そこは申し訳ございませんッ。
だがやりたいんだ、俺の文章力がないだけに感動が少ないと思いますが、この1話はオリ主でも戦姫達でもなく、彼に捧げる1話です。
ではどうぞ。
真っ白な空間、彼はいるだけだった。
考えることもなく、いるだけだった。
はずだった。
僅かに何か聞こえた。真っ白な世界で、確かに聞こえた。
「・・・」
難しい顔をしたまま、モニターには二人の人物が写る。
腹を貫かれ、いまだ傷が癒えず、出血を止めるので精一杯で、意識が回復しない龍という少年。
もう一人は、完全に錯乱してあり、地下室で引きこもり、誰とも会おうとしないミラと言うディセンダーである。
「すいません・・・」
苦しい顔をしていたのはジュード達だった。彼女の異変に気づき、止められなかった。彼女もそれを望んでいたのにもかかわらず。
「気にすることはない、我々も甘く見ていた。彼女にかけられた使命、いやもう呪いだ」
吐き捨てるように言う弦十郎。それにはここにいる関係者全員が頭に来ている。
ゲーデが瀕死だからだろうか、ミラの意識がほとんどおかしくなるほど、無理矢理使命を果たさせたのだ。おかしいと一言に尽きない。
「けど、リュウが言う正体ってなんなの・・・」
リタが考える。龍はどうやら敵の正体を知ることができたようだが、いまだ油断できない状態の龍。この状態では何もできない。
「傷の手当ては?」
クリスもさすがに聞くほどの状態であり、それにノワール、ディセンダー達は苦しそうに首を振る。
「あれはディセンダーの輝き・・・リュウの身体というより、存在そのものを貫いたの・・・自己回復以外、リュウは治せない」
それを聞き、黙り込む一同。そして、エルは前に出る。
「ミラは」
それに、また全員が黙り込む。
弦十郎はエルのためにも、ちゃんと言う。
「彼女の意志を尊重して、いま地下に隔離している。むろん、なにかあれば」
「なにかってなにっ!? ミラを傷付けないでっ」
その少女の要望に、弦十郎は険しい顔になる。
だが、混乱し、錯乱する中で彼女は、
『誰か私を殺してっ』
そう言うほど、彼女はいま、自分の行動を止めたいと願っている。
「エル」
カノンノはそのエルを優しくだきしめる。
「いまは難しい話ばかりだけど、大丈夫。リュウもミラさんも、なんとかするよ」
そんな理由も、確証もないことを言うカノンノ。だが、
「おう、彼奴のことだ。悪い刺されたってミラに謝るだろうよ」
「そうだね、それも問題ではあるのだけど。彼はこの程度で死ぬほど、身勝手じゃないよ」
ユーリとフレンはそう言い、ハロルドはうっふふふふと笑う。
「それもそうね、彼奴のことは死ななきゃいいっしょ」
「まあね、その前に無断で動いたんだから、しばらくベットの上がいいわ。それよりミラの方ね」
「だね」
リタの言葉に、セレナは頷く。クイッキーはエルフナインの頭の上で両腕をあげていて、みんなの様子に驚く一同。
「龍なら自分のことより、ミラさんのことを考えるよ」
セレナはそうみんなに言う。カノンノもうんと頷きながらエルを撫でる。
「いま大変なのはミラさんだよ、エル、ミラさんのこと大好きでしょ?」
「うんっ」
少しの迷いなく言うエルに、カノンノは微笑む。
「なら、ミラさんのために行動しないと」
「あのリュウ大先生なら、すぐに起きる、いや、あの性格なら必ず起きる。なにより敵さんだってまだいるんだ、なにがあってもいいように、動かないとな」
彼らは信じている。龍は刺されたことを一切も気にせずに、そして必ず生きて現れると信じている。
その様子にノワールとイヤハートはほほえみ、その信頼感に、装者達も信じる。
「彼奴のこと信じてるんだな」
クリスの言葉に、クイッキーはジャンプして、頬スリし出す。
最初は恥ずかしかったが、仕方なくのど元を撫でてやりながら、クリスは微笑む。
「・・・」
地下室で座り込むミラ。
なにも言わず、頭の声を無視している。
(助けて・・・)
泣きそうになる。自分がゲーデを殺す存在。だからか知らないが、いまはゲーデを殺すことしか考えられない。
だけど、それをしようとすると、エルの顔が思い出す。
きっと、彼を殺せば、あの子を傷付ける。
嫌だッ。だから、殺して欲しい。だけど誰もそうしてくれない。
「誰か・・・私を殺して・・・」
「そんなこと誰も喜びません」
響がそう言いながら、扉を開けて入る。その手に鍋を持ち。
「・・・ヒビキ」
「これ、エルちゃんが未来、私の友達に習って作ったスープです」
「・・・だから」
「ミラさんあのあとなにも食べてませんよね? なにか食べないと体が持ちません」
「けど、私は、私は・・・」
「ミラさんっ」
響はミラの手を取り、力強く握る。
そして、
「平気、へっちゃらですっ」
「!?」
「龍さんはこの程度じゃ死にません、きっと謝る機会があります」
「謝るって、そんなこと」
「許してくれますッ、絶対、あの人はそういう人ですっ」
その言葉に、ほほに暖かい涙が流れる。
スープを置いて去る響。ミラはスープを見つめた。
「私は・・・私は」
頭の声はまだ続く。だけど、負けるわけにはいかない。この暖かいもののためにも。
その暖かい空間は、あざ笑うように、警報を聞くまで続いた。
「ノイズ反応多数ッ、同時にジルディアもどきも多数出現ッ。しかもここを取り囲むように出現しましたっ」
「予想できなかったのかくそっ」
弦十郎達は苦虫を噛むが、リタ達は冷静に分析する。
「元々防壁とか無意味なのかも、相手は空間移動できると仮説した方がいいわね」
「こっちの防衛機能完全無視かっ、全く役に立たないな俺達は」
そう言いながらも、すぐに装者達に連絡して迎え撃たせる体制を整えつつ、非戦闘員並び民間人などの安全確保と、フレンやユーリも動く中、エルの方は、
「ミラくんの料理で、未来くんと一緒にいる。カノンノくんとイヤハートくんがいるから問題ない」
そう言いながら、彼らは動く。
「ちっ、数だけは多いな・・・」
クリスは悪態を付きながら、ノイズは簡単に吹き飛ばすが、ジルディアもどきだけは簡単にはいかず、苦戦する。
他の装者達は、イグナイトモジュールはゲーデの恩恵を受けており、ジルディアもどきも大量に倒している。
「!?」
そう思っているとき、歌が聞こえて、空を睨む。
「攻撃来るぞっ、マシマシだッ」
「デ、デスっ!?」
ミサイルの雨が、敵味方関係なく降り注ぎ、クリスはそれを同じ技で最低限防ぐ。その様子に、イチイバルは睨む。
【テメェ、邪魔すんじゃねぇよホンモン】
「ニセモンッ」
偽物の手には鎖と首輪があり、装者達は構える。
「首輪と鎖って・・・」
【私のゲーデ用だっ、やっといいのあったし、他の奴いなくなったから、飼うスペースもあるからな】
得意げに言うが、自分の偽物がそんな性格なのに、クリスは怒り、強く銃を握る。
「テメェ、人の姿形で妙な趣味持ってるんじゃねぇよッ」
【ハッ、イガリマとシュルシャガナと一緒にするなッ。彼奴らのように盗撮したもん切り刻んだり、アガートラームのように衣類盗んだりしてねぇよッ】
「待って、アガートラームってそんなことしてたのっ!?」
【っていうか、他の奴らゲーデの写真で。ドン引きすることしてたし】
「色々聞きたくないデスッ」
そんな叫びの中、イチイバルはイグナイトモジュールの姿になり、また虚空からノイズやジルディアもどきが出てくる。
【彼奴も最終段階に入る気らしいからな、出し惜しみは無しだッ。ゲーデを食べさせてもらうぜッ、大事にするから安心しろッ】
「させないよッ」
響はマフラーを光へと変えて、なぎ払いながら突き進む。
それが合図に、戦闘が始まる。
イチイバルへの印象は、まずいの一言だった。
ノイズ達、ジルディアもどき達が完全に統一された動きをし、イチイバルの壁となり盾となり、銃撃がうまいくらいに放たれる。
(クリスにはない動き・・・)
仲間を盾にし、仲間を犠牲し、確実に敵を殺るスナイパーのように、時たまに無差別に攻撃して攪乱している。
響のように接近しても、格闘術もあるためか、防衛のみに集中して、ノイズ達で防いでから距離を取り戦う。
(他のゲーデ装者は自分の欲望に一直線だった)
ガングニールは獣、ザババは切り刻む、天羽々斬は死合う。アガートラームはわからないが、全員が欲望のまま動いていた。わかりやすいほどに動く。
だがイチイバルは逆に冷静沈着だった。
目的のためなら、確実性を取っている。
(力はゲーデの力を持つ我々の方が上、だが)
非戦闘員などがいる戦場の中、周りに気を配りながらの戦闘故に、うまく機能していない。
ユーリとフレンなどは避難班でがんばっているが、彼らもノイズは対峙できない。カノンノ達がそこをフォローしていると指示が出ている。
つまりイチイバルには自分達しか相手がいない。だが攻めきれない。
「苛々するデスっ」
「やろう、うまく立ち回る・・・」
クリスも苦々しく睨むが、イチイバルはハッと笑い飛ばす。
【これが戦闘だッ、パパやママを奪った世界のやり方だホンモン】
「うるさいぞニセモンッ」
しかも時折、こちらの緊迫した糸を切るように、挑発してくる。
【第一私のゲーデの独占欲はお前からなんじゃねぇのか? お前って、好きなもん独占して監禁癖があるんじゃねぇ?】
「私にんな趣味はねぇッ」
「心を落ち着かせるんだっ、相手の思うつぼだぞっ」
【そう言う天羽々斬のオリジナルだって、天羽々斬がゲーデの写真であんなことしてたんだ、お前もそういう趣味か?】
「な、ななななんのことだっ」
「翼、貴方も」
【一番はアガートラームだけどな】
「っ!!?」
そんな感じで戦局を混乱させたりと、完全に向こうのベースだ。
そんな感じだが、効かない子がいる。
「でっやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
響がイチイバルに突貫し、それには舌打ちする。唯一妙なネタがないのは、響だけだったのだ。
【やりずれぇぞガングニールのホンモン。これでもニセモンだぞ、平気なのか殴るのッ!?】
「許可はもらってますッ」
【チッ】
そして戦いはノイズなどの数でうまく立ち回るが、じり貧だ。
【この男っ気ないもんどもがッ、どーせテメェらは百合百合してればいいんだよっ。人の行動邪魔すんじゃねぇッ】
「?」
【よくわかんねぇ顔すんじゃねぇよッ】
響の反応だけはイチイバルは読めないようであり、さっきの言葉は装者達の方に響くものであった。
「あのパチモンが・・・」
「必ずここで倒すわよ」
「・・・」
「デス・・・」
「・・・」
少しは気にしていたらしい装者達は、ノイズとジルディアもどきを倒しつつ、確実にイチイバルを押していた。
【いい加減に、遊ぶのはやめだッ】
そう言いながら、イチイバルはノイズを集める。
それは鏃のように鋭く、尖っており、イチイバルはそれを構えた。
【お前ら行き後れに構っていられないんだッ、ここで逆転させてもらうッ】
そう言って放たれた矢を、全員がよけた。
「ハズレだバカッ、っていうか行き後れてねぇよッ」
そんなこと言うが、イチイバルは禍々しく、口元をつり上げた。
【いや、解放してやってぜ】
「!?」
みんなで攻撃の先を見た。
土煙が立ち上り、地下を貫き、ある部屋を貫通させた。
【さあテメェの使命を果たせッ、ディセンダーッ】
「あっ、アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
一人の悲鳴がこだまする中、響達は戦慄した。
その場で光り輝く剣を振り回すミラ。解放された部屋、自分が自由になったと分かった瞬間、頭の声が強くなる。
ゲーデを滅ぼす。どこにいる? そこにいると響いてくる。
「ダメッ、そんなの、いやッ」
「ミラさんッ」
響が向かおうとするが、ノイズやジルディアもどきが壁になる。
【させねぇよ百合娘っ】
そんなこというイチイバル、全員が困惑する。
「お前の目的はゲーデではないのか?」
【アァ? 別に飼えれば死体でもいいし、冷凍保存すればいいだろ? 散歩とかの必要もないしな】
何を言っているかのかわからない、わかりたくもない。
だが、イチイバルはミラの反応にいらだっていた。
【自分が改造されたくせに、役に立たない道具が、少しは役に立てよな】
「改造だとっ!?」
興味ないように、ああと頷くイチイバル。
【彼奴が時空の狭間で死にかけ見つけて、保存してたもんだよ。ディセンダーとして変化できやすいからってな】
「彼女もセレナと同じ、元は人間なのッ!?」
その言葉に、イチイバルは興味ないと言う顔で構えた。
【あとは彼奴にゲーデを殺させればいい。さて、お前らは私と遊べ。女と遊ぶのは好きだろテメェら】
「クリスちゃんならともかく、貴方とはいやですっ」
「響ッ、こいつの裏の言葉を理解しろッ」
そんなこと言っている場合ではないのだが、イチイバルは自分達を邪魔するように立ちふさがる。
「ああ、アァァァァァァァァァァァァァ」
頭の中が黒く染まる。ゲーデを、違う、龍を殺せとわめき騒ぐ。
「い、や・・・」
それをすればあの子が、エルが悲しむ。
なぜそこまで執着する? まだ出会って間もない子なのに、気にかける道理はない。
「それでも・・・それでもいやなのッ」
ディセンダーの使命を全うせよ、自分の存在を示せッ、ゲーデを、剣崎龍を殺せ。
「嫌だッ」
そう言ったとき、何度も頭を地面にたたきつける。血が出ても気にせず、自分を止める。どうあっても、
「お願い・・・止めて、誰か私を殺してッ」
だが、誰も叶えてくれない望み。
(なら)
光の剣を見て、覚悟を決める。
その剣を自分へと向けようとするが、
「だめっ」
その腕に張り付くのはエルだった。
「え・・・る・・・」
「『魔神拳』」
ジュードが辺りのノイズを吹き飛ばし、アルヴィン、エリーゼ、レイア、カノンノやイヤハートも現れ、エルは腕に張り付く。
「だめだよミラっ、そんなのだめッ」
「放してッ、このままじゃ私は、私はゲーデを殺すッ」
「そんなことはさせねぇよッ」
アルヴィンは声を高くして叫び、ジュードも拳を構える。
「今度こそあなたを止めますッ、絶対に」
「私たちを信じてミラ」
「今度は私たちがいますっ」
「ティポ達にお任せあれ~」
全員の思いを受け、カノンノやイヤハートも頷く。
その様子に涙を流しながら、それでも鳴りやまない声に、ミラは首を振る。
「どうして・・・どうして私を」
「・・・貴方は」
そのとき、ジュードの言葉を遮るように、イチイバルの弾丸が飛び込むが、イチイバルのものと知り、ジュードは殴り、アルヴィンは防ぐ。
【ハッ、テメェらその女の、前の知り合いかッ】
「前の・・・」
ジュード達の側にいる。歯がゆい顔で装者達はノイズと対峙している。
【そいつは時空の狭間で死ぬはずだったのを、彼奴がディセンダーにしてやったんだよッ】
「!? それじゃ」
「私は・・・ジュード達の」
「いまはそんなこと関係ないっ」
みんなの驚愕の中、一人だけはっきりと声を上げるエル。
「ミラが『ミラ』だろうと関係ないっ、エルたちはここにいるミラを守るッ」
「ああそうだなっ」
アルヴィン達はすぐに切り替えて、武器を構える。
ミラはその様子に困惑しながらも、頭の声はまだ響く。
【死にかけてたところ、彼奴に救われたんだ。そもそも害悪殺すの邪魔すんじゃねぇよ・・・】
禍々しいものを放つが、ジュードは拳を固めて、構える。
「救われたからって、この人がいやがることを強制することは間違ってますッ」
「そんなことさせるかっての」
「私たちの仲間だろうと、違うても関係ない」
「困っているなら助けますっ、それが友達、仲間ですッ」
「どんと来いや~」
「私たちも」
「邪魔させてもらうよッ」
カノンノやイヤハートにも、睨みながら、ノイズとジルディアもどきを出すイチイバルだが、彼らはひるまない。
「エルはミラさんとッ、僕らはッ」
「お前らを守るッ」
だから引かない。彼らもまた無謀に向かう。
「あの馬鹿者達はッ」
弦十郎はモニターを見ながら、ディセンダー班を見る。こちらもこちらで手こずっている。誰もミラ達の方に向かわせられない。
なによりユーリやフレンも同じようなことしている。全くと頭を痛める。
「・・・まずいわね」
リタはそうつぶやき、コンソールを操作して、エルフナインは同じ画面を見て青ざめていた。
「やっぱりかあのバカッ」
「オッラァァァァァァァァァァァァァァァ」
その間に割り込むように、剣撃を放つ。バカがいた。
「おっいッ、お前が来るなッ」
アルヴィンも叫び返し、死にかけがイチイバルと対峙する。
【ゲーデ来てくれたか、ご主人様が迎えに来てやったぞッ】
「お前はそっちかッ。そんな趣味はないッ、帰れッ」
龍を見たミラは焦る。自分は彼を貫いたのだ。彼だって分かっているはずだ。
そう思っているとき、
「悪い悪い、死んでたわ。あとで聞くから謝るなよ。気にすることでもねぇし」
そう笑いながら、剣を構える龍。
ミラは頭の中が真っ白になる。
「君、死にかけてたのに・・・思ってた以上の人だね」
「人じゃねぇ、化け物だよ」
ジュードと笑い合いながら、武器を構える。
イチイバルもその様子に苛々していた。
【ふざけんな、ご主人様の言うこと聞けよゲーデッ。テメェもいま生きてるのはゲーデを殺すためだッ、そのために生きろよッ】
「こいつの生き方はこいつが決めることだッ、勝手なこと言うな」
ぶつかり合う戦いの中、龍はノイズを蹴散らす。
ジルディアもどきはジュード達が相手取り、その様子をエルと共に見る。
(・・・私は)
ゲーデを殺せ。いや。ゲーデを消せ。負けない。
ゲー負けないッ。
「私は負けないッ」
そして視界が真っ暗に染まる。ゲーデを消すと言う思考が頭も視界も覆い隠す。
ミラの悲鳴が轟く中、それでも、
「負け、ない・・・」
苦しい、エルが泣きそうな顔でこちらを見る。
龍もまだ本調子ではない。死にかけていたのだからそうだろう。
(誰か・・・)
【ちっ、この役立たずがッ】
銃口が光り、まっすぐ向かってくる。エルをかばうように、突き放す。
それを静かに見ながら、ミラは目を閉じた。
そのとき、真っ暗な世界で光が差し込む。ある言葉と共に。
「 」
それを短く、呟いた。
さあ、目を覚まして
「だれだ・・・」
君はいまから、世界の害悪を滅ぼすために生きるんだ
「世界の、害悪?」
君ならできる。だから、こっちに来て
差しのばされた手を見ながら、それを取ろうとしたとき、
「?」
真っ暗な世界が見えた。後ろにある、真っ暗な世界に、声は叫ぶ。
ダメだッ、そっちは君の世界じゃない。君がいるべき世界じゃない。
この手を取るんだッ。早く。
その言葉に、そうだと思った。
暗闇の世界は禍々しく、醜いと思った。
だけど。
『 』
その瞬間、手を払いのけて飛び出した。
光が交差した。
土煙の中、エルは呆然とその光景を見た。
「・・・ミラ・・・」
だが、エルは聞こえた。
「えっ」
ある時計から、僅かな鼓動を感じ取り、煙がはれた。
「・・・・・」
息をのむ。それはジュード達もだった。
【誰だテメェはッ!?】
「・・・」
一人ただずむそれは、黒い鎧に身を包み、側に槍を地面に刺してたたずむ。
ミラを抱き上げ、ゆっくり下ろす。
「・・・」
その姿を見て、黒の世界が消える。
目の前にいる黒い戦士、彼の姿を見て、涙がたまる。
「任せろ」
彼はそう言い、槍を構え、龍は驚愕するが、なぜか、仲間と思った。
「ジュード、アルヴィン、エリーゼ、レイア」
彼らも呆然としていたが、その言葉に我に返る。
「行くぞ」
その言葉に全員が叫ぶように返事をして、イチイバルへと向かう。
その猛攻にイチイバルは驚いていた。
【お前、まさか、彼奴が用意してた、宿命を越えた者かっ!?】
「関係ないッ、いまはお前を倒す」
「俺も忘れるな黒いのッ」
龍も参戦して、イチイバルを追い込む。
その姿にクリスは眺めていた。
「彼奴・・・ボロボロのくせに、まだ戦うのか」
その様子を見ながら、クリスは歯を食いしばる。
(・・・まだ彼奴の言った言葉は許せない)
だが、
「だけど、このまま彼奴を放っておく方が、もっとゆるせられっかッ」
そして赤い飛竜が舞い上がる。
【!?】
イチイバルは驚愕する。それはクリスの変化、それを見て龍はなんでと思いながら苦笑する。
「どいつもこいつも、俺への評価間違ってる」
現れたクリスは足の装甲がドラゴンの足のように、赤と黒で強化されていた。
武器もまた、重火器であり、一気にぶっ放す。
弾幕の雨が降り注ぎ、ノイズも敵全て吹き飛ばす。
【くっそ、まさか、ここで彼奴が失敗するなん】
そう愚痴っているとき、光の槍が刺さる。
「うっおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
光の槍が乱舞して、最後の一撃が自分に突き刺さる。
【ぐっ】
『マター・デストラクト』
槍に貫かれ、粉々に砕け散るイチイバルに、槍の戦士は空を見上げた。
戦いが終わり、全員が集まる。
龍はその場に座り込み、セレナとカノンノが飛びついてくる。
「「リュウっ」」
それに(一部の反応に)恐怖を感じる龍。なにより体力がないために、やめて欲しい。
切歌もすぐに近づいてきた。
「やっと起きたデスっ、どんだけ心配したと思ってるんデスかっ」
切歌は泣きそうな顔で、それでもうれしそうにしている。その様子のまま、ノワールも参加して困ったことになる。
その様子に弦十郎達も現れる中、黒い戦士は静かにただずむ。
「君は」
「すいません、俺はまず」
彼はジュード達を見る。なにか言う前に、
「貴方の顔を見るのは、あの子が先に、名前もね」
そう言ったのはミラだった。
「ミラ・・・」
「全く・・・お互いしぶといわね・・・」
その言い方に、ジュード達は驚く。
「まさか」
「貴方のおかげよ、彼奴の書き換えられた記憶を取り戻せたのは・・・だけど、貴方と始めに会うのは、あの子よ」
そう言い、身体をどけて、一人の少女を見せる。
時計を持ち、降着する一人の少女。
それを見る戦士は、静かに、
「~~~♪」
鼻歌を歌う。エルはそれを聴き、体を震わせて、同じ歌を歌う。
そして静かに鎧を解きながら、少女に近づく。
涙を流す少女をだきあげ、優しい微笑みを見せながら、青年は言う。
「ただいま、俺のアイボー」
「おかえり・・・るどがー・・・」
その様子を見守る彼らは、状況はよくわからないが、龍は静かに、
「・・・居心地悪いな」
苦笑しながら、そう愚痴った。
・・・いかかですか?
作者なりに感動を目指しました。文章力の低さに泣きたいですが、全力出しました。
彼は真っ白な世界より、真っ黒な世界、ミラ達を選択したことにより、最終章です。
余計なことはせずこのままに、次回終章へと駆け出します。
全ての敵、彼奴の正体。そして最後の異世界の戦い。
ここまでお読みいただきありがとうございます。