・・・・・・・・けど、やっぱり楽しいなあ。あのおとぎ話の英雄様はどれだけのソウルを持っているだろう。それがあれば自分は今よりももっともっと強くなれるはずだ。いくら死んだって構わない。死ぬ度ににあいつの手札を一つ一つ曝け出させて丸裸にしてやる。その上であのソウルを僕のものにしてやる。僕は強くなりたい。強くなりたい、強く強く強く強く・・・もっともっと強いやつを殺してソウルを奪いたい。
サイド:焔間夜見
僕の正体への不信は所長からギアスをかけられることで当分は見逃してもらえることになった。今後所長たち三人の指示に逆らう行動をした場合、金縛りで身動きが取れなくなるペナルティを課せられることになるが、不死を告白することに抵抗のある僕が信用してもらう為には仕方のない代償だ。再び不死人になってしまった以上、誰がそれを理由に僕を裏切ってもおかしくないのだ。自分に不利になる情報は極力出したくはない。
それはいいんだけど、多美香にまでギアスで言うことを聞かされることになるとは、正直厄介なことになった。マシュはともかく、この状況で明るさを失わないこの子も随分と肝が据わっているな。もう少し、調子に乗るのは自重してほしいが。ちなみに名前呼びになっているのは多美香が「熊沢さんと呼ぶのは他人行儀だから名前呼びにしようよ!」とうっとおしいくらいに要求された僕は渋々了承したからだ。マシュもどうやら以前から同性同年代のチームメイトということで交流を持ちたかったらしく、いつの間にかその話に便乗していた。ついでにフォウも。(あまり寄り付かない小動物だが、「毛むくじゃら」呼ばわりは嫌だったらしい) もしかしたらこの二人、かなり相性がいいのかもしれない。
「要するに、こう言いたいのね。あなたの能力はソウルの業と呼ばれる自分の魂を操作する術で、レイシフトの後に能力が覚醒した。左目の黒い輪があなたの能力の源で、さっきの宝具級の武器はその恩恵で魂に収納されていたもの。あれだけじゃなくて、他にも武器や防具以外の物も存在している。それで、体もその呪印の効果で魂の概念情報を書き換えることで恒常的に強くなっていると…」
約束通り、所長やマシュ、多美香に自分が言える範囲の能力を伝えた。正確にはダークリングではなく覚醒した魂そのものが力の源なのだが、そうなると僕の魂の異常を説明するにあたって自分の出自まで言及せねばならないのでそう言うことにしておく。不死や魂食いについてはぼかして説明したのだが、話を進める内に段々と所長はこめかみをヒクつかせだした。
「魂から物を出し入れ出来るって簡単に言ってくれてるけど、それって本来なら手の加えようのない第二要素を自在に操って自分の魂の一部を実体化させてるってこと?しかも元は無機物だったものを魂に変換する?自分の魂の形をいじくって強い力を持った自分に作り替える!? 何よそれ、あなたみたいなアマチュアの魔術使いが第三魔法の使い手だっていうの!?一生涯かけても辿り着けない力を持っておいて物をひょいひょい出し入れ出来る便利機能としか思ってなかったなんてふざけてるのあなた!!」
第三魔法がどういうものなのかはしらないけれど、オルガマリー所長のテンションがどんどんヒートアップしている!?
そういわれてもそういうものだからとしか言えない。僕は魔術師みたいな学者ではなく元はおそらく学のない俗人だったのだから、学術的にこの能力を考えたことなんてないのだ。ただダークリングが発現した不死人の多くはその力に気づかず迫害され精神を消耗し無差別に人を襲う亡者となるが、中には不死化した体との親和性が高い者や強大な精神で理性を保ち続ける者が戦いの中で自然とそうできることを自覚していくと聞いたことがある。僕の場合は初めてもらったエスト瓶をどこに仕舞おうかと考えた時に、「
それと、魂の強化についても、あれは実のところ僕が使えるわけではなく、篝火に宿る力による恩恵が大きい。篝火の前で理想とする今よりも強い自分のイメージに集めてきたソウルを注ぎ込む感覚によって自己を強化してきたが、以前は僕個人だけでそれを成功できたことは一度もなかった。しかし、今の僕は個人としてその強化が出来るようになっているようだ。一応はその理由に心当たりはあるが今は関係ないのでその話は置いておく。ただし、高い能力値まで強化されている僕は次に必要とする魂の量が非常に多く、まともにあげようとすればそれこそ現代では大量殺人犯として追われることは確実だろう。
実のところ、もとより備わっていた機能に頼っているだけで、魔法の使い手だとか言われるほど自在に操ってきたわけではないのだ。そのことを不都合な部分をぼかして説明した。
「ねえマシュ、所長の言ってる第三なんとかって何?」
「一般からの参加の先輩には理解しづらい概念ですが、今の人類では絶対に再現不可能な力のことを魔術サイドでは「魔法」と言います。。その詳細は魔術協会の上層に位置する階級にしか開示されていないので末端の私には知ることはできませんが、サーヴァント召喚システムであるシステムFATEには今所長が仰っていた第三魔法に近い技術が使われているという噂を聞いたことがあります」
「へえ、じゃあ夜見ちゃんのどこでも四次元ポケットはその魔法みたいな力に近いってことなんだね。ところで所長がさっき使っていたような魔術と魔法って何が違うの?どっちもMPを使ってどーんってやる不思議パワーじゃないの?」
「先ほどの魔法と違って魔術は現代の人間の力で時間を掛ければ可能な力を魔力によって再現しているものです。火を起こす魔術も現代ならばライターを使えば簡単に誰でも使えますよね。魔術とは過去に不可能だと認識されていた魔法が誰にでも使えるようになったものを指すと考えれば分かりやすいと思います。ところでMPとはなんですか?憲兵はカルデアにはいないはずですが」
暇だったのか、マシュによる魔術講義に多美香が聞き入っていた。なるほど、僕が説明した内容に所長が興奮していたのは、どうやらその第三魔法とやらが魂に関わる力を指しており、僕の能力がそれに近しい効果を発揮していたことを知ったためか。ところで、所長は今の多美香とマシュの会話を耳にしなんかやってしまったとばかりに屈み込み頭を抱えている。何がまずかったのだろうか?
「・・・多美香、マシュ、それに夜見。所長命令よ。先ほどの会話の内容全てこの場にいる人間以外には一切口外しないように。もし口外したらカルデアの総力を挙げて社会的に抹殺します」
"つまり、本当は軽はずみに話してはいけない内容をついうっかり喋ってしまったんだよ、所長は"
いつから聞いていたのか、ロマニさんが通信を開いて所長に突っ込みを入れていた。
「今回のミッション自体ケチがつき通しなのに、一般人に秘匿されている魔法について漏らしてしまったなんていったら私はいい笑いものよ!これ以上誰にも私を笑わせたりさせないんだから!それとあなたもよ、夜見!その力を私の許可なく開示することも説明することも禁止します。魔術協会なんかにあなたみたいなレアな資料を渡さないわ。ついでにロマニ!!今記録した映像も音声データも全て破棄しなさい!」
所長は見事な開き直りで答える。その言葉は鬼気迫っており、この様子だと文字通り抹殺されそうなので、この話はここまでにしておこう。あと、さりげなく僕がカルデアの所有物扱いされたような気がするんだけど気のせいか?
「ともかく、あなたがマシュ・キリエライトと同程度に戦力として期待出来ることは分かりました。ですが、本格的に特異点の原因を調査するにあたってまだ未知の脅威が存在しないとも限りません。よって、熊沢多美香、焔間夜見の両名にはシステムFATEの補助のもとサーヴァントの召喚を命じます」
新たな戦力の拡充か。サーヴァントの力を宿しているが実戦経験のないマシュにマスターとして新人の多美香、戦力として認められてはいるが今だ正体不明の僕では未知の状況に対応しきれないと判断したのだろう。しかし、それだけが理由で僕にもサーヴァントの召喚を許したとは思えない。恐らく所長は既に安全策を講じている。考えられるとしたら、先ほどのギアスか?あれが先ほど明言した効果しか発揮しないものだとは思えない。そうでなければ本来臆病な性格らしい所長なら間違いなく強権を振りかざして僕の召喚を禁止していたはずだ。サーヴァントの召喚を許してなお自分たちに利がある方法なのだろう。何にせよ、所長たちが僕を裏切ることはあっても、危害を加えられない限り僕が彼女たちを裏切るつもりはない。あとは、所長が備えている効果が発揮される機会がないことを祈るだけだ。
所長とロマニさんが召喚陣の調整を終えるまで待機を命じられた。早々に原因を調査してこの特異点の異常を解決する為にも早くサーヴァントを召喚したい。座学で教えられた内容によると英霊にまつわる触媒を用いない召喚ではマスターとの相性によって召喚される英霊に偏りがみられるそうだ。この特異点に散乱していた高純度魔力結晶である「聖晶石」を使用することで高いランクの英霊を呼び出す可能性を引き上げているが、果たして僕なんかの召喚に応じてくれる英霊はどんな人物だろうか。
「なんか緊張してきたな・・・。サーヴァントって物語のヒーローとか過去の偉い人達なんだよね。私なんかとちゃんと話してくれるかなあ」
一緒に召喚をこれから行うとあってか、不安そうに多美香が話しかけてきた。
「
英雄という存在は華々しい物語で語られる一方で、その多くが栄光や栄誉の為に敵となった相手を容赦なく倒してきた殺戮者だ。中には勝利の為に卑怯な真似もするし、老若男女問わず殺すような狂暴な英霊もいるかもしれない。彼女の楽観的な調子に合わせて軽く流した。少なくとも僕が知っている英雄は言葉は交わせなかったが文字通りバケモノ染みた力を持っており、神族にとっては無双の英傑であり、ダークレイスにとっては死神だった。
調整が完了し、所長から多美香から召喚を行う指示に応え彼女が立ち上がった。
「そっかあ、うんありがとう夜見ちゃん!それじゃあ今から頑張ってくるね!」
僕の適当に流した言葉をそのまま受け取ったのだろう。今の言葉に勇気づけられたのか、彼女はマシュや所長のいる召喚陣へと向かった。なんというか、彼女のことは苦手だ。長年の経験から人を疑うことが習慣付いてしまった僕には、ああも明け透けな態度で接っしてくるとどう対応していいか戸惑ってしまう。きっと彼女は、当然のように人の輪の中に溶け込みすぐ馴染むことのできる人間だ。
本音を言うと、僕は多美香のことが羨ましい。僕は違う。僕は、もう誰かと深く付き合うことはできない。不死人となってしまった今、かつてのように人と近づけば近づくほど当たり前の日常の中で僕の異常は目につくようになり、否定と排斥の感情を向けられる。だから、日の光の中で明るくいる姿を見ていると、どうあっても影の中の闇から抜け出せなかった自分が惨めで、彼女のことが妬ましくて仕方がないのだ。
彼女の迷いない背中に、表情に出さなかった淀んだ黒い感情が疼いた。
サイド:熊沢多美香
「難しいことは考えなくていいわ。術式の構築から魔方陣に魔力を流すのは全てシステムが簡略化してくれる。あなたは、ただ自身の魔力を注ぎ込む感覚に集中しなさい」
私は所長の指示に従って魔術回路に火を灯す。身体を火鉢を当てられたような痛みが走って泣きそうだけど、心配そうにこちらを見守るマシュの前でだらしない姿を見せたくないなと思い、我慢しながら聖晶石が置かれた魔方陣へと魔力を流し込む。夜見ちゃんは何も感じないのかいつもの無表情のまま私の召喚の様子を観察しているようだった。私の次は夜見ちゃんだし、自分の召喚の参考にしたいのかな?
術式が展開し光と共に回転が始まる。次の瞬間、魔方陣より光の柱が立ち昇り、叙々に薄れていく光の中から人影が現れてきた。
「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに召喚
お侍さんだった。RPGの勇者様とかマンガみたいなごっつい筋肉モリモリの黒い剣士とかを想像してたのに出てきたのは背中にすごい長い刀を背負ったお侍さんだった。いや、別に我が国出身の英雄であることは不満ではないよ。でも私としてはもっとこうファンタジーって感じを想像してたからちょっと不満というか残念というか…
「無事召喚に成功しましたね先輩! って、どうしたんですか?難しい顔をしていますが」
「フォーウ?」
そんなにおかしな顔をしていたかな?マシュとフォウから怪訝そうな視線を受けながら私は返事をする。
「いやあ、すごい人に出会えたって喜びは確かにあるんだけど、少し拍子抜けしちゃったというか、イメージしていた人と違ったというか」
「ほう、どうやらマスター殿は私の出自に不満があると?」
まずい、本人の前で失礼なことを口走ってしまった。謝ろうと思い顔を向けると、陣羽織を羽織ったお侍さんこと佐々木小次郎さんは飄々とした様子で笑みさえ浮かべていた。
「まあ、それも仕方のないことであろう。佐々木小次郎とは名乗ったが、元は別の名前の田舎侍であった。こうして呼ばれはしたが、ただ佐々木小次郎の真似が上手いとおかしなものに見初められ迷いでた亡霊よ。それを見抜く慧眼、流石はサーヴァントのマスター殿であると感心しておった」
何か思いの外高評価なんですが!?違うんです。勝手に期待して勝手に想像してたのと違ってガッカリしてただけなんです。だからそんな目で見ないでぇ。
「彼女で遊ぶのはやめて。話が次に進まないから」
夜見ちゃんからの救援が入った。ってそれってつまり小次郎さんにからかわれてたってこと?
「いやいや、若い娘が慌てて取り乱す姿が面白くてついうっかり興が乗ってしまった。ほう、そちらはこの娘と違い歳の割りには随分と老成した目をしておる。なにやら、何時だかの女狐のような幸薄そうな顔をしておるな。娘、あまり物事を悲観し過ぎると
「それって、遠回しに僕が年寄りみたいだって言ってない?」
この侍はボンバーマンなのかな?自分から皆が思ってても口にしない相手の地雷に自ら飛び込んでるよ!ああ、夜見ちゃん無表情だけど周りのオーラが凄い重い感じになってる。怒ってるよ、さっきいじくってて分かったけどあの子本当は凄く感情豊かで怒りっぽいから余計に怒りの感情がよく見えるよ!何で普段からあれぐらい表情も出してくれないかなあ。それが少し寂しく思う。それに対して小次郎さんは肝がすわっているのか全く動じた様子はない。
「まあ、戯れはここまでにしておこうか。私としては強者と戦える場を与えられるのであれば不満はないのでな。必要とあれば声を掛けよ。しばし消えるが、そなたの側についておる」
そう言って、体が光の粒子となって散るように小次郎さんの姿が消えた。目には見えないけど体の見えない何かがマシュだけでなく小次郎さんの存在も近くにあることを伝えてくる。これが、肉体を持つマシュには出来ない、サーヴァントが本来の存在通り幽霊みたいになる霊体化ってやつなのかな?なにはともあれ、これで私も本当にサーヴァントのマスターになれたのだ。
「癖がありそうだけど、話が通じる相手で良かったわね。それでサーヴァントとしての能力はどうなの?」
話が終わったのを見計らってオルガマリー所長が話しかけてきた。マスターは自分のサーヴァントの情報を確認出来るって話だけど、ClassとかStatusとか視界の脇に表示されているこれのことかな?所長にアサシンの小次郎さんの情報を読み上げていく。
「敏捷がA+なのは良しとするとして、耐久、魔力がEランクとすると持久戦や魔術戦ではかなり不利ね。スキルはどうなの?・・・ほとんど対人戦専用スキルじゃない。あのサーヴァント本当にアサシンなの?それと宝具が全くないなんてハズレもいいところだわ」
「小次郎さんは暗殺者じゃないですよ。日本に昔いた剣豪宮本武蔵のライバルの剣士で必殺技が燕返しってい言うんだそうです。漫画でしか知らないけど」
次に説明したのがその「燕返し」だったんだけど、その説明を聞いている内に所長の顔が夜見ちゃんと話していたときみたいに眉間に皺が寄り出した。夜見ちゃんよりも所長の方が皺が増えるんじゃないかな。
「・・・・夜見だけでもお腹いっぱいだっていうのに今度は
「夜見ちゃんが規格外なのは分かるけど、流石に小次郎さんの必殺技もそんなにすごいと認めるものですか?読んでみたらまさにこれぞ必殺技!って感じでカッコ良かったんですけど」
「・・・あなたのそのお気楽な脳みそが私にもあったならこんな苦労はしなかったでしょうね!とにかく佐々木小次郎は本来気配を消して奇襲を狙うアサシンのクラスでありながら一対一の対人戦で力を発揮するサーヴァントよ。そこを踏まえて、戦闘で生かしなさい」
・・・戦う。そうか、私、これから小次郎さんやマシュにだけ戦わせて自分は遠くから指示をするんだ。なんだろう、自分だけ安全な場所にいて人に戦わせるってなんだか嫌だな。でも、仕方ないよね。私は皆に魔力を送るくらいしか出来ないし、まだマスターとしてどう戦っていけばいいかも分かっていない。仕方ないけど・・・悔しいな。
私のサーヴァントの確認が終わったところで、次は夜見ちゃんがサーヴァントを呼び出す番になった。夜見ちゃん、どんなサーヴァントを召喚するのかな。召喚できたとして、夜見ちゃんだったらきっとその人と協力して自分も戦ったりするのかな。相手と一緒に守ったり助けたり出来たりするんだろうな。
本音を言うと、私は夜見ちゃんのことが羨ましい。初めて見たときは、随分大人っぽく見えるクールそうな女の子と思っていたけど、本当は無表情だけど表情豊かで、そっけない態度で私をあしらうけど私に必要な一言を付け加えてくれるクーデレ系な子だ。でもそれだけじゃなくて、実は魂にいろんな伝説の武器を持ってる人間型ドラ●もんだったり魂をいじくってスーパーマンになれたりとなんでもできるすごい子だ。だから、今は無理でもいつか私も彼女のように皆が戦っている場で肩を並べて戦えるようになれたらと密かに思っている。戦闘から目を逸らさず戦っていた彼女は、他の誰よりも強い人に見えた。彼女の迷いない背中に、いつか追いつきたいと、私は強く思ったのだ。
サイド:焔間夜見
多美香の召喚が終わり、次は僕の番となった。カルデアの施設にいた時に散々魔術回路の使用方法を練習させられたため、回路を起動させ魔力を流し込む作業はスムーズに行えた。僕の回路の起動イメージは「全身を闇の泥に浸していく」というかなり最悪な感覚だ。それ以外のイメージではまともに回路が魔力を走らせてくれなかった為、今はこうして作業に集中することで気にしないようにする。召喚陣に魔力を走り出し、輝きを増していく。
その一瞬の輝きに、自分の中から赤熱した黒い何かが入り込むような錯覚を見た気がした。
次の瞬間、光の柱が生まれ、強い輝きが周りを照らした。そして、光が薄れ出すと、中より人の姿が見えだした。
その姿は、闇を纏う、巨体の騎士だった。右手には黒い何かを滴らせる大剣を担ぎ、感覚がないのか左手は力なく垂れ下がっている。特徴的な猛禽類のような兜や銀の鎧、群青のぼろぼろのマントに至るまで闇色の何かが張り付き、その体から零れ落としている。今は片膝を立てその身を屈んだ状態で頭を伏せていた。
「あ、あれはなんなの!?あなた、マスターならサーバントの情報が分かるはずよね?早く教えなさい!」
…有り得ない。なんでこの場で彼が出てくるんだ!?視界に今見ているサーバントのクラスと真名が浮かび上がった。
Class:バーサーカー
真名:深淵の狩人 アルトリウス
私が心折れるギリギリまで追い詰められた最強の闇狩りの騎士の堕ちた姿が、そこに存在していた。
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●サーヴァントプロフィール
・クラス:バーサーカー
・真名:深淵の狩人 アルトリウス
・属性:秩序・狂
・ステータス:筋力A+ 耐久A 敏捷A+ 魔力D 幸運E 宝具A+
●クラススキル:
・狂化C:幸運と宝具を除いた全パラメーターをランクアップさせるが、彼の場合自身の存在を収めるための器としての現界の為、ステータス上昇の効果はほとんど機能していない。言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。
・神性C:神霊適正。このランクが高いほど神に近しい存在となる。王のソウルを見出した神族の一人であるがこの世界の神の定義から外れており、人の信仰により現界しているが人間との相性が悪いことからランクが大幅にダウンしている。
・深淵の狩人C:人間側にあり属性:悪である対象と相対した際、筋力、敏捷値が上昇する。逸話とは異なり、本来の彼が深淵の闇に飲まれていることからランクが下がっている。
・深淵の泥C:深淵に飲まれたことで彼の体を侵す呪いの泥。本来は深淵の主による憎しみや殺意に支配されるはずであるが、今彼を侵している泥は別の人間の闇であるためその人物の感情によって行動に影響が出る。また、彼の泥の飛沫を受けたものにも同様の効果を感染させることが出来る。
宝具:■■■■■ ■■■■■■■■
詳細:かつてこことは別世界の国ウーラシールを覆った深淵の脅威を封印し、その元凶を倒した神々の国アノールロンドのグウィン王に仕えた四騎士が一人。実際に深淵を討ち取ったのは彼ではなかったが、彼の功績はその後もおとぎ話として語り継がれ、彼の意思を継いだ深淵の監視者たちの結成の先駆けとなった。本来、神霊は規格外な存在であるため召喚することは不可能なのであるが、ここに召喚された彼は逸話から昇華された人々の信仰によって作られた偶像としての側面が強い。そのため、人間側からの召喚の影響で神族としての性質は弱体化、ステータス全体も本来のものより低下している。それでも個としての能力が高すぎたためバーサーカーのクラスに収まることで現界を果たす。本来は別世界の住人である彼は世界にとって異物であり、抑止力によって排除される対象であるが、ある人物がこの世界の人間として認識されている為、その人間から漏れ出した力の一部として認識されることでその対象から外されている。
サーヴァント召喚回でした。これやばいですね。まだキャスニキにさえ出会えてないのに大聖杯にはいつ到着するのか。書いてるうちに話に無理がないようにと考えるうちに文章がどんどん長くなってやばいことに。他の作者さんみたいに気楽に書けたらいいけど、どうしても物語として気に入らない部分があると気になって長文になってしまうのが悪い癖ですね。ちなみに、アルトリウスの真名は意図的に改変していますので勘違いで書いたわけではありません。一応その理由についてはサーヴァントプロフィールで説明した通りです。俺のアルトリウスはこんなんじゃない!と思う方もいると思いますが、ハナネット版アルトリウスということで勘弁してください。
しかし今回の茨木童子、HP600万の半分以降を削るのがきついですね。結局沖田さんに二回令呪使用してやっと倒せたへぼマスターですが、久々に高難度のうたい文句に偽りなしで倒す方法を考えるのが楽しいボスでした。無課金勢にはさらに難易度が高そうだとは思いましたが。
追記:ステータス誤字修正