第三次スーパー宇宙戦艦大戦―帝王たちの角逐―   作:ケット
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*クモは野尻抱介「大風呂敷と蜘蛛の糸」(『沈黙のフライバイ』所収)からアイデアをお借りしています
*ラドチは男女を区別しません。ラドチ語では会話・心中問わず「彼女」「母/娘」「姉/妹」です


ラドチ/時空の結合より3年2カ月

 第一次タネローン攻防戦で、故郷時空から遠く離れたところで戦い抜いた別動隊がある。

 ミレニアム・ファルコンに乗ったユリアン・ミンツ、ルーク・スカイウォーカー、クスハ・ミズハらだ。

 彼らはクロガネ隊と合流して任務を果たし、遠い味方の勝利に貢献した。

 だが来た道は閉ざされた。別の時空に出た……そのゲートはルークのフォースで探知され、クロガネがアルカディアのキャプテン・ハーロックからもらっていた装置を用いることで一度だけ使える一方通行のものだ。

 いくつもの時空を経由して帰る、長い旅が始まった。

 

 隊は無人の、ただしレンズでも意味のある交信ができない宇宙生物群体のいる時空を経由し、別の時空にたどりついた。

 ちなみにその生物は、管足と出糸器官をもつクモのような動物だった。

 生化学がかなり地球生物と異なる。きわめて強靭な糸を出し、硬皮と乾燥休眠で長期間の真空に耐える。

 一ミリもない幼子が何億も、親がつけてくれる糸を風に乗せて高い空に上がり、惑星周辺の電磁場に糸をさらし電位差を利用して大気圏外まで出る。そこで糸を太陽帆として遠い宇宙に旅立ち、別の惑星に至る……大きさが小さいし糸をまとっているので、燃え尽きずに大気圏を降り、海に達することができる。

 海に至れば、共生する何種類かの藻類の胞子を放出して生命を増やし、それをエサに自らを増やし、大きくなる。そして生命力のすべてを繁殖と、膨大な数の卵と糸を作ることにつぎこんで子孫をまた宇宙に旅立たせる。無論億どころか兆の兆倍に一の超r戦略、数撃ちゃ当たる繁殖。

 一切知能を使わず、進化と共生、r戦略だけで宇宙を制覇した生物だ。

 それは間違いなく、帝王たちからみれば愚劣すぎる存在だろう。だが人間……帝国を築く知的生物のような過ちを犯さず、多様に進化しながら増え続け、生き続けることができる。

 宇宙そのものの寿命に至るまで、惑星の寿命さえこえて……

 

 

 552メートルと、ヤマトと比べれば大型であるクロガネの施設を利用することで、一行の生活水準は大きく上がった。

 指揮官のレーツェルとユリアンが競うように料理の腕をふるう。

 またクロガネにとっても、ミレニアム・ファルコンが積んできた惑星連邦直輸入の本物レプリケーターは夢のまた夢だった。

 部品も作れる。食事も作れる。

 

 大型艦では艦内整備工場と運動場が大きく拡大され、多くがひたすら剣をふるっていた。

 皆が見て、超常能力すら使って魂に刻みこんだ『神剣』。「一なる三者」と魔神の王を越える存在の、終わりなき剣戟から学びつくした剣術の極み。

 あらゆる順列組み合わせで、また一人で必死で学んだ。

 ルーク・スカイウォーカーにとっても、その新しいフォームは底なしに学べるものがあった。以前のジェダイたちの、オビ=ワンやヨーダに学び、また父が見せたフォームの意味もより深く知った。といっても、

(ジェダイたちは袋小路に入っており、その『神剣』に至ることはできなかっただろう……)

 そのことも理解できた。

 ジェダイの剣術と魔を断つ練操剣の統合も進んだ。

 また、『神剣』を活かすための剣もつくった……ゼッフル粒子があるので、ライトセイバーは使えないことも多い。

 フォース伝達物質を混ぜたスマートメタル製。普段は3キログラムほどで、どんな形でもすぐ手にできるところにあればいい。ベルトでも、腕カバーでも、なんでも。

 それが瞬時に、柄に滑り止め加工がされた一体成型の、全長1.1メートル・柄47センチの両手剣となる。柄を長くしているのは、斧の技法が使えるように。

 ユリアンやシェーンコップは斧に慣れすぎている。だから剣術を一から練習しなおした。斧を極めていれば、剣術の極みにも容易に移ることができた。

 

 また、ミレニアム・ファルコンが持ってきたドローン技術・レプリケーターなど、またクロガネが独自に鹵獲していたバルマー系・アインストなど様々な敵の技術もクロガネ内の修理工場でかけあわせた。ユリアンの第二段階レンズはそのためにも役に立った。

 時空の壁を越えるレンズ通信であれば、〔UPW〕の最新機の設計図も手に入る。それをレプリケーターで部品を作り、組み合わせることは可能だった。

 ユウキ・ジェグナンらも旧式機を大きく改造している。

 

 

 クロガネ隊が次に訪れた星には、明らかに高度な文明があった。

 情報量の多い居住可能惑星には、大規模なステーションを備えた軌道エレベーターがある。

 数隻の巨大艦船が遊弋していた。

 調査精度を上げるため、高ステルスのバーゲンホルム入り小型無人器をあちこちに送る。

 地上をスキャンしたデータを見て、ユウキ・ジェグナンが叫んだ。

「茶畑!」

 

++++++++++++++++

 

 わたしはブレク。

 ブレク・ミアナーイ、アソエク星系艦隊司令官、〈カルルの慈(めぐみ)〉艦長という公的身分をもって、ここアソエク・ステーションにいる。

 わたしは艦船だ。兵員母艦〈トーレンの正義〉の唯一残されたかけら。1エスク19。属躰(アンシラリー)。

 今は待っている。

 殺害された通訳士ドゥリケにかわる、蛮族(エイリアン)プレスジャーからの次の使者を。

 人類より圧倒的に上の技術を持つプレスジャーは、あっさりと全人類を皆殺しにするかもしれない。通訳士はできる限り弔ったが、相手がそれを考慮してくれるかどうかはわからない。相手は人間ではないのだから。

 分裂したラドチ帝国皇帝アナーンダ・ミアナーイの、わたしをこの職に任命したのではない側が、ツツル宮殿を落としたときく。わたしはどちらの側も憎んでいる。

 そちらの艦がもう数日で来るかもしれない。歓迎しなければ。銃で。

 アナーンダ・ミアナーイは、ラドチ圏内に多人数いる。殺し合いで減っているだろうが。全員同一のクローンであり、生まれてすぐ脳にインプラントを入れられ、同期によって同じ人格を持つ。その内部で分裂が起き、何百年も暗闘していた。わたしのちょっとした行動がきっかけで、彼女の内部での対立が表面化した。

 

 加えて、ステーションのアンダーガーデン……前から無法状態になり、迫害された被征服民族であるイチャナ人たちが不法に居住していた……から、ノタイ……はるか昔アナーンダ・ミアナーイと戦った勢力……の艦が、属躰が発見された。

 

 そんなときに、その戦艦は出現した。

〈カルルの慈〉から大量のデータが伝わる。

 完全な未知。

 ラドチ帝国艦ではない。ノタイでもない。

 プレスジャーでも、ルルルルルでも、ゲックでもない。(注:三つとも蛮族(エイリアン))

 艦首に巨大な、らせん状の構造物がある。大気圏内艇のような翼がある。

 その横に小型の、円盤状の小艇が飛んでいる。そちら側から連絡がきた。

「こちらはミレニアム・ファルコン、船長ハン・ソロ。随伴艦はクロガネ、艦長レーツェル・ファインシュメッカー。

 われわれは、並行時空からやってきた者です。

 ミレニアム・ファルコン同乗の〔UPW〕全権使者、ルーク・スカイウォーカーが代表してご挨拶します。この星系の責任者、知的生物の代表者に、面会をお願いします」

 ラドチ語。放送に近い抑揚。

 すでにこちらの情報を相当手に入れている……おそらくはこの星域に着いたのはそれなりに前で、われわれの目から隠れて情報を入手し、分析し言葉を学んだのだろう。

 あるのに見えないもの。それはわたしが座っている収納兼用ベンチの中にもある。人間の目には見える箱と中身の銃と弾倉、それは艦船やステーションのスキャナーには、見えない。正確には、どのAIもどうでもいいものと判断してしまう。

 恐ろしい相手ということだ。この銃をもたらしたプレスジャーと同じく。

 

 副官セイヴァーデンが走ってきた。

「入りなさい」

 カルル5が茶を用意する。彼女の緊張がわかる。ほかの兵員の緊張も。

「艦に案内しなさい。ジアロッド総督もお呼びして」

 副官は言いたいことを大量に押し殺し、

「はい、艦隊司令官」

 といった。

 

 

 カルル5が用意したのは、純白の器だ。オマーフ宮殿で、わたしに地位を与えたほうのアナーンダ・ミアナーイからもらってきた最上のものだ。

 ジアロッド総督が無表情だが感心している、そのことが〈慈〉から知らされる。

 

〈ミレニアム・ファルコン〉を名乗る艇は、〈カルルの慈〉のハッチのそばに静止した。ボー6が操縦技術に感心する。

 当直のドクターが出迎える。

 4人。高度なバキュームスーツを着て艇から降り、エアロック内で着替えた。

「武装解除の必要はない」

「でも」と、セイヴァーデン。

「礼節を忘れるな」

 正義、礼節、裨益(ひえき)。ラドチャーイの道徳。あの暴君は人々を押しつぶして裨益であると言い、わたしは……艦そのものも、多数の属躰も……暴君の手先として数えきれない人を殺し、傷つけてきた。傷つけたというのはへりくだりにもほどがある。

 セイヴァーデンの怒りと恐れが伝わってくるが、彼女は従う。

〈慈〉のスキャンが伝わる。

『ひとりはインプラントがありません。ひとりは多数のインプラント。ひとりは手首から先、ひとりは指がインプラントです』

 なるほど。それがどの程度の脅威なのかはわからない。属躰であるわたしは生身の人間に比べ高い運動能力を持ち、なんでも1.1メートル貫通できる銃を服の下に隠しているが、それで勝てるかもわからない。最悪を前提にしよう。

 わたしはエアロック前に迎えに出た。カルル5が服を完全に整えてくれた。今彼女は茶の準備をしている。

 アマート1と3はひそひそ話をしている。ティサルワットは、通信できない艦があることに強い違和感を感じている。わたしと同じく。〈カルルの慈〉と同じく。

「歓迎を感謝します。ルーク・スカイウォーカーです」

 若く、手袋をはめている。ラドチャーイの礼儀を学んでの事か、それとも義手を隠すためかはわからない。

 インプラントのないレーツェル・ファインシュメッカー。

 指がインプラントであるユリアン・ミンツが、特に多くのインプラントをもつジョー・シマムラを制止している。

「さっそくお茶はいかがでしょうか?成分を伝えます。あなたがたがどのようなものを喜ばれるか、わからないのでそれから始めたいのです」

 と、サンプルとして試験管に入った高級茶、『魚娘(さかなむすめ)』を渡す。

「ありがとうございます」

 礼を言ったレーツェルが、エアロックに一度戻り、艇の者にサンプルを渡した。

 わたしは艦を失ってひとりになり、ラドチャーイが少ない星々をさまよってきた。当たり前だと思っていた文化を持たない人がいる。違うものを食べ、違うやり方で食べる人がいる。

 その人たちを理解する、併呑して正しい礼節を教えるのではなく。その人たちが何を怖がるかを理解する。何を怖がるだろうか考える。経験を積んできた。

 エアロックを警備しているアマート3が、相手の艦の中をのぞいた。中にいた相手側が、わたしを見てすさまじい衝撃を受けたようにくずおれている。ジョーが通信を受け、わたしを見ている。衝撃と、桁外れの怒りと、別の誰かに強いられた自制。

 

 彼女らは、異質ではあるがよいマナーで茶を楽しんだ。

 そして相手も招待してくれた。礼節を理解するほどに、こちらの情報を得ている。

「あなたがたに先に知らせておきたい。わたしは、この時空のすべての知的存在の代表とはほど遠い。人類だけでも、いくつかに分裂している。さらにいくつかの、人類とは異なる種族もある」

 調べは済んでいるかもしれないが。

「お知らせいただき、ありがとうございます」

 ユリアンという、指がインプラントであり、手首に大きな宝石のはまったリングをつけている者が主に応対する。

『彼女が言葉を理解し、通信で通訳しています。ユリアン以外は耳につけた小さい機械で情報を受けています』

〈慈〉が伝えてくる。

「最近多くの、それぞれ別々の文明を持つ時空がつながる現象が生じました。別の歴史。こちらのみなさまとわれわれのように、同じ人類であることも多いのですが、まったく別の種族が支配する時空もあります。教えていただいたこちらのように、ひとつの時空に多くの種族があることもあります。人々が争っていることもあります。

 われわれは、以前から多数の時空とつながるトランスヴァール皇国が創設した〔UPW〕の使者として、あちこちの時空をめぐっています。今は本国とは情報をやり取りできるだけです。

 閣下が所属する勢力だけでも、〔UPW〕への加入をご検討いただければ幸いです。

 同盟の段階が高まれば、互いに技術を共有し、かつ相互に援軍を送ることも可能ならします。

 基本方針は虐殺・拷問の禁止、最低限の生存保証、技術水準の向上とそれに必要な研究の自由。

 技術をかけあわせること。複数の時空で開発された、原理の異なる主砲を束ねることで桁外れの威力になったことがあります。超光速航行と、医療技術を交換したこともあります。

 文化の交換も大きな価値を生み出すものです。このお茶の品種だけでも、星系を買える富となるでしょう。

 一つの時空内でどの勢力が政権を取るかに干渉するつもりはありません。

 また、われわれは別の勢力とも交渉したいので、紹介していただけることを望みます。こちらが別勢力と交渉するのを監視したければ、協力いたします」

 申し分はない。

 人間には違いないが、ラドチャーイではない……以前であれば、併呑の対象となる。

 ここ三百年ほど方針は変わっているが、ツツル宮殿を押さえたアナーンダ・ミアナーイは、元の方針に戻そうとしている。

 もちろん、プレスジャーやルルルルルがこの勢力をどうするかは知りようがない。

 このようなときに。

 ラドチャーイは、偶然という考え方にはなじまない。なんであれすべて神意と考える。

「その上で、厚かましいのですがお願いがあります。歌をいくつか、覚えていてほしいのです。

 われわれの仲間が、宇宙を探査していた時にこのようなことがあったのです……

 機械の入った小さなカプセルを拾い、それには笛と曲があった。超光速航行技術がない星が、母なる恒星の爆発で自らが滅びることを知り、文化だけでも残そうと余力のすべてを尽くしてカプセルを打ち上げた……

 われわれ〔UPW〕が多くの時空と交渉しようとし、また相互移民・交易に励んでいるのには、最悪でも何かをどこかに残そうという思いもあるのです」

 歌。

 わたし、〈トーレンの正義〉はいつも歌を口ずさむことで知られていた。歌を集めることで知られていた。そこまで調べたのか。

 そして、わたしをこの職に任命した側のアナーンダ・ミアナーイは、ある古い歌をわたしを支配するためのアクセスキーとした。

 まさか

「失礼、その意図はありません」

 あわてたように、ユリアンがいった。

 わたしを支配したければ、いつでもできるということか。

 ジョーが激しく動揺している。表情が。

 

++++++++++++++++

 

 003は、すさまじい衝撃を感じていた……その情報は瞬時に00ナンバーに共有される。

 最初は、ブレクという司令官の体内を見てサイボーグだと思った。

 他の兵士もかなり、体内に機械を入れている。

〔UPW〕もある程度、体内機械が普及しつつあるとも聞いている。

 だが、001は恐ろしいことを告げたのだ。

「コノさいぼーぐギジュツハ、カイゾウシュジュツノトキノ、ホンニンノジンカクヲ、カンゼンニコロス。カンノAIノタンマツトスル。

 レイセイニナレ!デキタカラシタ、ソレダケダ。ぶらっくごーすとモ、ソレガデキナカッタダケデ、デキタラヤッテイタ」

 00メンバーは001以外、

(この時空の全人類を皆殺しにしてやりたい!)

 というほどすさまじい怒りを抑えている。ユリアン・ミンツも、レンズで001とも話して情報を共有し、009を物理的にも押さえてくれている。

 

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 わたしは返礼招待を受け、〈クロガネ〉を訪れた。

 同行したセイヴァーデンとカルル5は驚いた。

 茶がある。適切に発酵させた、赤い茶が。

 アナーンダ・ミアナーイのコレクションにもない、すばらしい茶器。茶の香りと味を引き出す、素晴らしい腕。

 ジアロッド提督も、名家の出であるセイヴァーデンも深く感動した。

 この品種の種。この茶器。他では絶対に手に入らない。素晴らしい。

 星系が、いやラドチの13領域のふたつぐらいは軽く買える。

 彼女たちの自己紹介を聞く……彼女たちは、聞かれたことにはとても率直に答える。それだけわたしたちの信頼を求めており、率直であろうとしている。

 ほしい。

 彼女たちの助力が。協力が。

 カルル5が、とてつもない眼福に、自分以上の茶を淹れる技量に打ちのめされているのが伝わる。

 だが、艦隊司令官としても見なければならない。

 ラドチャーイとは違う機能的な艦。見せてもらったのが、とてつもなく大きな人間の姿をした機械兵器。

 前方投影面積・部品点数を考えると愚かとも思える。だが、損傷を受けた属躰を遠隔操作する要領で用いれば……大きければより多くの強力な火器を搭載できるだろう……

 

 もっと驚かされたのが、R2-D2、C-3POという、人間に近いサイズの動く機械がいることだ。驚くことにC-3POは人間に似た形である。

 わたしの時空では発達しなかった、人間と同じ大きさで、人間と同じように動く機械。

 量産できれば、属躰は必要ない。併合された低賃金労働者も。兵士も。

 

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〈クロガネ〉艦長のレーツェル・ファインシュメッカーは、本名エルザム・V・ブランシュタイン。コロニー軍閥の名家の長男だ。美食家であり、優れた料理人である。将としても、人型機操縦者としても、白兵戦でも優れる。

 DC出身のユウキ・ジェグナンは「紅茶王子」の異名を持つほど紅茶にこだわる。

 ユリアン・ミンツも、亡き実父が紅茶の達人と知られており、本人も名人の腕を持ち養父ヤンを深く満足させたという。

 ブランシュタイン家の財力に飽かせた茶器も多数ある。

 シェーンコップも亡命貴族であり、茶器をかなりの数ミレニアム・ファルコンに積んできた。

 ユリアンもシロン産の茶葉や、デビルーク・アースから送られてきた超貴重品、トランスバール皇国産などたっぷり持ってきた。

 というわけで、あちこちの時空の紅茶や茶器がかなりの数ある。

 ついでにわずかに質は落ちるが、レプリケーターで複製することもできる。

 

++++++++++++++++

 

 それから、ジョーとユリアンのふたりが、わたしの近くにいたいと申し出、わたしは許可した。

 こちらに興味を持った、あるいは彼女たちが投げたオーメンから読んだのか(注:ラドチャーイの占い。コインのようなものをばらまいて、散らばったパターンを読む)。

 

 

 まもなくやってきたプレスジャーの通訳は、〈クロガネ〉にも興味を持った。

 わたしも同行して艦内を回ったが、そのときに通訳は面白い反応をした。

〈クロガネ〉の多くに対し、まるで人類とは違う別のもののようにあいさつしたのだ。

 ユリアン。イワンという幼児。アルフィミィという子供。

 どれも、人間とはかなり違うらしい。

 明らかに人間とは異なる、毛むくじゃらの種族もいた。

 また、いくつかの巨大人型戦闘艇にも、普通の個人戦闘艇にも、まるで独自の種族であるようにあいさつした。

 サイバスター。ヴァルシオーネR。龍虎王。紋章機。

〈クロガネ〉が積んでいる、普段使っていない端末そのものにも。

〈ミレニアム・ファルコン〉が積んでいる、AIで動く機械……R2-D2、C-3POにも。

 そのすべてが、それぞれ違う種族だ、と。

 プレスジャーの通訳士はほかにもさまざまな奇行をする存在であり、その行動も奇行の一つと誰もが無視した。人の姿をしているが……牡蠣を殻のままのみこんだり。魚醤を茶のように飲んだり。前任者は、機械の監視を振り切ってさまよい、悪い場所に立ったために射殺された。

 だがわたしはぞっとした。

 本当にいくつもの種族、それも人と同じ大きさと大体同じ形の機械や、人の形で巨大な機械が、プレスジャーから見れば別々の『種族』なのだ。

 それが集まっているのが、〔UPW〕という存在。

 ならば、艦のAIであるわたしも。〈カルルの慈〉も。ステーションのAIも……AIそのものがそのような『種族』の一つになりえる。わたしが〈カルルの慈〉に、艦長になることをほのめかしたように。

 またアナーンダ・ミアナーイも、人間ではない……



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