笑顔仮面のサディストがダンジョンに潜るのは間違ってるっすか?   作:ジェイソン@何某

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 こんばんは。バレンタイン番外編の後編になります。

 以下にご注意下さい。

・番外編ということで、本編以上に酷いノリで書いています。故に小ネタが多く、一部キャラ崩壊などがあります。

・無駄に長いです。一気に見るとあまりの駄文に目玉が腐って落ちるかもしれないのでご注意ください。

・一部のキャラが不憫です。どっかの猫人とか狼人とか。



番外編『ヴァーレンタインと乙女達の聖戦っす~後編~』

 

 

「……さてと、それじゃあ、なんで此処にいて、何があったのか教えてくれるかい?」

「へ、へい…」

 

 治療を終えた冒険者グループは、みな安静に地面に座りながらもヘスティアへと体を向けている。ルプスレギナ達はヘスティアの後ろに控え、彼女たちの会話に耳を傾ける。

 

 曰く、彼らは“ヴァーレントの木の実”を取り扱う商人に雇われたらしい。この時期に『セオロの密林』に男性が立ち入ることが暗黙の了解で禁止されているのは重々承知ではあったものの、提示された報酬の額に釣られてしまったそうだ。

 まぁ、暗黙の了解で禁止されているとはいえ、けっしてそれは公式的なものでないのだから別段彼らは法を犯したなどというわけではないので、その辺を咎めたりはしない。

 

 

「そうか…それじゃあ、そんな君らに何があったのかを教えておくれ」

「はい…」

 

 女性の冒険者グループに見つかって変に騒がれるのは困るとして、彼らはわざわざ遠回りして『セオロの密林』へと入ったそうなのだが、生憎と彼らが密林に入った近辺も既に木の実は採りつくされており、奥地へと向かったそうだ。

 

 

「そこで…漸く見つけたんでさぁ。そこらに生えてるようなヴァーレントの木なんて目じゃないような、立派な木を。俺らは喜んでその木に近づき、木の実を取ろうとしたんですが…そこで、()()に襲われまして…武器も壊され、なんとか逃げたところで皆さんにお会いしたってワケでさぁ」

「奴ら…?」

 

 その時の出来事を思い出したか、顔色を悪くさせてガチガチと震えだす男たち。少しばかり悪い気もするが、ヘスティアはより詳細を尋ねる。

 

「へ、へぇ…バカでかい鉤爪を持つ変な鳴き声の黄色い鳥と、これまた鋭い爪の不細工な(ドラゴン)です」

「ドラゴンだって!?」

「へい。…あ、つっても大きさは大体3M(メドル)ほどでしたが…」

 

「…中型の、不細工な竜……それって、まさか…!」

「知っているのかリリちゃん!?」

「えっ、あ、はい…まぁ…」

 

 ヘスティアと男の会話を聞いていたリリルカは、何か思い当たるモンスターでもいたのかバッと顔を上げる。そのタイミングでルプスレギナがまたぞろ意味不明な口調で尋ねてきたので一瞬動揺してしまうものの、コホンと小さく咳払いをして。

 

「…多分ですが、そちらの方々を襲った(ドラゴン)というのは“ジャヴァーウォック”かと思われ…ルプー様?」

「んっふふ…いや、ごめ、っ…き、気にせず進めて…」

 

「は、はぁ…え、えっと…ジャヴァーウォックはダンジョンではなく遥か昔から地上で確認されていたとされる生物で、醜い外見とふらふらした動きが特徴の竜種です。この時期はかなり気が立っているそうで、下手に巣に近付こうものならすぐに攻撃してくると聞きますが、逆に一定以上巣に近付きさえしなければ決して手は出してこないそうです」

 

 真面目に“ジャヴァーウォック”の説明をするリリルカの横で、ルプスレギナは笑いをこらえるのに必死だった。

 

「(もうダメッ! んもー我慢できない!! なんなのよ“ヴァー”って! “ヴァー”って!! “サンタクロース”と“サンディ・クローズ”みたいな微妙な違いは何なの…!?)」

 

 しかもこの世界じゃそれが普通なので、みんな大真面目な顔でそれを口にするものだから、余計にルプスレギナ(鈴木実)としてはクるものがあったようだ。

 

 

「…だとすると、一緒に居た変な鳴き声の鳥は…」

「(もしも“ヴァード”とかだったらもう無理かも…)」

 

 

 

 

「…“キャキャオヴァード”で間違いないでしょう」

「キャキャオッ!!!」

「!!? ル、ルプス殿!? 如何なされましたか!? ルプス殿ーー!!?」

 

 予想の斜め上を飛び越えた怪鳥の名前についぞ我慢が出来ず、ルプスレギナは腹を抱えて笑い出す。あまりにも突然すぎて呆気にとられた男性冒険者たちと千草。隣で狼狽する命と…やはり呆れたようにジト目でルプスレギナを見るヘスティアとリリルカ。

 

「…リリは怒ってもいいですよね?」

「うん、ガツンと怒ってやって」

 

 

……

 

 

 リリルカの雷が落ちて暫しの説教タイムを挟み、改めて“キャキャオヴァード”の説明を再開。なんとか笑いの治まったルプスレギナも加えて、男性冒険者たちの案内のもと共に件の木へと向かっていた。

 

「…ということで、キャキャオヴァードとジャヴァーウォックは、近隣でも最も良い実がなるヴァーレントの木に巣を作り、共存しているのです。よって、これはある意味チャンスでもあります」

 

「な、成程…しかし、我々だけで何とかなるものなのでしょうか」

「…わ、私じゃあまりお力にはなれません…」

「…力不足なのはリリもです。情けない話ですが、命様とルプー様に頑張っていただくことになります」

「んー…ちなみにそこな冒険者の皆さんは、レベルはお幾つなんっすか?」

 

「あぁ、俺はレベル3で、こいつらは皆レベル2だ」

「レ、レベル3がいてもダメだったのか…因みに、向こうにはどれくらい手傷を?」

「鳥の方は攻撃しては上空に逃げてを繰り返されたもんであまり…ただ、竜の方はそれなりに疲弊させることはできたはずでさ」

 

 あれだけの怪我を負った状態で逃げたというだけあって茂みなどは雑に踏まれ、そこかしこに血の跡があるためそれらに沿って歩けば程なく辿り着くだろう。男性冒険者たちの話やモンスターの特徴を加味し、“キャキャオヴァード”はルプスレギナが、“ジャヴァーウォック”は命たちが請け負うことに決まる。

 そして…

 

 

「つ、着きました。 気を付けてくだせぇ、俺らはあの木に近付いた途端、上空から奇襲を掛けられた」

「周囲への警戒はキャキャオヴァードの役割ですからね、もしかしたらもう…」

「ん、見られてるっすね」

 

 一堂に走る緊張が強さを増し、ルプスレギナの言葉に全員が弾かれた様に上空を見上げる。周囲の木々と僅かな隙間から差し込む強い日差しのせいで見えないが、ルプスレギナが言うからには間違いなく既にキャキャオヴァードは上空にいるのだろうと判断する。

 

「んじゃ、アレは私にお任せっす。なんかあったら大声で呼んでくれれば、文字通りすっ飛んでくっすよ」

 

 出来れば赤の他人の前では使いたくはなかったが、空を飛ぶ相手への対抗策を持っているが自分だけな為、ルプスレギナは躊躇うことなく《飛行(フライ)》の魔法を使用する。フワリと宙に浮かんだその姿に男性冒険者たちが目を丸くするのが視界に入り、小さくクスリと笑みを零す。

 

 

「…っとと、その前に…」

 

 《集団標的(マス・ターゲティング)》 《上位全能力強化(グレーターフルポテンシャル)

 

 念のためにヘスティアやハムスケ、男性冒険者たちも含めて全員に補助魔法を掛ける。自身の体が淡い光に包まれるや突然身体能力の上昇により体が軽くなったような感覚に戸惑う男性冒険者たちであったが、既に1度以上経験しているリリルカ達の動揺はそれほどではない。

 

「それじゃあ改めて…いってくるっす!」

「うんっ! くれぐれも無理はしないでおくれよっ!」

「竜の方は自分たちにお任せください」

 

 ヘスティアと命の言葉に強く頷き、ルプスレギナは改めて上空へと飛んでいくのであった。

 

 

 

 

「さて、と…どこに…ッ!!」

 

 地上から空を隠していた木々を抜け、日の光で視界が遮られるのを防ぐために右手を翳して陰を作りながらも“キャキャオヴァード”を探す。周囲を見渡そうとしたその刹那、目元だけでなく体全体が影に覆われたことに気付くと、ルプスレギナは自分のいる位置よりも上方から迫る鉤爪を紙一重でかわし、滑空する影に視線を落とす。

 

「爪のデカい黄色い鳥…アレっすね」

 

 外見としては黄色いコンドルのようなものか。嘴から尾の先までの大きさは大体2Mほどなのに対し、爪の大きさは1Mほどだからなんともバランスが悪い。

 

「(流石に鳥だけあって速いけど、キャキャオヴァードはどれだけ強くても冒険者レベル2相当って話だし、油断さえしなければ…)」

 

 翼をはためかせ、此方と向かい合うようにほぼ同じ高度まで上がってきたキャキャオヴァードを見据えながらもルプスレギナ(鈴木実)は考える。ふと、キャキャオヴァードが僅かに顎を引いたことに気が付けば、僅かに眉を顰めて

 

「(『咆哮(ハウル)』…じゃなくて、ただ鳴くだけかな? …そういえばあの男の人たち、変な鳴き声って…)」

 

『キャキャオォーッ!!!』

 

「―――…プッ」

 

 

 

 

「……なんか、上空(うえ)からルプー様の笑い声が聞こえるんですが…」

「…あ、あはは…」

 

 一方、ジャヴァーウォック担当の地上組。既に木に近付いた彼女たちは、ジャヴァーウォックとも対峙していた。先の戦闘で武器を破壊されてしまった男性冒険者たちは、リリルカとの交渉の末ヴァーレントの木の実を幾つか分ける代わりにヘスティアの傍について彼女のことを守っていた。

 リリルカと千草は常に中距離を保ち、リリルカはポーションや状況を把握し場合によっては命に指示を出すなどの支援を。千草は弓矢を用いての援護を担当している。そして、命は

 

 

『ギャオォォッ!!』

「ふっ…その程度の咆哮、()()に比べれば…っ!」

 

 眼前で方向を上げた手負いの竜を相手に有利に立ち回っていた。ジャヴァーウォックは地上のモンスターであるにも関わらず強い個体では冒険者レベル3相当といわれており、実際目の前の個体もそれに近い強さはあったのだろう。しかし、先の男性冒険者たちとの戦いで既に疲弊している今、その巨体とは裏腹の俊敏さに初めは動揺してしまったが、身体能力が強化されていることも相まってなんとか優位を維持することが出来ていた。

 

 空気を震わせるほどの咆哮(ハウル)に後方の男性陣は動揺を見せるが、ほんの少し前にこの数倍の威力と迫力を持つ“黒いゴライアス”の咆哮を体験していた命たちにとってはただの耳障りな鳴き声に過ぎず、少し踏ん張れば後退することもなかった。

 

 咆哮が終わるタイミングを見計らって地を蹴った命は、口を閉じたばかりで未だ硬直状態にあるジャヴァーウォックへと右下から左上へと斜めに斬り上げるように刀を振るう。

 彼女の愛刀は先のゴライアスとの一件で失っており、これは新しい刀を見つけるまでの代わりに過ぎない。しかし、それでも弱ったジャヴァーウォックには十分な脅威となるであろう。

 

 

『ギィィォオオオッッ!!?』

「はぁ…っ!」

 

 巨体に合わない素早さを誇るジャヴァーウォックは、斬りつけられる直前に僅かに後退したことで刀傷を浅いものと変える。それでも襲い掛かる痛みに悲鳴のような咆哮をあげ、その場で暴れだすジャヴァーウォックに距離を取るべく跳躍しながらもこちらに迫った腕に一閃。赤い飛沫にジャヴァーウォックは醜い顔をさらに歪めた。

 

 

「すげぇな、あの嬢ちゃん…俺なら懐に入ったところで欲を出して留まって、さっき暴れた際の一撃を貰っちまってたとこだ」

「…流石はタケのところの眷属()だ」

 

 後方で命とジャヴァーウォックの戦いを見守っていた男性冒険者のリーダーが呆然と呟く。それを耳にしたヘスティアは、己の神友の子供に対する偽りのない称賛に、どこか満足げにほほ笑んだ。

 

 

 

 

 ―――その頃、上空では

 

 

『キャキャオォーッッ!!』

「だーっはっはっはっははは!!! ひぃ、ヒィー…ぷふふふははっ!! ちょ、っ…それやめ、…あははははっ!!」

 

 地上での真面目な戦いとは裏腹に、ルプスレギナとキャキャオヴァードの戦いはなんとも気の抜けるものとなりつつあった。いや、キャキャオヴァードとしては、自分たちの巣がある木に近付いてきた外敵兼餌候補との真剣勝負のつもりなのかもしれないが、ルプスレギナが一方的に空気をぶち壊している。

 

 

 ただ、そのお陰(?)で、勝負は今のところキャキャオヴァードが優勢だった。

 もともと空中戦は鳥型のモンスターであるキャキャオヴァードのフィールドであるうえ、真下が密林地帯ということでルプスレギナは得意の火属性の魔法も使えない。また光属性の攻撃魔法もあるものの、その殆どが直線の軌道を描くものばかりで、縦横無尽に動き回るモンスターに命中させるのは…まぁ、優れた動体視力を持っているので本来はそれほど難しくもないのだが、今は手が震えてまともに照準を合わせることも難しい。

 

『キャキャオッ!!』

「ブフフッ…っとと、危なふふははははっ!」

 

 ただ、そんな緊張感に欠けるなかでもルプスレギナの目はしっかりとキャキャオヴァードを捉えており、鋭い鉤爪による攻撃は杖でいなしたりちゃんと避けてはいる。反撃に振るう杖もまた手元の震えのせいで避けられてしまうしまうため、両者とも――主にキャキャオヴァードの方が――苛立ちが募る戦いになっている。

 

 

「――…!! っと…いい加減笑い疲れてきたっすね」

 

 そんな時、彼女たちの真下に広がる木々が大きく揺れた。僅かに意識を下に向けると、ジャヴァーウォックと思われる竜が大きな翼をはためかせている事に気付く。確かジャヴァーウォックは飛べない筈…とまで考えて、狙いはあの大きな翼による風圧で命たちを吹き飛ばすことなのだと気付いた。

 あの程度で用意に吹き飛ばされる命たちではないだろうが、少なくとも近づくのは難しくなるだろう。

 

 だからといって容易に手を貸すようなつもりはない。自分が担当するのはあくまでも目の前の怪鳥だけだ。命たちだって、それを望んではいないだろうし。

 

 

『キャギャ…ッ!!?』

「言わせねーよ!? …ってやつっすね!」

 

 笑い疲れとは言ってもツボなのに変わりはない。だからまたもあの鳴き声を上げようとしたキャキャオヴァード目掛けて急接近し、嘴を杖で殴る。2Mもの大きさがあるだけあって嘴もほどほどに大きく、全力でではないにしろそれなりの強さで殴られたものだから大きな体がぐわんと揺れる。

 

 だが、やられてばかりのキャキャオヴァードでもなく、無駄に大きなその鉤爪でルプスレギナの胴体を掴んできた。

 僅かに瞠目したルプスレギナではあったが、やがてその表情はニィと好戦的なそれへと変わって。

 

「手間が省けたっすね!」

『ギャギャッッ!!?』

 

 逆に首元を掴むと、キャキャオヴァードもまた驚いたように鳴く。互いに互いを掴んだまま、しかし重さや大きさに劣るルプスレギナは圧倒的に力で優っており、小さな掌で首を絞められたキャキャオヴァードの力が緩む。

 それを待っていたといわんばかりに、なんとルプスレギナは地上目掛けて急激に降下を始めた。一体何をするつもりなのか本能的に理解したキャキャオヴァードであったが、もはや翼をはためかせようと遅く、互いに互いを掴み合った2つの影は真下の木々を突き破り――地面へと落下したのであった。

 

 

……

 

 

「……? なんだ…?」

 

 距離を取った後のジャヴァーウォックの動きに、命を始めとする面々は眉を顰める。あの翼では空を飛ぶことが出来ないということはリリルカから聞いていたが、一体何のつもりなのか…あまりにも巨大な翼を注視し、攻めるべきか待つべきかという一瞬だけの逡巡が、ジャヴァーウォックに先手を譲った。

 

 

『ギャオォォォッッ!!』

「…ッ! くっ、これは…っ!」

「きゃあっ!?」

「す、すごい風…ダメ、矢が届かない…っ!」

 

 その大きな翼をはためかせたことによって生じたとてつもない風圧に、命たちは目を見開きその場に縫い付けられてしまう。少しでも気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうなほどの風は、下手をすると黒いゴライアスの咆哮にも匹敵しそうだ。

 

「くぅ、っ…で、でも、あれならヤツだって動けないんじゃ…」

「女神さまあぶねぇっ!!」

「うわっ!?」

 

 後方のヘスティア達ですら木やハムスケにしがみ付かねば吹き飛ばされかねない威力の風。それを感じながらもヘスティアは疑問を零すが、真横に控えていた男性冒険者の声に前を向き、驚愕の声を上げる。

 ヘスティアに迫っていたのは、風圧で飛ばされた木の枝だ。あれほどの強さの風、軽い枝や石ころが飛ぶのは当然の事であり、鎧などを着ているならばともかく生身では非常に危険だ。

 それらの枝に一足先に気付いていた男性冒険者たちが、ハムスケとヘスティアを庇うように真正面に立ち、壁を作る。

 

「き、君たち大丈夫かい!?」

「っ、えぇなんとか…ですが、少し下がりやしょう」

 

 

 つい先ほどであったばかりでほとんど赤の他人に過ぎない自分たちの身を案じる女神に強がりを言いつつ、ヘスティアを乗せたハムスケたちはゆっくりと後方に下がる。と、このタイミングである事に気付いたリリルカが慌てて声を上げた

 

「あっ! “ヴァーレントの木の実”が!!」

「ッ、チィ…!」

 

 そう、ジャヴァーウォックの背後にあるヴァーテントの木になっている木の実もまた、風の影響を少なからず受けて強く揺れているのだ。もしもあれらが取れて風に乗れば、それは危険な砲弾となりかねないし、なによりも自分たちはあの木の実を目当てに来たのだから、間違っても飛ばされるわけにはいかない。

 

 だが、自分は刀を地面に突き刺して漸くその場で踏ん張れているような状況であり、自身よりもさらに小柄なリリルカと千草だってまともに立ち上がるのも辛いだろう。

 

「(くっ…なんとかして、奴に近付かねば…、…!)」

 

 強く歯噛みし、ジャヴァーウォックに近付く手段を模索する命。飛んでくる石や枝で、頬や腕にはすでに小さな切創が幾つか出来上がってしまっている。

 中型とはいえ自身よりもはるかな巨躯を誇る眼前のジャヴァーウォックを睨んでいた命は、やがてハッと息を呑むと素早く振り返る。

 

 その視線の先には…

 

 

「くっ…出来れば、皆の戦いを見ていたんだけど…」

「安全の方が大事でさ、もうちょい下がりましょう」

 

 ゆっくりと、しかし確実に下がっているヘスティア達の姿があった。

 

 

「…!! リリ殿、槍を!!」

「えっ!? あ、はいっ!」

 

「お2人はそのまま下がってください!」

 

 叫ぶようにリリルカに告げると、リリルカは慌てて千草の後ろに回り、彼女が背負っていた槍を取り出す。それを確認したうえで、命は地面に刺していた刀から手を離し、風に乗ることで一気に後方に飛んだ。

 

「皆さん! ヘスティア様を! ――…ハムスケを借ります!!」

「お、おぉ! 女神さま、こっちです!」

「う、うん!」

 

 リリルカ達よりさらに後ろに居たヘスティア達にも声を掛け、男性冒険者がヘスティアを降ろしたのを確認したうえで自身はハムスケの上に飛び乗る。

 

「ハムスケ…殿! どうかお力をお貸しください!」

「…! ハムスケ君、彼女の言うとおりに!」

「…フゴ!」

 

 圧倒的な風に対抗する為に命が見出した活路は、ハムスケへの騎乗。この圧倒的な風圧を受けて唯一しっかりと動けていたのが、他ならないハムスケだけだったからだ。

 突然ヘスティアとは違う女性が乗ったが故に最初は困惑していたハムスケであったが、ヘスティアの言葉に粒な瞳をキリリと鋭くさせて確かに頷く。正直、騎乗してもハムスケが素直に言うことを聞いてくれるかなど分からなかったが、ヘスティアやルプスレギナが何度かハムスケに話しかけているのを見ていた彼女は、ハムスケが人の言葉を理解できると踏んで賭けに出て、そして見事に勝った。

 

 馬などとは違って乗り心地はお世辞にも良いとは言えないが、人の言葉を解している分誘導する必要などは無く、命は右手で槍を、左手で振り落とされぬようにハムスケの毛を掴んで重心を前に倒す。

 

 

『ギャオォォォッッ!!!』

「…フゴゴォォォ!!!」

 

 自身とそう大きさの変わらないモンスターが飛び出してきたとあって、ジャヴァーウォックは翼をはためかせる動きを止めぬまま大きな咆哮を上げ威嚇をする。ダンジョンで生まれてすぐに捕獲され、ルプスレギナに調教(テイム)されたが故に野性を知らないハムスケは一瞬威圧されかけるものの、猿轡の下で自身も負けじと声を上げて足を動かし続ける。

 

 

「…う、おぉぉぉぉっっ!!!」

 

 そして、一向に怯む様子を見せないハムスケに逆に圧倒されたのか、ほんの一瞬だけ翼の動きが鈍り、風が弱まった。命がその気を逃すはずもなく、2匹に負けず劣らずの咆哮と共にハムスケを足場に跳躍。限界まで伸ばした腕を引き絞り、竜の眉間へと目掛けて槍を投擲する。

 

 

『ギ、ァッッ!!!??』

 

 果たして投擲した槍は見事に眉間を捉え、ジャヴァーウォックは短い断末魔の悲鳴と共に地面へと沈むのであった。

 

 

「……っ…勝った…!」

 

 命は、ジャヴァーウォックがこと切れたその瞬間を見届け、地面へと落下。そのギリギリで、命と地面の境に仰向けになったハムスケが滑り込み、彼女をキャッチする。

 

 

「や、…やりましたっ!」

「…っ…よ、よかった…」

 

 倒れたジャヴァーウォックが完全にこと切れていることを確認し、緊張の糸が漸く切れたかのようにリリルカは喜色満面に声を上げ、千草は胸に手を置いて息を吐きだす。男性冒険者に守られていたヘスティアも、歩み寄ってくる彼らを追い抜かして命のもとへと駆け寄っていく。

 

「やった! やったぞ命君っ! 本当に見事……命君?」

 

 自分の事のように喜びを露にするヘスティア。しかし、その表情はやがて何かに気付き僅かに曇る。ハムスケの腹の上にうつ伏せになったままの命が、もぞもぞとしたまま立ち上がろうとしないのである。もしや自分たちに見えないところで怪我でもしたのではないかと不安になり、異変に気付いたリリルカと千草も慌てて駆け寄ってくる、が…

 

「…ああ…モフモフ…」

「……」

 

 全然心配いらなかったと、ヘスティアは脱力することになるのであった。

 

「「(いいなぁ…)」」

 

 さらにはあのモフモフを未体験の2人に至っては、頭の中で命を羨む始末である。

 

 

「…えぇ、と…あっ、そうだ! ルプー君はっ!?」

 

 なんとかこの空気を変えんと、ヘスティアは顔を上げる。その言葉に、ハムスケの腹に顔を埋めていた命もバッと顔を上げ、リリルカと千草も慌てて上空を見上げる。

 

「ここからでは、木々が邪魔で見えませんね」

「何とかして、状況を把握せねば…うん? この音は…?」

 

 先程までであれば強い風によって空も開けていたのだろうが、生憎と今はまた元通り。ヘスティアの“腕輪”…もとい《伝達(メッセージ)》も、ルプスレギナの方からパスを繋げてくれないと会話ができないとリリルカは知っており、今は頼れない。

 立ち上がり、眉を顰める命であったが、そんなタイミングで全員の耳に奇妙な音が届いた。

 

 

 ―――ヒュゥゥゥゥウウウ…バキバキィ!! ズドンッッッ!!!!

 

「…ッ!? な、何事だっ!?」

「こ、ここから近いよ…っ!」

 

「「…あっ」」

 

 明らかに重さのある何かが上空より飛来して地面に着弾したかのようなその音に、命と千草、そして男性冒険者たちは慌てた様子を見せる。一方でヘスティアとリリルカは、何かを悟ったかのように冷静で、躊躇うことなくその音のした方へと向かう。

 

 

「……ふぃ~…ちとやりすぎちゃったっすかね?」

「…やっぱり」

 

 ジャヴァーウォックと戦った場所からやや離れた其処には、思い切り地面に叩きつけられたのであろうキャキャオヴァードと、その隣で一仕事終えた後のように額の汗を腕で拭う動作を見せるルプスレギナ。

 予想通りの光景に思わず半目になるヘスティアに対し、リリルカは駆け足でルプスレギナのもとへと駆け寄っていく。

 

「んもぅっ! ルプー様、派手にやりすぎです! ほら、この音にあのアマゾネスたちが集まってくる前に、さっさと“ヴァーレントの木の実”を回収しますよ!!」

「おぉぅ、リリちゃんっ!? ちょ、そんな行き成り腕引っ張んなくても行くっすよ! な、なんでそんな怒ってんすか?」

「…あれほどの笑い声が、リリたちの耳に届かなかったと思うんですか?」

「…おうふ」

 

 ご立腹のリリルカに軽い説教を食らい、ルプスレギナ達は気絶しているキャキャオヴァードをそのままにさっさと移動を開始する。

 

 

「あっ…ルプス殿! ご無事でしたか!」

「あ、安心、しました…」

フゴ()~!」

 

「はい、ただいまっす。そっちも無事に勝てたみたいっすね」

 

 命たちのもとに戻ってみれば、どうやらリリルカ達にその場で待っているように言われていた為か一足先に“ヴァーレントの木の実”を回収していた。そこらのヴァーレントの木よりも遥かに立派なその木には、幹の太さなどに見合うだけの大きさの木の実も大量に生っている。

 男性冒険者地と手分けして行っていた作業はルプスレギナが戻ってきたことでいったん中断し、各々の無事を確認し合ったところで再開して。

 

 

「…いやー、大量大量。苦労した甲斐があったっすね」

「はいっ! これだけ高品質の木の実がこんなにあれば、沢山チョコが作れますね!」

「なんだかすまねぇな、俺たちもこんなに貰っちまって…」

 

 木に生っている実を回収し終えてみると、既にリリと千草2人のバックパックはパンパンになっていた。ヘスティアをしっかり守りぬいた男性冒険者たちも、クエストで依頼されていた量には届かないまでもこれほど高品質な木の実であれば寧ろ追加料金が貰えるかもしれないとちょっぴり甘い見通しをしてすっかり上機嫌だ。

 

「いえいえ、ちゃんとヘスティア様をお守りいただいたんですから、これぐらいは当然です。…ただ、1つだけ、いいですか?」

「うん? なんだ?」

 

 営業スマイルのリリルカと握手を交わし、此処で解散…の前に投げかけられた疑問。上機嫌のリーダー格の男は、にっとした笑みを浮かべたまま首を傾げる。

 

「いえ、その…どうにも解せないんです。いくら奇襲を掛けられたとはいえ、レベル3を含めた上級冒険者5人のパーティがあわや壊滅一歩手前までいったのに対して、ジャヴァーウォックの手傷が、その…少し少なすぎた気がして」

 

 実のところ、その疑問は命たちも抱いていた。確かに命が対峙した段階でのジャヴァーウォックは目に見える傷を負っていたとはいえ、まだまだ戦闘可能な程度でしかなかった。仮にも自身より高い実力者であろうレベル3の冒険者が、瀕死に陥るほどの手傷を負うまで抵抗したのだ。真っ先に武器を破壊されたのであれば、それはそれで抵抗などせずに逃げるなり体制を整えるぐらいは出来た筈。

 

 ほんの小さな疑問に過ぎなかった問いかけは、しかし目の前の男の様子でかなり強い疑念に変わる。

 

「…あー、いや、その…それは、だな……」

 

 一目で分かる狼狽振り。正直そこまで気になっていたわけではない質問だったのだが、この反応を見ると嫌でも原因が気になってしまう。それはリリルカ以外の女性陣(ハムスケ込み)も同じなのか、全員がじっと男たちを見つめていた。

 

 

「………こ、腰が、抜けてて…」

「…はい? まさか、奇襲されてとか、そういう訳ではない、ですよね…?」

 

 リーダー格のみならず、男性陣全員がヘスティア達から必死に視線を逸らしている。そんな中でぼそぼそと漏らした言葉に、リリルカがさらに追及した。ここにきて、余計な禍根…というか、モヤモヤしたものを残して解散というのも嫌なのだ。

 

 

「いや、その…あ、あの竜どもに襲われる前に…もう一つ、というかなんというか…まぁ、襲われて、な…」

「なっ…そ、そうだったのですか? 一体何に…」

 

 告げられた言葉はある意味衝撃の事実だった。ヘスティアもまた驚いているのを見るに嘘ではなさそうだが、そうなると彼らは何に襲われたのか、それで何故腰を抜かすことになるのか、そして何故それを黙っていたのかが気になるところだ。

 程なくして、それらの疑問に対する答えは告げられる。今にも消え入りそうなほどの、か細い声で

 

 

「…ア、アマゾネスに…」

「「「「「……あっ」」」」」

 

 女性陣全員が、何かを悟ったように声を上げたのは全く同じタイミングだった。

 

 

 結局このあと、悪いことを聞いてしまった詫びにリリルカは自身の分の木の実を少し分けることになり、男性陣とはその場で分かれることになるのであった。

 

 

……

………

…………

 

 

 ―――ヴァーレンタインデー当日。オラリオ西地区・『豊饒の女主人』前のメインストリート 

 

 

「…お、オイ、これ…」

「お、おぉぉぉっ!!?」

 

 昼どきの『豊饒の女主人』の前は、暇を持て余してオラリオをぶらぶらしていた男神たちで神だかりが出来ていた。

 彼らの視線に先にあるのは、普段と違って閉められたままの扉…そして、扉に貼られている画用紙。そこに書かれているのは…

 

 『本日、夕方頃まで臨時休業(はぁと』

 

「こ、ここ…このタイミングで、でで、臨時休業って、ことは…!!?」

「くるか、ついに来るのか…!?」

「そ、そういえば今朝がたここ通り過ぎた時、此処のウェイトレスとは違うっぽい女の子が中に入るのを見たぞ…!!」

「「「「うおぉぉぉぉぉーーっっ!!!??」」」」

 

 可愛らしい丸文字で、しかもその隣には可愛らしく舌を出してウィンクしているデフォルメされたルプスレギナのイラストまで描かれていたとあって、男神たちのテンションは気持ち悪く上がっていた。

 

「この中では今頃、美女美少女たちがキャッキャウフフとお菓子作りを…」

「俺、シルちゃんのチョコが食べたい」

「オレはルノアちゃんがいいなぁ…」

「じゃあ俺はリューちゃ…あれ、なんだ今の悪寒」

 

 奥の方にある厨房で作っているのだろう、残念ながら声や音は聞こえないものの、それが余計に男神たちの妄想を掻き立てているようだ。それぞれお気に入りのウェイトレスの手作りチョコを貰ったところを想像しているようだが、生憎とそのうちの何人かは例え貰えたとしても想像通りのものとはいかないだろう。

 

「じゃあ俺は…やっぱルプスちゃんだなぁ…いつものメイド服姿のまま、『ご主人様、あーん』ってしてほしい」

「俺はわざとほっぺに生クリーム付けて、指ですくって舐めてほしい」

「踏まれたい」

「おまおれ」

 

 そして、そんな妄想の中には当然ながら話題の新人冒険者兼ウェイトレスのルプスレギナも入るわけで。いささか歪んだ妄想の標的になっている張本人は、今頃中でえもいわれぬ悪寒を感じていることだろう。

 

 

「漸く、漸くヴァーレンタインデー(おれらがチョコを貰えない日)に希望が…!!」

「これで、毎年毎年歓楽街の方にわざと行ってチョコと引き換えにアマゾネス達に色々と搾りつくされる必要が…いや、今年も行くけど」

「やっぱり、キボウはゼツボウなんかには負けないんだよ…!!」

 

「話は変わるけど、ルプスちゃんって色んな服が似合いそうだよな。メイド服しかり、ウェイトレスの制服しかり」

「褐色肌だし、アマゾネスの服も似合いそう…あの露出度の服を着たルプスちゃん…うお、やべぇ」

「ルプスちゃんに色々とコスプレしてほしい。マジで」

「なんかもう、超オラリオ級のコスプレイヤー…って感じで」

 

 

「とにかく、こんなところで喋ってる場合じゃねぇっ! シャワー浴びてくる!」

「香水買ってくる!!」

「服買ってくる!!!」

「鞭とロウソク買ってくる!!!!」

「おい最後のなんだ」

 

 最初から最後までハイテンションをキープしたまま、男神たちは夜に備えて散っていく。まさかこの建物にいる女性陣の半数近くが、特定の男性のみを対象にチョコを作っているだなんて露も知らずに…

 

 

 

 

 ―――そんな『豊饒の女主人』の中では…

 

「…なんか、外が騒がしいっすね」

「ニャハハ、この時期は都市中の男どもがソワソワするのニャ。そんなタイミングで女子が集まって臨時休業なんてしたら、そりゃー色々と拗らせた連中は妄想するニャ」

「アーニャ、もう少し歯に衣着せたらいかがですか」

「しょーがねーニャ、アーニャの言うことはすべて真実ニャ」

 

 冒険者依頼(クエスト)のクリアから早数日。ルプスレギナは、シルに“ヴァーレントの木の実”を渡した際に言われたとおり、このヴァーレンタインデー前日に『豊饒の女主人』を訪れていた。

 

「ヘ、ヘスティア様! 木の実の殻が混ざらないように気を付けないとっ!」

「う、うん…分かってるさ。 くっ…この…あっ、出来たっ!」

「ふむ…極東にあるチョコの原料より、幾分もすりつぶし易いのですね…もうサラサラになってきています」

「あ、ほ、ホントだ…」

「うふふ。なので、この後の精錬作業なんかもだいぶ楽になるんですよ」

 

 そこにはルプスレギナだけでなく、ともに行動したヘスティア達の姿もある。この中では最も菓子作りに造詣の深いシルの指揮の下、それぞれ木の実を割ったり、炒った後の豆の殻を取ったりと係に分かれていた。

 因みにミアはシルに対して「ウチで出せそうなチョコを使ったデザートも作っといておくれ」と告げてルノアと共に今夜の料理の仕込みをしている。なんとなくだが、今夜から明日にかけては男神の客が増える気がするから。

 

 

「…ニャあクロエ、なんでアーニャ達までこっちの手伝いせニャならんのニャ? 正直、チョコ作りなんて興味ニャいんだけど…」

「アーニャ、それはミャーも同じニャ。でも、こっちに参加すれば料理の仕込みをしないで済むし、こっちは上手くすればチョコがつまみ放題ニャ」

「! ニャ、ニャるほど…ふっふっふ、クロエ、おミャーもワルよのう…」

「いえいえ、おミャー様ほどでは…」

「「ふっふっふ…」」

 

 こうして、不穏分子2匹を加えた女子たちのチョコ作りは進んでいく。

 

 

……

 

 

「あちち……うん、これで下準備は完璧!」

 

 精錬の済んだチョコを指で掬い舐めて、納得のいく滑らかさになったのだろう笑顔で頷くシルに、他の全員の表情も明るくなる。ここからの工程は、恐らく現実世界でのチョコ作りとあまり変わりはしないだろう。

 

 

「それじゃあ、ここからは各々で分かれて、好きなように作りましょう。…勿論、ちゃんと渡す相手の為に愛情込めて、ね?」

「むむ…っ!」

「ま、負けられません…!」

 

「あ、愛情…」

「あぅぅ…」

 

 相変わらずあざとい行動込みのシルの言葉に、まずは同じ相手(ベル)にチョコを渡すのであろうヘスティア達が闘志に火を燃やす。その横で、初心な命たちはチョコを渡す相手(桜花とタケミカヅチ)を想い、頬を赤くさせている。

 

 そして、残る4人は…

 

「渡す相手に愛情…」

「愛情、ですか…」

「ケッ、くだらねーニャ」

「真実の愛なんておとぎ話の中だけニャ」

 

 なんともパッとしない様子のルプスレギナ達に、いつぞやのチンピラ風三角グラサンをしてすれた言葉を吐き捨てるアーニャ達と、綺麗に分かれていた。

 

「…んまぁ、取り敢えずは作ればわかるっすよね」

「そうですね、それがいいでしょう」

「おいアーニャ、今のうちに…」

「うっしっし、こっそり紛れ込むニャ…」

 

「じゃ、4人で頑張るっすかね」

「はい」

「「………ニ゛ャッ!!?」」

 

 クロエとアーニャの末路が、此処に決定した瞬間である。

 

「いやいやいや、なんでそうなるニャ! リ、リュー! おミャーはあの少年(ベル)目当てじゃないんかニャ!?」

「…クラネルさん? …なるほど、確かに彼にならチョコを渡しても良いという気にはなりますね」

「ニャ、ニャらば…」

「そういえばクロエ、貴女も彼が気になると言っていましたね。では、2人で作りましょう」

「ニ゛ャんでそーなるニャぁ!!?」

 

「ル、ルプス! おミャーはどうなのニャ! おミャーも、あの白髪頭が目当てじゃないんかニャ!?」

「んー…ベルっちにはなんかお相手がたくさんいそうっすね…よし、アーちゃん、私らは店に来るお客さんたちの為にチョコ作りっすよ! ちゃんと味見(毒見)もさせてあげるから、安心するっす」

「ニ゛ャァッ!!? 今、不穏な言葉が重なって聞こえたニャー!!」

 

 哀れ抵抗も空しく、欲張り猫たちは連行されていくのであった。

 

 

……

 

 

「んもうヘスティア様っ! いつまでハートの型を使うつもりなんですかっ! いい加減、リリにも貸してくださいっ!」

「い、いいじゃないか別にっ! このハートマークは、僕が使うもんねっ!」

「そ、そんな子供みたいな…」

「ふふっ、まぁまぁ。リリさん、こっちにも1つありますから、どうぞ使ってください」

「あっ! …くぅ~~、その余裕が恨めしいよ…」

 

 ヘスティア達のテーブルは、女子特有の姦しさを維持しながらも和気藹々と、順調にチョコ作りが進んでいた。シンプルに型を取って固めるタイプのチョコから、シル指導の下で簡単なトリュフまでと、同じ異性(ベル)を狙う者通しの謎の結束が結ばれているのであった。

 

 

 その一方で、ルプスレギナ達のテーブルは…

 

 

「……よしっ!!」

「全然良くねーニャ!! 何をどうしたら、溶かしたチョコが虹色になるニャ!」

「綺麗でいいじゃないっすか」

「こんなゴポゴポいってる虹色、お世辞でも綺麗なんて言えんニャ!!」

 

 などとアーニャが悲鳴を上げれば

 

「アーニャの言うとおりです、ルプス。チョコとは本来()()物です」

「なにキメ顔で言ってるニャ! おミャーのは黒いを通り越して()()()になってるじゃニャいか!!」

「…ビター味なだけです。大人向けなんです」

「大の大人すら泣いて逃げ出す代物ニャ!!」

 

 なんてクロエが魂のツッコミを入れる。

 

「「まぁまぁ」」

「「フミ゛ャァァァッッ!!!??」」

 

 ルプスレギナ達のテーブルは、おおよそ女子のものとは思えない阿鼻叫喚の嵐に見舞われていた。

 

 

「…み、命…」

「しっ、千草殿…目を合わせてはなりませぬ…」

 

 命はこの時、生まれて初めて自ら他人を見捨てる選択をしたという。

 

 

……

………

…………

 

 

「フンフフ~ン♪ 贈り物の全ては箱から始まり~、可愛いリボンを付けて~、中にチョコを…あ、順番間違えたっす」

「…変な鼻歌しながら作業するからですよ…っていうか、何ですかそのおどろおどろしいデザインの箱はっ!?」

「いや、私といえばやっぱ白と黒かなって」

「真っ黒なリボンのせいで、完全にお葬式みたいですよ! 箱の形も心なしか棺桶みたいですし!」

「あっはっは」

「…それ、絶対にベル様には渡さないで下さいね」

 

 無事にチョコ作りを終えて数時間後、今度はシルがあらかじめ用意していた箱に各々冷やしたチョコをラッピングし、詰めていた。ご丁寧に中にはドライアイスが入れられるようにもなっており、形が崩れないように慎重に箱詰めを進めていく。

 

「いやでもホラ、リューちゃんだって自分のイメージカラーにあったラッピングじゃないっすか」

「リュー様の若草色は可愛らしくていいんですよっ!」

「なら、別に白黒だって…」

「いやまぁ、確かに白黒なのは良いんですけど、この渦巻き模様のデザインといい真っ黒なリボンといい…そして何故か虹色のチョコといい…色々とおっかないです!」

 

 箱ではなく柄窓の付いた若草色の袋にチョコ(暗黒物質)を入れたリューを指さすものの、中身はさておき見てくれはまともな出来なので当然その抗議は却下されることとなった。

 

「うへへ…僕の愛情たっぷりのチョコ…ベル君にいの一番に渡してやるぜ」

「あらあら、ヘスティア様ったら。なら、私は次にベルさんが来た時に渡そうかしら」

「うむむ…確かに、この余裕は…リリも負けられません…!」

 

「…タケミカヅチ様、喜んでくれるでしょうか…」

「…桜花、食べてくれるかな…」

 

 それぞれ心に想う人物に真心を込めて作り上げたチョコレート。その相手がいないにもかかわらず既に甘々な空間が出来上がっている中で、それを一歩引いたところからルプスレギナとリューは眺めていた。

 

「…そういえば、アーニャ達の具合は大丈夫ですか?」

「んー、一応回復魔法は掛けたんっすけどね。急に倒れるなんて…風邪っすかね?」

「あの2人に限ってそれはないでしょう」

 

 アーニャとクロエは、ルプスレギナ達のチョコ作りの()()()()()に倒れてしまい、今は2階の自室に寝かせている。ルプスレギナはその理由を、「猫人もチョコは食べれないのか」なんて勝手に決めつけていたりする。自身が料理できなくなっていることを知っているくせに。

 

「ん、そっすね。 …そういえば、リューちゃんはそのチョコ、結局ベルっちにあげるんっすか?」

「…そう、ですね。シルに、ついでに渡してもらうように頼みましょうか」

「えー? 直接渡せばいいじゃないっすか」

 

 結局、リューもチョコをベルにあげることにしたようだ。頑張れ少年。

 ルプスレギナとしては、チョコを渡した際のリューとベルの反応を間近で見たいのか、シルに自身の分も纏めて渡してもらおうというリューの呟きには不満げな表情を見せる。

 

「……そ、それより。ルプスはどうするのですか? 先程、アーデさんにそのチョコをクラネルさんには渡さぬように言われていましたが」

「ん? そっすねー…まぁ実際問題、ベルっちにはもう大量にチョコがいくみたいなんで……」

 

 珍しく僅かながらにも動揺を見せるリュー。露骨に話題を変えられて思わずにやつくものの、あまりからかうのも悪いかと判断し素直に考え込む仕草を見せる。実際のところ、客用とは別に用意した星などの型で作ったチョコの入ったこの――リリルカ曰く不気味な――箱。さて誰に贈ったものかと考えて、一番最初に浮かんできたのは鍛冶師のヴェルフなのだが…なんとなーく、彼にはすでに意中の女性がいるような気もするし、除外。次に浮かんできたのは男神であるミアハやタケミカヅチだが、彼らに渡すのも余計な誤解を生みそうなので止めておく。

 

 はてさて誰に贈ろうかと真剣に悩みだしたその刹那、ルプスレギナの脳裏にとある人物の顔が浮かんできた

 

「…あっ、思いついた」

 

 

……

………

…………

 

 

 ――そして、その日の晩…

 

 団員たちの憩いの場であるエントランスホール横の休憩所は今、男性の団員たちが固まりソワソワと落ち着きなく過ごすなんとも微妙な空気に包まれていた。その原因は、今日の昼頃から女性団員以外立ち入り禁止になっている厨房で行われているチョコ作りにある。

 厨房が女性団員に占領されており、雇われている料理人たちもそっちの手伝いに回ってしまった為に夕飯は各々で用意しなければならなくなったものの、団員のほとんどはまだ何も食べていない。

 

 そんな中、彼は…【ロキ・ファミリア】所属のベート・ローガは非常に苛立っていた。普段から悪い目つきが3割増しに悪くなっている程に。

 その原因は、今彼の目の前に転がっている

 

「なーなーベートぉ、アイズたんたち、どんなチョコ作るかなぁ?」

「……」

「なーなー。無視せんと返事くらいしてぇなー。なーなーなー」

「…………」

「なーなーなーなーなーなーなー…」

「…だぁぁぁぁっ!! ウルッセェなテメェは!! 口閉じて大人しくすることも出来ねぇのか!!?」

 

 一応性別としては女であるにも関わらず出禁を食らい、それでも幾度となく厨房に潜入を試みてはついに簀巻きにされた彼らの主神()ロキ。彼女はいもむしのようにウネウネと動きながら、体が動かせない鬱憤でも晴らすかのようにベートに話しかけ続けていた。

 

 そもそも、ベートとしてはこんな場所で時間を潰さねばならないこと自体不本意なのだ。女子連中がチョコを作ると聞いた時も一切興味を抱くことはなかった。唯一、彼と同じレベルの女性冒険者、アイズ・ヴァレンシュタインもチョコ作りに参加すると聞いた時はつい反応してしまったものの、それらが終わるのをただ待ち続けるくらいなら、ダンジョンに潜って少しでも強くなることを優先させる。

 そんな結論のもとソロでダンジョンに潜りにいこうとしたところを、ボコボコの状態で簀巻きにされたロキを運ぶティオネと鉢合わせになり、無理やり押し付けられたのだ。

 正直無視してもよかったものの、そうするとあのアマゾネスのこと、あとでグチグチと文句を言われるのは目に見えており、渋々こうやって監視していたのだが…いい加減、我慢の限界だった。

 

「第一、テメェ口に貼ってあったガムテープはどうした!!?」

「あんなもんとっくに嚙み千切ったったわ!!」

「こ、のヤロウ…誰か猿轡持ってこい!!」

「なんやなんや、猿轡なんて持ってこさせて…ベートのス・ケ・ベ(はぁと」

「ブッコロス!!!」

 

「ベ、ベートさんそれはマズいですって!!」

「ベートさん落ち着いて!! ロキ様も変な挑発せんで下さいよ!!」

「かっかっか。まだまだガキやなぁ」

 

 文字通り手も足も出せない状況下でもいつも通りのペースを崩すことなくベートをからかうロキに、案の定不機嫌だったベートは簡単にキレる。転がっているロキの顔を踏みつけんと喚くベートを、ハラハラしながら見守っていた他の団員たちが数人がかりで必死に止める。

 普通に命の危機ではあるが、呑気にカラカラと笑うロキの姿を見て、一瞬「ベートさん離してもいいんじゃないかこれ」と思ったのは秘密である。

 

 

「…おっ! いたいた! ベートさ、ん……なんっすか、この状況?」

 

 ソワソワした集団。ハラハラした集団。イライラしているベートに、カラカラ笑うロキ。なんともカオスな空間に早足でやって来たのは、【ロキ・ファミリア】のミスター中堅。レベル4のラウル・ノールドだった。

 

「ラ、ラウルさんいいところに! この状況、なんとかしてください!!」

 

 数人がかりであっても格上(レベル5)のベートを止めることは難しく、いい加減限界を感じていた団員は天の助けと言わんばかりに叫ぶ。それを受けて当然ながら困惑するラウルなのだが…

 

「え、えぇっ!? い、いやその…あっ、ベ、ベートさん! ベートさん宛てにお荷物っすよ!!」

「……あ゛ぁー?」

 

 思い出したとラウルがベートに差し出したのは、やや大きめの箱。それを見て眉を顰めるベートに対し、他の団員たちはその箱が何なのかを瞬時に理解し…そうになったが、その箱のデザインを見てすぐに首を傾げることになった。

 

「な、なんやなんや…って、なんやその箱…どエラい悪趣味やな…誰か身内でも死んだん?」

「少なくともテメーはこの後ぶっ殺す」

「あれ、ベートきゅんったらウチのこと“身内”や思ってくれとるん? いやぁテレるなぁ」

「こ、コイツ…!!」

 

「ま、まぁまぁベートさん!!」

 

 再び再燃しかけるベートの怒りをラウルは慌てて宥めつつ、ロキにも「余計なことを言わんでください!」と視線を送る。当然、素知らぬ顔をされたが。

 

「…で、実際なんなんその箱。渡し主の趣味の悪さが滲み出るようやな…」

「えーと……【ヘスティア・ファミリア】のルプスレギナ・ベータさんからっすね」

「素晴らしいデザインのラッピングやな! まるで箱から気品が漂うような…!」

「……」

 

 棺桶のような形状といい包装紙の色といい悪趣味極まりないデザインに苦い顔をするロキ。もしもベートに対する嫌がらせなどであれば、彼の主神()として出るとこ出たると密かに考えていたのだが、その贈り主の名前を聞いて見事なまでに掌を返す。ラウルたちの冷たい目線など、まるで気にした様子はない。

 

「…ってかベート!! おまっ、ななな、なんでルプスたんからプ、プレジェントなんて…!!」

「……ば、爆発とかしねぇだろうな…?」

「なんやそれー!! おま、ルプスたんにプレゼント…多分チョコ…を貰っといてなんちゅー奴や!!」

 

 ラウルが持っている箱は1つだけ。つまりこの箱は、ベート個人のみに贈られた物ということになる。床を這いながらもベートの足に縋り付き戦慄するロキに対し、ベートの反応は酷く微妙なものだ。喜びだとか云々よりも懐疑心が生まれてしまい、思わず零した呟きにジェラシー満載のロキのツッコミが炸裂する。

 

 

「チッ、いちいちウルセ……おいロキ、この女のプレゼントが羨ましいか?」

「メッチャ羨ましい!! ウチも欲しい!! ってか、ウチにくれ!!」

「ほう、そうかそうか」

 

 足元から聞こえてくる悲鳴に近い叫びに鬱陶しげに舌打ちを零したベートであったが、ふと一瞬その動きが止まったかと思えば、唐突にロキに声を掛ける。

 そんなベートの態度を不審に思うこともなく、心のままに叫んだロキ。ラウルから箱を受け取ったベートは、ロキの目の前でしゃがみこむ。もしかして本当にくれるのかと希望に満ちた表情を浮かべたロキであったが…

 

「……ハンッ」

「…!! ベ、ベェートォォォッッ!!!」

「ちょ、おまっ…血涙なんて流してんじゃねぇよっ!!」

 

 ベートは優越感を隠しもせずに鼻で笑った。それを見てベートの意図を悟ったロキは今までにない怒りを込めてベートの名を叫ぶ。普段ほど細めている目を見開き、血涙を流しながら。結果、ベートを狼狽させることには成功したが。

 

 

「ったく…そもそも、中身が何かもまだ分から、ねぇ……おい、ラウル」

「…んあ? 何っすか?」

「…テメェ、なんでこれが俺宛てだってわかった?」

「…ん? いやほら、そこにベートさんの名前も書いてありますし…」

「……名前間違ってんだよあのアマァァァッッ!!!」

「んぎゃーっす!?」

 

 呆れたように溜息を零しつつ、ベートは箱へと視線を落とし、硬直する。そこに書かれていた宛先の名前は…

 

「どれどれ…“ベト・ベター様へ”……ぶっはははは!! なんやこのヘドロのモンスターみたいな名前!!」

「ウルセェぞロキッ!! ラウルてめぇ、この変な名前から俺の事連想しやがったってのか、あぁっ!?」

「い、いやまさかっ!? ご、ご本人が直接来られてたんっすよ!」

「へっ!? ルプスたん来てたんっ!? あぁ…なんちゅうこった…ウチの“美少女レーダー”が反応せぇへんなんて…」

「…気持ちわりぃよお前…」

 

 凄んだベートに対し、睨まれたラウルは慌てて先ほどの言葉に捕捉を付け足す。寧ろそちらの方を先に言うべきだったのだろう。

 驚いたような声を上げ、勿体ないことをしたと項垂れるロキにベートは思わず素の呟きを零してしまったのが、これは仕方がないだろう。

 

「…で、あの女が俺に渡せって言ったのか?」

「はいっす! あぁ、あと、伝言で…『その節はどうもっす』…って、言ってたっす」

「……チッ! おいラウル、今すぐその口調直せ」

「えぇっ!? 何故っすか!?」

「なんかムカつくんだよ」

「理不尽っ!!?」

 

 ラウルより告げられた伝言に一寸眉を顰めたベートであったが、やがて大きな舌打ちを零しながらも漸く箱に手を掛ける。趣味の悪い真っ黒なリボンを鋭く尖らせた爪で包装紙ごと切り、箱を開ける。

 そして、その中に入っていた物…星形のチョコを見て、再び眉を顰めたのだった。

 

「……んだコリャ。…チョコか?」

 

 袋を開けて摘み、顔の前に持ち上げた其れを見据えて呟く。

 

 この時、彼は完全に油断していた。

 つい先ほどまではいくら頼んでも絶対に口を閉じようとしなかった己の主神がやけに静かなことに気付かなかった。

 まるで鶏の卵を狙う蛇の如く、その眼でベートがチョコを取り出す瞬間を見ていたことに気付かなかった。

 

 故に…

 

 

「……スキありぃぃぃぃっっ!!!」

「うおぉっっ!!? て、テメェ!!?」

 

 それ故に…

 

「んっふふふー。ルプスたんの手作りチョコや~!」

「テメこらロキィッ!! なにカラスみてぇな真似してんだ!!」

 

 それ、故に…

 

「はぁぁぁ~…ルプスたんのチョコ。なんだか、…すご、い……超、キテる…」

 

 

「……は? お、おいロキ? …ロキ?? お、おいどうしたぁぁぁぁッッ!!!??」

 

 

 主神ロキは、その日の晩女性冒険者たちが作ったチョコレートケーキを食べることが出来ず、丸一日別世界にトリップすることになるのであった。

 

 

「えへへ~、お花綺麗ですわ~」

「ロキィィィィィィッッッ!!!!??」

 

 

……

………

…………

 

 

 余談だが、この日ベルに一番最初にチョコを上げたのは『ギルド』でベルの担当アドバイザーをしているエイナだった。

 それを知った時のヘスティアは、無駄に落ち込んだ末、やはりエイナに対抗心を燃やすことになるのだったとか。

 

 




 
 後半になるにつれて台詞が増え、行動描写などが減ってしまいましたね、反省。


【超オラリオ級のコスプレイヤー】
 ルプスレギナの中の人ネタです。あの作品のネタバレはダメ絶対! 僕まだやってないので! 見た目とかキャラ的には電波っぽい民俗学者と美術部が好き。なんか〇にそうだけど。

【“サンディクローズ”とか箱の下り】
 あの有名なハロウィン×クリスマス映画。
 …このネタセーフだよね? ね? やばそうならすぐに修正します←

【『豊饒の女主人』の客用のチョコ】
『本日のみの限定!!

 ・特製チョコレートケーキ(シル作 700ヴァリス

 ・特製パウンドケーキ(シル作 600ヴァリス

 ・愛情たっぷりトリュフチョコレート(シル作 600ヴァリス

 ・大人向け? 暗黒ビターチョコ(リュー作 500ヴァリス

 ・サイケデリックレインボーチョコ(ルプスレギナ作 500ヴァリス

 ※無くなり次第終了となります。
  また、下2つに関しましては、“不測の事態”にルプスレギナのアフターケアサービスが付いています。
  以上をご理解の上、自己責任のもとでご注文ください。

        ミア・グラント


【キャキャオ】
キャキャオォォッッ!!!




 そういえば、前編で出ないと言った【ロキ・ファミリア】なんですが、正確にはティオネちゃんたち女性陣の事ですね。

 いや、本当は出番あったんですよ。
 アマゾネスに殆どの木の実が採りつくされた中、1本のヴァーレントの木を漸く見つけたところで、偶然全く同じ目的で来ていたティオネたちと鉢合わせになるという流れで。
 そこから、ティオネとルプスレギナの“女子力”対決が始まるんです。


「食らいなさいルプス!! 『ラージャーザンライフ ロングウェアアイライナー』!!!」
「くっ!? 『オール アバウト シャドウ デュオ』!! そして『ラッシュ パワー レングス マスカラ』ァ!!!」
「甘いわよっ!! 『プロテクティブプライマー』!! さらに『ラージャーザンライフ リップグロス』!!!」
「うっ…ぐわぁぁぁー…っす!!」

「フフフ…どうしたのルプス? アナタの“女子力”はその程度なのかしら?」
「くっ…なんという“女子力”…でも、まだまだ…負けるわけにはいかないっす…!!」


「あははー! いけいけ2人ともー!!」
「……アイズさん…“女子力”って…なんでしたっけ…?」
「……あの技、なんだろう」

 …っていう、分かる人には分かるミカベルネタでした。

ただこうすると、完全に命ちゃんたちが空気になるんですよね。【ロキ・ファミリア】の面々は、良くも悪くも個性が強すぎて…(笑
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