【子蜘蛛シリーズ2】Deadly dinner   作:餡子郎
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【ゾルディック訪問編】
No.017/再会・殺し屋王子


 

 

 

「うう……感想文……」

 ピ、と携帯電話の通話終了ボタンを押したシロノは、凄まじく重いため息をついて肩を落とした。しかし実際にクロロに会って殺気をぶつけられながら言われるよりは、電話の方がいくらかマシであることは経験上あきらかだ。

 助かったんだと考えよう、とシロノは前向きに思い直して、再び携帯電話を操作した。

 ウサギ型の携帯電話のディスプレイに表示されているのは、今から向かう家の家長の名前。

 

《──なんだ、久しぶりだな》

 

 5コールめのあと聞こえてきた声は、相変わらずダンディだった。

「こんにちはー、シルバおじさん。あのね、キルアとイルミちゃんにちょっと用があるんだけど、今からおうちに行ってもいいですか?」

《ほう?》

 驚いたような、しかし面白がっているような声色だった。そしてシロノがイルミとキルアと共にハンター試験を受けたのだと言うことを聞くと、その声色は更に深くなる。

「今飛行船でパドキアに着いた所なんだけど」

《得意の無賃乗車か》

「まあね!」

《流石、蜘蛛の子だな》

 携帯電話の向こうから、低く喉で笑う声がした。シロノも笑う。

「あ、でも遊びに行くには今日はもう時間遅いよね。迷惑なら明日に……あー、電話代わってくれたら別にそれでも」

《いや、構わない。何なら泊まっていけ》

 シルバはあっさりそう言った。

 

《しかし……来るのはいいが、もうバスは出ていないぞ》

「走って行くからいいよ。山の上におうち見えてるから迷わないし」

 念使いであれば、この距離のマラソンなどわけはない。そして何言か言葉を交わしたあと、シロノは電話を切った。

「んー、相変わらず太っ腹……」

 シロノは一頻り感心してから、ふと自分の格好を見た。“他所に出掛けるときはきちんとした格好で”というのは、パクノダの言いつけである。しかしシロノにとって勝負服ともいえる“団長モデル”は、棺桶に突っ込んだまま置いてきてしまった。だがそもそも、ズタズタな上に血塗れになってしまったあれはもう着られない。

「……いいよね。だってフィンクスが“運動によし寛ぐによし出掛けるによし、あらゆる場面で着られる万能服、洗練されたオールマイティスタイル”って言ってたし」

 うん、とシロノは頷くと、“フィンクスモデル”、つまりジャージ姿で、夕陽に向かって走り出しつつ、もう一度携帯電話のボタンを押した。

 

「もしもし、キルア?」

 

 

 

 

 

 

 ゼブロは、一週間ほど前にやって来た“客候補”三人が疲れてすっかり眠ってしまってから、一服する為に外に出てきていた。空気が澄んだ森の中で吸う煙草は格別に美味い。これはゼブロの一日の締めくくりの日課であり、また楽しみでもある。

 つい先程夕陽が沈みきって星が瞬く空を見上げ、ぷはぁ、とゼブロが紫煙を吐き出した時、突然その音は響いた。

 

 ──ギィ、ゴォオン!

 

 長年ここに勤めているゼブロは、それが第三の門が開く音であることを音だけで聞き分けることができる。そして驚きのままに振り返ると、夕闇の中、きらりと光る二つのものがあった。

「ひっ」

 白く光っているそれが目であることに気付いたゼブロは、思わず声を上げた。

 彼は第一の門を開けられる力量があるだけあって、多少気配を読むことぐらいは出来る。しかしその光る目の持ち主は、全くもって気配というものがない。門の音がしなければ、入ってきた事になど絶対に気付かなかっただろう。

 

「あれ、こんにちは。あ、こんばんはかな?」

「へ、あ、はあ、……こんばんは……」

 驚いているゼブロに向けられたのは、あきらかに子供のものである、高い声だった。ゼブロは相手が子供であることに安心しつつも、かなり戸惑いながら挨拶を返した。

 月星の光は明るいが、鬱蒼と茂る木の影に居る子供の姿は、ゼブロからは全く見えない。低い位置で青白く猫のように光る目だけが、その位置を知らせていた。

「“小さい門はダミーだから大きい門から入れ”って言われたんですけど、大きい門って、今入ってきたあの門でいいんだよね?」

「あ、ああ……そうですが……」

 あなたは、と、ゼブロは呆気にとられながら尋ねた。

「キルアとイルミちゃんに会いに来ました。あ、シルバおじさんにはさっき行ってもいいかって電話して、いいって言ってもらったんだけど」

 

 ──どこから突っ込むべきか、とゼブロは呆然とした。

 この気配の消しかたといい、そして何より第三の門まで開けられたというのであれば、この子供はそれに見あう力量を持っているのだろう。そしてキルアに会いに来たというのは、今家の中で死んだように眠っているであろうゴンたちと同じ用件だ。

 しかし長男であるイルミにというのは、キルアに会いに来るということ以上にありえなかったし、そもそもちゃん付けで呼ぶなど更にありえない。そしてシルバに直通で電話をかけた挙げ句にこれまた“おじさん”などと……

 

「おうちはこの道真っすぐでいいんだよね?」

「え、ああ、」

「そっか。じゃあ」

「あ! か、懐中電灯……」

 ぐるぐると疑問の海に沈んでいたゼブロは、闇の中を駆け出した光る目に向かって、咄嗟に浮かんだ気遣いの言葉をかけた。庭と言っても、ほぼ山道であるここを歩くのは危険だからだ。

 すると、光る目が振り向いた。少し細まったその目は、笑っているようだった。

「大丈夫、見えるから!」

 ありがとう、と高い声は言い、音もなく居なくなってしまった。そして、土の道を駆け抜けたならば砂が擦れる音くらいするはずが、その瞬間は全くもって無音だった。気配もなければ足音さえもないという不気味な現象に、ゼブロは更に戸惑う。だが去り際に、ピ、という、携帯電話のプッシュ音のような小さな電子音が聞こえたような気がした。

 そしていつの間にかすっかり短くなっていた煙草が太い指を焦がし、ゼブロは「あちっ」という小さな叫びとともに我に返った。

 

「……なんだ、ありゃあ……」

 ぼそりと呟いたゼブロは、青白く光る目を思い出し、ぶるりと体を震わせる。そして風によって森ががさがさと鳴ったことで意味もなく不安になった彼は、そそくさと家の中に引き返したのだった。

 

 

 

 ──客人が来るので、出迎えろ。

 

 それはこのゾルディックに執事として仕えるようになって、最も少なかった命令だ、とゴトーは断言することが出来る。具体的に言えば片手で足りる数だ。しかもこんな日が暮れた時間の訪問となれば、本当に初めてのことだ。

 つい今しがた、執事用の無線で、第三の門が開けられたという報告を聞いた。キルアが開けられるのも第三の門であるので、その実力がゾルディックにやって来るにそれなりのものであることが知れる。

 ゴトーはいつもの無表情ながらもこれから来る訪問者のことを色々想像しながら、試しの門を開けてしまった侵入者を迎え撃つための場所に、姿勢正しく立っていた。いつもは見習いのカナリアが待機している場所であるが、家長直々に許した来客なので、執事長のゴトーがこうして迎えに出たのである。

 

「あのー」

 

 突然投げかけられた高い声に、びくっ、とゴトーは肩を跳ね上げさせた。慌てて真横上を見ると、簡易の門として打ち立てられた、すっかり苔むした低い石の柱の上に、小さな人影がある。客がこんなに小さな子供であったこと、しかもその目が青白くきらりと光っていることに、ゴトーは二重に驚いた。

 そしてシロノが声をかけてこなければ、ゴトーはシロノに気付かず、ひとりで本邸まで通してしまっていただろうということに、密かにぐっと拳を握り締めた。

「ここ真っすぐいくと、ゾルディックのおうち? でいいの?」

「シロノ様……、ですか?」

 全く気配を感じなかったことに戦きながらも、ゴトーは尋ねた。すると「そうだよ」とあっさりと答えが返って来る。

「お出迎えするよう命じられました。執事をしておりますゴトーです」

「シロノです」

「……いえ、知ってます」

「あ、そっか」

 さっき聞かれたよね、とシロノがへらっと笑う。間の抜けたやり取りに、ゴトーは内心気が抜けた。もっと恐ろしげで才能あふれるような人物を想像していたし実際にこの気配のなさは見事であるが、シロノの実に気安く軽い返答は、ゴトーの予想にかなり反していた。

「お迎えまで来てくれるなんて、すごいね」

 ストン、とシロノは柱の上から降りた。白い艶を持つ銀髪とまだまだ小柄な容姿に、雇い主を誰よりも敬愛する執事は、少々昔のキルアを思い出す。しかし、

(ジャージ……)

 さらに思いがけないその要素に、絶句もした。シルバ直々に客として招かれた、ジャージ姿の小さな子供。いよいよわけがわからない。

 しかし優秀な執事はそれをおくびにも出さず、シロノを屋敷に案内するべく歩き出した。

 

「ねえねえ、ゴトーさんってひつ……しつじ。執事さんですか」

 今ベタにひつじって言いかけなかったかこの子供。ゴトーは心の中でそう突っ込みつつも、「左様でございます」と返すと、シロノはあからさまに羨ましそうな目でゴトーを見上げた。

「メイドさんとかもいますか?」

「ええ、居りますよ」

「そっかあ、いいなあ、うちにも居れば洗濯したりパパが散らかしたの掃除したり好き嫌い多すぎのめんどくさいゴハンつくったり毎日しなくてもいいのになあ」

 ──小さい割に、何やら苦労をしているらしい。

 ゴトーはよくわからぬままそう思い、「そうですか」と当たり障りのない返答を返した。

「あっゴトーさん、ちょっと電話かけていいですか」

「構いませんよ」

 そう返すと、シロノはジャージのポケットからピンク色でウサギの形をした携帯電話を取り出し、手早く操作をした。

 

 

 

 結構な距離を歩いて辿り着いたゾルディック本邸は、屋敷というよりも城と言った方がいい位に大きかった。シロノは、ほえー、とぽっかり口を開けて辺りを見回し、そして時々通りがかるメイドに感動していると、あれよあれよという間に、こちらでお待ちくださいね、と高級そうな調度品の置かれた広い応接間に通された。

 しかしシルバは用事があるらしく、しばらくの間ここで時間を潰していて欲しい、と湯気の立つミルクティーを出された。老舗高級ホテルのロビーのような空間と着古したジャージはかなり不釣り合いだったが、フィンクスのジャージ理論を信じるシロノは、それを気にすることはない。

 壁の立派な柱時計がチクタクと鳴るのをBGMに、シロノは床に着かない足をぶらぶらさせて携帯を操作し、「キルアやっぱり寝てんのかなー」と呟いたあと、ゆっくりと紅茶を飲んだ。

「あ、イルミちゃんだ」

 そして数分もしないうちに、重厚な扉の向こうから現れた見知った顔が現れた。シロノを蘇らせた張本人であるその“王子さま”に、シロノは「やっほー」とひらひらと手を振る。──が、

 

 ──バタン。

 

 イルミは無表情のままドアを閉め、応接間から姿を消した。あれ、とシロノは首を傾げる。しかし数秒しないうちにドアが開かれ、再びイルミが現れた。ギタラクルとしてハンター試験に参加していた時の格好はヒソカとタメを張るほど奇抜だったが、さすがに自宅だからか、首周りが大きく開いた黒いカットソーに白いパンツという、ラフな姿をしている。

 

「……双子かなんか?」

「違うよ」

 とりあえず最も現実的だと思われる答えを弾き出したイルミだったが、即座に本人に否定され、無表情のまま首を傾げる。

「じゃあ幻覚? 幻覚見るような心当たりないんだけど」

「幻覚じゃないと思うよ。ってか幻覚だと思ってさっきドア閉めたの?」

「うん」

 イルミはこくりと頷いた。先程の首を傾げる仕草といい、成人男性がやる動作としては可愛らしすぎるような気もしたが、イルミがやると不思議としっくり来る。

「だって全く気配がないしさ」

「“絶”してるからね」

「ていうか死んだんじゃなかったっけ」

「死んだよ。でも生き返ったの」

「なんで?」

「イルミちゃんがチューしたからだよ」

 そう返すと、イルミは猫に似た目を丸くした。驚いているらしい。

「ほんとに?」

「うん。生き返らせてくれてありがとね。ねえねえ、ひとりで待ってるの暇だから相手してよイルミちゃん」

 イルミはまじまじとシロノを見つめながら、テーブルを迂回してシロノの側までやって来た。

 

「ねえ、あの時完全に死んでたよね? ほんとに生き返ったの?」

「イルミちゃんもしつこいなあ。目の前で生きてるでしょ。本人だよ」

「……まあオーラおんなじだけど」

 だから疑うべくもないのだが、まだ信じられないというような声色を残しつつ、イルミは言った。

「生き返る……。そういう能力かなんか?」

「能力っていうよりは家系らしいよ、っぐゃ!」

 色んな種類の叫びと呻きがブレンドされたような妙な声を上げてから、シロノは口をぱくぱくさせた。──シロノの喉の真っ正面に、イルミが投げた太い針がものすごい早さで飛んできて、向こう側にまで貫通したからだ。

 シロノはアンデッドとしての本能だろうか、ほぼ反射に近いスピードでオーラを喉に集中させ、喉から溢れ出ようとする血液を止めた。まだあまり慣れていないアンデッドとしての肉体操作だが、肉体をオーラによって回復させるというこの行為は、“絶”をすることによって肉体を休ませるのにとてもよく似ていて、シロノが蘇って変質した自分の身体に戸惑うことはさほどなかった。……そうでなくても、こうして生きるか死ぬかの瀬戸際であれば、火事場の馬鹿力が出せたかもしれないが。

 

「わあ、すごい死んでない」

 イルミは少し目を見開いて、見事に針がぶっ刺さった細い喉をまじまじと見る。

 しかしシロノが生理的な涙を浮かべて強く顔を顰め、しきりにその喉を指差し、口元をぱくぱくさせて声なき声で「抜いてよ!」と言うので、イルミはシロノに動かないように言ってから、刺さった軌道から微塵も逸れないようにして、ピシュンと見事に針を抜いた。

 シロノは穴の開いた喉を抑え、しばらく踞ったかと思うと、けほけほと咳払いをしてから「あー痛かった」と通常通りの声で言った。そしてその喉に針のあとなど少しも残っていないことに、イルミは再度感心したように「おお」と呻きを漏らす。しかしいきなり致命傷になり得る攻撃を食らったシロノは、イルミを下から涙目で睨み上げた。

「あっぶないな、なんでいきなり殺そうとすんの!?」

「だって死んでもキスすれば生き返るっていうからさ。見たいじゃん」

「“じゃん”って! ほんとに死んだらどうすんの!」

「死ななかったからいいだろ」

「よくないよ! 死ななくてもちゃんと痛いんだからね!」

 ぶーぶー不平を漏らすシロノに、イルミはかなりおざなりな口調で「ごめんね」と口にした。シロノにしてみればこの能面で可愛らしく「ね」などと言われても微妙な気持ちになるだけだったが、彼にそれ以上のことは期待できまいと諦め、はあとため息をついた。

 

「ねえ、どのぐらいまでなら平気なの? キルにやられた時、心臓とか脊椎とかイッてたよね? 頭とかやられても大丈夫なわけ?」

「ちょっとイルミちゃん何その針。何うきうきしてんの、やめてよヒーちゃんみたいな興味持つの」

「ごめん」

 さっきの「ね」とは裏腹に、イルミはわりと真摯な様子で謝罪を口にした。その上「気をつけるよ」とまで言ってきたので、どうやらヒソカと同列に見られるのが相当嫌であるらしい。

 

 実のところ、イルミの言う通り、オーラさえ充分であれば血が出なくなるまで出血してもなんとか動ける、くらいの確信がシロノにはある。しかしそれを試されるのは真っ平御免なので、「そうした方がいいよ」と真面目な顔で返しておいた。

 

「あー、紅茶もひっくり返っちゃったじゃん」

 針が刺さった拍子に床にぶちまけられた紅茶を、シロノは残念そうに見遣った。

「結構イケる紅茶だったのに。ちょっと舌にスパイシーすぎるけど」

「お客さんだから控えめにしてるはずなんだけど」

「出来れば控えめじゃなくてナシにしてほしい」

「慣れれば癖になるよ」

 ブランデー入れたりとかもするだろ、とイルミはさらりと言うが、酒と毒では大違いである。前者なら睡眠導入効果にもなろうが、後者は本当に永眠しかねない。こぼれた紅茶は、絨毯を奇妙な色に変色させ始めていた。

 しかしこれくらいの毒なら、シロノも何とか耐えられる。何故かというと、クロロが以前「ゾルディックは幼少の頃から食事に毒を混ぜて耐性をつけさせる」というのを聞いて影響されたからだ。どこかで面白い教育法を見つける度に即座に自分で試すクロロにうんざりしたのは正直一度や二度の話ではないが、今回のように時々感謝することもある。

 

「それにしたってよくここまで入って来れたね」

「ん? でもシルバおじさんに電話したら遊びにきてもいいって」

「……親父に直接コネクション持ってんの……?」

「えっとね、四年ぐらい前に会ってね、そんとき知り合った」

「四年前……?」

 いくら幻影旅団に属しているからと言って、シルバに直接繋がりを持っているなど、なかなかにありえないことだ。しかもシロノは子供だし、何よりまだまだ半人前だ。

 そしてイルミが更に質問を投げかけ、シロノはシルバとの出会いや、その後家出をしてシルバの仕事を手伝ったことなどを話した。

 

「ああ、もしかしてあの時の……」

 シロノの話を聞いて、イルミはちょうど三、四年ほど前、仕事帰りのシルバがやけに機嫌良さそうに「お前達の嫁候補が見つかったかもしれんぞ」と言っていたのを思い出した。そして、「旅団には手を出すな」とも。

 ずっとただ単に危険度のことを言っていると思っていたのだが、それに加えてこの目の前の子供のこともあったのだな、とイルミはたった今思い当たり、一人頷いた。

「……まさか君のことだったとはね」

「うー、紅茶ー」

 しかしシロノは既に昔話の話題には飽きたのか、こぼれて空っぽになったカップを未練がましく見ながら、床に届かない足をばたばたさせている。その様子だけ見れば、本当にただの子供だ。十歳ということならカルトと同じだが、同じ年でも随分違うものだな、とイルミは少し新鮮な気持ちになる。

「そんなに飲みたかったの? じゃあまた持って来させれば?」

「それもいいんだけど、あたしおなか空いてるんだよね」

 じっとイルミを見て言ったシロノに、イルミはきょとんとする。

「じゃあ食事用意させる?」

「ううんいらない。それよりもうさっきからおいしそうでおいしそうで」

「……なにが?」

 自分を見つめる透明な目がまるで月のように青白く輝いていることに気付いたイルミは、再び小首を傾げる。シロノは真っすぐにイルミを見て、言った。

 

「イルミちゃんが」

 

 

 








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