インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~ 作:ガーネイル
ほぼ二か月ぶりの更新ですね。大変申し訳ないっす。
ついつい、年始(?)から書き始めたラブライブ! の方に偏って書いてました。
まぁ、それはそれとしまして。さて今回から臨海学校編です、楽しんでいただければ幸いです。
今日から待ちに待った臨海学校。だが、その前に一つの問題が発生していた。一夏の隣は箒が陣取っているため問題はない。一方、エミルの隣は誰も決まっていなかった。それ故に発生したエミルの隣争奪戦。参加者はセシリア、鈴、寧、シャルロット、ラウラの五人。
この五人の間には火花が散っている。隣を決める方法はたった一つ。それはじゃんけんだ。
古来より何かを欲する場合はじゃんけんと決まっている。……まぁ、そんなものは存在しないんだが、それはそれ。
「「「「「じゃんけん……ぽん」」」」」
この瞬間、ついに決着がついた。奇跡といっていいほど一発で勝敗が付く。何をどう思ったのかは本人にしか分からないが、五人中四人がパーを出し、一人がチョキを出した。その一人はシャルロットだった。
だが、敗者の中でもただ一人、バスに乗る前に約束を取り付けた者がいる。
「あの、エミルさん。着いたらサンオイルを塗ってくださいませんか?」
セシリアである。エミルは自分で嫌じゃないのかと質問で返すが、セシリアはそれを否定する。それを聞いたエミルはそれなら、と承諾する。
普通の人なら間違いなく下心というものが含まれそうだが、エミルは違う。彼は百%の善意で行動していた。常人なら間違いなく不可能なことをやってのけるのはさすがの一言である。
臨海学校というイベントで全員が浮かれている中、エミルだけ物思いに耽っていた。
(海……か。最後に行ったのはいつだったかな。……マルタと行った時だからもう随分と行ってないな。それからはずっとギンヌンガ・ガップにいたし。そう言えば、今、ジーニアスとリフィルさん、リヒターさんはどうしてるかな……)
エミルがそんな思考の中、隣にいるシャルロットが話しかける。
「ねぇ、エミル」
「……あ、ごめん、シャル。どうかしたの?」
「シャル……。なんだか浮かない顔してるけど楽しみじゃない? それとも僕が隣は嫌だった?」
バスに乗ってからずっと遠くを見ながら昔に意識を飛ばしていたエミル。そのせいで何も喋らないエミルが不機嫌だと思ったのか、シャルロットが不安な顔をしながらエミルを見ていた。エミルからシャルと呼ばれた瞬間少し嬉しそうな顔をしていたが。
「ううん、そんなことないよ。少し昔のことを思い出してただけだから気にしないで」
「うん。それはいいんだけど、今、シャルって……」
「あ、気に入らなかったならごめん。少し前にせっかくだから愛称みたいなものがあったらなって思って……」
エミルが自信なさそうにそう言う。
だが少し考えてほしい。もし、好きな異性から自分の愛称を考え、そう呼んでくれた時、気に入らないと切り捨てるだろうか。
考えてくれた愛称のセンスにもよるが普通に考えたら答えはNoではないだろう。むしろほとんどが気に入るのではないだろうか。だが、そこはエミルらしいというべきかたまにへたれる。
そのあと、さっきまで暗めの雰囲気はどこまでいったのやら到着するまで二人は会話でにぎわっていた。
「それではここが今日からお世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないようにしろよ」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
千冬の言葉が発した後、全体で挨拶をする。
何でも設立した時から毎年、ここ、花月荘にお世話になっているらしい。着物を身に纏っている女将が丁寧にお辞儀する。
「はい、こちらこそ。今年の一年生は元気があっていいですね」
女将の年齢は不明だが仕事柄笑顔でいることが多いせいか女将という立場以上に若く見える。もっとも女性に年齢の話はご法度であるのことに変わりはない。
「あら、こちらのお二方が噂の?」
女将が視界に一夏とエミルを捉える。
「えぇ、まあ。片方が噂になり始めたのはつい最近ですが。今年は男子が二人いるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」
そう、エミルが世間に知れ渡るようになったのはついこの前にあった学年別トーナメントの時である。あのイベントには各国のお偉いさんが集まっていた。そして奇しくも一回戦目で一夏とエミルが戦うことになり、その時にエミルの存在が公になったのである。
そしてどこかにいる天災が興味を持ち始めているのはまた別の話。
「いえいえ、そんな。二人ともいい男の子じゃないですか。しっかりしてそうな感じがしますよ」
「一人はその通りですが、もう一人は仰る通り感じがするだけですよ。挨拶しろ、お前ら」
エミルは返事をするが、一夏は少し、ボケっとしていた為、頭を上から押さえつけられる。
「エミル・キャスタニエです。よろしくお願いします」
「お、織斑一夏です。よ、よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとう。清州景子です」
女将は名乗った後、再度お辞儀をする。二人の周りにはこういった余裕を持っている女性は周りにはいない為、どことなく緊張した面持ちである。
「それじゃあ、みなさん。お部屋の方にどうぞ。海に行かれる方は別館で着替えられるようになっていますから、そちらをご利用ください。場所が分からなければいつでも従業員に聞いてくださいませ」
女子生徒一同は荷物を置くためか、一度部屋に移動する。
初日は終日自由時間であるため、まずは荷物を片付けてから遊びたいのであろう。ちなみに食事は旅館で取るようになっている。
男子の部屋分けは一夏が千冬と同じでエミルは真耶と同じ部屋である。何でも男子だけだと女子が押しかけてくるだろうから教師と一緒にしたというのが千冬の談である。
真耶と千冬の部屋は隣であるため、押しに弱い真耶でも押しかけに来ると言うことはないだろう。
「エミル君はこの後、どうするんですか?」
「そうですね。水着に着替えた後、一夏と待ち合わせて海に遊びに行きますよ。山田先生はどうするんですか?」
「私はこの後、教員の打ち合わせがあるので後から行きます。楽しんできてくださいね」
そう言って真耶は部屋から出ていく。エミルはつい先日寧と出かけた際に買った水着に着替える。その後に、エミルは荷物をまとめ最低限の貴重品だけ持って部屋から出る。
一夏も丁度支度を終えたのか部屋の前で鉢合わせた。
「お、エミルも今から海か。その水着、似合ってるぜ」
「ありがとう。一夏もその水着に似合ってるよ。……っていうかその言葉は女の子に言ってあげなよ」
「ん? それはいいけど誰に言うんだ?」
エミルは一度溜息をついてから被りを振る。
「はぁ。まぁいいや。海に行こうか」
「おう!」
エミルはこの世界に来てから初めての海に感動していた。元の世界以外の海を見たのは初めてということもある。
エミルと一夏から離れた場所で女子生徒たちは男子二人のことを気にしている。そんな中、同じクラスの本音たちと三人が近づいてくる。
「キャスタニエ君、織斑君。後でビーチバレーしようよ」
「おー、時間があればいいぜ」
一夏が提案を了承する。エミルもせっかくだからとその提案に賛同する。その後、ルールが分からないエミルはそれを一夏に教えてもらった。
その後、鈴が突撃してきて一悶着あったがそれはそれ。そんな一悶着の中、青いビキニで腰に同色のパレオを巻いたセシリアがエミルの元に近づく。
「それじゃあ、エミルさん。約束通り、お願いしてよろしいでしょうか?」
そんな時、いつの間にエミルの元に来ていたのか寧が噛みついた。
「セシリアちゃん!? エミルに何させようとしてるの!?」
「見ての通り、サンオイルを塗ってもらうんですの。まさか約束を違えるなんてことはしませんよね? 紳士がすることではありませんですわよ」
「う、うん。約束は守るけど……」
エミルは寧の冷たい視線を受けながらサンオイルを手の上に広げ温め、セシリアの背中に塗りたくる。その手際いうか動く様はとても久し振りとは思えないほど慣れるものだった。この場では寧以外エミルの過去を知っている人はいない。鈴は別の世界から来た程度しかエミルのことは知らない。
艶やかな声をあげるセシリアの周りにいる女子生徒は顔を紅くしているが、一夏の顔はそれ以上に紅かった。
ちなみに塗っているエミル本人は顔色一つ変えていない。背中を満遍なく塗った後、エミルは一息つく。
「ふぅ、背中は大体塗り終わったけど、これでいい?」
「い、いえ。折角ですので手の届かない所は全部お願いします。……その脚と、その……お尻も……」
背中以外に届かない所と言われても思いつかない。脚だって起きれば届くのだから。というか、そもそも男にお尻をやらせるのはよろしくないであろう。
最も、今起き上がるにしても青少年の精神上大変よろしくない事態に陥りそうだ。
「はいはい、私がやってあげる。ホイホイっと」
さっきまで傍観していた鈴が動き出す。鈴はくすぐるような感じで脚にサンオイルを塗る。その瞬間エミルは何かを察知したのか寧を連れてその場を離脱する。
―――― 一夏はスキル:ラッキースケベを発動した。――――
さすが原作における主人公。やる時はやってくれる。一夏のスキルが発動した瞬間、セシリアの悲鳴が響き渡り、一夏が錐揉み回転しながら海原へと消えていく。
エミルは何もなかったかのように寧と共にネロを探す。
エミルの一夏に対する対応がどんどん酷くなっているような気がしないでもない。でも、エミルのことだから一夏なら大丈夫だろうという思いもあるのだろう。
ネロは簡単に見つかった。クラスメイトと一緒にイチゴ味のかき氷を食べているところだった。
それを見たエミルと寧はかつて移民船ソレイルのフェリオン『ビストロ:ネィアフランセ』で天統姫でもある疾風のおネイさんことネイが作った『カチンとくる氷』を思い出した。ネイ曰く。
「普通のかき氷を作ってたはずなのに何故かこうなっちゃったのよね」
とのこと。奇跡にも等しい出来事を見た時のエミルの心境はリフィルの料理を見た時と全く同じだった。
ちなみにその時、寧も作った本人も顔が引きつっていたのは余談である。
そんなことがあったとは何も知らないネロは幸せそうな表情でちびちびとかき氷を食べている。
「あ、エミル。どうかしたの?」
「寧もいるからね? 特に用があるわけじゃないんだけど、一緒に遊べたらな、と思って」
「そうね。でも、ごめんなさい。私、この後約束があるの」
「そっか。じゃあ、また夕ご飯の時にね」
「えぇ」
ネロはそう言ってまたかき氷を食べ始める。エミルと寧は波打ち際まで歩いて行く。泳ぎがあまり得意ではない寧は恐る恐るという感じで歩く。エミルは微笑んでから手を差し出す。
「ほら、手繋いでるから泳いでみない? まずは浅いところからね?」
「……うん!」
浅瀬に移動してエミルが手で引きながら寧が泳ぐ。その様子はどこからどう見てもカップルである。周りの女子は手を引かれながら泳いでる寧を羨まし気に見ている。
一しきり泳いだ後、海から上がる。寧は友人と共にかき氷を食べに行く。すると、シャルロットから声がかかる。
「エミル、ここにいたんだ」
エミルが振り返るとそこにいたのはシャルロットとタオルに包まれた何かがいた。顔すらタオルで包まれていて顔の判別ができない。
「えっと……シャルと……誰?」
「ほら、エミルに見せるんでしょ。大丈夫だよ」
「だ、大丈夫かどうかは私が決める」
シャルロットは誰かという質問に答えぬまま隣に存在を揺らす。すると返ってきたのは弱々しい声。エミルはその声の主に覚えはあるがこんな声を発するところを聞いたことがなかった為、少し戸惑い気味である。
「もしかしてラウラ?」
エミルは問うが答えは返ってこない。そこでシャルロットがタオルに身を包んでいるラウラ(仮)に耳打ちする。
「せっかく水着に着替えたんだからエミルに見てもらわないと意味ないでしょ?」
「だ、だが私にも心の準備というものがあってだな……」
二人で一言二言交わした後シャルロットが突然声のボリュームを上げる。
「ふーん。だったら、僕だけエミルと遊んじゃうけどいいのかな?」
「そ、それはダメだ! …………えーい!!!!」
ラウラ(?)が今まで全身に巻き付けていたタオルを全て取り去る。すると黒いビキニを身に纏ったラウラの姿が露わになった。
「う~。わ、笑いたければ笑うがいい!」
「そんなことないよね、エミル」
モジモジしながらあまり自信を持てずにいるラウラに対し素早くフォローをいれるシャルロット。エミルはラウラの姿を確認してから笑顔なり口を開く。
「うん。可愛いね、よく似合ってるよ。色が黒っていうのもラウラのイメージに合ってていいと思うよ」
流石というか、文句のつけようのない褒め方である。
褒められたラウラは両手の人差し指同士を付き合わせながらか細い声を発した。
「そ、そうか。私は可愛いのか……。そう言われたのは初めてだ」
シャルロットとエミルは微笑まし気なものを見るような目でラウラを見ている。すると少し離れた場所から一夏がエミルを呼ぶ。
「エミル! さっき約束したビーチバレーやろうぜ!」
一夏がエミルに向かってバレーボールを投げる。エミルは両手でキャッチしてシャルロットとラウラを見る。
「OK! 負けないよ!」
最初のチーム分けはエミル・シャルロット・ラウラVS一夏・布仏・谷本となった。女性陣はある程度のペースでローテーションすることになった。周りから一夏やエミル、シャルロット、ラウラに声援が飛ぶ。エミルが今まで来ていたパーカーを脱いだ瞬間、黄色い悲鳴が響き渡る。なぜ脱いだかというのは今からビーチバレーをするというのに濡れたパーカーは足枷になるからである。
一番最初のサーブは谷本からである。
「ふふ、7月のサマーデビルと呼ばれたこの私の実力を見よ!」
「任せて!」
鋭いサーブがエミルたちのコートへ迫る。それに素早く反応したのはシャルロットだった。飛び込んでボールを拾い、次に繋げる。
ネット際ギリギリに浮いたボールに対し、エミルがアタックを入れる。それをレシーブしたのは布仏。慌てながらもきちんと繋げる。一夏がトスを上げ、再び谷本がアタックを入れる。そのボールはラウラの顔面に直撃する。
「大丈夫? ラウラ」
「ラウラ、どうしたの?」
らしくない様子を見せたラウラに対し、シャルロットが心配し顔を
「可愛いと言われた。私が可愛い。うぅ……」
「ラウラ、まだ気にしてたの」
そんな会話があってからエミルが顔を覘くとラウラの顔は更に紅くなる。そして素早く立ち上がり海のほうへ走っていく。通常では上がらないほど高く水飛沫が上がっている。どれだけのすごい勢いで海を走っているのか気になるところではある。
「えーっと、あれはどうしよう?」
「放っておいてあげていいと思うよ」
エミルはシャルロットに相談すると頭を振りながら彼女は答える。すると、真耶の声をエミルの耳は捉えた。
「ビーチバレーですか。楽しそうですね」
「先生も一緒にやりますか?」
「いいですね。どうですか? 織斑先生」
千冬が姿を見せた時、一夏は紅顔する。が、一方のエミルは千冬の雰囲気とか背格好とかがリフィルに似ているという印象を持った。
確かに遺跡モード以外なら少なからず似ているかもしれない。スレンダーな体型やクールな雰囲気なんかがそうだろう。
ラウラの代わりに真耶が入り、谷本が千冬と変わる。そこから意外と白熱した試合は長く続いた。
試合の結果は拮抗したのち千冬、一夏がいたチームが勝った。
エミルは試合が終わった後は軽くお昼を食べたり、一夏と一緒に泳いだりと日が涼むまで楽しい時間を過ごしていた。
そしてこの日の夜、エミルは天災と邂逅する。
そういえば、つい先日コーエーテクモゲームスさんが『イオンdeアラーム ~シェルノサージュ~』というアプリの配信を開始しましたね。
イオナサル欠乏症である自分もついさっきお金を払って買ってしましました。
イオン可愛いなぁ…………。ということを改めて実感しました!
七次元先の世界と繋がるまで自分を含め、端末さんは諦めることなく待っていますのでガストさん。ぜひ頑張ってください。お願いします。(土下座)
まぁ、それはそれとして今回エミルが着ている水着は過去にmobageで配信されていた『テイルズオブキズナ』の中に出ていた描き下ろしイラストと同じものです。気になる人は『テイルズオブキズナ 水着』で検索してくださればエミルがどんな水着を着ているのか分かりますのでよかったらどうぞ。
後、現在就活中なんですが、隙を狙って書いたり上げたりしているので月一投稿は少々難しくなります。
完成次第、即投稿するので待っててくださいお願いします。
最後にもある通り、次回は天災との邂逅を果たします。