やんでれ×ユウナっ!   作:れろれーろ

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第五話

やんでれ×ユウナっ!

 

そのGO

 

 

 

 

海はいい。

 

昔の人はそう言った。

 

ザザーン。

 

波打つ大平原は真夏の陽光を受けては弾き、俺の目をキラキラと刺激する。

 

地平線の果てで海と空が出会う時、昼は深いブルーで混じりあい、夕暮れ時には情熱の色に世界を染める。

 

その瞬間を観測する。それは聖なる時間であり、呼吸する空気すら甘い果実と変わる。そう。これこそがロマンだ。

 

見上げる空は天井の高い壁のような青一色。

 

そこにはいつの時代も変わらない悠久の時と、古代の神話が内包されている。

 

エジプト人いわく、見上げてみればこんなにも空は高いのにも関わらず、彼方の地平線ではしっかりと大地と重なりあう光景を見て不思議に思ったそうだ。

 

その不思議はみんなの疑問であるが故に広大かつ深淵であり、また単純に美しい物に見えた。

 

そんな共通の認識から神話は生まれた。

 

世界の始まりは「天と地は一つに重なっていた」状態だった。天の女神と地の女神が体を重ねいつまでも愛を交わしていたのだ。

 

それに怒った太陽神が二人を引きはがしにかかる。体は離されたがしかし、それでも二人はしっかりとお互いの手と足を握りあった。

 

だから地平線では天と地がつながり、見上げた時には遠く離れているのだ。

 

俺達は皆誰もがは性交をしている二人の間に挟まっているという事である。つまり世界が愛欲の庇護の元で構築されている証拠だ。

 

そう!世界はおしべとめしべの繋がりでできている!

 

「だから俺がこれからしようとする行いはきっと神聖なものなはずだ!今イクぞ!リュック!」

 

 

 

がらっ!

 

カツッ、カツッ、カツ。

 

 

「…………。」

 

「さあ、そろそろ起きろ!リュック!この神様の愛の箱庭で喜び(快楽)の歌を混成二部合唱しよう!」

 

「…………。」

 

「男声(性)パートだけではこの詩は完成しないんだ。女声(性)パートが上に重なったり下に重なったりくんずほぐれつして、ようやく形になるんだ」

 

「…………。」

 

「一人でできない事でも二人ならできる事が、たくさんある。俺とリュックならそりゃあもう…ほら…うん。色んな事ができるさ!」

 

良い事言おうとしたけど、子作りしか思いつかない。自分の学歴の無さを俺は呪った。

 

 

「…………。」

 

「……やっぱり、だめッスよね」

 

 

リュックは真っ白なベッドで泥のように眠っていた。今も呼吸は若干荒いままだ。

 

昨日の事件から、リュックがまだ目を覚ましていない。船内のメンバーからは「眠ってるだけだ。直に目が覚める」というだけの内容を、二時間かけてジェスチャーで伝えてもらったが、不安なものは不安なのだ。

 

リュックは15歳。まだジュニアハイスクールをやれる年齢だ。寝たきりで過ごすには健康に悪すぎる。

 

早く元気なリュックの声が聞きたい。

 

というかぶっちゃけ、そうしてくれないと俺が困る。

 

女の気配のしないこの禁欲の船上生活を二日以上続ける自信がない。カモメの背中の丸みの曲線美を見ているだけで暴発しかねない。16歳とは皆そういうものなのだ。

 

 

「はーあ。早く元気になって遊んでくれないかな、リュック」

 

 

要するに、暇なんだ。

 

俺が目を覚ました頃には、船の人達は俺に対して随分好意的になっていて、船内を自由に歩かせてもらえるようにしてくれた。

 

でも皆遺跡の中から何かを引き上げるので忙しくて、必要以上には構ってはくれないというのが現状だ。だから今頼りになるのはリュックだけなのだ。

 

「お前がいないと、締まらないんだよ」

 

いろんな所がさ、開きっぱなしのガバガバなんだぜ……だから早く起きてください。お願いします。

 

 

「…………。」

 

 

「はあ・・・・」

 

 

あーあ。仕方ないか。ゲームとか無いか探しに行くか・・・。

 

 

 

 

 

__キイッ。バタン。

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 

 

 

「………………。」

 

 

 

……ゴロゴロッ。

 

 

 

「……あ……あうう……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________

 

 

 

 

アルベド語入門講座

 

 

序文

 

「はいケン!今日もいい天気ね。こうゆう日は外に出て思いっきり遊びたくなるわ」

 

「シーズー。それはデートのお誘いとして受け取っていいのかな?」

 

「それはあなたの受け取り方次第よ。だけど、私は積極的な男の方が好みね。そう・・・禁じられた機械に颯爽とまたがり私を拐っていく。そんなワイルドな男が」

 

「ああ!その挑戦的で、扇状的な台詞!僕の心は今情熱の炎に燃え尽きそうだ!」

 

「ケン…」

 

「シーズー。会いに行くよ。軍用象にのって……」

 

上記の様にアルベド族特有の文化レベルの高いコミュニケーションを取るために、知らなければならない事は三つある。

 

一つは男尊女卑の文化だ。上記の様な会話の様に男性が女性を必要以上に持ち上げるような台詞を言ってはならない。

 

アルべド族では一夫多妻制も許されてる。君が一本の熱いパトスで天下泰平の意志を志す本物の「漢」ならば、獲物である雌に餌ばかり与える様な事をしてはならない。

 

女という生き物は雄を自分専属のモノだと確信した瞬間に堕落する。結婚後にぶくぶくと肥えていく様を、君も目撃した事があるだろう。自分を永遠に手に入らない存在と昇華する事が真に女を美しく保つ事に繋がろう。逆境を生き抜こうとするジャッカルのように。

 

 

二つ目は魂の崇拝について。つまりは死生感だ。アルベド族にはスピラに流行り病の様に蔓延る「第二の人生」の存在などを信じていない。死後、天界で自分の若かりし頃の肉体を神より受肉して、豊穣の大地に囲まれた世界を永遠に生きるなどという妄想は、シンという現実から目を背ける為の稚拙な言い訳を小難しく言っているだけのものだ。

 

天界に存在する「死者の審判」の存在を信じる事により、民は貧しい隣人に手を差し伸べる善行を積む事に意義を感じる。それは本来は富める者だけが損をしている形なのに、まるでお互いが得をしたような幻想を得る結果に繋がる。

 

長老会の統治に対する意志が見え隠れするスピラの死生感。それを象るエボンの教え。我々アルベド族はそれらのまやかしを一切信じていない。

 

現実は一つ。人生は一度きり。だからこそ我々は生きる意味を見いだせるのだ。一期一会の恋に燃え、半生を共にする仕事に精を出し、古代のテクノロジーを含める未知を開拓する。燃える挑戦の意志を心臓に差している間は一瞬一瞬が生命の燃える火花と変わる。それが真の意味で生きるという事だ。

 

今本書を取っている貴殿が私の言葉に言いようのない苛立ちを感じたのなら、どうぞこの本を閉じ、焼くなり煮るなりするがいい!そんな者達に崇高な言語であるアルベド語を学ぶ資格は無い。

 

だがしかしだ。もし君が私の言葉を理解する気概を今も持っているのなら、我々は尊敬と最高の賛辞を持って君を受け入れるだろう。

 

 

 

 

三つ目。最後だ。これはここまで本書に目を通していたら自ずと調べる必要性を感じるかもしれないが、あえて私の言葉で語る必要もあるとも考える。

 

今まで私は性についての話。そして物事の考え方についての話をしてきた。残ったものは一つ。そう。歴史だ。君は我々と現実で深く関わろうとして本書を取ったはずだ。ならば、細かな風習や、審美眼に価値観の通貨単位の違いにこれから何度も惑うだろう。

 

だが、今のアルベド族という民族を作ってきた絶対的な事実、過程を知る事によって理解を助けてくれると私は考える。なのでこれから記述する本書の例文。その横に絵付きのアルベド歴史豆知識を例文との関係性を踏まえた上で載せておいた。是非目を通しておいてほしい。

 

以上で序文を閉じようと思う。君がもし本書を持ってアルベド語マスターになった時、私のアジトに来るといい。その時は海を飛び魚のように走る鋼鉄の船の甲板でワインを共に酌み交わそう。

 

では、諦めず、頑張ってくれたまえ。私は君を応援する。

 

______シドより

 

 

 

「……し…し…シド様ああああ!!!一生付いていきます!いやむしろ結婚してください!もう…もうこの豚野郎はビショビショの濡れ濡れなのでございます!」

 

俺は風呂の中で魂の雄叫びとも言える感動の産声をあげた。反響効果の高い鈍い銀色の壁に二つほど並んだオレンジの照明だけがある、金属仕立ての堅くて暗い風呂の中をエコーがいい感じにかかった絶叫がこだましている。

 

「……俺…俺将来絶対アルベド語の通訳者になろう。見ててくださいよ。シドさん」

 

ゆらゆらと穏やかに揺れる船の中で静かにこの世界の魅力の一端に触れた俺は、ぐっと決意を新たにした。

 

ブリッツボールの英雄になり、著名人の一人として名を挙げた後にアルベド族とスピラを結ぶ親善大使になろう。宣伝効果もバッチリだ。

 

「いやー。素晴らしい。この一つ目の項目で俺の熱くたぎったパトスの心を鷲掴みした後にくる、この宗教批判の言葉の羅列。そしてかゆい所に手の届くアルベド豆辞典とは…アイヤー、参ったアルね。そっか一夫多妻制かぁ…」

 

俺はちゃぷりとすっかり温くなった湯からザバリと立ち上がり、蛇口を捻って更にお湯を足した。

 

ドボボボボボ……。

 

「くっそー。アーロンの野郎も同じ中年なのにこの違いは何だよ。こうゆう賢人の名を欲しいままにするダンディ極まりないオジ様の元で俺も育ちたかったぜ、まったく」

 

わしゃわしゃと頭に天然ソーダと石灰を混ぜて作られた石鹸を頭に擦りつけながら、俺はアーロンの憎たらしい笑い顔を頭に浮かべた。

 

「あいつ。今一体何やってんだっつーの」

 

こっちに来てるなら来てるでさっさと接触してこいっての。いつもならストーカーもかくやという速度でもうとっくに俺の事なんて見つけてるだろうに。使えないオッサンだぜ、まったく。

 

あっちの世界に戻れる方法があるのか無いのかはっきり言ってくれないとコッチも動き辛いだろうが。

 

 

「アーロンのばか。コッチの世界で俺が成り上がって金持ちになっても、お前には奢ってやらねー」

 

 

わしゃわしゃ。

 

                             「……テ…ティーダ。いる?」

 

わしゃわしゃ。

 

「ぜんっぜん、泡立たねーなこの石鹸。もっと科学を鍛えろよなー」

          

                             「あのさ…ちょーっと話があるんだけど、いい?ほら…お風呂出た後でいいからさ…」

 

 

わしゃわしゃ。

 

「まだまだ技術後進国っていう所か。こおゆう所でも機械壊されたのって効いてるんだな」           

 

                             「聞いてる?あのさ、昨日の遺跡の話とかしたいんだ。だから後で船の甲板の後ろの方に来てよ。そこで…」

 

 

「おっと。先にアルベド本を外に出しておかなきゃ。湿気ちまう」

 

ペタッペタッペタッ……

 

 

                             「えっと、さ。もしかして怒ってる?私、足引っ張ってばっかだったし……って、え?」

 

 

 

ガラッ!

 

「お?」

 

「あ……あ。あ。あ……」

 

「リュック!なんだ起きてたのかよ!いつ起きたんだよ!?怪我はない!?元気!?とにかくよかった!」

 

 「あ……あえ……ああ……」

 

「元気そうでよかった!ずっと暇だったんだよ。相手してくれよ!さっきさアルベド語の入門本っての見つけてさー興味出たから色々教えてくれよ!」

 

「あう……えと……あう……まえ…前を……」

 

「ん?あ、前?……おおっと!やっっべ。俺裸じゃん!また後でな!」

 

バタン!ペタペタ…

 

 

 

 

「…まえ……前……あぅあぁぁぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________

 

 

 

 

 

カツ……カツ……カツ……ギギギギ……バタン。

 

 

私はふらふらと夜を彷徨う夢遊病者みたいな足取りで船の甲板にでた。聞こえていたかも分からない約束の為というよりは熱くなりすぎた頭と顔を冷やす為だ。

 

「い、いきなり……出てくるんだもんなぁ……」

 

おかげで考えていた台詞とかお礼とか、これからのスケジュールとか一気に飛んで行ってしまった。

 

「だってあんな……あんな黒……やあああああ!思いだしちゃったじゃん!」

 

ボンッと音を立てて頭が茹であがる。私の体には無いものを見るのは兄貴や男ばかりのこの船の生活で慣れていたつもりなのに、今の私は相当頭が変になってしまっている。

 

ただでさえ何か気持ちがむずむずするっていうのに……もうヤダ。昨日からこんなんばっかだ。

 

こんな生活が続いたら、頭の電流配線がおかしくなっちゃいいそうだよ、もう……もう!あのティーダとか言う男はなんなのさ!?

 

頭の中で名前をアイツの名前を呼んだ瞬間。

 

なにかどこかで見たような、耳元で聞いたようなノイズがかった映像が頭になだれ込んできた。

 

 

 

__________息をしろリュック。

 

 

 

____おいおい。ここまでしてやったんだ。ちっ。慈善事業じゃねんだぞ?死体を運んで船に帰らせるなんて、みっともない真似をオレにさせる気かよ。てかお前が死んだらオレが船の奴らにぶっ殺されるんだ!そいつを忘れるな。

 

 

________ぷはっ。息だ。呼吸だ。人間の基本機能だ。そいつを、ぷはっ……

 

 

私の口元に何か熱いものが触れてまた離れていき、私の左胸が硬いものに何度も何度も骨ごと圧迫される。それは一定のリズムで、小さくなった心臓に無理やり太鼓を打つみたいに痛いものだった。

 

 

______ってあれ?……いつのまにか息してんじゃん。ヒュー!さっすが俺。

 

 

______重いー。バタ足くらいしてくれー。ああーもう。なんでこんな海のど真ん中で駅弁みてえな体位しなきゃなんねえんだよ。ああくそっ。イライラする。このまま運んじまうからな。今をときめくラッコスタイルって事で船の奴らは誤魔化そ……。

 

 

揺れる。揺れる。背中全体に熱いあいつの体の熱を感じた。ゴロンと力なく横に倒れた私の頭が、左耳が、あいつの心臓の鼓動をただひたすらに聞いている。

 

 

そんな、ある日の夜の海の光景を私は「思い返した」

 

 

 

・・・・・・・・・・ボンッ

 

 

頭の中でそんなまたそんな音がした。ダメだ。もう私の頭は完全に故障したみたいだ。

 

「ああーもう!やめ!やめ!ストップ!」

 

こんなの私のキャラじゃないし!私はもっとこう、理系のインテリちゃんみたいな態度でいたいの!そうじゃないとこのつらーい船の上を生き抜けないよ!もう!

 

 

「おーいたいた!リュックー!」

 

「わひぃ!」

 

「…なに変な声出してんの」

 

「なんでもない!なんでもないってば!」

 

「ま、まあいいや。俺さ。さっきも言ったかもだけど、アルべド語勉強したいんだよ!すっげー興味出てさ!」

 

「え…?」

 

「え…って何だよ?頼むよ教えてくれよー。アルべド語で船の奴らともお喋りしてみたいんだよー」

 

今ティーダは何を言っているんだろう。アルべド語を勉強したい?そんなまさか。ありえない。

 

「いやー。すっかりアルべド文化の虜っつーか。もともと俺自体がコッチ寄り?みたいな」

 

「え?うそ?本当に言ってるの」

 

「嘘も何も……いったいどうしたリュック。なんかおかしいぞ」

 

ティーダの目は私には本気に見えた。アルべド語を、いやそもそもアルべド族はスピラの嫌われ者の種族の代表格だ。町に行ったら煙たがられ、飯がまずくなるという理屈で飲食店では俗称である「べド禁止」の文字が公然と張り出される。

 

警察だって意味も無く職務質問してくるし、ブリッツボールでは少し前まで参加資格すらなかった。

 

そんな種族の言葉を、本当に学ぼうとしているのだろうか。いけない。止めないと。ティーダも関係者に見られちゃうよ。

 

「駄目だよティーダ!絶対駄目!そんな事したら普通の町で生活できなくなっちゃう!」

 

「はあ?」

 

「ティーダはまだシンの毒気が残ってるからよく思い出せないんだろうけど、アルベド族ってのはものすっごーーく嫌われてるの!アルベド語を話せるなんてばれたら、居場所なんてどこにもないよ!?」

 

「……。」

 

「いい?ティーダ。これはリュックちゃんの忠告だよ!今後そーゆー事を軽々しく…「あーあ。何だよそりゃあ」

 

「え?」

 

「え?ってなんだよ。確かに俺はこの世界の事よくまだ分かってないよ。けど、実際問題今こうやって普通に話してるじゃん。何が違う訳?」

 

「え…え…そんなん…だって」

 

ティーダの目は今までに見た事が無い色をしていた。なんで私が責められてるんだろう?私はひどく一般的な話をしただけだと思う。

 

「だいたいさーシンの毒気シンの毒気って、そんな変人みたいな言い方されたら俺だって十分嫌われ者だっつーの」

 

「え……だから…いや、私はそうゆう意味で言ったんじゃなくて……」

 

「そんな事いちいち気にしてたら何にも始まんないじゃん。俺は刹那快楽主義者だから後先の事なんか……もういい。自分でやりますよーだ。リュックのバーカ」

 

「あ……」

 

カツッカツッカツ……。

 

いっちゃう。ティーダが遠ざかって行く。私に背を向けて、私の事を嫌な奴だと言って_____「待って!」

 

カツカツカツカッ……

 

「ちょっと待ってってば!」がしっ

 

「……」

 

「……ご……ごめん、なさい」

 

「ふっふーん。教える気になりましたか?リュックさん」

 

私の体は震えていた。自分でも思ってない速度で体が動き、ティーダの体を掴んでいた。

 

「リュックさん?あれ、えっ。ちょっとどうしたの?」

 

嫌だと思った。ただひたすらに私はティーダが離れていってしまうのを嫌だと感じた。

 

「え、あれ?マジで?どうしちゃったの…って、ああ!まだ体調悪いなら寝ないと駄目だろ!チアノーゼ舐めてんのか!?」

 

理由は分からない。知りたくもない。

 

「あれだぞ!?幕の内だってそれにかかったらデンプシー打てなくなるくらいヒーヒー言うんだぞ!?呼吸系の話は脳につながる症状になるんだって!」

 

 

 

 

感情が、制御できない。

 

 

 

 

「ああもう!手のかかる娘なやっちゃな!とにかく______っ!!」

 

 

ガタン!!!!

 

「!!」

 

 

 

           「シーーーーン!!!!!!」

 

 

 

 

 

________________________

 

 

 

船が揺れた。

 

そう思った瞬間、オレは空を飛んでいた。下には固い甲板じゃなくて、真っ黒な海だった。

 

 

_____ああー。死んだな。こりゃ

 

 

そうなんとなく思った。本当にやばい時ってのはこんなものだ、と妙に納得してしまう、そんな感じだった。

 

 

落ちる。今度ばかりは助からない。なんだよ、あのでかい怪物。本当に海の中に住んでたのかよ。

 

 

「ティーダ!」

 

 

リュックの声がする。鉄棒に必死に捕まって呆然と俺の顔を見ていた。泣く、その一歩手前の顔をしている気がした。

 

「ティーダ!!」

 

リュックは立ち上がる。足を一度二度三度とばたつかせながらこっちに向かって走ってくる。もう、間に合わないってば。そのままつかまってろよ。もしお前まで落ちたらどうすんの。

 

「ティーダ!ティーダってば!」

 

必死に走るリュック。落ちる俺。その距離はもうさっき話していた距離の何十倍も離れていた。もう十分だぞリュック。15のガキが____「!!!!」

 

_____飛んだ。

 

 

「ティーダ!!」

 

 

こいつ、鉄柵に足を掛けて、思いっきりこっちに向かって大ジャンプを慣行してきやがった_____!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザバー―‐‐ーン!!ぶくぶくぶく……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リューック!!jふhhjgふうj!!!!!(今助けるーー!!)」

 

「んひhhctydrtc!!(兄貴ーーーー!!!命綱まだ結んでないー!!)」

 

 

 

ザバーン!____________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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