奇妙な味のドラクエ1   作:ケット

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アムラエルによるあとがき

〈竜王殺し〉アロンドさまがラダトームに現われ、ローラ姫様を助け婚約され、そして竜王を倒して旅立った……
 ガライ一族によって歌われている伝説と、全く違う裏話の数々は歴史家にとって限りなく刺激的でした。
 これを資料に、後の誰かがさまざまな歴史を刻むのでしょう。それは後世の方々にお任せします。
 歴史そのもの、伝説そのものにこうしてお目にかかり、お話をうかがったこと、奇跡のような幸福です。

 そして、アスファエルさまのお話にあった、学究僧。そのかたは、わたしの師のそのまた師の弟さんです。師から、昔の悲劇として聞いたことがあったのです……そのあたりのことは研究するな、という戒めをこめて。
 お話が終わってから、私はそのかたの墓に参りました。陛下をはじめ、〈ロトの子孫〉の多くもご一緒してくださいました。


第10話

〈ロトの掟〉

 アリアハンの勇者の家訓と、ウリエルこと瓜生の個人的な体験・倫理観・歴史知識を中心に、ミカエルを育てるガブリエラがまとめた、〈ロトの民〉〈ロトの子孫〉共通の掟。

 ちなみに〈上の世界〉ネクロゴンド第二王朝の事実上の憲法ともされる(国民への命令が含まれるので憲法としては完全ではない)

 

われらは正義のためにある。正義を行うためには、人の過ちやすさをよく知らなければならない。

 

絶対に、牙をむかない者は、人であろうが魔物であろうが、平時戦時を問わず虐殺してはならない。強姦・放火・文化財破壊・略奪・拷問も同様に禁じる。

いかなる権威、神・王・上官・師・親・戦友、誰の命令であっても絶対に例外はない。いかなる必要性も、この禁止を解除しない。たとえそれをしないことで多くの人が死ぬとしても、それでもしてはならない。

それらのことを命令され、従わなければ殺すと脅されたら、即座に自害しなければならない。

それらの命令を下すことも禁じる。

 

試行錯誤を行え。

ランダム化プラセポ対照二重盲検法のみを信じよ。言葉や教えは事実を変えない。

清潔と検証された医療は、産褥・乳幼児死亡率を大幅に減らせる。女子供を使い捨ての家畜として暴力で支配する必要はなく、してはならない。

子は男女問わず充分に食べ、教育されること。天才は親の貧富に関わらず衣食住を保障された公的な場で学ぶこと。

医療に携わる者は、正しい清潔を心がけ、患者の害とならぬように務め、情報を漏らすな。

出生を制御し、人口過剰を防げ。

 

森・土・水・大気が豊かで清浄であることは、人が生きることには必須である。

森林は見える範囲で、四つ土地があれば一つは切ってはならない。一本木を切れば、十本の苗木を植えよ。

耕地を使い捨ててはならない。永久的に作物が得られるよう、工夫せよ。現在の技術で持続可能な農耕が不可能なら耕作するな。

 

奴隷制度・人間の生贄・家畜や魔物などに無用の苦痛を与えることを禁じる。

生物多様性を維持せよ。

 

所有権は守られるが、極端な生活困窮者が出ない範囲とする。

また緊急事態や経済開発のために、必ず法による定めと正当な対価の上で、私有財産の公的使用が認められる。

 

人は過つものである。ゆえに政治体制には、常に権力の分立を置くように。

戦時以外は元老院合議制または立憲君主制とせよ。

緊急事態には正式な勇者に全権を与える。ただし絶対に有限期間とし、世襲はされない。

 

刑罰は定められた法により、被告の防御権を奪ってはならない。

人の言葉や記憶は容易に操れるので、別の物証に結びつかない自白および証言は証拠として採用されない。

ただし告発があれば物証を捜査し、また告発者を監視し護衛せよ。

常に別の角度から捜査する第三者機関を置くように。

 

契約は守れ。契約不履行は広く公開し、次の契約ができないようにせよ。

 

信仰・内心・思想信条・言論・出版・表現の自由は保障される。人を黙らせてはならない。

ただし人を生贄にしてはならず、宗教団体は人を閉じこめてはならない。

思考停止をしないよう心がけ、自分の頭で考えよ。

人は何より魔女狩りを好むことを理解し、絶対に起こさないように慎め。

人が差別を好むことを理解し、虐殺に至らないよう心せよ。

 

自衛は行うが、侵略はしない。そのために、実戦から離れぬ訓練と情報収集を怠るな。

 

*〈ロトの子孫〉のみ

われら〈ロトの子孫〉は、ロトの血脈を増やし受け継ぎ、ゾーマに予言された邪悪からアレフガルドを救うためにある。

その生殖は〈ロトの子孫〉のためにある。各個人は二人だけ、好きな相手との愛による子を許され、それ以降は人工授精により決められた相手との子を産むこと。

ロトの医術を伝える者は、報酬を求めてはならない。




これは「奇・・ドラクエ1の続き」を書いている最中に、ふと書き始めた外伝のようなものです。

〈ロトの掟〉は後で思いつきましたが、完全ではない…「より小さい悪」、自分が幼児を殺すことを拒んで自殺したら、自分の次の番号の新兵は拷問大好きな極悪人だ、というケースでどうすべきかという問題はあります。
ま、完全な道徳律は存在できないです。

もう一つ、動物実験なしの近代医学はかなり無理という問題も…
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