戦姫絶唱・テイルズ・オブ・シンフォギア   作:にゃはっふー

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さて、ヤンデレ達もそろそろ本腰を入れる。どこまで許されるんだろう。


嵐は動き出す

 何事もない日々というのは憂鬱だ。

 龍はそう思いながら、いまの日々を考える。

 セレナはセレナ・カデンツァヴナ・イブという、この世界の少女。

 アガートラームを纏い、記憶を取り戻した少女は、姉と日々を過ごす。

 だが、本当の問題はまだ残っている。

 なぜ彼女はルミナシアのディセンダーとして生きており、そしていまこの世界で起きている異変とはいったいなんなのか?

 わからない問いかけに、苛々しながらも、一人雲を見る。

 

 

 

「あれ?」

 響は本部で右往左往しているノワールを見つけ、イヤハートも見つける。手を握りあって、この世界の衣類を着ている少女達。本部であるためか、腰には愛用の武器を下げている。

「二人とも~」

「ヒビキ」

「リュウいない・・・」

 ノワールの一言に、響はああと納得する。

「龍さんってよく一人になるよね、一人はよくないよ」

「うん、私もそう思って、カノンノと一緒に探してるの。他の人も探してる」

「そうなんだ。なら私も探すよっ」

 

 

 

 人を捜す中で、ミラは部屋で静かにしていた。

 鍵はかけられていないが、静かにしていた。

 そんな中、エルはルルと共に、ミラの側にいる。

「・・・・・」

 なにも言わずに側にいる。エルは何か言いたげに、けど、なにも言わずに側にいる。

 いや、ではなかった。むしろ、その方がゲーデを考えずにすんでいる自分に驚いていた。

 平和な時を過ごす中、ミラは少しだけ小さく、

「このまま・・・」

 静かに、祈るように、

「このままならいいのに・・・」

 そう確かに呟いた。

 

 

 

「なにもない、嵐の前に静けさか」

 弦十郎はコーヒーを飲みながら、緒川達、オペレーターとも共にいる。

 ジュースのエルフナインは、リタ達と共に飲み物を飲みながら、ため息をつく。

「やっぱり、ヒビキ達のイグナイトモジュールの進化は、リュウのゲーデの影響で、聖遺物の拒否反応が無ければ、無尽蔵に強化された結果があの姿ね」

「ですが、やはり龍さんへの信頼関係が高くなければいけないのですが、その基準はわからないままです・・・」

 エルフナインがへこむ中、それをリタがぽんぽんと頭を優しく叩く。

「人の信頼関係なんて、数字で表せるものじゃないの。マリアだって、セレナのことでリュウのことよく思ってないのに、二回目も成功してたじゃない」

 この日々の中、成功者達だけで二回目も成功させていた。そのうえ、奏もディセンダーのような力を使える。

「敵に対して有効なのが五つの力、ディセンダー3人に、イグナイトモジュール二人か・・・」

 そんな中、難しい顔をする弦十郎に、緒川は疑問を投げかけた。

「どうしたんですか?」

「げせん」

 そう一言、切り捨てた。

「まるでシナリオのように進んでいる」

「それは・・・確かにそうね」

 リタも納得して考え込む。

「話のおかしなところは、まずはセレナくんや龍くんという存在から、その後の展開だな。向こうからすればすでにガングニールは倒されたうえ、敵になり、アガートラームは倒されたんだ」

 だというのに、自分達は敵の存在が全く分からない。

 わかっているのは心に関するなにかができて、それによるゲーデ制作とジルディアの民もどき、はてはディセンダーを生み出している。

 そしてそれは終わっていないうえ、世界樹の無い世界も侵攻されている。

 負の感情を集められ、敵は全ての負を集めるため、龍と思われる、原初の負を手に入れるのが目的。

「やはり現段階では原初の負は龍くんを指しているとして、その先はなんだ?」

「負で起きることは、疫病の蔓延や、大地の衰退化。人も影響を受けて争いが耐えなくなるわ」

 それが目的?と言われればわからない。

「なにより龍くんを取り込んで、本当にどんなことが起きる? 確かに装者達はあり得ないほど強くなっているし、本人も強いが」

「おかしいわよね・・・」

 考え込む中、緒川はまだ考えることがある。

「ディセンダーといえば、ミラさんもですね。滅ぼそうとする辺り、彼女の考え方は彼捕獲を考える、敵側の意志と逆だと思われます」

 全員が頭を痛める中、弦十郎は乱暴に髪をかいた。

 

 

 

「・・・」

 変化とは、望む望まないと関わらず起きる。

 龍はそう思いながら、ははっと苦笑した。

『あーだりぃ、眠い。もうやだ』

『彼奴何様だよ、客だからってえらそうに』

『なんであんなブスがモテモテなのよ』

 絶えず聞こえる悲鳴じみた、身勝手な声の中、

【待ってるです】

【来なきゃ、色々なもの切り刻むよ】

 そう聞こえたのだった。

 

 

 

「・・・」

 カノンノは龍を探す間、おやつの時間になり、おやつを作っていた。

 イヤハート達は手を止めたカノンノを見て、首を傾げる。

「どうしたのカノンノ?」

「・・・少し、やっぱり弦十郎さん達に頼んで、彼を捜してもらうっ」

 なにか嫌な予感がする。

 彼らしく、またなにかする。

 確信めいたそれに、カノンノは焦り始めた。

 

 

 

 とある海辺近く、声の気配を頼りに、龍は剣を下げて現れる。

 目の前にはすでにイグナイトモジュールの姿の、イガリマとシュルシャガナが待っていた。

 無数の切り刻まれた写真が周りにあり、うれしそうに刃物で切っている。

「・・・いつの間に」

【ゲーデっ!! 来てくれたですっ】

【ほんと・・・一人で来てくれて、うれしい】

 写真の龍に刃物を突き刺して、立ち上がる二人は、頬を紅く染めて、龍を見る。

【もう我慢できないですっ、ゲーデっ。切り刻むですっ】

【大丈夫、優しく殺るから・・・】

 構える二人を見ながら、ゲーデの力を僅かに使う。

(・・・吸われてるな)

 その様子に、ゲーデは使えないのを確認して、彼は剣を構えた。

 剣があれば負けない。彼はそう決めて戦い始める。

 

 

 

「ったく、あの問題児はっ」

 弦十郎は頭を痛め、姿を消した龍を徹底的に探す。

「カメラにも痕跡らしきものを残していませんっ」

「まずいわね、そういう風に姿消すってことは、厄介ごとに突き進んだ証拠よ」

 ハロルドの言葉に、全員が龍を探すために集まり、アルヴィンはアドリビトムメンバーに尋ねた。

「おたくらのところの奴、そんなに問題児なの?」

「彼だけじゃなく、メンバーの誰かがなにも言わずに姿を消すのは、十中八九問題を一人で解決しようとするってことですよ」

 フレンの言葉に、お前が言うなとアドリビトムのメンバーのほとんどが睨む。

 ジュード達は似たもの同士なのかと苦笑しながらも、すぐに切り替える。

「ということは彼一人でいま戦っている可能性は高いッ。装者達並び、ディセンダー達のサポート。君達は龍さん捜索。他の者は武器のたぐいのことを考え、敵がここを攻めたときのために待機だっ。そのときは頼むぞ」

「了解」

 弦十郎は全員に指示を飛ばし、ユーリの言葉を聞き、全員が動き出す。翼はバイクに乗り動き、クリス達はサポートを受けて、ヘリや車に乗る。

「セレナ、彼をお願いね」

「任せてカノンノっ」

 そう言い、セレナはマリアと別れ、行動に出た。

 

 

 

 魔術の爆発や歌の旋律が辺りを包む空間。人気はなく、なぜと思うが、敵がなにかしているのか誰も来ない。

 おかげで存分に戦える。そう思いながら、風を剣に集め、サイクロンもどきを放ちながら、イガリマの鎌を受け止める。

【おとなしく切り刻まれてくださいっ、戦う気はないんですっ】

【楽しいことしよゲーデ】

「楽しくない楽しくないっ」

龍の叫びなぞ無視して、楽しそうに戦う二人。

【ずっと貴方を想っていたですっ、貴方の腕を切りたい、貴方の血が舞い上がるのを見たい、ずっとずっとっ】

【もう我慢できないですっ、もう我慢なんかしたくないんですっ】

「なんだこの状況ッ『紅蓮剣』ッ」

 炎で牽制するが、無視して来る。やはり人でないためか、瞬きなどの一瞬の隙はないのに舌打ちする。

【あの方の作戦なんて知らないですっ、私たちが貴方を取り込めば世界の負は手に入りますっ】

「!?」

 イガリマは何か口を滑らしている。この二人に、内心苦笑する。

(所詮はゲーデのまがい物、欲望以外考え無しか、なら)

 情報を引き出す。そのために戦闘を防御に移行して剣を振るう。

「世界の負? なんのことだっ!?」

【言葉通りですっ、全ての可能性、時間軸、別軸、ありとあらゆる可能性っ。有する世界に無き世界、未来も過去も現代も、全ての負を一つの世界につなげるッ。その力を一つの形にするんですよゲーデっ】

「・・・」

 いまなんて言ったという顔になりながら、イガリマは狂ったように口元をつり上げていた。

【そのためには、負の原初が必要なんですっ、けど関係ない、私は貴方が欲しいですっ。殺して、シュルシャガナと仲良く分けるですっ】

【私もだよイガリマっ、一緒っ、一緒に一生愛するよゲーデ】

「色々と間違ってるッ」

 二人の攻撃に、二人だけがテンションを上げていく。

【男の人にはわからないですよっ、私たちの想いっ。貴方を手に入れて世界を壊すですっ、ずっと一緒ですよゲーデ】

【もう放さないっ、あなたは私たちのもの・・・世界を一緒に壊そうゲーデ】

【【もう絶対に放さない、ずっと切り刻んで愛してあげる】】

 そう微笑みながら、これを喜ぶほど龍はとち狂っていない。

 すぐに刃と刃がぶつかり合う。剣があれば問題ないが、気を抜けばやられると思いながらも、彼はイガリマ達に叫ぶ。

「っていうか、あの方って誰だっ。そもそも何者だっ」

【興味ないですっ】

【いまは楽しもうゲーデっ】

 そんなやりとりの中、刃が空を切った。

 

 

 

「・・・なんの騒ぎ?」

 ミラはエルと共に、慌ただしい司令室へと来た。ジュード達は始めどうするか考えたが、ちゃんと答えた。

 ミラは気にもとめず、モニターに映る装者達を見る。

「・・・なにも言わないんですね」

「・・・もう私はなんなのかわからないからね」

 そう呟きながら、それでもと付け加える。

「私の中で、彼を殺せと囁く。なにかがある・・・」

「でも、やらないんですよね?」

「ええ・・・」

 エルの手を握りしめ、そのときだけミラは微笑む。

 エルも少しだけうれしくなり、少しぎこちないが微笑む。

「けど、どうしてここまで私に、ゲーデを討たせたかったのかしら?」

「それはわかりません、なにか思い当たりますか?」

 ジュードの言葉に、ミラは首を振る。

「私が知るゲーデは、負の固まり。人の心を荒み、大地を衰弱させ、病魔を広げる害悪としかないわ」

「・・・」

 ジュードはその言葉を聞きながら、少し考える。

 その様子に首を傾げるミラ。何かおかしなところでもあるのだろうかと思った。

「いえ、僕の世界。オリジンは、負もまた人の心。行き過ぎた人のエゴという見ていて、浄化するのではなく、悪い部分を押さえ込むという選択をしました」

「負もまた人の心・・・」

 ミラは信じられない顔をするが、装者達も、探索中に、彼らの話を聞いている。

「確かにな、人の心。怒りも憎しみも、悲しみ。どれもこれも結局は、我々人間が生み出したものだ」

 弦十郎は頷き、アルヴィンも言う。

「俺達の世界、オリジンはある試練を人間に与えた。どんな内容かはいまは割愛させてもらうが、その試練にうち勝った男がいてな。オリジンは人間、俺達の可能性を信じてくれたんだ」

「負に負けず、世界をよりよい方へと作る。精霊オリジンはそう信じてくれた。僕らもまた、彼のために、彼が守った世界を守ると決意してます」

「彼?」

 ミラはその言葉に、エルは強く手を握る。

「エルのアイボーだよっ」

 そう言われ、ミラは戸惑う。

「負は害悪よ、あるだけで世界によくないもの。オリジンがどう思おうとかえることはないわ」

「それはわかってます、それでもやるしかないんです」

 まっすぐな瞳に、ミラは見られず顔を背ける。

 だが、

「違うよ」

 カノンノだけはそう言う。

 アドリビトムメンバーだけが、なにか言いたげにしている。

「負が害悪って言うのなら、その元である人間なんてもんも、害悪だ」

 ユーリはそう言い、フレンも頷く。

 ミラはそれに首を振る。

「人間は負を生み出すだけの人だけじゃないわ、なにより人に」

「人間の方が負よりたちが悪い、うちのゲーデの言い分だぜ」

 ユーリはミラの言葉を遮るように言う。そのまま続ける。

「彼奴はいつも言ってるぜ。どんな人間にも、サボりたい、彼奴が憎い、羨ましいって感情がある。人を見下す奴もいるし、他人事のように可哀想って言葉で見下す奴もいる。たちの悪いのは、よくも知りもせずに、相手が悪いっていう第三者らしいぜ」

 その言葉に響の心臓が飛び上がる。

 それはもしかしたら自分の件じゃないかと、全てのきっかけ、彼が世界を、人であることを嫌った理由。

「彼奴は前に言っていたぜ、人間じゃなくってよかったってな。人間の悪いところは、他人を理解できないこと、自分のしていることが悪と自覚しないことだとよ」

「・・・」

 ミラは黙り込みながら聞く。だからとフレンは付け加える。

「だから彼は願ったんだ、そんな人間なんかになりたくない、俺はゲーデだって、彼は受け入れて生きている」

 人であることを嫌い、化け物として生きる。受け入れたのではなく、選んだが正しいかと、みんなが思い、響の心が締め付けられた。

 そうなるきっかけは、自分の事件だから。

 唯一知る奏はそれを思い、黙り込む。

「なら」

 その沈黙を破ったのは、ミラだった。

「なんでゲーデは戦うの?」

 その言葉に、ユーリ達アドリビトムは、

 

 

 

 戦いの中、向こうはどうやら永続的にイグナイトモジュールが使える。もう夜遅い、勘がいいアドリビトムのチームのことだから、もう動いているだろうと思いながら、

「仕方ないッ」

 少し賭に出る。剣を空へと投げ、無防備になる。

 二人はそれを見ても、すぐに動かない。彼にはゲーデと言う奥の手がある以上、無防備でも近づけない。

 だからこそ、格闘技は放てた。

『戦迅狼破ッ』

 イガリマに狼を模した闘気を放ち、シュルシャガナへとぶつける。

 彼の戦いは基本剣であり、剣を軸に、様々な姑息な手を使うのがスタイル。

 相手を騙すためなら、このような手も使う。

 剣をキャッチして、少しびっくりしたイガリマ達を見る。

 二人とも構えたを見ながら、刀身を握る。

「ほらよ」

 手のひらを切り、その鮮血を目つぶしのようにまいた。

 二人とも驚きながら、その甘い血に、一瞬警戒を解いたのを見逃さない。

(欲望の忠実なのも考え物だな)

 ゲーデの血に酔った瞬間、彼は畳みかける。

 剣の秘奥義。ありとあらゆる角度からの同時斬撃。

 

『剣ノ世界』

 

 ただ同時に、連続で斬り続けるだけの技だが、それはほぼ同時であり、13回もあれば秘奥義と言っていいだろう。それがアドリビトムメンバーの意見であった。

「だっ、はっ」

 これをするとさすがに疲れるため、一気に空気を吸う龍。

「なんとかなった」

 そう言い、斬ったイガリマ達を見る。

 悲鳴する前に口もとを壊したからか、少しずつ身体が砂に、シュルシャガナからは気配はない。

(シュルシャガナは倒したか)

 そう思いながら、イガリマを見る。彼女からはまだ意識、気配はある。

 彼女たちの鉱物の身体、さすがにマリア達が見たら、少し睨まれそうだなと思うが、苦笑する龍。

「嫌われ者が気にすることじゃないか」

 まだイガリマには警戒しながら、それに近づく。

 逃げられないように、気を付けながら、イガリマに剣を向けながら、その胸辺りに手を置く。

「ドクメント見せてもらうぜ、ついでに負としてどうなってるのかも確認させてもらう・・・」

 切歌がいたら殺されそうだなと思いながら、ドクメントと負、彼女達の肉体を形成する何かを見ようとした。

「・・・はあ?」

 それにひどく驚いた。

 

「お前ら、ゲーデじゃないっ!?」

 

 彼女たちには僅かに負はある。だが、根本は違う。

 その根本に触れて、龍は驚き、意識に隙ができた。

 ザシュ、という音が鳴り、龍はまた驚く。

「・・・ぐふっ」

【・・・あっは♪ おいしいですよ、ゲーデっ♪】

 彼女の腹から腕が生え、刃の腕が腹を貫く。

 イガリマは笑い、その髪が伸びた。オリジナルと同じ金髪は、ツインテールへとかわり、身体も変化して、押し倒された。

 それと共に、両手両足にも鎌の刃で拘束され、剣を握りたくても、馬乗りで顔にかかった吐血の血を指で取り、なめるイガリマ。いな、

【【おいしいです、やはりゲーデの負はいいもの】】

 シュルシャガナとイガリマ。両方の気配と力を感じ取りながら、二人が合わさった存在は、ぎゅと龍をだきしめる。血をそれでゆっくりと搾り取りながら。

 顔を片腕で押さえ、すりすりと身体へほおずりする。それだけで切り傷ができる龍は、たまったものではない。

【【始めから私たちはこれしていればよかったです、私たちはザババ。ゲーデの妻ですっ♪】】

 そう言って、吐血して流れ、頬を伝う血をなめた。おいしそうにほほえみ、頬を紅くしてゲーデを見る。

【【ゲーデはこれから私たちのものです、もう決定です。逃がさない、ゲーデの血は一滴も残さず、全部私たちの♪♪】】

 その言葉の通りか、鎌の刃から血が吸われている。すぐにゲーデで硬化させたが、それでも力は吸われている。だが血よりかはマシかと、頭を動かすが、腹の刃が刺さったままなのがまずい。全身に力を入れられない。

 本当に流れる血も自分達のものと言わんばかりに、ザババは吐血して流れる血を手で受け止めながら飲んでいる。

 いや、触れているだけで血を通して、負を取り込んでいた。

【【・・・口の中もいっぱいあるです】】

 そう言って、顔を固定させて、近づけてくる。

(待てッ、それは別の意味で待てッ)

 そう思うが、なにもできず、口と口が触れそうになる。

 だが、

 

「「私達の姿で妙なことしないで「デスっ」」」

 

 そう言って、斬撃が飛び、ザババはすぐによけ、距離を取る。

 その瞬間、すぐに傷口を負で覆い止血、すぐに肉体を活性化させて回復を始める。こういうとき、人間じゃなくて助かるとつくづく思う。

「暁、月読か」

「なにしてるんデスっ、人の偽物でいちゃいちゃしないでくださいデスっ」

「いまのはセレナに報告する」

 二人はそう言うが、果たして俺が悪いのかと問いかけたいが、正直吸われた血も負も多く、それでも立ち上がる。

「とりあえず助かったが離れろ、お前らじゃ、戦えば俺は死ぬから」

 そう言って立ち上がる。少し咳をして血を出すが、その様子に、複雑そうに見る二人。なんだろうと思いながら、立ち上がるザババを見ながら、二人は、

「死にたくないんデスか?」

 切歌は投げやりに聞いてくる。なにかあったかと思いながら、

「ルミナシアのギルドマスターに、帰るって約束したからな。死にたくても死ねないんだ俺は」

「「・・・」」

 

 

 

 彼は戦う、始めはもう終わりを求めていた。

 

 聞きたくなかった。もう聞きたくないと彼は言った。

 

 もう、

 

 あの子のような泣き声は聞きたくない。

 

 だから滅びたい、死にたく、倒されたい。

 

 それが、ゲーデの望みだった。

 

 

 

 そう言い、世界を愚かで醜いと切り捨てた男は、前に出て戦い。倒されることを心のどこかで望んでいた。

 だがいまは違う。死ねない理由ができ、それでも戦う理由がある。

 二人はそれを聞いて複雑そうにしていた。

「なんで一人で戦うんデス?」

「別に、死ななきゃいいだろ」

「死にかけてたのに」

「ああ助かった、悪いサンキュー」

 そんな軽口で、まだ戦う気の龍。その傷口は硬化されても痛々しい。二人はそれを見る。

「痛くないの?」

「・・・」

 それにしばらく黙り込み。

「・・・あの叫びを聞くよりかはマシだ」

 二人は分からない返事をされた。だが、その顔はユーリ達、アドリビトムにも秘密の事件。世界を見切った事件に関係するのだろうと察する二人。

 アドリビトムは深く聞かない。ただ一つ、本当に人が嫌いになるきっかけになったのだろうと思っていると伝えられている。

 それがどんな事件かは知らないし、だからと言って、マム、彼女たちの大切な人が救った世界が、滅んでいいと言いのける彼を許すきっかけにはならない。

((・・・だけど))

 静かにザババは構える。両手に鎌を、ツインテールの丸鋸を構える。まるで自分達が合わさったように見えるが、二人はお互いの手を取り、ブローチに触れる。

「待て待て、俺は死ねないんだけど」

「黙るデス」

「けが人は大人しくしてて、私たちが戦う」

 その言葉に龍は気づく。気づいて、ため息を吐き、座り込む。

「・・・わかったよ」

 彼女たちから、負は感じなかった。

「「イグナイトモジュール・抜剣ッ」」

 二頭の飛竜が舞い上がり、彼女達にザババは驚愕した。

【【なっ】】

 二人は左右合わせて、肩の鎧が強化され、ドラゴンの頭部のようなもの。切歌は黒と緑の鎧に、ドラゴンが鎌の形になったような武器を握りしめ、左腰に緑と黒の大きなリボンをつけている。

 反対に調は切歌とは別の肩の鎧が強化され、ピンクと黒のリボン。ツインツールは竜の頭部のようなもので、髪が守られている。

「進化完了デスっ」

「ここで倒すよ切ちゃん」

「おうデスっ」

【【ゲーデは渡さないッ】】

「「いらない(デスっ)」」

 そして二人の歌がぶつかり合う。

 龍はなにが二人にあったんだろうなと思いながら、剣を握る。

「はあ、ユーリ辺りか。過去バナしたところで、いい奴にならないと思うんだけどな俺は・・・」

 そう思いながらも、ニヤリと笑い、剣を振るい、戦う。

 歌の邪魔にならないが、二人が睨んでくる。

 ゲーデの出現に、飛び跳ねるように斬りかかるザババに対して、やれやれと肩をすくめた。

「それじゃ、フィナーレ頼む」

【【!!?】】

 瞬間、切歌の肩、ドラゴンから無数の鎖が放たれる。調からも放たれて、ザババを拘束した。

 瞬間、巨大化した鎌に乗る切歌。それに鎖で繋がる調は車輪のようなもので、迫り来る。

 黒い刃はお互いの色を混ぜ合わせて、ザババへと迫る。

【【くっ】】

 今度こそ砕け散るザババの気配に、やっと龍は一息ついて、海へと吐血した。

 

 

 

「「大人しくしてって言った「デスっ」」」

 二人から怒られる中、硬化のおかげで、致命傷はなんとか回復する。近くに負を吸収する人もいないから、その力を自然治癒に一気に回す。

「あ~こういうとき、人間じゃなくってよかった」

「なに言ってるんデスかもうっ」

「これもセレナに言わなきゃ」

「やめて、カノンノやセレナ、キレると大人しくするのに時間かかる」

 彼女たちもシンフォギアを解き、仲間達に連絡。他の人達も辺りで色々していた。

 ケガの方はこちらでどうにかできるで、いまは砂浜に座り込む。

「とりあえず、私達の偽物でいちゃいちゃしていたこと謝るデスっ」

「すいません、刃突き刺されることっていちゃいちゃと分類されるんですか?」

 抗議したいのだがなと思いながら、いつの間にかの反応に、ユーリ達、お節介に負を送る。まあ届かないが、

(・・・・・・響や奏には知られてなきゃいいが)

 唯一知り得るであろうもの達に、難しい顔をする。

 奏は誰かに言いそうだし、響は誰にも言わずに抱え込む。

 その場合、言わなきゃいけないが、言いたくないのが龍である。

 そう思い立ちあがった瞬間、まだ文句言い足りない二人をどうするか、

「!?」

 考えた瞬間、押した。

「「!?」」

 突然突き放されたことに驚くと共に、龍の背中が誰かに切られた。

「!?」

 調達はすぐにシンフォギアを紡ごうとしたが、その前にそれは切歌へと迫り、拳を溝にたたき込む。

 調は焦り、すぐに斬りかかるが、それは切歌を持って飛んだ。周りに蒼ノ一閃をまき散らしながら、

「させないよっ」

 調がすぐに盾のように丸鋸を広げ防ぐ。

 先ほどの技で誰か分かる。気絶した切歌を抱え、うっすらと笑い、青い布を取り出して叫ぶ。

【もらっていくぞ】

「切ちゃんっ」

 調は叫んだが、その前に消える天羽々斬。まさかと思いながら、呆然となる。

『調くんっ』

 弦十郎からの通信が届き、調はすぐに叫ぶ。

「みんな、切ちゃんが、切ちゃんがッ」

『落ち着くんだッ』

 落ち着けと言った翼だが、一番腹が立つのは翼である。

『翼も落ち着け、お前いま自分の姿した奴が不意打ちにいらだってる時じゃねぇぞ』

『・・・ああそうだな』

 それでも怒気が込められており、全員が急いで現場に急ぐ。

 だがアドリビトムは違った。

『待って、リュウの怒り声とか聞こえないっ、リュウは!?』

「っ!?」

 そうだったと調は自分を恨んだ。

 彼は自分達をかばい、背中を切られた。それを言いながら振り返るが、

「・・・えっ」

 彼の姿はなく、血だけは舞っているが少量である。近くになにか、ステンドガラスのような、青色のガラスの破片がある。

 それを手に取ると、そこに亀裂のように、『待っ』と言う言葉が刻まれている。

「・・・まさか」

 

 

 

 彼はいま気配を消して疾駆する。すぐに顔を上げた際、切歌はさらわれたあと。

 目の前には青いガラスの文面。

『ここに一人で来いゲーデ、待っているぞ』

 すぐに手に取り、動き出す。まずは負を察しするディセンダーから逃れ、指定された場所まで走る。

 剣がある、あとは維持と気合いでカバー

「無理ゲー」

 そう苦笑しながら、それでも彼は迷いなく動いて走り出した。




よくて息が届く程度、頬の血なめたのセーフなはず。
15ですよねこの作品、18ならザババ(というよりオリ主)危ない。
切歌と調はお揃いです。お互いに、左右の肩がドラゴンの頭部のようなもので守られ、大きなリボンを腰につけております。テレビで勝手にですが右側の切歌、調は左側ですから、切歌は右肩、調は左肩が強化されてます。リボンは反対側につけられてますね。
響は両腕とマフラー、マリアは上半身(というより胸と背中)が強化。
二人は龍には龍の事情があり、いい奴でないと思っています。
ですが、いい奴ではないが、彼は家族を、仲間を守る、その大切なものも守る存在であると知り、アドリビトムの真意を信頼した結果、強化できたという解釈です。
切歌はさらわれました、オリ主はズタボロです。どうなるか楽しみに。
一番のヤンデレがいなくなった、これで作者は一安心です。
では、お読みいただきありがとうございます。
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