インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~   作:ガーネイル

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 どうもお久しぶりです。
 ほぼ半年ぶりですね、お待たせしてすみません。
 約五か月ぶりです。今までよりは多少文量が多いと思います。あと、いくつか疑問に思う点もあるとおもいますが、ご都合主義ということでお願いします。
 それではそうぞ。


18.第四世代型IS 紅椿

 翌日の午前中。

 朝食後に専用機持ちのみが集められ、磯部に集まっている。

 

「よし、専用機持ちは全員集まったな」

 

 千冬はそう言うが少し語弊がある。一年生の専用機持ちは特例であるエミルと寧を除き、一夏、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラだ。だが、この場には専用機を持っていないはずの箒がここにいる。

 それを疑問に持つ者も当然いて鈴がそれを言う。

 

「それは私から説明しよう」

 

 千冬がそう言った瞬間、遠くから誰かの声が響き渡る。

 

「やっほーー!!!」

 

 

 響き渡った後に土埃を巻き上げながら何かがエミルたちがいる場所に駆け寄ってくる。徐々にその何かの輪郭がしっかりしてくる。

 頭に着けているのは機械で出来たウサ耳。そして少し変わった形のエプロンドレス。これを身に着けている女性は一人しかいない。また、千冬、エミル、一夏、箒の四人もそれを身に着けている女性は一人しか心当たりがない。その女性は巷では天才でISの生みの親と言われている。そう、つい、先日の夜にエミルが話を交わした女性。天災・篠ノ之束である。

 束は岩で出来た傾斜面を滑るように降りてくる。そして跳躍した。まるでカタパルトから発射されたミサイルのように。

 

「ちーちゃーん!!」

 

 そして千冬の名を呼びながら墜落していく。それに対し、千冬は慌てることなく頭を掴み着地後に押さえつける。

 それでも諦めず千冬に近付こうとする。

 束は手を変態的な動かし方をしながら今もなお接近を試みる。

 

「やあやあ。会いたかったよ、ちーちゃん。ハグハグしよう、愛を確かめよ……」

「うるさいぞ、束」

「相変わらず容赦のないアイアンクローだね!」

 

 そう言ったあと近づくのを諦め、束は次の行動を取る。束は箒の方へと向かう。ちなみに箒は少し離れた岩場の陰で頭を抱えながら隠れている。

 エミルは滅多に見ない箒の態度を見て少し不思議な表情を浮かべていた。他のメンバーも呆気に取られている。ただ、一夏だけはまたか。というような表情を浮かべていた。

 束は忙しなく動きながら箒に話しかける。

 

「じゃじゃーん、やあ」

「どうも……」

 

 何がじゃじゃーんなのだろうか。全く分からない。テンションが高い束に対し、箒のテンションはどこまでも低い。

 

「久しぶりだねー。こうして会うのは何年ぶりかなぁ。大きくなったね~、特におっぱいg……」

「殴りますよ」

 

 束がセクハラ発言すると同時に箒が木刀で突きを入れる。

 どこから木刀を取り出したかは別としてそれをモロに喰らった束は鼻血を出しながら飛んでいく。

 

「殴ってから言ったー。箒ちゃんひどーい」

 

 顔に突きを入れられて鼻血だけで済んでいる束の顔は一体何で出来ているのだろうか。それ以外にも他には言うことがないのかと疑問の方が多いが、本人が気にしていないのなら良しとしよう。

 

「ねー、酷いと思わない? いっくん、エーくん? あと君が結城寧だよね? ゆーちゃんもひどいと思わない? 思うよね?」

「「「はぁ……」」」

「おい、束。いい加減自己紹介ぐらいしろ」

 

 束の人となりをよく知っている千冬と一夏はエミルと寧のことを有象無象ではなく、個として認識していることに驚いた。が、一度それを棚に上げ、このまま放置しておくと話が進まないと思ったのか千冬が一度ストップをかける。

 

「えー、めんどくさいな。私が天才の束さんだよ、ハロー。終わりー」

 

 束は面倒くさいと言いながらも、千冬に言われた通り、最低限だが自己紹介をこなす。

 

「束って……」

「IS開発者にして天才科学者の」

「篠ノ之束!」

「ふっふっふ、大空をご覧あれ!」

 

 鈴、シャルロット、ラウラの三人がまるで合わせたかのような反応を示す。セシリアはあまりの驚きで口を開いて固まっている。

 束はそんな状況を無視して目を光らせる。そして空を見上げ、指も天高く掲げる。

 束がそう言うと同時に空が一か所光る。そして何かが落ちてくる。空気を裂く音が聞こえるほどの速さでだ。数秒で地上にたどり着く。それは立体形状のひし形だった。

 それの後ろから束が姿を見せる。

 

「じゃじゃーん! これぞ、箒ちゃんの専用機こと紅椿! 全スペックは現存するISを上回る束お手製だよー。何たって紅椿は天才束さんが作った第四世代型ISなんだよ」

 

 ひし形から現れたのは束が言葉にした通り紅色のIS。紅椿という名前も納得できる。

 そして何よりエミル以外の全員が束の発したある言葉に反応していた。

 

「第四世代?」

「まだ各国でやっと第三世代型の試験機が出来た段階ですのよ」

「なのにもう?」

「そこはほら、天才束さんだから」

 最後に謎しか残さない言葉を放つ束。一体そんな言葉のどこで納得しろというのだろうか。いささか不思議である。

 その言葉に対する周りの反応を丸投げして話を進める。

 流石、自分の興味がある人以外はどうでもいい天災ではある。(誤字にあらず)

リモコン的物体を取りだし、それをいじる。すると紅椿は搭乗可能となる。

 

「さあ、箒ちゃん! 今からフィッティングとパーソナライズを始めようか!」

 

 千冬にも促され、箒は紅椿の前に立つ。

 箒の立ち位置上のものだが、束以外の全員は箒の後ろ姿は見えるが、表情は分からない。箒にとっては念願の力、一夏と共に歩いて行くための力を手に入れたことになる。それが主な理由かは分からないが、箒の目はとても輝いていた。まるで子供が親から新しい玩具をもらったかのように。

 箒が紅椿に搭乗すると同時に束が可視化されたデジタルキーボードをものすごい速さで操る。データの更新の為、紅椿には無数のケーブルが繋がれている。

 

「箒ちゃんのデータはある程度先行して入れてあるから後は最新のデータに更新するだけだね」

 

 束が操るキーボード捌きに代表候補生の全員が呆然と眺めている。それはそのはずだ。何故なら、あの天才束のキーボード捌きを目の当たりにしているからだ。束のそれは自分たちが知っているものより遥かにスピードが上。そうなるのも無理はない。

 

「はい、フィッティング終了、ちょー凄いね。さすが私!」

 

 束はデジタルキーボードを消す。かけた時間はものの五分に満たない。だけど彼女はそれを然程気にしていない。何故ならそれは当然のことだから。周りにとってどんなに非常識なものだとしても自身にとってそんなに気にするほどのことではないからだ。

そのまま次の行動を指示する。

 

「そんじゃ、試運転もかねて飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ」

「えぇ、それでは試してみます」

 

 箒は一度目を閉じ意識を集中させる。ゆっくりと目を開き、紅椿を徐々に地面から足を放す。そして急上昇を開始する。

 

「なにこれ! 速い!?」

「これが第四世代の加速……ということ?」

 

 その時に出たスピードはセシリア等が所有している第三世代型より速い。束が第四世代ということで作ったからそれは当然のことかもしれない。

 鈴やシャルロットもその速さに驚いている。セシリアやラウラも口にこそ出さないが、二人と同じだった。ただ、エミルと寧は違う表情を見せる。エミルは感心。寧は目を輝かせ、なぜあれほど速いのか考えている。

紅椿は紅い閃光となり、空を縦横無尽に翔る。

 

「どうどう? 箒ちゃんが思っていた以上に動くでしょ?」

「えぇ、まぁ」

 

 束が言うように搭乗者である箒自身、ここまで動くとは思っていなかった為少し戸惑い気味である。そんな箒にかまわず、束は次の指示を出す。

 

「じゃあ、次は刀使ってみてよ。右のが雨月で、左が空裂ね。武器特性のデータを送るね」

 

 束が紅椿に搭載されている武器のデータを送信する。紅椿の武器は雨月と空裂の二刀流。エネルギー刃を連続放出するという効果を持つ雨月。空裂の方は斬撃に合わせ攻性エネルギーを飛ばし対象にぶつけるものである。

 箒は刀を抜き、雨月を振り抜く。五本のエネルギー刃が放出され、いくつかの雲を掻き消す。

 その様子を見ている束は機嫌がよさそうである。

 

「いいねいいねー。次はこれを打ち落としてみてね。はーいっと」

 

 そう言って呼び出したのは十六連装ミサイルポッド。そのまま一斉掃射を行う。

 箒は再び紅椿ともに空を翔け、発射されたミサイルと距離を取る。十分に距離を取れたところで彼女は左手に持った空裂で飛来してくるミサイルを破壊する。

 その光景を見た専用機持ち全員が感嘆の声を上げる。そんな時、副担任である真耶の声が聞こえてきた。

 

「大変です! 織斑先生!」

 

 その声は切羽詰まったものだった。その声に全員が振り返る。いつも落ち着きがない真耶であるが、今回はいつものそれとはどこか様子が違っている。

 千冬の前に立つと右手に持っていた端末を見せる。すると、千冬の目が少し厳しいものに変わる。

 

「テスト稼働は中止だ。お前たちにやってもらいたいことがある」

 

 近くに立っていた女性が束だと言うことを知って真耶が驚きの声を上げるということがあったがそれは置いておく。

 教師陣と専用機持ちは宿の宴会用の一室に集められた。薄暗い部屋の中で大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「現状説明を開始する。二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあった、アメリカ・イスラエルで合同開発の第三世代型のIS『銀の福音』。通称福音が制御下を離れて暴走。監視空域を離脱したとの連絡があった」

 

 乗り始めて数か月しか経っていない一夏、別の世界から来たエミル、ついこの前まで異世界に拉致されていた寧はあまりピンと来ていないようだが、それ以外の専用機持ちの面持ちは厳しい。

 それでも千冬の説明は続く。

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の空域を通過することが判明した。時間にして五十分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することとなった」

 

 そしてそのまま作戦の概要説明を始める。

 

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

「はい!?」

 

 一夏はそこまで考えていなかったのか、驚きの声を上げる。ラウラはそれを理解しきれていないと捉えたのか千冬が言ったことを噛み砕いて説明する。

 

「つまり、暴走したISを我々で止めるということだ」

「まじい!?」

「一々驚かないの」

 

 鈴が一夏に向かって呆れたようにそう言う。その後、千冬が再び、口を開く。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものを挙手するように」

「はい」

 

 真っ先に手を挙げたのはセシリアだった。

 

「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

「分かった。ただし、決して口外するな。情報が漏えいした場合、諸君には査問委員会による裁判の後、最低二年間の監視がつけられる」

「了解しました」

 

 ディスプレイに福音のスペックデータが表示されていく。各国の代表候補生は表示されているデータに基づき、相談を始める。

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型。……わたくしのISと同じオールレンジ攻撃を行えるようですわね」

「攻撃と機動の両方を兼ね備えた機体。厄介だわ」

「この特殊武装は曲者って気がするね。連続しての防御は難しい気がするよ」

「このデータでは格闘性能が未知数。偵察は行えないのですか?」

 

 ラウラの提案に対し、千冬は難色を示していた。

 

「それは無理だ。この機体は現在も超音速飛行を続けているアプローチは一回が限界だ」

 

 千冬の後に今までモニターを見続けていた真耶が作業を止め、口を開く。

 

「一回きりのチャンス。ということはやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」

 

 ISにとって絶対的有利なエネルギー関係を全て無効にする力を持っている白式。その所持者である一夏に全員の視線が集まっていた。

 戦闘能力で言ったらこの場にいるエミルが一番かもしれない。だが、ラタトスクは空戦に向いているかと言われると頷き難いものがある。この場ではエミルと寧だけは知っているがラタトスクの単一能力は『アイン・ソフ・アウル』である。全ての飲み込み破壊する力。それではISを木っ端微塵にしてしまう。つまり搭乗者も一緒に殺してしまうことになる。エミルとしてはそれだけは回避したかった。

 一方、一夏はまさか自分に矛先が向くとは思っていなかったのか戸惑いの声を上げる。だが、代表候補生の目は真剣だ。

 

「あんたの零落白夜で落とすのよ」

「それしかありませんわね。ただ、問題は……」

「どうやって一夏をそこまで運ぶか。エネルギーは全部攻撃に回さないと難しいだろうから移動をどうするか」

「目標に追いつけるISでなければいけないな。超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」

 

 ここまでとんとん拍子で話が進むとは思っていなかったのか一夏が慌てて口を開く。

 

「ちょっと待ってくれよ。俺が行くのか?」

「「「「「「「当然」」」」」」」

 

 専用機持ち全員の声が重なる。

 先ほどから成り行きを見守っていた千冬が一夏に言葉を投げかける。

 

「織斑。これは訓練じゃない、実戦だ。もし覚悟がないなら無理強いはしない。ラタトスクにもう少し空戦適正があればキャスタニエに頼んでいた」

 

 その言葉に同意するように声を出したのは意外にも寧だった。

 

「織斑先生の言うとおりだよ。今回は今までと違う。この前のラウラちゃんの時みたいな失敗は許されないよ?」

 

 寧の言葉に重ねるようにエミルが一夏に言葉を投げかける。

 

「ねぇ、一夏。君に覚悟はあるかい? 綺麗事ではなく、もし自分が死んででも止める、相手を殺してでも止める。そう言う覚悟が。ないなら、今するしかない。世の中は綺麗事で何とかなるほど優しくないんだから。覚悟が出来ないなら僕が行くよ」

 

 エミルはマルタと旅をした時からずっと戦ってきた。魔物と戦い、ヴァンガードとも戦って数えきれない命を奪ってきた。そしてそれはソレイルでも同じだ。戦わなきゃ殺される。他に沢山の犠牲者が出る。大切なものを守る時だってそれは変わらない。デクスを殺してしまった時もそれは同じだ。

 エミルは知っている。生半可な覚悟や理想は何の役にも立たないことを。だからこそ、一夏はここで覚悟する必要があった。

 一夏は拳を強く握りしめ振り返り、千冬と向き合う。

 

「俺がやります。やってみせます」

「それでは、現在……」

『ちょっと待ったー』

 

 何処からともなく突然聞こえたのはこの場にいないはずの束の声。

 

「その作戦はちょっと待ったー」

 

 束が出てきたのはまさかの天井からだった。身軽に飛び降り、千冬の元へ駆けよる。

 

「ちーちゃん、ちーちゃん。もっといい作戦が頭の中にナウプリンティングー」

「束出ていけ」

 

 天才であるはずなのに少しバカっぽく見えるのが残念で仕方ない。

 束は千冬の肩を持って揺さぶる。一方、千冬は頭が痛そうと言うか、面倒くさそうな表情を浮かべながら左手で頭を押さえる。

 そんなことは知らんと言わんばかりに束は訴えを続ける。

 

「聞いて聞いて、ここは断然紅椿の出番なんだよ!」

「何?」

 

 理由を問いただそうとする前にどんどん移動を始めていく束。移動しながら束はもしもの為にエミルを控えさせておくという方法も上げた。無人機を撃破した時から見ていたが、束は実力をもう一度この目で見たいと言うのがあった。今のスペックで勝てるかどうか怪しいと言うのも知っている。

 少し広いところに出た後、紅椿の機体が展開装甲であり、雪片二型を進化させたものらしい。

 とりあえず千冬は束の意見を了承する。エミルが出ると聞いてセシリアなどの代表候補生たちが自分もと立候補するが千冬がそれを却下していく。

 最終的な作戦は一夏と箒の二名による撃墜。ただ、実戦では不測の事態もあるため、その時はエミルが出られるよう、後ろに控える。ということで落ち着いた。

 作戦開始は三十分後。箒と束は紅椿の調整に、一夏は覚悟を改めて持ち直す。専用機持ちは千冬のもとに集まっている。ただ、エミルだけ全員の様子を少し離れたところから眺めていた。ただその表情からは何を考えているかまでは分からない。

決戦の時はもうすぐ。




 久しぶり過ぎて書き方とか全然思い出せなかった……。それはそれとしまして、これからも不定期が続きそうですがよろしくお願いします。
 予定ですが、アニメ一期(OVA込)で一度終了にしようと思います。また時間等があれば続きを書こうと思います。
 最後に、1ヶ月ほど前に活動報告にてちょっとしたことを載せたのでもしよろしければ見てください。マイナスのことではありませんので安心してください
 きっと後、五、六話で完結すると思います。
 これからもよろしくお願いします。
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