戦姫絶唱・テイルズ・オブ・シンフォギア   作:にゃはっふー

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今回はロマンス回、戦闘パートと違うがんばりしよう


思いと想い

彼女たちはいま、ショッピングを楽しんでいた。

「えっと、これがしーでぃーなんだね?」

 セレナがそう言い、切歌はそうデスとうれしそうに言う。

「それに、昨日のマリア達の歌が記録されてるんデスよ」

 音楽が好きなセレナ。お金はまず龍が立て替えてくれたし、こちらが持つ宝石とお金を、弦十郎に頼み交換してもらっていた。

 本人は欲しいものがあれば渡すと言ってくれたが、ただでさえ住む場所を用意してもらっているんだ。私物はやはり自分達が稼いだお金だけにしたいと断った。

 セレナが欲しいと言った物は、音楽に関係するものだった。

 カノンノはスケッチブックとそれに関係するもの。彼女は風景画を描くのが好きなので、ショッピングのあとは、色々見て守るつもりだが、

「二人とも、元気ないね」

「うん・・・」

 小日向未来、響の友達として彼女たちに紹介した少女。ここにいるのはクリス、切歌、調とクイッキーだけで、未来が持つバックの中から、少しだけ顔を覗かせている。

 話は聞いた。装者達が、ゲーデから力を奪うように強化される状態になってしまったらしいことに。

 それを聞いて、クリス達はむろん、カノンノ達も青ざめた。

 エルフナイン曰く、ゲーデ状態の龍か、イグナイトモジュール時の装者がそろって起きる現象のため、どちらかがその状態でなければなにも起きない。

 だが、龍はゲーデの状態でなければ、ほぼ戦えない。獲物と言える武器は、ルミナシアに置いてきた。

 そして装者達も、必殺とも言えるイグナイトモジュールと言う切り札が無くなる。少なくとも、今後に関わる事態だった。

 いまエルフナインはゲーデと装者の関係に安全装置のようなものを視野に、研究と調査をしている。

 そしていま龍は目が覚めない。

 病院のベットで、外傷もなく倒れている。

 調べた結果、聖遺物による拒絶反応が原因であると見られる。

 つまり龍に天羽々斬とアガートラームの適正はないということだ。

 そしていまは気分転換のため、こうして買い物なんだが、

「セレナのこと。カノンノには」

「言ってない、龍さんは向こうで翼さん達に聞いたみたい。すっごく怒ってたって」

 響はそう呟きながら、音楽を聴いてるセレナ。切歌と調が付きっきりであり、クリスはカノンノのほう、スケッチブックなどのお店を案内してた。

「ごめんね未来、色々話聞いてもらって」

「別にいいよ。それより気になるのは」

「龍さんとクリスちゃん達だよね~」

 翼から、龍は負の感情、人の黒い部分を生まれた頃から分かる生き方だったと知ったとき、三人の顔色が悪くなる。

 三人とも、人の醜さは心底知っていた。

 それが生まれた頃から見ていたのなら、世界を嫌う理由はわかる。

 わかるが、

「それでも、色々な人が、大切な人達が守って、愛した世界だから、みんな龍さんに対して、ね・・・」

 複雑になる人間関係に、響は頭を抱え、未来はその様子を見守る。

 クイッキーは未来を見つめ、その頭を撫でながら、

「その人、龍さんってどんな人なの?」

 いまだ性格がわからないため聞く未来に対して、響はいままでの龍を思い返す。

「いい人? だと思うよ。師匠が言うには、わがままな子供って言ってた」

「ふむふむ」

「私的には、少しずっるうぅぅぅって言うこと平気でしちゃう人だけど、本当に悪い人って感じじゃないんだよね~」

 炎の中、猫を助け出し、自分を助けてくれた龍。

 この世界が滅んでいればよかったと言う龍。

 どちらが本当か、少しわからない。

 それを話してみると、

「どっちも龍さんなんじゃないかな?」

「えっ」

 その答えに驚くが、未来はそのまま、

「私はまだちゃんと会ったこと無いけど、その人、裏表ある人って印象はないよ。みんなのように、きっと事情があるんじゃないかな?」

「事情・・・」

 そのとき、異世界人の買い物を手伝う仲間達を見る。彼女たちも事情があり、敵対していた時期がある。

 それを考え、よしと前を見て、ほほえんだ。

「やっぱ未来は私の日だまりだよ、おかげでやりたいことがわかった」

「うん、それくらいは手を貸すけど。夏休みの宿題は少しだけだよ」

 それに悲鳴を上げながら、響は行動に移る。

 

 

 

 とある港付近、海の上にできた大地に、セレナとカノンノ達は驚いている。

「えっと、ここって本当に海の上? 道路とかわらないよ」

「うん、本当に下って海なの?」

 目立たないように驚いているが、そうだよ~と響が言う。

「ちなみにちゃんと説明できるか?」

 クリスが意地悪そうに言うが、えっとと目を泳がせる響。そんな風景に少女達は楽しそうに歩き出す。

 近くのオープンレストランでランチしながら、海風を感じつつ、カノンノは空気を吐く。

「なんだか久しぶりな気がするよ~向こうじゃ、海の上が当たり前だから」

「そうだね、バンエルディア号での生活が長いから」

「ああ、それって空飛ぶ船だよねっ」

 そんな話の中、ルミナシアでの話が盛り上がる。

 セレナの話に、切歌や調が詳しく聞く。

 異世界ルミナシアでの戦いや、たわいのない話。

 さまざまな種族や身分の仲間達。そして龍の話。

「「「・・・」」」

 三人は複雑そうに、龍の話を聞く。

 カノンノやセレナから話される龍は、ツンデレな天の邪鬼のような、それとも、

「ねえ響」

 小さな声で未来が聞く。

 龍の話をするたび、二人はうれしそうに、頬を赤く染め、優しく語っている。

 まるで大切な思い出を話すように、

「うん、だよね・・・」

 そんな二人に、切歌と調は複雑そうだった。

(こ、こんな話、マリアが知ったら)

(絶対に落ち込む・・・)

 そんな感想を思いながら、クリスは静かに、

「・・・お前らは」

 少し言いにくそうに、

「彼奴のこと、仲間って思ってるのか」

 それに二人は、なにが言いたいか分かっていながらも、

「うん」

「だって龍は」

「「私達にとって、大切な仲間だから」」

 口ではああいいながらも、誰よりも先に前に出る。

 その話の中で、

「仲間の中にね、双子の王族、ルークとアッシュって仲間がいるんだ」

 

 

 

 兄であるルークは、王位継承権を持つが、彼は双子の弟、アッシュが王にふさわしいと思っている。

 なにより、許嫁であるナタリアは、アッシュと総意相愛なのも知っていた。

 それでも口が悪く、それを素直に言えない男。

 アッシュもまた、素直ではなく、ルークにお前が王だと告げながら、王の資格が無いルークに苛立ちを募らせている。

 そんな中、ナタリアが何者かにさらわれた。

 それを知り、二人はすぐに動き、師匠である剣の師、ヴァンと共に犯人を追う。

 そして現れた、黒い鎧の剣士に対して、戦いを挑む。

「王でありながら資格無き者、そして王の資格を持ちながら、全てを諦めたおろか者よ。そんな中途半端な者は、なにも得られないと知れッ」

 三人かがりで斬りかかる中、そんな中、カノンノやセレナも参加するが、黒い剣士は一歩も引かず、現れる仲間達も次々と倒す。

「くっそ、テメェ、なにが目的でッ」

「俺達の問題に、他の奴を巻き込んでるんじゃねぇ」

「それは貴様達が弱く、己の真意を口にせず、流れのまま、時のまま、ただいるでくの坊であるが故に引き起こされているとわからないか。愚者よ、後悔に苦しみながら消えろッ」

 戦いの中、ヴァンが前に出たとき、強力な剣技がヴァンを切り裂いた。

「!!?」

 ヴァンは鮮血をまき散らしながら、その場に崩れ、仲間達の顔が青ざめる。

「お前ェェェェェェェェェェェェェェェェ」

「よくも師匠を・・・ちくしょ、チクショオォォォォォォォォォォォ」

「吠えるな愚者よ、これも貴様らが弱く、愚かな選択しか選ばぬ故だ」

 二人の猛攻を退けつつ、二人は叫ぶ。

「お前になにが分かるッ、俺だって、俺だってアッシュが王にふさわしいのが、ナタリアにはアッシュがいいなのはわかってるッ。けど、どうすればいいんだッ」

「それをなぜいま口にするッ、己の真意を分かっていながら、なぜあらがおうとしないッ。助けを求め、手を伸ばし、悩み、選ぼうとしなかったッ」

 剣をはじきながら、ルークを牽制している。そこにアッシュが割り込んでくる。

「貴様も貴様だ。王の資格を持ちながら、弟を苦しめている自覚がありながら、なにより、愛する者を苦しめていると知りながら、なぜ行動しない」

「貴様のような者に知る必要はないッ」

「語らぬか、愚か者よ。なら語ってやろう、それは兄の安否を気にしているのだろう」

「黙れッ」

 弟であるアッシュの発言が強まれば、ルークの立場が悪くなる。下手をすれば内乱の恐れが起きる。

 それがあるため、ルークの影になることを選んだアッシュ。

 それを剣士はあざ笑うように砕く。

「アッシュ・・・お前」

「愚か、実に愚かだッ。だからこそお前達は何も得られず、全てを失う。ならば、いまここで刈り取るッ」

「黙れッ」

 ルークとアッシュの連携に、剣士は静かに叫ぶ。

「貴様達は分かっていないッ、その選択、その先にある未来に、希望も、夢も、愛も、優しさも無い。己の自己満足がために、多くの者からそれらを奪うというのならッ」

 剣士は剣を強く握りしめ、

「いまここで散れッ」

「散らないッ」

「俺達にはまだ」

「「やるべきことがあるんだッ」」

 

 

 

「で、その剣士の正体は龍だったんだよね」

「ええぇ~」

 ちなみにこのことは一部のメンバーしか知らない上、ヴァンも一つ噛んでいた。

 知らない者達は躍起になって龍に挑み、倒された。

 ヴァンにいたっては「カノンノ達が近くにいるんだ、殺す気で来てくれ」と言われ、龍はその言葉通り、致命傷を与え、ルーク達の本音を引きずり出した。

「いま思えば、女性と男性で、攻撃も違ってたよね・・・」

「あのあと大変だったよ、ヴァンさんは三日間寝たきりだし、龍はやりすぎで他のみんなの仕事やったり、他のみんなも龍の所為で医務室行きだしって」

 翌日には回復したが、アンジュは話も聞かずに飛び出した罰と言って、龍ほどではないが仕事を回される。ヴァンもまた、よけいな話を龍にしたため、よけいな仕事を回されたらしい。

 だが、いまは少しずつだが、双子の王族の関係や、内情が少し良くなっている。

 少しだけ素直になった二人に、ナタリアは礼を言いに龍のもとに言ったが、

「「なら本当に問題解決したときにしろ」って言って、仕事に出かけてね」

「まあ、ナタリアさんも、それに納得したんだ」

 そんなことを言うが、実は龍は二人の技や、他のメンバーの戦いで傷を負っていた。

 アンジュ曰く「やせ我慢をやめたら、休ませてあげる」とのこと。

 だが龍は結局そのやせ我慢を貫いた。全くと呆れる二人。

「男の子ってどうしてこう、自分の本音とか言わないんだろう?」

「私たちの、アドリビトムの人達だけなのかな?」

「それは~私たちにも分からないかな?」

 響はよく考えると、歳の近い異性の友人はいない。クリス達はまた振られても困ると、そっぽをむく。

 そんな話の中、三人は険しくなる。

「わざわざ悪役受け持って、相手はなにがしてぇんだ」

「それはわからないよ、だけど」

「龍は自分が悪者でもなんでもいい、いつもそう思ってるの確かだよ」

 セレナの言葉に、クリスは黙り込む。

 昼下がり中、セレナはそれに、

「だけどね」

 うれしそうに、どこか恥ずかしそうに、

「だけど、いつも助けに来てくれる。他の仲間達みたいに、なにがなんでも駆けつけるし、一番は、大事なことの前に、絶対に現れてくれるんだ」

 彼女は話す、静かに、カノンノもまた、静かに聞く。

「私は最初、記憶喪失で、歌と名前しかわからないとき、カノンノやみんなと一緒に、龍もいてくれた」

 そして知った、自分が救世主、生まれたばかりの存在であり、龍の敵だと、

「精霊、初めてであった氷の精霊、セルシウス」

 彼女は言う「その男はゲーデ、世界に仇なす、害悪。ディセンダー、貴方の敵ですッ」と叫び、ともにいたリヒターと、龍へと襲いかかる。

 自分の言葉でその場が収まったが、それでも変わらない。

 ディセンダーとゲーデは敵同士であり、救世と害悪。その関係はかわらない。

 だが本人は、

「で?」

 その一言で終わらした。

「ばかばかしいよ、私、すっっっっごく悩んだんだよっ。セルシウスには、彼は敵だから仲良くなるなって言われ続けたりしたりして、なのにでで終わらすんだもん」

 そして結局、関係は変わらなかった。

 なにより、

「・・・始め、私が世界を救うって言われても、わかんないし、怖かった」

 私にできるのだろうか、私でいいのだろうか、そう悩み、考えているとき、龍が、

「龍が私を支えてくれた」

 うれしそうに、恥ずかしそうに、思い出を思い出す。

 救世主だろうが関係なく、セレナとしてしか見なかった。それは、

「みんな一緒、私がディセンダーでもなんでも関係なく、あの世界で生きる、一人の女の子だって、龍やみんなが教えてくれた」

 それを複雑そうに聞く響達。もしかすれば、そうじゃないかもしれないからだ。

 うれしそうなセレナを、切歌と調は見られない。

「だから守る」

 そうセレナは言う。

「龍は口ではああいうけど、この世界だって、守るのなら守る」

 それは龍を知るカノンノも頷く。

「そうだね、ああ言うけど、きっと」

「その事件を目の前にしたら、きっと守るために戦う。この世界で関係ない、火災現場に一番先に駆けだしたときのように」

 それに三人は驚く、そうだと。

 火の中で一番早く、その中に飛び込んでいた龍。

(・・・だけど)

 彼奴はパパやママが、自分達が守っている世界を否定した。

(マムが守ってくれた世界デス・・・)

(それを、あの人は・・・)

 なにも知らずに否定した。

 それが釘のように刺さり、彼を避ける壁となっている。

「セレナってすっごく、龍さんのこと好きなんだね・・・」

 響がそう、そう、なにげなく言うと、

「・・・」

 徐々に真っ赤になりながら、静かに、

 

「・・・うん、大好き・・・人だったら・・・恋人になりたい・・・」

 

 それはいままでの重々しい雰囲気を消し飛ぶほどの言葉だった。

 

 

 

「!!?」

 マリアが飲もうとしたカップが、突如ひびが入った。

「なぜっ!?」

 

 

 

 響達は真っ赤や真っ青な顔でセレナを見る。

 正直いまの話、マリアには絶対にできない。話を知る装者達が考えたことだ。

 それにカノンノは、

「・・・人だったらとか言うのなら、絶対に渡さないよ」

 ぼそっとつぶやき、沈黙が訪れる。

 小さな声で、隣にいる未来に助けを求める。

「こ、これってどうすればいいの未来っ」

「わ、私に言われても。こういうのは、ちょっと」

「なんでこんなことになってるんデスかっ、いまの話、絶対にマリアには言えないデスよっ」

「うん、そうだね切ちゃんっ」

「っていうか、カノンノもか、彼奴もか、彼奴もなのかっ」

 装者達があわてふためく無く、カノンノ達は真っ赤になる。いまになって、発言したのが恥ずかしくなったのだ。

 そして、

「!!?」

 近くから、爆発と共に炎があがった。

 

 

 

 港倉庫街、一人の警備員が拳銃を構え、不審者に向ける。

「て、手を挙げろッ」

 それは片腕で斧を持ち、片腕で機材を破壊した男。

 なんとも言えない恐怖を感じつつ、男は肩をならし、フゥーと息を吐く。

「あー・・・」

 静かに、

「今日の俺は・・・紳士的だぁ」

 そう言った瞬間、拳銃を持つ男の上半身は無くなった。

「だから、楽ぅに殺してやる・・・」

 空を見ながら、彼、狂戦士バルバトスは、近くにいる動くもの達へと、ゆっくりと近づいていった。




最・凶・降・臨。
装者達とディセンダーに、渇きが満たされるか。
それでは次回、よろしくお願いします。
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