訓練ではない!』
ようやく事態を把握した一般生徒は悲鳴を上げ、大騒ぎとなる。こうなってしまうと落ち着かせるのは至難の業である。だが、エミルはこれが初めてのことではないため落ち着いて対処する。
「皆さん、一度落ち着いてください!」
エミルが大声を上げる。それが幸い全体に届き、静かになる。
「出口に近い人から順にここから避難してください。慌てず、落ち着いて避難してください!」
一般生徒はエミルの指示に従い、順に出ていく。全てが上手くいくと思った。が、その時シャッターの上に『何か』が着地し、破壊して中に侵入してくる。だが、唯一エミルは侵入してきた『何か』の正体が分かった。何故なら、それは本来エミルの世界にいるはずでこの世界にはいるはずのない魔物なのだから。そして魔物が二体いる。片方が所々若緑色をしている羽と尾羽が特徴の大型の鳥。名は『シムルグ』。もう一体は青と水色の毛皮で包まれながら、氷のような冷たさを醸し出している狼。名は『フェンリル』。どちらも今にも生徒に襲い掛かろうとしている。そしてそれを倒さずに大人しくさせることが出来るのはエミルだけ。
「あ、あれは一体何なんですの……」
エミル以外は見たこともない生物に対する恐怖が勝り竦み上がっている。
「セシリア。皆をお願い」
「エミルさん!?」
セシリアは行かないでほしいと言わんばかりにエミルの制服の袖を掴む。
「お願いですので一緒にいてください……」
声を震わせながらエミルの懇願するセシリア。エミルはセシリアの頭に手を置き笑顔で言う。
「僕なら大丈夫だから……ここで待ってて。必ず帰ってくるから」
「はい。約束ですわ。必ず帰ってきてください。待っていますわ」
セシリアの手がエミルの制服の袖から離れる。そしてエミルは数歩前に歩み出る。そしてラタトスクの騎士へと変身する。IS学園の生徒からするとISに似ている服装だと感じるのだろうが、事実としては逆だ。ISが今の服装に似ているのである。
エミルが腰からネザートレイターを引き抜き、シムルグとフェンリルの元に駆け寄り、先手必勝と言わんばかりに技を入れる。
「鳳翼旋! 虎咬裂斬刺!」
ジャンプしながら前方へ移動してシムルグを二回斬り付ける。着地と同時にさらに突進してフェンリルに攻撃を加えた後に蹴り上げる。そして二体に対して衝撃波を放つ。
この攻撃により、二体の標的がエミルへと変わる。エミルは二体が侵入してきた穴から外へ出る。フェンリルとシムルグもエミルを追いかけるようにして外へ出る。
一早く外へ出たエミルは外の状況を確認すると一夏と鈴は正体不明のISに対峙していた。加勢したかったが、二体が穴から出てくる。
「これで終わりだよ。空牙衝! 天衝裂空撃!」
ジャンプして二体に向かって再び衝撃波を放つ。着地後、切り上げた後にジャンプしながら高速で回転しながら前方へ移動しながら切っていく。着地後に剣をしまい、シムルグとフェンリルの方へ手を向ける。すると、エミルの足元に魔法陣が展開される。二体の足元にも同じような魔法陣が生成される。そしてシムルグとフェンリルがその場から消える。どうやら契約に成功して大人しくなったようだ。
エミルはISを装備して一夏と鈴の元へ向かう。向かっていると一夏が鈴の目の前に立ち、鈴が後ろから衝撃砲を放つところが視界に入る。すると、一夏の機体が光る。それは白式の単一能力『零落白夜』が発動したことを意味していた。一夏の攻撃がISの右腕を切る。が、相手もただじゃやられず左腕の拳でカウンターを入れる。この一撃でISは動かなくなる。エミルは開放回線で一夏に声をかける。
『一夏、正面から反撃喰らってたけど大丈夫?』
『おう、エミルか。まぁ、何とかな』
『なら、よかったよ。鈴さんもお疲れさま』
『ありがとう。エミルも変なやつ倒してくれてありがとね』
『僕は出来ることをしただけだよ(伝説級の魔物が変なやつ扱いされてる……)』
開放回線を切る。その時に倒れたはずのISの左腕が動いたのをエミルは確認したため、更にスピードを上げる。そして、ISの左腕からビームが放たれるタイミングとエミルが一夏の体を押したタイミングは同じだった。
「う……ん……」
エミルが目を覚ましたのは保健室のベッドの上だった。エミルが起き上がろうとした時、布団が抑えられている感覚を覚える。上半身を起こすとベッドに伏せるようにしてセシリアが寝ていた。エミルは優しい笑顔を浮かべてセシリアを見ていた。
「(そいつ、ずっとお前のことを診てたんだぞ。後でお礼言っとけよ)」
「(ラタトスク……。うん、分かったよ)」
エミルがラタトスクと短いやりとりを終えるとセシリアが目を覚ます。
「ん……。あ……、エミルさん!」
「うわっ!」
起きたセシリアはエミルの腰部分に抱き着く。
「よかった……。エミルさんが無事で本当によかった…………」
「セシリア……。心配かけてごめんね」
エミルがセシリアの頭をなでる。
「エミルさんが無事ならそれで十分ですわ……」
なお、セシリアの声は震えていて今にも泣きそうだった。エミルはセシリアの頭をなで続ける。すると、保健室の扉が開く。この時の二人が離れるのは凄まじく早かった。
入ってきたのは一夏、鈴、箒の三人だった。
「エミル。大丈夫か? 悪いな。俺が油断してたばっかりに……」
「何とかね。気にしないで。僕は何ともないんだから」
「エミル。一夏が迷惑かけたな」
「箒さんも気にしないで。あれは僕が悪いわけだし……」
「本当よ!」
今まで黙っていた鈴が口を開いた。
「もし、あれであんたに何かあったらどうするつもりだったの!?」
「り、鈴……さん?」
エミルは戸惑いの声を上げる。
「あんたに何かあった場合、傷ついたり、心配したりする人がいるの! それを忘れないで」
「そうだね、これからは気を付けるよ」
「それじゃ、私は部屋に戻るわ」
踵を返し、部屋から出ていく鈴。
「長居してエミルに負担をかけるわけにもいかない。失礼したな、エミル。一夏。私たちも部屋に戻るぞ」
「あぁ、そうだな。それじゃ、エミル。またな」
「うん。またね」
そう言って二人が出ていく。そしてその場にはセシリアだけが残され、二人きりとなる。
「エミルさん、わたくしも部屋に戻るとしますわ。鈴さんが言っていた心配する人に先生方だけでなく、わたくしもいますのでその事は忘れないでください。それでは、また」
そして部屋にはエミル一人が残った。ラタトスクがエミルに話しかける。
「(さっきの鈴とかいう娘が言った言葉。マルタが言ったことにそっくりだな。おまけに勝気なところまでそっくりだもんな)」
「(そうだね。確かに鈴さんってマルタにそっくりかもね)」
「(とにかく、鈴の言う通りだ。何かがあってからじゃ遅いんだからな。気をつけろよ)」
「(うん)」
「(分かってるならいい)」
会話が終わる。そして再びエミルは眠りに着いた。
なんでこうなった……
まぁ、それはそれとして。とりあえず原作において一巻部分がようやく終わりました。
次回から二巻「シャル・ラウラ」編に入ります。
できるだけ早くあげられるよう頑張ります。
そのうちフェンリルとシムルグを召喚するかも……
よかったら感想等お願いします。
もう少し魔物を出そうと思いますが、もしよかったら魔物案ください。一応候補はあるのですが少し忍びないので……。ちなみにシリーズはあまり問いません。※それが採用されるかは運ですが……