別の話までやってて、この作者は何を考えてるんだろう。
こんな作者の物語を楽しんでもらえればうれしい限りです。
それでは、相変わらずマリアさんが救われない展開ですが、物語を始めます。
どうぞ、これからもよろしくお願いします。
CDショップにて、内心冷や汗を流す切歌達。
セレナは少ないお小遣いで私物を買う。それが翼の音楽だけで、マリアのものは手に取ってない。マリアの曲も好きと言うが、翼の数が多いからと言っている。
(お願いだからマリアの曲を一番にしてくださいデスーーーー)
そのとき、手に持つものを全て棚に戻し、あわてて外に出ていく。
それを見て驚き、装者達は駆ける。
「どうしたのセレナっ」
「響っ、ゲーデの力っ。リュウが戦ってるっ」
「!!?」
セレナの言葉に、全員が駆けだしながら、翼達にも連絡する。
負の自分は、まさに怪物だ。人気がないから使用したとかではない。
元々人気のない場所に来ている自分。だからなのかは知らないが、
「『ファイヤーボール』ッ」
彼女はためらいなく、魔術を使用するし、技も使う。
この世界の人に対する、遠慮なんてない。
あるのはただ、己の使命を果たすことしか頭にない。
『(・・・おかしい)』
頭の中で何かが引っかかるが、自分の言葉なぞ耳に入らない。そんな殺気を感じて疑問が強くなる。
『(本来ディセンダーは記憶も何もない、真っ白だと言う話だ)』
龍が知るディセンダーは一人、話で数名ぐらいだった。
まずはセレナだが、初めてあったとき、セレナは歌、名前、戦い方ぐらいしか覚えていなかった。
次にニアタから聞いたディセンダーは、名前と戦い方しか知らないが、ここである疑問がある。
セレナと普通のディセンダーの違いは、すでに知っているのと、まるっきり知らないと言う違いだ。
セレナは料理を見て、料理だと知るのに対して、ディセンダーは初めて知ると言う解釈をする。そう言う認識で間違いないとニアタから聞いている。
ディセンダーは白い、何者の影響でどんな色にもかわる、純粋な力だ。
だからこそ、悪にもなると聞く。現にパスカのディセンダーカノンノは、苦い思いをしたらしい。それ以上は追求はしない。
話を戻そう。いま相対するのは間違いなくディセンダーで間違いないのだが、
『(こいつは根本が違う)』
彼女の攻撃は、建物も物を破壊するほど強力な技と魔術を使用して、自分を消しにかかっている。
そこに正義があるか? 答えは否。
『(このディセンダーはゲーデだけを消すためだけに生み出された)』
そう、都合が良すぎるほど、自分だけを消すために、彼女はここにいる。
なぜと聞きたいが、彼女の瞳には迷いなんて無い。必ず、ここで、ゲーデを、消す。
それしか彼女から感じない。
「『ロックトライ』ッ」
地面から石の槍が三本放たれるが、チェーンソードで砕きつつ、刃と化した髪の毛を見る。やはり砕けていた。
救世の光を持つ、自分を消すために特化したディセンダーの出現。
敵側からすれば、なんとも都合が良すぎる。
「覚悟しろ、世界の害悪ッ」
彼女は疑問にすら思っていない。
『(とはいえ、俺の言葉には聞く耳はないな絶対)』
もう消す対象しかない自分の言葉には耳を傾けない。だから、
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
斬りかかる剣に対して、それが前に出る。
「なっ」
ディセンダーは初めて驚愕した。
先に現れたそれに、龍も驚いている。ってきりセレナが来ると思っていたからだ。
「おませしましたッ」
とびっきりの笑顔でそう宣言するのは、撃槍ガングニールの装者。立花響だった。
「あなたは何者ッ!? なぜゲーデを助けたのッ!?」
困惑するディセンダーに対して、響は構えながら、その人を見る。
「龍さん彼女は」
『ディセンダーだろうが、どこの世界かは知らない。本人に聞くしかないが頼めないか?』
「はいッ、わかりましたッ」
元気いいなと龍は思いながら、彼女を見る響。彼女は困惑していた。
「どきなさいッ、それはゲーデ、負の怨念ッ。この世界から消えるべき存在よッ」
「そんなことできませんッ、彼は私たちの仲間ですっ」
「なにを言っているのっ!? ゲーデは世界の害悪よっ、存在するだけで世界に仇なす存在なのよッ。いまここで消えるべき存在、それがゲーデよッ」
それに響は驚いている。
「なんでそんなこと言うんですかッ!? 龍さんがなにをしたって」
「ゲーデはいるだけで消えるべきモノよッ」
ディセンダーははっきりと告げた。
響はそれが理解できない。
「いるだけって・・・そんな、そんな悲しい理由、あんまりですッ」
「悲しい? なにを言っているのッ!? ゲーデは負の存在、いるだけで消えなければいけない世界の敵よッ」
「そんなことないッ、消えていい人なんて、いるはずないですッ」
「それは人ではないわッ」
はっきり言うディセンダーに対して、響が口を出そうとする前に、怒鳴り叫ぶ。
「それはいるだけで世界に仇なす、いるだけで命を不幸にする、有るだけで争いを生み出す、ただの害悪ッ。存在自体消えるべき存在よッ」
はっきり、そう言うディセンダーに対して、響は叫ぶ。
「違うッ」
「違わないわッ」
「まあそうなんだけど」
本人はいつの間にか人の姿になり、響を止める。響では求めている質問をしないと判断して、止めた。
「お前はいま言い争うのはそこじゃない、俺が聞きたいのは、お前はどこの世界のディセンダーだ」
「私がどこの世界の?」
殺気を向けながら、響はとまどう。
(・・・どうして)
どうして自分がいなければいいと言う言葉を受け入れているか?という顔を向けられるが、気にしても仕方ないので、龍は無視する。
「貴方は世界の敵よ、どの世界であろうと、それはかわらない」
「確かにそうだが、いまは違うんでな。お前がどこの世界のディセンダーだ、いや違う、どこの世界が、この世界の厄介ごと無視して俺を消せと願ったッ!? 俺が腹立つのはそこだッ」
ディセンダーは首を傾げながら、剣を構える。
「そんなことはどうでもいい、私は貴方を消す」
「話にならないかくそ」
もう彼女の中には、ゲーデを消す。それしかない、それ以外にない、そう判断する。
「都合が良すぎる」
そのタイミングで、自分を消す存在なんて、敵対するもの達にとって都合が良く、また精霊の頼み、ルミナシアからの頼みできている自分が、いま世界の敵として敵対するのにもおかしい。
(このディセンダーは、まさか)
そう考えているとき、剣を握りしめ迫るが、響が反射的に動き、それを止める。
それと共に、
「デスッ」
「やらせないッ」
切歌と調が現れ、それに続くように装者、セレナが現れる。
「戦える奴ら全員か」
「その装備はッ!?」
セレナを見て驚愕する彼女。それにクリス達も、
「黙って聞いてりゃ好き放題言いやがってっ」
「この人が気に入らないのは同意デスが、限度があるデスっ」
「いなくていい人なんて、いないよ」
クリス、切歌、調。まだ龍にいささか溝があるもの達がそう言いながら、龍は気にしてないんだけどとつぶやき睨まれる。
そして、
「あなたもディセンダー!? なぜゲーデを助けるの」
「貴方こそ、どうしていまゲーデ、ううん、リュウを消そうとするの?」
セレナはいま騎士の姿、本気で戦う際一歩手前の姿で、彼女見る。
彼女はようやく、驚愕していた。
「なぜ? そんなことはそれがゲーデだから、負の感情、世界の害悪よッ。それだけで消す理由になるわッ」
「そんなの理由にならないッ」
「!?」
何を言っているか分からない顔をするが、一番分からないのは、
「お前、本当にどの世界のディセンダーだ? いまルミナシアのディセンダーは俺と協力して、この世界の異変に対処して欲しい。俺はそうルミナシアの精霊に頼まれた」
「!?」
「いまあんたはその邪魔をしているんだぞ? この世界にとって、いま害悪なのはお前なんだ」
それこそ信じられない顔をする彼女に、翼達は龍に駆け寄る。
「これはいったい」
「彼女はおそらく、ディセンダーの本質を利用されて作り出されたディセンダーだ」
何もないディセンダーはふれあう人によって、考え方、思考なぞがかわる。
セレナの場合、そんなそぶりはなかったから分からないが、ニアタが言うにはそうらしい。
だが、そんな白い紙のようなディセンダーに、何者かが、
「ゲーデを消す。その明白な理由を書き込めるだけ書き込んだのが彼女だ。彼女はそれ以外に何もない。下手をすれば、世界救済というディセンダーの本文すらなくなるほど、ゲーデだけ消すために存在するディセンダーだ」
「私が、そんな存在・・・」
始めて戸惑う彼女に対して、やはりと頷く。
「おそらく生まれてまだ時間すら経ってないなこりゃ」
「えっ」
全員が驚く、そう全員。彼女自身、龍の言葉が理解できない。
「お前は誰だ」
それに冷たく聞く。
「私は・・・ディセンダー・・・ゲーデを消す存在・・・」
怯えながら、震えながら呟くが、それに冷たく、
「なぜ?」
「なん・・・で・・・」
「なぜ」
「・・・やめて」
「なぜ」
「やめて」
「な」
「やめてッ」
名前すらないディセンダーは、その場に座り込み、耳を塞いでいた。
セレナがその様子を見ながら、側による。
「どうして・・・」
セレナに彼女は、泣きそうな顔で見た。
「どうしてゲーデをかばうの・・・私の知るゲーデには間違いない・・・それは世界の害悪よ・・・」
その言葉に、セレナは悲しそうに頷く。
「ああそうだ。たとえ人に転生していても、魂の本質はゲーデ、俺は世界の害悪、負から生まれた忌々しいモノだ」
それを受け入れている龍に、セレナは悲しそうな顔をする。
それに響達も驚いていた。
「なんでです・・・」
響がこちらを見ながら、
「なんでそんなこと受け入れるんですかッ」
叫んでしまう響。龍はいつもとかわらず、
「・・・俺は人が嫌いだからだ」
はっきりと言う。
「俺は人の負を見た、世界の、命の、ありとあらゆる存在の裏を知った。だから」
はっきり、
「そんなもの達の仲間なんてごめんだ」
負の存在であることを受け入れたのではなく、人であることを拒んでいる。
龍ははっきりとそう、装者達に告げた。
自分は人なんて者になりたくない。はっきりそう告げたのだ。
セレナ達はそれを悲しそうに受け入れ、装者達はその発現に目を見開く。
モニター越しで弦十郎は静かに、目を閉じた。
それ以来、黙ったままのディセンダーに、周りは武装したまま、待機している。
いま装甲車やらなんやら、色々と人が動き回っていた。
龍がいた場所は木々が生えた山付近、人気のない場所とはいえ、魔術や武器の痕跡を消すのに、人手が多くいる。
龍は苦々しい顔をしながら、弦十郎を見ていた。
「なにか言いたいんですか?」
根負けしたのは龍だった。
弦十郎はしばらく沈痛な顔のまま、
「・・・君はいつ、人であることをやめた・・・」
そう聞かれ、龍は、
「・・・この世界で、魔が差した。人を助けた。結果・・・」
その先を、言う気にはなれない。歯を食いしばりながら、思い出す。
「・・・結果なんだ」
「・・・あんたには関係ない」
そう言って黙り込む龍に、弦十郎はこれ以上は無理かと思い、沈黙する。
「・・・」
響達に囲まれている彼女は、黙り込んで座り込んでいた。
何もせず、否、することがないのだ。
ゲーデを倒すこと以外、やることがないのだ。
「調べたんだけど、貴方は確かにディセンダーね」
「・・・」
リタの言葉に、いまだ静かな彼女。
「名前は」
「・・・知らない」
「貴方を生み出した世界は?」
「・・・知らない」
「そう」
リタはそう告げて、彼女はいまだに座り込む。
龍の予測通り、彼女はおそらくつい最近生まれ、ゲーデを倒すためだけに生み出されたディセンダーであることが立証された。
「・・・ねえ」
彼女はセレナを見つめながら、小さく聞いた。
「どうしてゲーデをかばうの・・・」
彼女にとって、ゲーデは滅ぼすべき敵だ。なのに、同じ存在がかばったことに、それほど驚いていた。
セレナはそれに目線を合わせて、
「大好きだから」
まっすぐに答えた。
「大好きってなに?」
それすら知らない彼女に対して、セレナは続けた。
「あの人はゲーデの力を、けして壊すだけに使わない。壊すのは、誰かが傷付く未来だけだよ」
その言葉に耳を疑う彼女に、話しかける。
龍と言うゲーデのやり方。
暴君のような騎士が、仲間達を傷付ける際、駆けつけて倒した話。
病人の人を治療する場所へ連れて行くため、魔物の群れで囮を引き受けた。
人で無くなり、絶望した人達に生きているんだからまだ絶望するなと怒鳴ったり。
自分達の身勝手な願いを、ディセンダーに押しつけるなと激昂したり。
誰よりも先に前に出て、仲間の危機に向かっていったり。
危険と分かっていても、仲間が出向くと言うのなら、躊躇いもなく進んでいったり。
仲間のために、悪役になったり。
仲間のために、世界を賭けた戦いに、単身で出向いたり。
その戦いの中ですら、戦う相手を思う世界のため、その願いの叶えるために戦う。
「彼はそんな人・・・私がディセンダーだって知っても、誰が誰でも同じにしかみない。私を私として見てくれた。彼を彼として見ていて、彼女を彼女としか見ない人」
仲間達と同じ、だからこそ、
「私達も同じ、ゲーデでもなんでもいい、彼が彼だから、家族で仲間だから、彼と共にいるんだよ」
それに近くにいるリタもまた、複雑そうにだが微笑む。
カノンノも、ハロルドも、ユーリも、フレンも、いや、アドリビトムの仲間達は全員気持ちは同じだ。
「なにより、私にとって、大切な人。大好きな、人だよっ」
満面の笑みでそう告げるセレナに、彼女はわからないという顔をする。
そしてしばらく顔を伏せたあと、
「・・・ゲーデを消すのが私の使命」
そう静かに呟くが、
「けどいまじゃない、それだけはわかった・・・」
そう呟いたまま、もうなにも喋られない。
「・・・」
カノンノは複雑そうにその光景を見つめている。
「・・・負けないもん」
そうつぶやき、小さくガッツポーズを取った。
「しっかし、生粋のディセンダーまで用意できるなんて、ますます敵がなんなのかわからないな」
「そうだな・・・ん? マリアくん」
「!?」
その顔から光が無く、そのよどんだ瞳で龍を見る。
あまりの負に、龍は立ち上がり警戒した。
「な、なにがありました?」
「・・・」
マリアは龍をじっと見ていて、ただそれだけで怖い。
弦十郎も深く追求せず、ごほんとせきをする。
「なにしたんだろう俺・・・」
そんなことを呟くと、
「・・・」
それに、気づいた。
「!?」
マリアにも光が戻り、弦十郎も気づく。
緑色の布と、ピンク色の布の二人が、こちらを見ていると、
「非戦闘員は下がれッ」
マリアは装者として前に出て、他のもの達はすぐにそれから離れたが、
【遅いです】
そう言って緑色の者が、布から出て、龍へと斬りかかる。
その姿をすぐに捉え、さすがに驚いた。
「なっ」
その所為で一瞬、反応が送れ、鮮血が少し舞うが、
【浅いです】
【任せて】
二つの丸鋸を取り出し、回転させながら斬りかかるピンクの子。
やっと姿を確認して、周りも驚くが、それよりもすぐに動くマリア。
蛇腹剣が舞い、それをよけて、姿を現す。
「みなさんッ、無事・・・」
「・・・デス・・・」
「なん、で・・・」
その場にいる全員が驚愕する。
斬りつけた鎌についた血を、ぺろりとなめて、うっとりとおいしいですと呟く緑の戦士に対して、丸鋸の子も少しなめた。
【ゲーデの血、おいしい・・・】
【やっぱ元が同じですからね、もっと食べたいです・・・】
軽くだが血を流し、すぐに負でコーティングするように塞ぐ龍。
その二人を見ながら、敵がなんなのは知りたくて仕方ない。
「テメェら、誰だ」
龍の言葉に、にやっと笑う。
【イガリマです】
【シュルシャガナ】
切歌に似ている紅い目の子はイガリマ、調に似ている紅い目の子はシュルシャガナと名乗り、武器を構えた。
新敵登場、どうなるオリ主。
えっ、マリアがかわいそうだ。
・・・どうすればいいのだろう?
話よりもそちらを考えるべきかと考えながら、今回はここまでにさせていただきます。
お読みいただき、ありがとうございました。