インフィニット・ストラトス~異世界に降り立つは魔王と呼ばれし精霊~ 作:ガーネイル
朝礼が終わり休み時間に入る。すると、他クラスの女生徒が教室に押しかけてくる。ここまでくるともはや動物園にいるライオンとかキリンとかと何ら変わらない。見世物に近いものを感じる。そんな中エミルと一夏は話していた。
「すごい視線だね。一夏がいてくれて助かったよ」
「いや、俺もエミルがいてくれて助かったぜ。この中に一人とかになったら肩身が狭いことこの上なさそうだしな」
「どっちみちこの環境で三年間過ごすんだよね」
「はぁ、勘弁してほしいぜ」
一夏が溜息と共にそんなことを言った時、一人の女生徒が近づいてくる。
「キャスタニエ、一夏を借りていいか?」
「箒?」
「うん。大丈夫だよ。えっと君は篠ノ之さんだったよね? 一夏の知り合い?」
「ああ、箒は俺の幼馴染みなんだ」
「そうなんだったんね。これからよろしくね、篠ノ之さん」
「あぁ、よろしく頼む。私の事は下の名前で呼んでくれ。苗字で呼ばれるのは好きじゃないんだ」
「うん、分かったよ。僕の事もエミルでいいよ」
「了解した。それでは、一夏を借りて行くぞ」
「じゃあ、一夏。またあとでね」
エミルは箒に連れられて行く一夏に対して手を振りながら見送る。一息ついたところで今度は他の女生徒が話しかけてきた。
「ちょっとよろしくて?」
エミルは声がした方を向く。
「はい。えっと、セシリアさんだったよね。何かな?」
「貴方、一人目の操縦者より見込みがありそうですわね。どうですか? 私とISで勝負をしていただけないでしょうか?」
「僕なんかでいいのかな?」
「どういう意味ですの?」
「ほとんどISなんて動かしたことはないし、とてもじゃないけど君の相手になるとは思えない」
最後の言葉に対してセシリアの眉がピクリと動いた。
「やはり、男性はどこもそうなのですね。失礼しますわ」
エミルは何故そう言われたのかよく分かっていなかった。もっとも女尊男卑が起きている世界ということを理解していないこともあるのだろうが。首を傾げた後、一夏と箒が帰ってきた。
「エミル、どうかしたのか」
「ううん、何でもないよ」
そしてチャイムがなった。
授業が始まった。エミルは入学前に渡された参考書をしっかり読んでいたこともあり、何とか授業に付いて行くことが出来ていた。もっともエミルは初めて学校と言うものを体験していてそれがうれしいというのもあり、張り切っている。が、隣に座っている一夏の顔は青かった。そんな時、真耶は一夏に声をかけた。
「織斑君、何か質問とかありますか?」
「えっと……」
一夏は何か言い淀んでいるが真耶はそれを介さず、笑顔で続ける。
「質問や、分からないところがあったら聞いてくださいね。何せ、私は先生ですから」
一夏は少し悩んでから手を上げる。
「先生」
心なしか声が弱い。
「はい、織斑君」
真耶はそれに対して笑顔で受ける。
「ほとんど全部分かりません」
声が震えきっていてもはや可哀想になるほどだった。
「全部ですか!? 今の段階で分からないっていう人はどのくらいいますか?」
真耶はクラス中に確認するが誰も手を上げない。
「エミルは分かってるのかよ」
「うん、何となくだけどね」
「まじか。ほんとに分かってないの俺だけなのか」
そんな時、千冬が一夏に声をかける。
「織斑。お前、入学前の参考書は読んだか?」
「あぁ、あの分厚い本ですか?」
「そうだ。必読と書いてあっただろ?」
「間違えて捨てました」
ズパァァン!!!
本日三度目の出席簿が炸裂した。
「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな?」
「いや、一週間であの厚さはちょっと無理が……」
「やれと言っている」
そう言った瞬間、千冬の目が光ったような気がした。ここまでくるともはや脅迫ではなかろうか。
「……はい、やります」
一夏は項垂れた。
「では続けます。次は……」
こうして授業は続いていった。
その後は何事もなく、進んで今は放課後。
「キャスタニエ、織斑。少し待て」
千冬は二人を止める。
「お前たちの部屋割りが決まった。これがお前たちの部屋だ」
そう言って部屋番が書いてあるカギを渡される。
「「分かりました」」
「以上だ。時間を取らせてすまんな」
エミルと一夏は教室を後にした。
エミルは少し食材を購入してから帰路に着いた。
結論としてエミルは一人部屋だったのだが、一夏は違い、箒と一緒だったらしく一悶着あったとか何とか。