戦姫絶唱・テイルズ・オブ・シンフォギア   作:にゃはっふー

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ご都合主義全開ッ、説明不足、それらしいフラグはない?
そこは申し訳ございませんッ。
だがやりたいんだ、俺の文章力がないだけに感動が少ないと思いますが、この1話はオリ主でも戦姫達でもなく、彼に捧げる1話です。
ではどうぞ。


真っ白な世界か真っ黒な世界か

 真っ白な空間、彼はいるだけだった。

 

 考えることもなく、いるだけだった。

 

 はずだった。

 

 僅かに何か聞こえた。真っ白な世界で、確かに聞こえた。

 

 

 

「・・・」

 難しい顔をしたまま、モニターには二人の人物が写る。

 腹を貫かれ、いまだ傷が癒えず、出血を止めるので精一杯で、意識が回復しない龍という少年。

 もう一人は、完全に錯乱してあり、地下室で引きこもり、誰とも会おうとしないミラと言うディセンダーである。

「すいません・・・」

 苦しい顔をしていたのはジュード達だった。彼女の異変に気づき、止められなかった。彼女もそれを望んでいたのにもかかわらず。

「気にすることはない、我々も甘く見ていた。彼女にかけられた使命、いやもう呪いだ」

 吐き捨てるように言う弦十郎。それにはここにいる関係者全員が頭に来ている。

 ゲーデが瀕死だからだろうか、ミラの意識がほとんどおかしくなるほど、無理矢理使命を果たさせたのだ。おかしいと一言に尽きない。

「けど、リュウが言う正体ってなんなの・・・」

 リタが考える。龍はどうやら敵の正体を知ることができたようだが、いまだ油断できない状態の龍。この状態では何もできない。

「傷の手当ては?」

 クリスもさすがに聞くほどの状態であり、それにノワール、ディセンダー達は苦しそうに首を振る。

「あれはディセンダーの輝き・・・リュウの身体というより、存在そのものを貫いたの・・・自己回復以外、リュウは治せない」

 それを聞き、黙り込む一同。そして、エルは前に出る。

「ミラは」

 それに、また全員が黙り込む。

 弦十郎はエルのためにも、ちゃんと言う。

「彼女の意志を尊重して、いま地下に隔離している。むろん、なにかあれば」

「なにかってなにっ!? ミラを傷付けないでっ」

 その少女の要望に、弦十郎は険しい顔になる。

 だが、混乱し、錯乱する中で彼女は、

 

『誰か私を殺してっ』

 

 そう言うほど、彼女はいま、自分の行動を止めたいと願っている。

「エル」

 カノンノはそのエルを優しくだきしめる。

「いまは難しい話ばかりだけど、大丈夫。リュウもミラさんも、なんとかするよ」

 そんな理由も、確証もないことを言うカノンノ。だが、

「おう、彼奴のことだ。悪い刺されたってミラに謝るだろうよ」

「そうだね、それも問題ではあるのだけど。彼はこの程度で死ぬほど、身勝手じゃないよ」

 ユーリとフレンはそう言い、ハロルドはうっふふふふと笑う。

「それもそうね、彼奴のことは死ななきゃいいっしょ」

「まあね、その前に無断で動いたんだから、しばらくベットの上がいいわ。それよりミラの方ね」

「だね」

 リタの言葉に、セレナは頷く。クイッキーはエルフナインの頭の上で両腕をあげていて、みんなの様子に驚く一同。

「龍なら自分のことより、ミラさんのことを考えるよ」

 セレナはそうみんなに言う。カノンノもうんと頷きながらエルを撫でる。

「いま大変なのはミラさんだよ、エル、ミラさんのこと大好きでしょ?」

「うんっ」

 少しの迷いなく言うエルに、カノンノは微笑む。

「なら、ミラさんのために行動しないと」

「あのリュウ大先生なら、すぐに起きる、いや、あの性格なら必ず起きる。なにより敵さんだってまだいるんだ、なにがあってもいいように、動かないとな」

 彼らは信じている。龍は刺されたことを一切も気にせずに、そして必ず生きて現れると信じている。

 その様子にノワールとイヤハートはほほえみ、その信頼感に、装者達も信じる。

「彼奴のこと信じてるんだな」

 クリスの言葉に、クイッキーはジャンプして、頬スリし出す。

 最初は恥ずかしかったが、仕方なくのど元を撫でてやりながら、クリスは微笑む。

 

 

 

「・・・」

 地下室で座り込むミラ。

 なにも言わず、頭の声を無視している。

(助けて・・・)

 泣きそうになる。自分がゲーデを殺す存在。だからか知らないが、いまはゲーデを殺すことしか考えられない。

 だけど、それをしようとすると、エルの顔が思い出す。

 きっと、彼を殺せば、あの子を傷付ける。

 嫌だッ。だから、殺して欲しい。だけど誰もそうしてくれない。

「誰か・・・私を殺して・・・」

「そんなこと誰も喜びません」

 響がそう言いながら、扉を開けて入る。その手に鍋を持ち。

「・・・ヒビキ」

「これ、エルちゃんが未来、私の友達に習って作ったスープです」

「・・・だから」

「ミラさんあのあとなにも食べてませんよね? なにか食べないと体が持ちません」

「けど、私は、私は・・・」

「ミラさんっ」

 響はミラの手を取り、力強く握る。

 そして、

「平気、へっちゃらですっ」

「!?」

「龍さんはこの程度じゃ死にません、きっと謝る機会があります」

「謝るって、そんなこと」

「許してくれますッ、絶対、あの人はそういう人ですっ」

 その言葉に、ほほに暖かい涙が流れる。

 スープを置いて去る響。ミラはスープを見つめた。

「私は・・・私は」

 頭の声はまだ続く。だけど、負けるわけにはいかない。この暖かいもののためにも。

 その暖かい空間は、あざ笑うように、警報を聞くまで続いた。

 

 

 

「ノイズ反応多数ッ、同時にジルディアもどきも多数出現ッ。しかもここを取り囲むように出現しましたっ」

「予想できなかったのかくそっ」

 弦十郎達は苦虫を噛むが、リタ達は冷静に分析する。

「元々防壁とか無意味なのかも、相手は空間移動できると仮説した方がいいわね」

「こっちの防衛機能完全無視かっ、全く役に立たないな俺達は」

 そう言いながらも、すぐに装者達に連絡して迎え撃たせる体制を整えつつ、非戦闘員並び民間人などの安全確保と、フレンやユーリも動く中、エルの方は、

「ミラくんの料理で、未来くんと一緒にいる。カノンノくんとイヤハートくんがいるから問題ない」

 そう言いながら、彼らは動く。

 

 

 

「ちっ、数だけは多いな・・・」

 クリスは悪態を付きながら、ノイズは簡単に吹き飛ばすが、ジルディアもどきだけは簡単にはいかず、苦戦する。

 他の装者達は、イグナイトモジュールはゲーデの恩恵を受けており、ジルディアもどきも大量に倒している。

「!?」

 そう思っているとき、歌が聞こえて、空を睨む。

「攻撃来るぞっ、マシマシだッ」

「デ、デスっ!?」

 ミサイルの雨が、敵味方関係なく降り注ぎ、クリスはそれを同じ技で最低限防ぐ。その様子に、イチイバルは睨む。

【テメェ、邪魔すんじゃねぇよホンモン】

「ニセモンッ」

 偽物の手には鎖と首輪があり、装者達は構える。

「首輪と鎖って・・・」

【私のゲーデ用だっ、やっといいのあったし、他の奴いなくなったから、飼うスペースもあるからな】

 得意げに言うが、自分の偽物がそんな性格なのに、クリスは怒り、強く銃を握る。

「テメェ、人の姿形で妙な趣味持ってるんじゃねぇよッ」

【ハッ、イガリマとシュルシャガナと一緒にするなッ。彼奴らのように盗撮したもん切り刻んだり、アガートラームのように衣類盗んだりしてねぇよッ】

「待って、アガートラームってそんなことしてたのっ!?」

【っていうか、他の奴らゲーデの写真で。ドン引きすることしてたし】

「色々聞きたくないデスッ」

 そんな叫びの中、イチイバルはイグナイトモジュールの姿になり、また虚空からノイズやジルディアもどきが出てくる。

【彼奴も最終段階に入る気らしいからな、出し惜しみは無しだッ。ゲーデを食べさせてもらうぜッ、大事にするから安心しろッ】

「させないよッ」

 響はマフラーを光へと変えて、なぎ払いながら突き進む。

 それが合図に、戦闘が始まる。

 

 

 

 イチイバルへの印象は、まずいの一言だった。

 ノイズ達、ジルディアもどき達が完全に統一された動きをし、イチイバルの壁となり盾となり、銃撃がうまいくらいに放たれる。

(クリスにはない動き・・・)

 仲間を盾にし、仲間を犠牲し、確実に敵を殺るスナイパーのように、時たまに無差別に攻撃して攪乱している。

 響のように接近しても、格闘術もあるためか、防衛のみに集中して、ノイズ達で防いでから距離を取り戦う。

(他のゲーデ装者は自分の欲望に一直線だった)

 ガングニールは獣、ザババは切り刻む、天羽々斬は死合う。アガートラームはわからないが、全員が欲望のまま動いていた。わかりやすいほどに動く。

 だがイチイバルは逆に冷静沈着だった。

 目的のためなら、確実性を取っている。

(力はゲーデの力を持つ我々の方が上、だが)

 非戦闘員などがいる戦場の中、周りに気を配りながらの戦闘故に、うまく機能していない。

 ユーリとフレンなどは避難班でがんばっているが、彼らもノイズは対峙できない。カノンノ達がそこをフォローしていると指示が出ている。

 つまりイチイバルには自分達しか相手がいない。だが攻めきれない。

「苛々するデスっ」

「やろう、うまく立ち回る・・・」

 クリスも苦々しく睨むが、イチイバルはハッと笑い飛ばす。

【これが戦闘だッ、パパやママを奪った世界のやり方だホンモン】

「うるさいぞニセモンッ」

 しかも時折、こちらの緊迫した糸を切るように、挑発してくる。

【第一私のゲーデの独占欲はお前からなんじゃねぇのか? お前って、好きなもん独占して監禁癖があるんじゃねぇ?】

「私にんな趣味はねぇッ」

「心を落ち着かせるんだっ、相手の思うつぼだぞっ」

【そう言う天羽々斬のオリジナルだって、天羽々斬がゲーデの写真であんなことしてたんだ、お前もそういう趣味か?】

「な、ななななんのことだっ」

「翼、貴方も」

【一番はアガートラームだけどな】

「っ!!?」

 そんな感じで戦局を混乱させたりと、完全に向こうのベースだ。

 そんな感じだが、効かない子がいる。

「でっやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 響がイチイバルに突貫し、それには舌打ちする。唯一妙なネタがないのは、響だけだったのだ。

【やりずれぇぞガングニールのホンモン。これでもニセモンだぞ、平気なのか殴るのッ!?】

「許可はもらってますッ」

【チッ】

 そして戦いはノイズなどの数でうまく立ち回るが、じり貧だ。

【この男っ気ないもんどもがッ、どーせテメェらは百合百合してればいいんだよっ。人の行動邪魔すんじゃねぇッ】

「?」

【よくわかんねぇ顔すんじゃねぇよッ】

 響の反応だけはイチイバルは読めないようであり、さっきの言葉は装者達の方に響くものであった。

「あのパチモンが・・・」

「必ずここで倒すわよ」

「・・・」

「デス・・・」

「・・・」

 少しは気にしていたらしい装者達は、ノイズとジルディアもどきを倒しつつ、確実にイチイバルを押していた。

【いい加減に、遊ぶのはやめだッ】

 そう言いながら、イチイバルはノイズを集める。

 それは鏃のように鋭く、尖っており、イチイバルはそれを構えた。

【お前ら行き後れに構っていられないんだッ、ここで逆転させてもらうッ】

 そう言って放たれた矢を、全員がよけた。

「ハズレだバカッ、っていうか行き後れてねぇよッ」

 そんなこと言うが、イチイバルは禍々しく、口元をつり上げた。

【いや、解放してやってぜ】

「!?」

 みんなで攻撃の先を見た。

 土煙が立ち上り、地下を貫き、ある部屋を貫通させた。

【さあテメェの使命を果たせッ、ディセンダーッ】

「あっ、アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 一人の悲鳴がこだまする中、響達は戦慄した。

 

 

 

 その場で光り輝く剣を振り回すミラ。解放された部屋、自分が自由になったと分かった瞬間、頭の声が強くなる。

 ゲーデを滅ぼす。どこにいる? そこにいると響いてくる。

「ダメッ、そんなの、いやッ」

「ミラさんッ」

 響が向かおうとするが、ノイズやジルディアもどきが壁になる。

【させねぇよ百合娘っ】

 そんなこというイチイバル、全員が困惑する。

「お前の目的はゲーデではないのか?」

【アァ? 別に飼えれば死体でもいいし、冷凍保存すればいいだろ? 散歩とかの必要もないしな】

 何を言っているかのかわからない、わかりたくもない。

 だが、イチイバルはミラの反応にいらだっていた。

【自分が改造されたくせに、役に立たない道具が、少しは役に立てよな】

「改造だとっ!?」

 興味ないように、ああと頷くイチイバル。

【彼奴が時空の狭間で死にかけ見つけて、保存してたもんだよ。ディセンダーとして変化できやすいからってな】

「彼女もセレナと同じ、元は人間なのッ!?」

 その言葉に、イチイバルは興味ないと言う顔で構えた。

【あとは彼奴にゲーデを殺させればいい。さて、お前らは私と遊べ。女と遊ぶのは好きだろテメェら】

「クリスちゃんならともかく、貴方とはいやですっ」

「響ッ、こいつの裏の言葉を理解しろッ」

 そんなこと言っている場合ではないのだが、イチイバルは自分達を邪魔するように立ちふさがる。

 

 

 

「ああ、アァァァァァァァァァァァァァ」

 頭の中が黒く染まる。ゲーデを、違う、龍を殺せとわめき騒ぐ。

「い、や・・・」

 それをすればあの子が、エルが悲しむ。

 なぜそこまで執着する? まだ出会って間もない子なのに、気にかける道理はない。

「それでも・・・それでもいやなのッ」

 ディセンダーの使命を全うせよ、自分の存在を示せッ、ゲーデを、剣崎龍を殺せ。

「嫌だッ」

 そう言ったとき、何度も頭を地面にたたきつける。血が出ても気にせず、自分を止める。どうあっても、

「お願い・・・止めて、誰か私を殺してッ」

 だが、誰も叶えてくれない望み。

(なら)

 光の剣を見て、覚悟を決める。

 その剣を自分へと向けようとするが、

「だめっ」

 その腕に張り付くのはエルだった。

「え・・・る・・・」

「『魔神拳』」

 ジュードが辺りのノイズを吹き飛ばし、アルヴィン、エリーゼ、レイア、カノンノやイヤハートも現れ、エルは腕に張り付く。

「だめだよミラっ、そんなのだめッ」

「放してッ、このままじゃ私は、私はゲーデを殺すッ」

「そんなことはさせねぇよッ」

 アルヴィンは声を高くして叫び、ジュードも拳を構える。

「今度こそあなたを止めますッ、絶対に」

「私たちを信じてミラ」

「今度は私たちがいますっ」

「ティポ達にお任せあれ~」

 全員の思いを受け、カノンノやイヤハートも頷く。

 その様子に涙を流しながら、それでも鳴りやまない声に、ミラは首を振る。

「どうして・・・どうして私を」

「・・・貴方は」

 そのとき、ジュードの言葉を遮るように、イチイバルの弾丸が飛び込むが、イチイバルのものと知り、ジュードは殴り、アルヴィンは防ぐ。

【ハッ、テメェらその女の、前の知り合いかッ】

「前の・・・」

 ジュード達の側にいる。歯がゆい顔で装者達はノイズと対峙している。

【そいつは時空の狭間で死ぬはずだったのを、彼奴がディセンダーにしてやったんだよッ】

「!? それじゃ」

「私は・・・ジュード達の」

「いまはそんなこと関係ないっ」

 みんなの驚愕の中、一人だけはっきりと声を上げるエル。

「ミラが『ミラ』だろうと関係ないっ、エルたちはここにいるミラを守るッ」

「ああそうだなっ」

 アルヴィン達はすぐに切り替えて、武器を構える。

 ミラはその様子に困惑しながらも、頭の声はまだ響く。

【死にかけてたところ、彼奴に救われたんだ。そもそも害悪殺すの邪魔すんじゃねぇよ・・・】

 禍々しいものを放つが、ジュードは拳を固めて、構える。

「救われたからって、この人がいやがることを強制することは間違ってますッ」

「そんなことさせるかっての」

「私たちの仲間だろうと、違うても関係ない」

「困っているなら助けますっ、それが友達、仲間ですッ」

「どんと来いや~」

「私たちも」

「邪魔させてもらうよッ」

 カノンノやイヤハートにも、睨みながら、ノイズとジルディアもどきを出すイチイバルだが、彼らはひるまない。

「エルはミラさんとッ、僕らはッ」

「お前らを守るッ」

 だから引かない。彼らもまた無謀に向かう。

 

 

 

「あの馬鹿者達はッ」

 弦十郎はモニターを見ながら、ディセンダー班を見る。こちらもこちらで手こずっている。誰もミラ達の方に向かわせられない。

 なによりユーリやフレンも同じようなことしている。全くと頭を痛める。

「・・・まずいわね」

 リタはそうつぶやき、コンソールを操作して、エルフナインは同じ画面を見て青ざめていた。

「やっぱりかあのバカッ」

 

 

 

「オッラァァァァァァァァァァァァァァァ」

 その間に割り込むように、剣撃を放つ。バカがいた。

「おっいッ、お前が来るなッ」

 アルヴィンも叫び返し、死にかけがイチイバルと対峙する。

【ゲーデ来てくれたか、ご主人様が迎えに来てやったぞッ】

「お前はそっちかッ。そんな趣味はないッ、帰れッ」

 龍を見たミラは焦る。自分は彼を貫いたのだ。彼だって分かっているはずだ。

 そう思っているとき、

「悪い悪い、死んでたわ。あとで聞くから謝るなよ。気にすることでもねぇし」

 そう笑いながら、剣を構える龍。

 ミラは頭の中が真っ白になる。

「君、死にかけてたのに・・・思ってた以上の人だね」

「人じゃねぇ、化け物だよ」

 ジュードと笑い合いながら、武器を構える。

 イチイバルもその様子に苛々していた。

【ふざけんな、ご主人様の言うこと聞けよゲーデッ。テメェもいま生きてるのはゲーデを殺すためだッ、そのために生きろよッ】

「こいつの生き方はこいつが決めることだッ、勝手なこと言うな」

 ぶつかり合う戦いの中、龍はノイズを蹴散らす。

 ジルディアもどきはジュード達が相手取り、その様子をエルと共に見る。

(・・・私は)

 

 ゲーデを殺せ。いや。ゲーデを消せ。負けない。

 

 ゲー負けないッ。

 

「私は負けないッ」

 

 そして視界が真っ暗に染まる。ゲーデを消すと言う思考が頭も視界も覆い隠す。

 ミラの悲鳴が轟く中、それでも、

「負け、ない・・・」

 苦しい、エルが泣きそうな顔でこちらを見る。

 龍もまだ本調子ではない。死にかけていたのだからそうだろう。

(誰か・・・)

【ちっ、この役立たずがッ】

 銃口が光り、まっすぐ向かってくる。エルをかばうように、突き放す。

 それを静かに見ながら、ミラは目を閉じた。

 そのとき、真っ暗な世界で光が差し込む。ある言葉と共に。

「    」

 それを短く、呟いた。

 

 

 

 さあ、目を覚まして

 

「だれだ・・・」

 

 君はいまから、世界の害悪を滅ぼすために生きるんだ

 

「世界の、害悪?」

 

 君ならできる。だから、こっちに来て

 

 差しのばされた手を見ながら、それを取ろうとしたとき、

 

「?」

 

 真っ暗な世界が見えた。後ろにある、真っ暗な世界に、声は叫ぶ。

 

 ダメだッ、そっちは君の世界じゃない。君がいるべき世界じゃない。

 

 この手を取るんだッ。早く。

 

 その言葉に、そうだと思った。

 

 暗闇の世界は禍々しく、醜いと思った。

 

 だけど。

 

『    』

 

 その瞬間、手を払いのけて飛び出した。

 

 

 

 光が交差した。

 土煙の中、エルは呆然とその光景を見た。

「・・・ミラ・・・」

 だが、エルは聞こえた。

「えっ」

 ある時計から、僅かな鼓動を感じ取り、煙がはれた。

「・・・・・」

 息をのむ。それはジュード達もだった。

【誰だテメェはッ!?】

「・・・」

 一人ただずむそれは、黒い鎧に身を包み、側に槍を地面に刺してたたずむ。

 ミラを抱き上げ、ゆっくり下ろす。

「・・・」

 その姿を見て、黒の世界が消える。

 目の前にいる黒い戦士、彼の姿を見て、涙がたまる。

「任せろ」

 彼はそう言い、槍を構え、龍は驚愕するが、なぜか、仲間と思った。

「ジュード、アルヴィン、エリーゼ、レイア」

 彼らも呆然としていたが、その言葉に我に返る。

「行くぞ」

 その言葉に全員が叫ぶように返事をして、イチイバルへと向かう。

 

 

 その猛攻にイチイバルは驚いていた。

【お前、まさか、彼奴が用意してた、宿命を越えた者かっ!?】

「関係ないッ、いまはお前を倒す」

「俺も忘れるな黒いのッ」

 龍も参戦して、イチイバルを追い込む。

 その姿にクリスは眺めていた。

「彼奴・・・ボロボロのくせに、まだ戦うのか」

 その様子を見ながら、クリスは歯を食いしばる。

(・・・まだ彼奴の言った言葉は許せない)

 だが、

「だけど、このまま彼奴を放っておく方が、もっとゆるせられっかッ」

 そして赤い飛竜が舞い上がる。

【!?】

 イチイバルは驚愕する。それはクリスの変化、それを見て龍はなんでと思いながら苦笑する。

「どいつもこいつも、俺への評価間違ってる」

 現れたクリスは足の装甲がドラゴンの足のように、赤と黒で強化されていた。

 武器もまた、重火器であり、一気にぶっ放す。

 弾幕の雨が降り注ぎ、ノイズも敵全て吹き飛ばす。

【くっそ、まさか、ここで彼奴が失敗するなん】

 そう愚痴っているとき、光の槍が刺さる。

「うっおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 光の槍が乱舞して、最後の一撃が自分に突き刺さる。

【ぐっ】

『マター・デストラクト』

 槍に貫かれ、粉々に砕け散るイチイバルに、槍の戦士は空を見上げた。

 

 

 

 戦いが終わり、全員が集まる。

 龍はその場に座り込み、セレナとカノンノが飛びついてくる。

「「リュウっ」」

 それに(一部の反応に)恐怖を感じる龍。なにより体力がないために、やめて欲しい。

 切歌もすぐに近づいてきた。

「やっと起きたデスっ、どんだけ心配したと思ってるんデスかっ」

 切歌は泣きそうな顔で、それでもうれしそうにしている。その様子のまま、ノワールも参加して困ったことになる。

 その様子に弦十郎達も現れる中、黒い戦士は静かにただずむ。

「君は」

「すいません、俺はまず」

 彼はジュード達を見る。なにか言う前に、

「貴方の顔を見るのは、あの子が先に、名前もね」

 そう言ったのはミラだった。

「ミラ・・・」

「全く・・・お互いしぶといわね・・・」

 その言い方に、ジュード達は驚く。

「まさか」

「貴方のおかげよ、彼奴の書き換えられた記憶を取り戻せたのは・・・だけど、貴方と始めに会うのは、あの子よ」

 そう言い、身体をどけて、一人の少女を見せる。

 時計を持ち、降着する一人の少女。

 それを見る戦士は、静かに、

「~~~♪」

 鼻歌を歌う。エルはそれを聴き、体を震わせて、同じ歌を歌う。

 そして静かに鎧を解きながら、少女に近づく。

 涙を流す少女をだきあげ、優しい微笑みを見せながら、青年は言う。

「ただいま、俺のアイボー」

「おかえり・・・るどがー・・・」

 その様子を見守る彼らは、状況はよくわからないが、龍は静かに、

「・・・居心地悪いな」

 苦笑しながら、そう愚痴った。




・・・いかかですか?
作者なりに感動を目指しました。文章力の低さに泣きたいですが、全力出しました。
彼は真っ白な世界より、真っ黒な世界、ミラ達を選択したことにより、最終章です。
余計なことはせずこのままに、次回終章へと駆け出します。
全ての敵、彼奴の正体。そして最後の異世界の戦い。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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