奇・・ドラゴンクエスト1の続き   作:ケット

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結婚の知らせ、新王国の暮らし

 建国から七年が過ぎたある日、ケエラとダンカの結婚式が告知された。

 そして二人が、またその家族も意外だったことに、アロンド夫妻・ローレル・サマリエルを含め、主要な人たちの多くが参列することになった。

 公式にはジニを助け、ハーゴンの悪事の証拠をつかんだ一戦は秘密にされているが、功績は高く評価されている。

 

「二人はサマルトリアに?」

 とアロンドが尋ねた。

「はい、ただ王城とは少し離れた、湖のそばにできた新しいドームに」

「製鉄所も近いからな。ケエラはこれからも働きながら学んで、魔法の教師と製鉄のための酸素製造。ダンカは家畜の世話をしながら獣医学を学ぶそうです」

 瓜生がアロンドに言うのに、二人が嬉しそうに頷く。

 今の農業・工業の水準では、もう瓜生がものを出すことはほとんどない。彼はひたすら医師としてまた教師として、人を癒し教えている。

 

 二人が引っ越すことになったドームは、最近流行の標準的な集合住宅だ。

 鉄筋コンクリートの二重外壁、半径8m前後。

 百五十人程度、統制しやすい人数で暮らす。ただし閉鎖社会がいじめ・村八分にならないよう、移る自由はある。

 ドーム群の周囲には広い森と農地、排水処理用の池もある。

 ほかにも風車と給水を兼ねた塔、畜舎、汚物処理場、公共浴場などの建物がある。

 ドームの頂点には内部の広場に日光を入れる広い窓がある。

 二重構造で徹底的に外断熱され、どの部屋にも小さいが南向きの二重ガラス窓があり、窓と物干しスペース以外は緑に覆われている。

 南側の半分を、一つ一つは細長い人が住む部屋とし、北側には広い空間を備えて公共広場・作業場・倉庫などに用いている。

 

 夫婦が入るのは四畳半程度の狭い部屋。だがロフトがあり広く空間を使えるし、子供が増えたら広い部屋に引っ越せばいい。ドームの外には好きな植物を植えていい庭畑もある。

 サマルトリアの莫大な石炭を硫黄や水銀を除きコークス化する炉を備え、どの部屋もセントラルヒーティングと水道あり。バイオガスプラントもあり、人畜の糞尿・生ゴミなども徹底的に処理する。石炭ガスとバイオガスを混ぜたガスは各戸に供給され、調理に使われる。

 残った肥料と広い農地・果樹園で、多くの野菜、生乳とヨーグルト、卵は自給できるし、余剰を売ることもできる。果樹も多数植えてあるので、何年かすれば果物やナッツも自給できる予定だ。

 農地は馬を利用した機械で、少人数で耕すことができる。地形を細やかに使った棚田も巧みに機械化し、過剰な人数を使うこともせず、また広すぎて粗放になり環境を破壊することも無いよう、知識をたくさん使って楽に耕す。

 畜舎は掃除が不要な移動式でこそないが、コンクリートの床を大型風車の機械力で毎朝強制的に清掃し、新しい土を撒く。人手は最低限でいい。

 ゲルで移動する畜舎を用いるところも多くある。

 広い池、掟通り切り残された森が排水をきちんと処理する。特に厄介な重金属入りの工業廃水を処理する魔法や技術も次々に開発されている。

 製粉や洗濯などにエネルギーを供給する風車塔は、見張りや気候・天体観測を兼ね、重機関銃がきっちりと国土防衛を担当している。

 また多くの人が大都市に通い、より高い教育を受け、また教え、工場で働く。幼児と老人、病人や障害者の世話をする。小規模の手工業もする。

 ルーラと馬、湖や運河があるので、遠くからでも不自由なく通える。鉄道も建造が始まっており、完成すればさらに通勤可能距離は伸びるだろう。

 

 ドームの間はケーブルで結ばれている。

 人が足でこぐ車も市販されており、それは簡単に持ち上げられる重さで、持続的に時速40kmは出せるし、100㎏ぐらいなら積める。

 馬にひかせることもできる。この世界の、竜の血が混じる強力な馬は200㎏ほどを一日50kmは運べるが、ケーブルカーをひかせれば軽く1トン運べる。

 今はケーブルカーが運河や港につながっているが、将来的には標準軌鉄道の駅につなげる予定だ。

 

 王都などで試験的には、ドームの間を結ぶ鉄筋コンクリート道路や蒸気機関鉄道も作られている。

 ただし、瓜生の故郷と違って道路の面積を丸々無駄にすることはしない。道路そのものを地上三階・地下一階の建物とし、一階部は道路と商店、二階に当たる部分は水道や倉庫、三階は防音の上学校などとなる。屋上も緑化している。もちろん立体交差で安全性も高い。

 鉄道も、コークスを用いる蒸気タービンを先に実用化しており、ほとんど煙の害はない。

 

 半径20km円……瓜生の故郷の東京から見れば、東京駅から川崎・三鷹・松戸・船橋を含み、大阪からなら宝塚・高槻などを含んでしまう……が通勤圏となり、百五十人前後がほぼ自給する集合住宅を作って暮らし、高速で行きかっている。

 海路・運河での大量輸送網も、交易圏を広げている。

 

 便利な交通でいくつかのドームがまとまる。その中心は学校に使われ、将来は鉄道駅も計画されている。

 現在は特に水運がいいところを大型の中央ドームにし、学校や公民館、イベント会場、スポーツ場、流通倉庫などの機能を果たしている。

 そこが結婚式場となった。

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