第三次スーパー宇宙戦艦大戦―帝王たちの角逐―   作:ケット

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スターウォーズ/時空の結合より1年10カ月

 パルパティーン=ダース・シディアス皇帝は、「第二デス・スターの弱点を漏らし、皇帝自らが行幸してエサとなり、反乱軍をおびき寄せルーク・スカイウォーカーを手に入れる」作戦を、なかなか実行できなかった。

 肝心のルーク・スカイウォーカーがこの時空そのものから出てしまっている。

 そのことから、第二デス・スターは事故を装って工事を中止し、秘密裏に第三・第四デス・スターの生産を始めている。

 また、並行時空との戦いにもリソースを割かねばならない。

 

 戦力でも勝つのが困難な敵がある。

 それ以上に、精神を操る能力の気配があり、うかつに侵略を進められないのだ。

 

 味方面はしているが信頼していない、ピーターウォルドを名乗る勢力。

 その中には、精神力の強い者を強大なテレパシーで支配してとらえ、すさまじい拷問にかけて苦痛と生命そのものを吸い尽くすデルゴン上帝族(オーバーロード)もいる。

 反乱同盟軍だけでなく、パルパティーン帝国側の人間も何人も犠牲になっている。

 ほかにも人間型も、極低温の生物も、上帝族すらかわいらしく思える邪悪さ、加えて強大な科学力を持つ連中がいる。その思考波スクリーンはフォースによる心身の支配をかなり排除できるのだ。

 交易といいながら戦力を潜入させ、麻薬を売って暗黒街に食い込んでくるのがまた煩わしい。ジャバ・ザ・ハット死後の真空を埋めてもいるようだ。

 ピーターウォルド=ボスコーンとは敵対する、帝国内に潜入して奇妙な工作を行う者たちもいる。

 人の心を読み取り、ある種のテレパシーで意志を伝えあう。人間型とは限らず、視覚とは関係なしに周辺の情報を完全に手に入れられる種族もいる。

 その一人は奇妙なレンズを腕につけていた……分析も複製も不可能、着用者が死んだらすぐに消滅した。

 

 巨大帝国が崩壊したばかりの、切り取り放題と思えた銀河に侵入した艦隊にも奇妙なことが起きている。何人かの指揮官が感情を操作されて味方を誤った方向に動かし、粛清せざるを得なかった。

〈世界連邦〉と呼ばれる最大の星間国家にその能力者がいるようだが、まったく隠れた勢力も存在しているようだ。

 その時空の、シンナックス星にできたゲートからコロニー防衛軍と呼ばれる遺伝子改良人類の艦隊が押し寄せている。

 練艦隊との戦いも激しさを増している。どちらにも圧倒的な物量と人材があり、百年戦争になりそうな気配すらある。

 

 また、ホス星近くにできたゲートの向こうの、〈惑星連邦〉にも征服すべく多数の艦隊を送った。

 惑星連邦側はバルカン星にゲートがあり、艦船をゲート近くに集中して帝国の攻撃に抵抗している。

 ワープ速度こそ遅いが、火力が高く手ごわい。

 

 ボラー連邦も、ガルマン・ガミラス帝国とのはさみうちに苦しみながら激しく抵抗している。

 

 この状況は、たとえば五丈の軍師、師真なら「手を広げすぎだ、優先順位をつけろ」とあざ笑うだろう。

 だが、皇帝には絶対の自信があった。

 そして別の計画も動き出していた。

 

 

 ダース・ベイダー卿さえ存在すら知らぬ暗黒極寒の自由浮遊惑星に、ある日皇帝の姿があった。

 氷のマントルの深くに掘られた研究所には、多くの、クローンの頭脳をのせられたドロイドが忙しく働いている。

 部屋の一つには八人の、裸の男女が並んでいる。

 ジャンゴ・フェットが四人。

 恐怖に凍りつくほど完璧な、同じ顔と体の美女が四人。

 そばのドアが開き、奇妙なドロイドが飛び出す。

 四体の、デストロイヤー・ドロイドがリング形態から歩行形態に戻る。最新型、三本の脚には小型のジェットがついており、左腕のブラスターは装甲車に載せるような大型機関砲だ。

 身長250センチほどで相撲取りのように肥満した人間型が四体。ストームトルーパーのヘルメット、機械の細い手足。その巨大な胴体には、R2-D2の胴体部を黒くしたようなものが埋めこまれている。

 どちらも、帝国のどこでも知られていないバージョンだ。

 そして部屋の壁にしつらえられた、いくつかのカプセルが皇帝自らの手で開かれた。

 次々と裸の青年が立ち上がる。

 ルーク・スカイウォーカー。アナキン・スカイウォーカー。メイス・ウィンドウ。クワイ=ガン・ジン。ダース・モール。ドゥークー伯爵。ヨーダ。若き日の皇帝自身。

 皇帝がクローンたちに語りかける。

「お前たちは、先のプロトタイプとは違う。オリジナルより優れた剣士だ。ダークサイドのフォースもオリジナルよりはるかに強い。

 オリジナルより優れていると証明しなければならぬ」

 フォースによる指示か、ジャンゴ・フェットと美女一人ずつに二人のクローンが加わり、それにドロイドも一体ずつ加わって、四組のチームができる。

 皇帝が満足げに見回し、語り出した。

「ジャンゴ・フェットは記憶も遺伝子もオリジナルのまま、最高の賞金稼ぎで機知と機械操作にこの上なく優れる」

 美女のことはコメントしない。クローンなのかドロイドなのかもわからない。人間であればこれほど同じ顔と体、美しさはありえないと思われる。

「デストロイヤー・ドロイドR、自律型で短距離なら飛行でき、火力も強化されている。

 RDSの電子頭脳も助けになろうし、嗅覚や聴覚にも優れている。また人間の行うことをすべてこなすことができ、百倍以上の力もある」

 誰もうなずきもせず聞いている。石像のようだ。

「おまえたちは第二ファウンデーション、心理歴史学を見いだせ」

 メイス・ウィンドウとクワイ=ガン・ジンがうなずく。

「幼子クリストファー・キニスンを連れてくるのだ」

 スカイウォーカー親子……肉体年齢は同じだが……が不敵に微笑する。

「細胞活性装置」

 ドゥークー伯爵とダース・モールがひざまずく。

「〈黒の剣〉。タネローン。そして、〈天秤〉そのものを見出せ」

 ヨーダと、若きパルパティーンが笑った。

 そして深い岩を掘ったトンネルを歩き、宇宙港へ向かう。帝国が秘密裏に建造した、二機の高性能戦闘機を備えた超高速戦闘艇に乗り、浮遊惑星から飛び立っていく。

 ドゥークー伯爵が通り過ぎる際、皇帝は小さな紙片を握らせた。

 見送った皇帝は、洞窟の岩に思える何かを叩いた。

 それが開くと、人影が二人出てきた。

 一人は、深く眠っている手足が機械のストームトルーパー。それを支えるもう一人は、オビ=ワン・ケノービのクローン。

 命令はしない。

 皇帝が安楽椅子に座って目を閉じると、ストームトルーパー型の、半生体機械が意識を取り戻したように立つ。

 パルパティーン皇帝がそれを遠隔操作しているときは、皇帝自身は自分の肉体との接続が断たれるため、部屋に閉じこもるか眠りを装わなければならない。その間はパルパティーンの耳目・手足そのままとなり、ダークサイド・フォースもそのまま使えるのだ。

 二人はそのまま別の、きわめて高いステルス性のある戦闘艇で去っていく。

 

 

 そのころ、惑星バルカン……地球人から見ればエリダヌス座40番星では、艦隊が激しく戦っていた。

 円盤型の本体、背後に二本の太い平行棒状ワープナセルを引く戦艦が12隻。ミレニアム・ファルコンにも似たデファイアント級も7隻。

 それと、スター・デストロイヤー60隻の艦隊。

 数は不利に見える惑星連邦側だが、量子魚雷の圧倒的な威力と地の利がある。フェイザーですら、スター・デストロイヤーなら破壊できる。

 何より、いくら広いとはいえ帝国側は、ゲートという制限がある。

 超光速航行速度は帝国のほうが圧倒的に早いが、ハイパードライブに入る前に量子魚雷を受けて轟沈する。

 また、惑星連邦は補給にも利がある。首都の一つである惑星バルカンは無尽蔵の設備があり、量子魚雷の補給にも不自由はない。

 それに対して、ホス星は同盟軍を攻撃し、その後ゲートが発見されて基地を作り始めてはいたが、もともと人類の居住は不可能に近い寒冷星。大艦隊を動かす基地としては決して適してはいない。

 

 惑星連邦から見て運がよかったのだ。ゲートが開いたのが無人の星や、艦隊の誓いで保護されている未開の星、軍事を軽視する価値観の文明を持つ連邦未加入星だったりしたら、大艦隊で橋頭保を作られ本格的な侵攻が始まっていただろう。

 まあ、帝国も運がよかった。ボーグや、もっとたちのわるい住民のいる星だったら……

 首都の一つである惑星バルカンだったから、惑星連邦は即座に対応できた。

 帝国側から見ると、反乱同盟軍が帰ってきたら叩くため哨戒していたごく小さな艦隊がゲートを発見し、侵入した。

 惑星バルカンの側の艦は、ゲートという奇妙な現象を慎重に調査していた。

 帝国艦は服属を要求して攻撃した……内部に兵員を転送されて拿捕され、多くの情報を先に取られた。そして帝国側はホス星の、同盟が放棄した残骸も利用して基地を作り、艦隊を増やし……今のところは逐次投入各個撃破の状態になっている。

 

 帝国側の方面軍司令官は、それでも楽観していた。

(逐次投入をやらかす愚者と見せて敵を油断させ、何万隻もの大艦隊で圧倒する)

 計画はできていた。

 ホス星には大車輪で膨大な資材が運ばれ、混乱している……遮蔽された船なら、そこにもぐりこむこともできる。

 

 惑星連邦側……キャスリン・ジェインウェイ提督も敵の計画は読んでいた。

「敵のコンピュータや捕虜から情報を得たわ。敵帝国の戦艦保有数は万単位。いくらキルレシオ20対1でこちらが有利とはいえ、敵が本格的に大軍を投入したら橋頭保を作られ、そこから本格的に侵攻される」

 単艦で銀河を横断した名物提督の言葉には、強い説得力がある。

「そう、あなたたちの言いたいことはわかる。それでどうするか、よ。

 私が考えているのは、これよ」

 ジェインウェイが画面を動かし、宇宙の虚空に浮かぶ冷蔵庫を指さした。強力なシールドに何重にも包まれている。

 ジャン=リュック・ピカード艦長が、激しく席を蹴った。ほかの艦長たちも、衝撃に凍りついている。

「そう、ボーグの破片。今は厳重に封印されている。

 これを戦利品として敵に与えれば、敵の帝国を内部から破壊することができるわ」

「それが、何兆人の、死より悲惨な運命につながると思っているのですか?別の時空の、敵であっても、非人間型エイリアンでも。そして、敵の帝国を食いつくした何兆人ものボーグが押し寄せてくる……その時こそわれわれの最後です。

 また、相手がもしボーグを抑えきってしまったら、報復のリスクもある」

(私が敵の皇帝なら、そんなことをした敵は皆殺しにする!)

 ピカードの声は、誰もがぞっとするほどの冷静さだった。

 その、視線だけで人を殺せそうな怒りと悲しみを、ジェインウェイは正面から受け止めた。

「考えてもみて?ピカード艦長、あなたは並行時空はあの帝国だけだと思う?」

「いえ」

 記憶がよみがえっているピカードは、即座に否定した。

「なら、時間を稼ぐ。別の並行時空と接して戦力を得る。そして戦う。

 今、敵軍が大艦隊をゲートの反対に準備していると仮定して、これ以外に時間を稼ぐ方法はある?」

 ピカードの頭脳は激しく回転していた。

 ノーノーノー、心の激しい絶叫を抑える。

(データがここにいたら)

 今は亡き親友を思い出し、その冷静さをもらおうと必死で自らを抑えた。

 何か代案を出さなければ、恐ろしい計画が実行されてしまう……

(並行時空……タイラー提督はワープの余波を兵器とした。敵の密集した大艦隊を、それで粉砕……いや、バルカン星にも被害が及ぶ……)

「会議中申し訳ありません、大至急報告します」

 後方を哨戒していた、戦艦タイタンのライカー艦長が通話してきた。

「敵艦隊に混じってこの時空に侵入した、帝国とは違う勢力と名乗る高度な遮蔽装置を持つ艦を捕らえました。こちらの責任者との対話を望んでいます。

 ……古き戦友です、ピカード艦長」

 満面の笑顔。

「〔UPW〕のヴァニラ・H(アッシュ)少佐です!」

 激しい怒りと悲しみから一転して喜びの嵐に包まれたピカード、だがぎりぎりで自制し、ひたすら上官の目を見つめている。

 ジェインウェイが、にこっと微笑した。

「こちらにご案内して、大至急」

「はいっ!」

 ピカードも笑顔を浮かべる。

 

「はじめまして、並行時空のおかた。現在この戦場を指揮している、惑星連邦宇宙艦隊中将キャサリン・ジェインウェイ」

 ジェインウェイの迫力は強烈だ。

「はじめまして、〔UPW〕全権大使、ヴァニラ・Hです」

 ヴァニラ・Hの美しさと、雪像のような静かさが皆に、ただものではないという感じを与える。

「同行していただいた、銀河パトロール隊のグレー・レンズマン、クリフォード・メートランド。同じくレンズマン、〈百世界〉のアンドルー・ウィッギン提督。

 元自由惑星同盟のバグダッシュ退役中佐。

 途中から、独自の外交のために同行を求められた、反乱同盟軍のプリンセス・レイア・オーガナ」

 腕にレンズを輝かせ、グレーの制服に身を包んだメートランドもたくましい肉体と豊富な実戦経験をマグマのように放射している。

 傍らの、壮年期の男はもの静かだが、桁外れの知性と人格の深みはわかる。

 バグダッシュだけ、少し違和感がある。ひげも弱い印象を与え、やや斜に構えた態度だ。だが、見る人はその仮面の奥も見通している。戦後、バグダッシュはオーベルシュタインやケスラーの招聘を受け、ヤンにも力を発揮するよう勧められた。だが彼は丁重に辞退し、〔UPW〕に行った……シェーンコップらと同じく、ローエングラム帝国の敵にならないと誓約して。

 レイア・オーガナも美しさだけでなく、ジェインウェイ提督にも迫る迫力がある。

「お目にかかれてうれしいわ。でも私たちは、あの帝国と戦争中。もうすぐ大艦隊が押し寄せてくると予想している。ついでにあなたたちのことも、当然疑っている」

「当然のことですね」

 ヴァニラ・Hには動揺はない。

 メートランドがレンズを出そうとして、ひっこめる。

(レンズでこちらが真実を言っている、と伝えても、心を操る超能力、と思われるだけだな)

(はい)

 並行時空の結合以来、レンズマンたちはレンズを、銀河パトロール隊を知らない世界とも隠れて交渉してきた。経験は積んでいる……レンズの能力を知ったら、まず攻撃する者も多いのだ。

「ざっとだけど、手紙は読んだわ。〔UPW〕の方針は素晴らしい。反乱同盟軍との接触もうれしいことです。至急、最優先で艦隊・連邦上層部に伝えます。

 でも、私たちにとって重要なのは、今のこの戦いよ。時空間の侵略、無差別殺戮は防ぐ方針、なら、助けてくれるわね?」

 ヴァニラ・Hは静かにうなずく。

「プリンセス・レイアからうかがっています。あの帝国は惑星ごと、何億もの人間を殺戮しています」

 家族と故郷を奪われたレイアの目は、この上なく雄弁に真実を語っていた。惑星連邦の士官たちは恐怖をこめて視線をかわす。

(ピカード艦長からヴァニラ大使へ。ジェインウェイ提督はボーグを使うつもりだ、させないでくれ、と)

 エンダーがレンズで中継する。

「力はあります」

 ヴァニラ・Hの言葉に、エンダーが強い罪悪感を押し殺したのをピカードは雄弁に感じた。

「分子破壊砲(ドクター・ディバイス/マッド・ドクター)。シールドを無視し、焦点を結んだところに大質量があれば、そこから分子のつながりを連鎖的に壊します。近距離にいる艦も破壊されるので、固まってゲートを抜けようとする大艦隊をまとめて破壊できます」

 切り札はそれだけではない。〈影の月〉……何十門もの波動砲とバーゲンホルムを搭載した、不可視の巨大機動要塞の量産はもう始まっている。そしてバーゲンホルムを応用すれば、不毛の惑星をぶつけることすらできる。

 ジェインウェイはにっこりと笑った。

「それなら安心して、代案を考えられるわね。武力によらずに勝つ方法はない?」

 ピカードや、ヴァニラ・Hやエンダーの目が輝く。特にその三人がもっとも言ってほしいことを言ってくれたのだ。

 今ゲートの向こうで準備をしている大艦隊だけでも、一千万人近くを殺戮することになるのだから。

 だが、ウォーフなどは失望を表情に漏らした。戦友を失い復讐を誓った士官たちも。誰よりもすさまじい実戦経験を誇るジェインウェイでなければ、とても言い出せないことだ。

「よろしいでしょうか?」

 エンダーが静かに発言許可を求める。ジェインウェイが柔らかくうなずいた。

「こちらに向かうとき立ち寄った、大帝国が崩壊し無政府状態にある時空があります。そこでの、数十年前のできごとです。

 崩壊しつつある帝国で、ベル・リオーズという将軍が地方の強力な勢力を征服しようとしましたが、無実の罪で処刑されたそうです。

 本人はよき武人だったそうですが、本人の内心は関係ありません。皇帝の立場で考えれば、将軍が豊かで広い地域を征服してより強くなり、反乱を起こす実力を持つだけで、処刑しなければならないのです。強い皇帝と強い将軍はともに存在できないのです。

 強い皇帝が自分で親征すれば、その時は空白の首都を別の誰かが奪います。

 弱い皇帝と強い将軍なら、将軍は帝位というより大きな戦利品をめざします。

 同様の状況を作り出せば、別時空の征服は困難になるでしょう」

 ファウンデーションを帝国から守った、心理歴史学によって構築された罠である。エンダーは心理歴史学についても、相当な洞察をしている。もともと数学にも優れた天才児である。新しい肉体を作り、その一部となった高度なコンピュータは桁外れの演算力を持つ。そして、今は隠しているが第二段階水準のレンズの力で自らの知性とコンピュータの記憶・演算能力を整理している……ほかの直結者には不可能なことだ。

「それは私の仕事ですな」

 と、バグダッシュがエンダーとうなずき合う。

 ジェインウェイは二人を見て、莞爾とうなずいた。

 十代の若さで、ネットの書き込みだけで世界を操った兄と姉を持つエンダー。彼自身も同等の知能を持つ。三つのベストセラーの書き手でもある。

 言葉の力、そして人が何を求め、何に弱いか、何が真実かを洞察し物語を紡ぐ能力……人を深く共感し理解する能力。〈死者の代弁者〉として人々を傷つけつつ救うこともできる能力だが、策謀にも使える。

 彼が救い手であり、また〈異類皆殺し(ゼノサイド)〉の異名を持つ人類史上最高の将軍でもあるように。刃物は命を救うメスにも暗殺にも使えるように。

 さらにレンズマンの能力があるのだ。要所の人間に、気づかれずに本来とは違う思考を書きこみ、言葉を発させることもできる。小さな足踏みで雪崩を起こさせるように、人間集団を操ることもできる。

 それがバグダッシュと組むのだから、敵が気の毒というものだ……だが、そのおかげで、分子破壊砲で艦ごと汚泥にならずにすむ者が何百万人といる……

 

 ピカードもヴァニラ・Hも、そしてジェインウェイも、心底ほっとしていた。

 そしてエンダーも、友が自分と同じ罪悪感に苦しまずにすむ希望に胸を熱くしている。

 その共感力によって、家族より深く理解し愛するようになった帝国の提督を、容赦なく陥れる痛みは覚悟の上だ。記号でしかない一千万人を殺すよりも、辛いかもしれないが。

 

 

 皇帝は、並行時空の征服に向けた大提督たちの反乱のうわさが流れ、更迭によって計画に崩れが出始めたことで、恐ろしい敵の存在を洞察した。

 

 また間もなく、反乱同盟軍の一部が大幅に武装が強化され、同盟から離反した。その勢力は民間人に対する無差別攻撃も行い、宇宙海賊化している。 

 それ自体は同盟軍のイメージを下げ、宣伝上有利になるが、被害も大きい。

 

 また〈ファウンデーション〉時空で、シンナックスのゲートから突然、緑の改造人間の背後から奇妙なエイリアンが出現した。それは出身を問わず周辺の人類を皆殺しにしつつ急速に拡大し、帝国艦隊すら壊滅させた。

『☆』のような形の艦で、空間跳躍が巧み。探知不能な距離から直接、シールドを無視して艦の外壁近くに出現し、奇妙な何でも溶かす物質で壁を破り、中に侵入して次々と人間を襲う。

 その姿は、クモヒトデに似ている。60センチほどの塊から、5メートルほどの鞭のような触手が五本伸びている。

 ストームトルーパーでさえ、反撃はろくにできない。鞭のような触手でターザンアクションをするように、音速に近い速度で移動し、壁を溶かす。柔らかな見かけと違い、表面は頑丈で細かい装甲版で守られており、ブラスターにすら耐える。

 人に覆いかぶさったヒトデが胃を反転させると、人はドロドロに溶けてしまう。どんな装甲を着ていても、裏のいたるところから出てくるとんでもない力を持つ小さい管足に引き裂かれ、わずかな隙間からでも死の液が侵入する。おぞましいことに意識があるまま溶かされるのだ。

 その溶けた人体の一部は吸収されて食物になり、残りは表面に膜ができて、奇妙なほど保存性の高い塊になる……そこには数万の卵が産みつけられ、数日で無数の幼体が出現する。

 また、その星型の体のあちこちからは何千と細長い管足があり、驚くほどの知能で機械を操作する。宇宙なら事実上無限に手に入るメタンを代謝する生物を培養・加工して食物とし、膨大な子を育てることもできる……だが、成体はその食物を好まず、異星人を食べたがる。

 言語による交渉は一切できない。

 コロニー連合にとって、特に恐ろしい敵の一つだった。なぜそれが急速に勢力を伸ばしたか……

 

 そして帝国のある時空の中で、隣の銀河からユージャン・ヴォングという戦力が攻撃を仕掛けてきた。

 

〔UPW〕は、反乱同盟軍には技術を供与していない。渡したのは別の時空への、紹介状だ。残虐な海賊と化した、反乱同盟軍の反乱者のことなど知るはずもない……帝国の陰謀だ、という考え方が同盟幹部の間では支配的だ。

 まして、コロニー連合に替わって出現した殺戮者やユージャン・ヴォングのことなど知るはずはない。

 アリシア人は知っているかもしれないが、第二段階レンズマンたちもその指示は受けていない。

 

 ダース・ベイダー卿やスローン大提督は激しい戦いに奔走していた。

 だが、皇帝はそのすべてを冷然と嗤い、遠い未来を見据えていた。

 

 




スターウォーズ
海軍士官クリス・ロングナイフ
レンズマン
ファウンデーション
スタートレック
エンダーのゲーム
老人と宇宙

ヒトデ型異星人はオリジナルです。〈老人と宇宙〉時空にはそれぐらいいてもおかしくないですが。

スターウォーズ対スタートレック、もっとも豪華な対決があっさりしてしまいました。
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