インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~   作:ガーネイル

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ようやくアップです。

大変お待てせしました。
それでは十話です。お楽しみください。


10.3人の男子?

「おい、キャスタニエ。デュノアの面倒を見てやれ」

「分かりました」

 すでにラタトスクは引っ込んでいてエミルが出てきていた。

「えっと、キャスタニエ君でいいのかな? 男子は織斑くんだけのはずじゃ?」

「僕は公にされてないだけで一応二人目なんだ」

「そんなことより、とにかく移動しないか? そろそろ女子が着替え始めるし」

 会話している二人に入ってくる一夏。今回ばかりは一夏の正論だった。

「そうだね。それじゃ、行こうか」

 エミルがシャルルの手を取り走り出す。シャルルは何故急に走り出すのか理由が分からず、少し呆気にとられている。一夏は走りながらシャルルに話しかける。

「とりあえず男子は空いてるアリーナ更衣室で着替えるんだ。実習の度、この移動があるから早めに慣れてくれ」

「いきなりでびっくりしたよね。ごめんね」

「う、うん」

 シャルルが若干そわそわしているがエミルと一夏にはそんなことを気にしている余裕がなかった。何故なら――

「転校生を発見!」

「しかも織斑君とエミル君も一緒にいるわ!」

「金髪で瞳はアメジスト色だわ!」

「きゃあ! エミル君と手を繋いでるわ!」

「金髪同士も絵になるわね!」

「日本に生まれてきてよかった……」

「エミ×シャルも追加ね!」

「どちらが攻めか迷うわね……」

「再び春が来たぁぁぁ!」

 階段を下りている最中に後ろから女子の声が響く。最も最後の方は気にしない方が吉だろう。まぁ。それはそれとして――

 そう。HRが終わるということは一限が始まるまでの空き時間に情報を求め、飢えた狼たちが押し寄せてくるからだ。

捕まったら最後、実習に遅れるのは間違いない。更に千冬からの特別カリキュラムが待っている。エミルたちは何としても逃げ切る必要があるのだ。

「見つけたわっ!」

「者ども出会え出会えい!」

 前には虎たちがいた。前門の虎後門の狼。だが、どちらにしてもこのままでは全員が遅刻になってしまう。

「ねぇ、一夏。この状況を一つだけあるんだけど試してみていいかな?」

「ここで全員が遅刻するよりはマシだ」

「分かった。ちょっとごめん、シャルル、一夏」

エミルが腕部分だけISを部分展開がシャルルと一夏を抱きかかえ、階段の窓から飛び降りる。そして、天使の羽も部分展開し、難なく着地した。

「二人とも大丈夫?」

「僕は大丈夫だよ」

「何とかな。でも助かったぜ。これで遅れずに済む」

 再び更衣室まで走り出すエミルたち。無事、着替えるのにも余裕を持った時間にアリーナ更衣室に到着した。一夏が着替えるために服を脱ぎだそうとすると――

「うわぁ!」

 シャルルが悲鳴を上げる。

「どうかしたの?」

「荷物でも忘れたか?」

「いや、だ、大丈夫だよ。大丈夫だけどそっち向いててね?」

「? まぁ、男の着替えを見ようとは思わないからな」

 そう言って再び着替えを始める一夏。なお、エミルはこの場から離れた場所で着替えもとい変身を行っている。あまり人に見せるものではない。

 一夏が着替え終えたところでエミルが戻ってきた。

「そういえば、エミルはいつもどこで着替えてんだ?」

「そんなことより、のんびりしてて大丈夫? ぎりぎりだと余裕を持った意味がなくなるよ」

「やべっ!」

 三人はグランドまで再び走ることになった。

 少し、余裕をも持った時間にグランドに到着する。すると、腕を組んで仁王立ちをしている鬼のような教官が待っていた。

「遅い! とっとと並べ!」

 おかしい。まだ少し時間があるはずだ。まるで英○王のような唯我独尊ぶりだ。もはや自分がルールと言わんばかりである。

 三人が列の一番端に加わる。エミル、シャルル、一夏の順で並ぶ。

「ずいぶん、ゆっくりでしたのね」

 エミルの隣はセシリアだった。

「そうかな? これでも急いで来たんだけどね」

 エミルはセシリアの棘のある言葉に対し苦笑いしながら返す。そこで千冬が口を開く。

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「はい!」

 今回は一組と二組の合同実習ということもあり、普段と違い人数は倍近くいる。何が違うのか分からないが聞こえる返事に入っている力が普段より強い。

「まずは戦闘を実演してもらおう。凰! オルコット!」

「「はい」」

「専用機持ちならすぐに始められるだろう。前に出ろ」

「めんどいなぁ。どうして私が……」

「はぁ。なんかこういうは見世物のようで気が進みませんわね」

 不満を言いながら前に出る二人。すると千冬が二人に近づき耳打ちする。

「お前ら、少しはやる気をだせ。あいつらにいい所を見せられるぞ」

 そう言ってエミルと一夏がいる方を盗み見る。その言葉にはっと二人が反応し、態度を百八十度変える。

「やはりここはイギリス代表候補生。わたくし、セシリア・オルコットの出番ですわね」

「実力の違いを見せるいい機会よね。専用機持ちの」

 さっきまでとは違い、やる気に満ち溢れている。ただ、千冬の言葉に乗せられているだけのような気がしないでもない。

「今、先生なんて言ったの?」

「俺が知るかよ。エミルは?」

「僕も分からない。っていうか、耳打ちしてるのに聞こえてたら意味ないでしょ」

 そんな男三人の会話がしている間も話しは続き、前では一体誰が相手なのかを気にしていた。セシリアVS鈴という構図が出来上がる前に千冬がストップをかける。

「慌てるな、バカども。対戦相手は――」

  キィィィィィィン

「あぁぁぁああああ! ど、どいてください!」

 なんと落下してきたのは真耶だった。エミルと一夏のいるところに一直線で落ちてくる。

「危ない!」

 エミルがいち早くISを展開し、落下してくる真耶を受け止める。

「ありがとうございます、キャスタニエ君」

 着陸して真耶から離れた瞬間、エミルの目の前をレーザー光が通過していく。

「えっ……」

エミルの顔は真っ青である。

「ホホホホホホホホ…………。残念です。外してしまいましたわ」

  そしてもう一方向から何かが組み合わさる音がした。

「エミルーー!」

「何で鈴さんまで!?」

「何となくよ!」

 そう言って双天牙月を振りかぶって投げる。双天牙月がチャクラムよろしく回転しながらエミルへと迫る。

  バァン、バァン

 二回、銃の引き金を引いた音を響く。そしてその弾丸は双天牙月に当たる。弾かれた双天牙月は地面へと突き刺さる。

 そして、その弾丸を放った人物は真耶だった。普段のおっとりしたような雰囲気は皆無で、完全に落ち着き払っている。

「………………」

 千冬以外のこの場にいるほとんどの人が普段とは全然違うその姿に驚き、唖然としたまま固まっている。

「山田先生はああ見えて元代表候補生だからな。今くらいの射撃は造作もない」

「む、昔のことですよ。それに候補生止まりでしたし」

 雰囲気が再びいつものようなおっとりした雰囲気が戻る。

「さて、小娘ども。さっさと始めるぞ」

「あ、あの二対一で?」

「さすがにそれは……」

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

 千冬はわざわざセシリア達を煽るような言い方をした。そしてまんまとそれに乗せられる二人。これで二回目である。

 それはそれとして千冬の口車に乗せられた二人は目に見えて分かるくらい闘志を漲らせている。これが漫画、アニメだったら目の形が炎になっていそうである。

「では、始め!」

 号令と共に飛翔を開始するセシリアと鈴。そして、後ろを追いかけるように続く真耶。

 ある程度の高さまで到着したところで静止し、高度を保つ。

「手加減はしませんわ!」

「さっきのは本気じゃなかったしね」

「い、行きます!」

 先制攻撃をしかけようと先に動いたのはセシリアと鈴の二人。そして真耶はそれに受けて立ち、回避行動をとる。動き一つ一つが洗練されたもので一切の無駄がなく、二人を相手していても余裕がある動きだった。

 その戦いの最中、千冬が口を開く。

「デュノア。山田先生が使っているISの説明をしてみせろ」

「は、はい。山田先生のISはデュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。第二世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期第三世代にも劣らないものです。現在、配備されている量産型ISの中では最後発でありながら、世界第三位のシェアを持ち、装備によって格闘、射撃、防御といった全タイプに切り替えが可能です」

 そして一通り、シャルルの説明が終わったところで戦闘にも決着が着いたようだった。回避行動により、セシリアと鈴は衝突しその隙を真耶が狙い撃ち、墜落したところで決着が着いた。

「うぅう……。まさかこのわたくしが……」

「あ、アンタねぇ。何面白いように回避先読まれてんのよ」

「鈴さんこそ、無駄にバカスカ撃つからいけないのですわ」

 互いが互いを蹴落としあう。なんと滑稽な姿だろう。そしてだいぶ仲が悪い。

「これで諸君にも教員の実力が理解できただろう。以後は敬意をもって接するように。次はグループに分かれて実習を行う。リーダーは専用機持ちが行うこと。では、別れろ」

 女生徒たちは男三人の元に別れた。これでは全く授業が進まなくなってしまう。ここで千冬の怒号が飛ぶ。

「出席番号順に一人ずつ各グループに入れ! 順番はさっき言った通り。次にもたつくようなら今日はISを背負ってグランド百周させるからな!」

 これにより、群がっていた女生徒は各専用機持ちの元へと散らばっていく。

 

 

 グループに別れた後、鈴とセシリアは共に自分の想い人の方を盗み見ていた。

「(はぁ、私もあっちに入りたい)」

「(エリートであることが少し恨めしいですわ)」

 一方、男子勢は女生徒に囲まれ交際を申し込むときよろしく手を差し出され困惑している。

 そして実習が始まって間もない時、一夏のグループから女子たちの悲鳴が上がった。何故なら、前の人が立ったまま装着を解除してしまった為、訓練機が立ったままとなり次の人がコックピットに乗れないのだ。それで、コックピットまで運ぶときに箒をお姫様抱っこしたせいである。

 それを見たエミルの班の女子陣とシャルルの班の女子陣が同じ行動をとり始める。そしてその光景を見たセシリアは睨むようにエミルを見ている。視線で人を殺せるならすでにエミルが、いや、周りの女子陣は殺されているだろう。それくらい鋭い。

なお、女子をお姫様抱っこしている間、エミルは若干目が涙目になっていた。

 

 

 そして昼休み。エミルたちは屋上にいた。

「どういうことだ」

 不機嫌そうに箒が口を開く。

「皆で食べた方がおいしいいだろ? シャルルもまだ学園に不慣れで右も左も分からないだろうし」

「それはそうなんだが……」

 そこで箒と鈴の間に火花が散る。

「えっと……僕たち、一緒にいてよかったのかな?」

 エミル、セシリア、シャルルの三人は少し申し訳なさそうだ。

「いやいや、気にすんなよ。やっぱり飯を食う時は多いほうがいいからな」

「ありがとう、一夏は優しいんだね」

 シャルルが笑顔を浮かべる。その笑顔に一夏は顔を赤くする。が、それを良しと思わない人が二人いる。箒と鈴だ。

「何照れてんのよ、あんた」

 鈴が一夏をジーっとした視線で見つめる。一夏はごまかすように顔を逸らす。

「べ、別に照れてねぇぞ」

 全くもって説得力がない。そんな一夏が言ったことを聞いてるのか鈴は弁当を開けるとそこには酢豚が入っていた。

「お、酢豚だ!」

「そう。今朝作ったのよ。食べたいって言ってたでしょ。あんた」

 エミルは確かあの時に食べた……なんて思いながら自分の弁当を開ける。

「エミル。それって何?」

 シャルルが気になったのかエミルの弁当の中身について質問する。

「これはブリトー。僕が作れる料理の一つかな」

「へぇ。一つ食べてみていいかな?」

「うん。いいよ。中身はチーズとレタスとトマトとソーセージ」

 エミルはブリトーをシャルルに一つ渡す。シャルルはそれを受け取り、一口かぶりつく。

「へぇ、おいしいね!」

 そしてエミルもその笑顔に顔を赤くする。

「なんで顔を赤くしていらっしゃるんですか? エミルさん」

 そう言いながらセシリアはエミルの太ももを抓る。

「い、痛いよ。セシリア」

 セシリアは抓るのをやめ、手元のバスケットを開ける。バスケットの中身はサンドウィッチだった。

「エミルさん、今朝早く目が覚めたので作ってきましたよかったらどうですか?」

「じゃあ、一つもらおうかな」

 エミルはそう言って卵のサンドウィッチを手に取り、口に入れる。すると、見る間にエミルの顔が青くなっていく。

「(これは……旅を始めたばっかの時、マルタが作った料理に近いかな……)」

 かつて世界を旅したとき、マルタが作ってくれた料理時と似ていた。見た目は綺麗なのに味が伴っていないということが。そして味見をしてないんだろうな。ということが分かった。

「セシリア。味見ってした?」

「い、いいえ。してません」

「もしよかったら自分で食べてみて」

「は、はい」

 セシリアは自分で作ったサンドウィッチを口にする。すると、エミル以上に顔が青くなって……気を失った。

「ごめん、一夏。ちょっとセシリアを保健室まで運んでくるよ。シャルルも少し付き添いで来てもらっていい?」

「分かった」

「うん」

 エミルはセシリアを背負って保健室に向かった。シャルルもそれに付き添って歩いていく。

 そして後の結果として、エミルはセシリアに料理を教えることとなった。

 

 

 所変わって自室。

 エミルはシャルルと相部屋になった。

「まさか、シャルルと相部屋だとは思わなかったよ」

 お茶を飲みながら会話している。

「これからよろしくね。それにしてもこのお茶って紅茶とは全然違うんだね。不思議な感じ、でもおいしいよ」

「そうなの? 紅茶って飲んだことないから分かんないんだけど」

「じゃあ、今度僕が入れてあげるよ。……エミルはいつも放課後にISの特訓をしてるの?」

「一夏のね。セシリアにも協力してもらいながらね」

「僕も加わっていいかな? 専用機もあるし、力になれると思うけど」

「じゃあ、お願いしようかな」

 

 この会話が最後で二人は就寝することにした。

 

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