インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~ 作:ガーネイル
EDも本編とは異なっています
その後エミルはもう一度ジェノメトリクスへ入る。レナルルの記憶を直すとき、まだ続きがあることが引っかかっていた。謳う丘に降り立つとこの前妨害してきた女性がイオンを連れて消え去ってしまった。探し回っていると扉があり向こうからイオンの悲鳴が聞こえてきた。エミルはイオンの名前を呼ぶ。イオンもそれに気づいてくれた。扉を破壊しようとした時、例の女性が出てきた。エミルはISを起動し切りかかる。が、それは軽くいなされてしまう。ネイの助けがあってその場を一時撤退する。逃げた先でさっきの女性のこと、そしてそれに指示しているのはレナルルだと言うこと。
エミルとネイは隠れながらレナルルを探す。レナルルは謳う丘にいた。さっきの女性――
ネイはエミルに諦めてと願いする。イオンが言っているイオンの体は私のことだと言うがエミルにはパッとこない。どういうことか尋ねると、ネイは自分が皇帝になる前はイオンが皇帝だったこと知ってるかを確認し、そしてネイは一度イオンに名前と体を奪われてることを告げる。エミルはそれを聞いて思い出した。そして理解したエミルはネイに無理に協力しなくていいということと一人でやることを告げる。ネイは遠慮しなくていいと言い、イオンへと姿を変える。なんだか違和感があったが気にせず、閉じ込められてるイオンの元へ急ぐ。扉が開く。すると、イオンと瓜二つの顔の少女――結城寧がいた。外へ行こうとしたとき、寧が詩魔法を唱えイオンの姿をしたネイを吹き飛ばし、部屋に閉じ込める。そして寧は制裁の刻が始めると言って歩いて行ってしまう。が、エミルはネイを見捨てられず、扉の破壊を試みる。が、間に合わず、機甲艶姫が来てしまう。ダメもとで応戦するが通用しない。エミルはやむを得ず撤退を図る。その時のネイの悲鳴が耳から離れなかった。自己嫌悪しながら寧のもとへ行く。寧はレナルルとともに謳う丘にいた。エミルが到着したとき、寧が機甲艶姫を呼び、レナルルに襲い掛かるところだった。エミルは寧を呼び、やめるよう呼びかける。が、寧は
「何でこの苦しみを分かってくれないの?」
という。でも、それはレナルルがやったわけではない。エミルはそう言うが、寧は聞き入れてくれない。
「エミルに、あなたにはこの苦しみは分からない」
と叫ぶ。
「確かに分からない。でも、今君が思っていることを全部聞いてあげることも受け止めてあげることも出来る」
とエミルは返すが、寧は受け入れない。
「口できれいごとを言ってもそれが本心かも分からない、ここまでにしよう。ねりこさんが言っていた時にやめておけばよかった。表面だけなら失望することもなかった」
そう言う寧の声音は絶望にまみれていた。エミルはそんなことはないと言おうとするが、先に寧が口を開き続ける。
「一緒にいて幸せ。護ってくれるし、話し相手にもなってくれる。でも、それが本心なのか全然分からない。あなたはわたしのことをどう思ってるの? もう何も考えたくない、いくら考えても答えなんて出ない。だからここで関係を終わりにしよう」
そう言って機甲艶姫を呼び出しエミルをここから追い出してとお願いし、機甲艶姫がエミルに迫る。エミルはISを起動し、寧に信じてると言う。かつてエミルが人間かラタトスクか悩んでいる時にロイドが信じてくれたように。
エミルは応戦の末、謳う丘から遠く離れた場所まで逃避。謳う丘から大分離れる。機甲艶姫の姿はない。だから、もう一度謳う丘に、寧の元に行く。ここで逃げたらいけない。その一心だった。再びに寧のもとへ行くとレナルルは息が絶え絶えになっている状態だった。エミルに気付いた寧は、
「レナルルさん、五十三回死んだよ。なかなかできる体験じゃないよね。わたしの人体実験と同じで」
と狂気めいた笑顔で言う。エミルがもうやめようと言った時、否定したのは意外にもレナルルだった。このままでいい。私の罪なのだからと彼女は言う。寧は止めるのはあなただけと言うが、エミルは気にせず続けてやめようと言う。すると、ようやく寧の顔から狂気めいた笑顔が消える。
「やめたらあなたが何かしてくれるの? 結局他人事でしかない。今にもこんな壊れそうな世界に来たくなかった!」
と大きい声を出して寧は言う。それ以上聞きたくなかったエミルはもういい。と言うが意にも解せず寧は続ける。
「わたしがどんなに辛くても、死にそうでも単なるエキサイティングなドラマでしかない」
エミルは辛いのは分かってると言った時、寧の感情が爆発した。
「やめて! もうやめてよ! そういう綺麗事言うの! あなたに何が分かるっていうの! この世界に連れてこられてからずっと独りで、毎日痛くて辛いことばかりされ暗い所に閉じ込められて、レナルルさんが励ましてくれるけど組織の人だから逆らえないし。ずっと泣いていたんだよ? 友達は出来たけど話を理解してくれる人がいないから話しても余計に辛くなるだけで……。毎日帰りたいって思って、帰れないなら死んだほうがいいって思い続けてきたけど世界を救えるのは自分しかできないなら頑張ろう。ずっとそう思ってやってきた。それなのになんでわたしがこんなひどい仕打ちをさなくちゃならないの? わたしは自分の世界で普通に生きていたかっただけなのに、もうそんな夢すら見ることすら叶わないんだよ。それでもずっと頑張って、世界を潰してまで還るのはよくないと思ってて。だけど、これくらいのことはしても、心の底でそうやって思うくらいしたっていいじゃん! それすらダメなの? 許されないの? 許されないなら、ダメならどうやってこの狂いそうな気持ちを静めたらいいの!?」
泣きながら寧はエミルに縋りながら叫ぶ。エミルはダメじゃないと首を振る。
じゃあ何故止めるのか寧がエミルに問うと、エミルは優しい声音で言う。
「イオンのことが大切だから」
そう言い切った後もそのままエミルは言葉を紡ぐ。もう何も怖がる必要はないという想いをこめながら。
「イオン……寧のことは僕が守る。君の闇は全て僕が全部受け止める。背負いきれないものは一緒に背負う。だから絶望だけはしないで欲しい。例えまた他の世界に連れて行かれたとしても、何があっても必ず探して会いに行くから。どんな事が起きても絶対に見つけだすから」
その想いは寧に届いたのか、目の端に涙を溜めながら口を開く。
「嘘でも嬉しい。ありがとう」
という感謝の言葉だった。その後、ずっと寂しかった。友達ができても胸の中に隙間があったことを告げる。そして忘れかけている自分の世界のぬくもりがあったことが嬉しいとも。
寧が落ち着いたところで改めてレナルルと寧は話をして無事、和解できた。そして謳う丘から出た時に寧が口を開く。
「あなたの想いが通じたから成長できたんだと思う。あなたと出会えて本当に良かった」
エミルはそれに頷いた後にジェノメトリクスから出てコーザルがいる唯我の森へ行く。
コーザルの話を聞くと母胎想観が弱ってからすぐにプリムたちは逃げ出したらしい。が、ネロは現れなかったらしい。そして大地の心臓というものをもらった。その後カノンと別れ、エミルとイオンはセンターオブラシェーラに向かう。と光の渦が発生し、その中からデルタとキャス、そして白い髪の毛の女の子が出てきた。名前はシュレリアというらしい。
デルタが気を失ったことにより緊急でPLASMA本部に運び込みデルタが起きるのを待った。そしてデルタはアルシエルという世界に辿り着いたらしく、そこでのことを聞いたのちにコーザルの元へ行くことになった。エミルとイオンはコーザルの元へ行き、デルタが話していたことを相談した結果、着いてきてくれる様子だった。コーザルを連れ、アルシエルのダイアンサスの木がある場所へ行く。
そしてコーザルとカノンをアルシエルの意思が受け入れ、成長していくための修練を始める。世界の意思はその中で経験や価値観のぶつかり合い、魂の解脱をする必要が何度もある。つらい経験になるが次の段階へ導くためには必要なことである。そしてそれを導くのはイオン。導くためにイオンが謳う詩魔法は二人の心を支え、希望を与える役目を持っている。
イオンが祝詞を紡ぎ、詩を謳う。カノンとコーザルが呻き声を上げる。世界の意思もイオンのアシストに入る。
それからまもなく詩が終わる。二人はほんの十数秒気を失っていたが、意識を取り戻す。無事成功したようだ。そしてコーザルが七支をこの場所に集めてほしいという。カノンはその場に残るようだ。エミルとイオンは急いで残りの七支を招集する。
その途中でシュレリアを連れたデルタとキャスに会い、PLASMA本部に七支が集まり、コーザルが待っていることを伝え、アルシエルに向かう。そして大地の心臓とコーザルが融合し、新たな惑星を創るための詩を七支全員で紡ぐ。無事、詩魔法を紡ぐことに成功した。
そしてアルシエルに存在するテル族という種族の長であるアヤタネとその一族が集まっていた。アヤタネから賞賛の言葉をもらった後、イオンとエミルはアヤタネのもとに行く。
イオンがアヤタネに疑問に思ったことをぶつける。アヤタネの容姿について。アヤタネの種族は人と竜が合体したような姿をしている。それが気になったようだ。
アヤタネ曰く、今生きているテル族は生まれながらこのような姿をしているが、はるか昔は人間と同じ姿をしていたらしい。先日初めて聞いたことで大昔に一度絶滅の危機に瀕したことあるらしい。そしてアヤタネの先祖はかつてラシェーラが存在した頃の先遣隊で、環境に適応するのにかなり苦労があったらしい。衣食住の問題もあったが、最も問題だったのは疫病。先遣隊にとってアルシエルは似て非なる場所。だから元々ラシェーラになかった物質や成分が有毒になってしまい、その毒は体内に留まり体の力を奪っていくものだった。今、アルシエルで護の竜はラシェーラで言い換えると竜の形をしたジェノム。その竜が人々と完全に同調したことにより、毒に耐性のある肉体を手に入れた。そしてその肉体になれなかったものは間もなく絶えた。そういうことがあって今のテル族は皆人と竜が合わさったような姿をしているらしい。さらに言うとテル族という呼び方もその竜に由来している。ということだった。
イオンがアヤタネにその竜の名前を聞く。すると、テレケンだが、テレフンだかという何とも曖昧な言葉が返ってきた。でも、イオンにとってそれで十分だった。まだラシェーラがあって皇位継承の儀が始まって間もない頃、イオンが万寿沙羅という始まりの町で同調したジェノムの名はテレフンケン。テレフンケンは仔竜の姿をしていた。そして彼は自分を鍛えるためでもある。そう言って先遣隊に志願したのだ。そしてそのテレフンケンが先遣隊を救った。つまりそういうことだった。
イオンの記憶を直したエミルにもそれが分かった。そしてアヤタネから奇跡を呼ぶ花リインカーネーションのレシピをもらった。
その後、一度フェリオン、PLASMA本部に戻り最後の会議を行う。その後、リインカーネーションを作成。そしてエミルとイオンはデルタたちより一足先に謳う丘に向かう。
イオンがエミルがいる方向に振り返る。
「いよいよだね。やっぱりちょっと、緊張するなぁ……。でも、大丈夫近くにあなたがいるから」
「最後までイオンを守るから」
「ありがとう、安心して謳えるよ」
そしてイオンが謳いだした時、地響きをお起こし、プリムが現れる。そして今度こそ、ウルゥリィヤをもとの惑星に還すという。ウルゥリィヤ。それはネロの本当の名前。
そしてプリムが詩魔法を唱えるとさっきまでイオンたちがいた場所。ソレイルが姿を変え巨大な機械の竜へと姿を変える。プリムの向こう側にいるやつ曰く、生き物をエネルギー源にして宇宙船そのものを生命に変える。
「いらないヤツなんていっぱいいるから全員まとめて使ってやればいいよね! もうほんといい気持ち!」
プリムが声高らかにそう言う。
生き物をエネルギーにする。つまり、それはネイやサーリ、カノン、レナルル、白鷹もエネルギーになってしまうということ。
ネロが元の世界に変えるためにイオンが必要といい、プリムが謳う。
完全に人を道具としてしか見てないその姿に完全に魔王ラタトスクとしての、残虐非道だったころの一面が現れる。プリムと対峙するたび幾度も見せた燃えるような赤い瞳。エミルは手を上に掲げる。そして出現したのはとてつもなく大きな魔法陣。そしてそこから出てくるのは伝説や神話で語られる古の生き物たち。それらが大量に現れる。
「そうだな。だからお前を潰す。容赦はしない」
エミルに睨まれたプリムは震えだす。何せそれに加えこの場にいる古の生物のたくさんの視線を受け止めているのだ。たとえインターディメンドされていたとしても本能的な恐怖は存在する。そしてエミルは続ける。
「プリムの向こうにいるような雑魚には生憎興味はない」
エミルは一歩ずつプリムに近づく。プリムに襲い掛かる殺気も密度を増していく。がそれでも向こうにいる人が強制的にプリムを動かす。そしてプリムを追い詰めたとき、あいつが口を開く。
「もう時間切れ」
イオンが力なく倒れていく。エミルはイオンのもとに駆け寄り必死に声をかける。その時、謳っている声が聞こえてくる。エミルは絶えずイオンに声をかけ続ける。
「あいつを止めるんだ。まだみんなもイオンも助けられるかもしれねぇ。謳ってくれ、キャス。エミルはイオンを護っててくれ」
そう言って今度はデルタとキャスが母胎想観を相手に戦う。母胎想観を倒したとき、ネロも一緒に現れた。イオンも気を取り戻す。そしてプリムもインターディメンドが切れ、本来の優しい性格が出てくる。が、あいつはまた干渉してくる。だけど今度はプリムも諦めなかった。必死に抵抗する。プリムはイオンに惑星創生の詩を謳ってとお願いする。
そしてイオンがラシェール・リンカーネーションを謳う。そして母胎想観との最後の戦いが始まる。母胎想観は三回形態を変えたのちにようやく打倒に成功する。そのあと、プリムが力なく倒れる。デルタとキャス、エミル、イオンが駆け寄る。少ない言葉を交わした後に力尽きる。
惑星創造後、一か所に集まり皇帝の演説を行う。そして終わるときは合掌に包まれた。
そして、エミルとイオンは広大な草原にいた。
「どうするか、考えてくれた?」
「えっと、何を?」
「元の世界に変えるかどうかを」
「……。惑星を潰して帰るなら帰らない。ネロとも話し合ってそう決めたんだ」
「イオン。前に言ったこと、忘れちゃった?」
「前に? ……あっ!」
どうやら思い出したようだ。
「大丈夫、一緒の世界に帰ろう? そしてIS学園で一緒に過ごそう?」
「……ごめんなさい。この不安定な世界でやらなきゃいけないことが多いから。みんなに押し付けて変えることは出来ないよ」
「そっか。イオンがそう決めたなら」
「ほんとうにごめんなさい」
「いいんだ。元気でね」
「うん。エミルも元気でね」
ソレイルの前で七支とネロが集まっていた。ネロは還りたいといい、イオンはやらなきゃいけないことが多いし、と遠慮の声を上げると七支の面々が遠慮しなくていいと背中を押すとイオンは泣きながら還りたいという。
そして数日後還る日が来る。
「開け! 境界の扉!」
まず、エミルはネロが世界に還るためのゲートを作り出す。
「ありがとう、エミル。でも、私はあなたの世界に行ってみたい」
「ちょっ! ネロ、何で!?」
「いいじゃない、面白そうだもの」
「分かったよ」
エミルは一度ゲートを閉じ、新しく開く。
三人はみんなのほうを向く。
「みんな、今までありがとう」
「それじゃあ元気でね」
「エミル! しっかりネロとイオンを護れよ!」
「分かってるよ、デルタもしっかりね!」
「おう!」
「じゃあ、そのうち二人と僕の友達を連れて遊びに来るかもしれないから、その時はよろしく」
エミルのその言葉に七支の皆は元気よく頷く。
「それじゃあ、またね!」
エミル、イオン、ネロはゲートを潜っていく。
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ゲートを超えた三人はIS学園の屋上に出た。
「ここがIS学園だよ」
エミルが二人にそう言った時、扉が勢いよく開かれる。
「エミル!」
三人は声がした方を振り向く。屋上に入ってきたのは一夏、箒、鈴、セシリア、シャルルの五人だった。
「ただいま」
エミルは笑顔でそう言った。
以上でサージュは終わりです。ご覧の端末さん、本当にすみません!次回からシャルロット・ラウラ編に戻ります