【子蜘蛛シリーズ2】Deadly dinner   作:餡子郎
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No.025/6杯の天丼

 

 

 

 キルアとゴンを追って天空闘技場へ先回りしたヒソカは、ほぼ直通で登った200階にて、暇を持て余していた。

 

 天空闘技場は彼が暇潰しとしてよく利用する場所の一つではあるが、ここで彼が満足するような戦いに恵まれる事はあまりない。ここは念に目覚める登竜門としてはうってつけだが、熟練者が楽しむ場所としてはレベルが低すぎるからだ。

 だからこの場所は、ヒソカにとって「運が良ければ“青い果実”と出会える」場所、という感覚であるのだが、今回は始めから最高級の果実が二人もここへやって来る事が確定している。

 そのことで彼の機嫌は非常にいいが、しかし今の200階クラスの面々は、キルアとゴンが登って来るまで存分に楽しめる、という感じではなかった。そこそこマシなのが以前ヒソカに“洗礼”を受けてからというものリベンジを狙っているらしいカストロだが、実際に戦うのはもう少し先の話になりそうだ。

 

 そんな彼が耳にしたのが、「天空闘技場で、選手たちに闇討ちを行なっている者が居る」という話だった。

 

 その“犯人”は、決まって夕方から深夜の間に、時に選手の個室、あるいは外出した先の暗い路地で、選手たちを襲うのだという。

 しかも奇妙なのが、彼らの直接の死因がよくわからない、という所だった。抵抗した挙げ句の戦闘の後が見受けられる事はあったらしいが、致命傷だったのだろう傷もなければ、検死をしても毒の1mgも見つからなかったのだという。

 

 暗殺者ならば、これ以上ないいい仕事っぷりだ。

 しかし、更に奇妙なのが、生存者もまた多すぎる──いや、生存者の方が多い、というところである。手口の隠し方は暗殺者も真っ青だが、ターゲットを生かしているのでは意味が無い。襲われた連中は揃って瀕死、というよりは過労の挙げ句倒れたような奇妙な状態で発見されるらしいのだが、これまた目立った外傷などがなく、全員が「後ろから襲われて何も見えなかった」と証言しているという。

 

(楽しいことになるといいなァ)

 期待し過ぎてもいけないかもしれないけど、と、試合前と同じぐらいに殺気立つ選手廊下控え室付近の廊下を歩きながら、ヒソカはにこにこした。

 襲われる場所が特定できないこと、犯人の手口が不明である事、そしてやられた者たちの中にはここでもそこそこの実力者たちが結構混じっていることから、選手たちは太陽が沈むとピリピリと殺気立つようになっている。その空気は戦闘狂のヒソカにとってはとても心地よいものだったが、同時に無駄に刺激されてうずうずしてしまうので、厄介な風でもあった。

 犯人に会えなかったらむしろ自分が闇討ちに回るのもアリかなあ、などと、周りの者が聞いたら一斉に闘技場から逃げ出しそうな事を考えていたその時、ヒソカは見覚えのある人影を見つけ、きょとんとした。

 

「……フェイタン?」

 

 通路の曲がり角の影に佇んでいる小柄な影は、何度か会った事のある、旅団の古株だった。

 しかし前述した通り、ここはヒソカのような目的を持つ者や、あるいは門下生を集めるような連中のスカウト場所にはもってこいなのだが、熟練者にはあまり用の無い場所だ。だからこそ、フェイタンがここに居る、というのが、ヒソカにはとても意外に思えた。

 ヒソカは彼に声をかけようかと思ったのだが、彼が“絶”を用いてそこに佇んでいる事から、何かをやるつもりなのだろうと思い、気付かれないだけの距離を見定めると、己も絶、とは言わないまでもオーラを抑え、しばらく見守る事にした。

 

 フェイタンは獲物を待って擬態を続ける動物のように微動だにしないまま、闇に溶け込んでいる。

 実に見事な“絶”だ。ヒソカでなければ、彼の存在に気付きすらしないだろう。実際、素人丸出しのチンピラ数人が脇を通ったが、見向きもせずに通り過ぎた。

(もしかして、闇討ちの犯人って……)

 ヒソカはそう思って首を傾げるが、しかし、フェイタンにとってここの連中など殺した所で手応えなど小指の先程も無いだろうし、何より、被害者たちには外傷が無いのだ。彼の実力ならば可能な事かもしれないが、彼の趣味嗜好を考えると、それは考えられない。

 首を傾げつつも、ヒソカは彼を見守った──その時だった。

 フェイタンの細い目が、きゅう、とさらに細まった。

 

「ぎゃ──っ!」

「……ち」

 

 音も無く、しかし目にも留まらぬ早さで影の中から飛び出したフェイタンは、向こうから通路を歩いてきていた子供に向けた、苦無のような暗器を素早く仕舞った。

「……ま、ヨクデキマシタよ」

「棒読み!」

 しかもさっき舌打ちした! と、跳び上がってそのままヤモリよろしく高い壁に張り付いた子供が喚く。

「あー死ぬかと思った! 死ぬかと思った──!」

「死なないね、バカ」

「いやいや、死ぬだろ、今のは♦」

 思わずヒソカが突っ込みを入れると、フェイタンと子供が振り向いた。子供はきょとんとした顔をし、フェイタンはヒソカの姿を見るや否や、ものすごく嫌そうに表情を顰め、不機嫌なオーラを身体から立ち上らせた。通りがかった選手が、ヒッと小さな悲鳴を上げて小走りに遠ざかってゆく。

 周囲の人々は、フェイタンが刃物を持って子供を刺し殺そうとしたことなど一切気付いていない。しかしだからこそ、この子供がそれに気付いて避けたというのは相当な事だ。しかもフェイタンは、間違いなく子供の頸動脈を的確に狙っていた。

 

「やあ。珍しいねェ、キミがこんな所に来てるなんて♥ この子の修行のお守りか何かかい?」

 ヒソカはニコニコとした笑顔を更に深くすると、頭二つ分は低い彼にそう言った。フェイタンはドクロの覆面の中でフンと鼻を鳴らすと、ヒソカを無視し、壁から降りてきた子供に向き直った。

「では、ワタシもう行く。こち帰てくるまでに能力考えておくよ。良いね?」

「えー、そんなこと言われてもー」

 子供は口を尖らせてあからさまにぶーたれたが、途端、フェイタンの周囲の温度がすぅっと下がる。

「良い、ね?」

「うんわかったフェイ兄あたし超がんばるー、いえーい」

 氷点下のオーラと声色に、子供は腹話術の人形のようなひっくり返った声の早口で答え、ガクガクと頷いた。いえーい、とまで言って掲げた小さな拳が果てしなく白々しく、そして哀れだ。

 今まで散々場所を問わずに拷問のような訓練を課されている子供の姿を見てきた周囲の選手たちは、「すっかり調教されてるな……」と、半ば同情に近い視線を送った。

 子供の返事にとりあえず満足したらしいフェイタンは、別れの言葉すら言わないまま無言で踵を返し、ヒソカの横をすり抜けて、さっさとエレベーターに乗ってしまう。チン、という平和な音とともにエレベーターが閉まって下へ下りていったとき、ふうー、と思い安堵のため息をついたのは子供だけでなく、周囲の人々もだった。

 ヒソカは彼がいつからここに居たのかは知らないが、この様子からして、ここに居る間はあの剣呑なオーラで多くの初心者たちを恐怖に陥れていたようだ、という事を確信した。

 

「はー、これで毎日ナイフでぶっ刺される生活もおしまいかー」

 

 額の汗を袖で拭うような仕草をしつつ、子供が言う。ヒソカが子供を見下ろした。

「そんなことされてたのかい?」

「うん、もー何回骨折られたかわかんないし! みんなきびしいけどやっぱフェイ兄が一番スパルタだよ」

 解放感からか、子供は、んー、と伸びをした。

「あーでも能力考えなきゃ……読書感想文もあるし、うー、宿題多いよう……」

「子供も大変だねェ」

 ぐったりと肩を落とす子供にヒソカが適当なコメントを寄越したその時、ぐう、と篭ったような音がどこかから鳴った。

「クク、まず腹ごしらえでもしたらどうだい?」

「そだね、腹が減っては盗みもできないって言うもんね!」

「……どこの格言だい、それ♠」

「ウボー!」

 おそらく食堂に向かって歩き出した子供は、元気よく答えた。そしてくるりと振り向く。

「いっしょに食べる?」

「おや、お誘いかい? 光栄だなァ」

「ここの天丼、エビでっかくておいしいよ!」

 未だかつてない食事の誘い文句だったが、ヒソカはそのまま子供についていく。子供は「ごっはん、ごっはんっ」と楽しげに歌いながら、軽い足取りで食堂に向かっている。それだけ見れば本当に普通の子供なのだが、“絶”にならない程度の絶妙に抑えた“纏”をごく自然に保っていることを見抜けるならば、これが普通の子供などではない事がわかるだろう。

 

「でも、ヒーちゃんもここ来てたんだね。よく来るの?」

 

 子供のオーラをまじまじと観察していたヒソカは、そう問われ、ぴたりと足を止めた。

 そして顎に手を当てると、何かを思い出そうとするかのように首をひねる。

「……その呼び方」

「あい?」

 真正面に回り、ヒソカと同じ方向に首を傾げて返事をすると、彼は顎に手を当てている方とは逆の手で、もしかして、とでもいうふうに指を指した。

 

「……シロノ? 君、死んだんじゃなかったっけ?」

「──おっそ!」

 

 本気で一晩寝てから忘れ去っていたらしい彼に、シロノは大声で突っ込みを入れた。

 

 

 

 

 

 

「へェ……オーラを食べる、ね……面白いな♦」

 

 食堂のテーブルに向かい合って腰掛け、今までの事情を聞いたヒソカは、興味深そうに頷いた。そして小声で、最近噂になっている闇討ちはキミかと尋ねると、シロノは床に着かない足をぶらぶらさせながら「うん」とあっさり答えた。

 

「フェイ兄がやってるんじゃないかって疑ってる人が殆どだったみたいだけどね。だから今日は食べ放題かも」

「フェイタンが帰って油断してるから、かい?」

「そ!」

 にかっ、とシロノは笑い、残りの天丼を一気に掻き込んだ。

「ぷはー! おいしー!」

「口のまわりいっぱいつけてるよ、シロノ」

「あわ」

 ヒソカの言う通り、シロノの口の周りは米粒と汁まみれだった。シロノは構わず袖口でそれを拭うと、調理場に向かって叫ぶ。

「おじさーん、天丼おかわりー!」

「あいよッ!」

「……一体何杯食べるんだい?」

「いっぱい!」

「はっはっは! うまいこと言うな嬢ちゃん! ヘイお待ちィ!」

 ドン! と目の前に置かれた大丼に、シロノが歓声を上げる。しかしヒソカが呆れるのも無理はなく、この小さい身体の一体どこに消えているのか、米粒だらけの丼が、既に横に五杯重ねて積み上げられている。そういえばハンター試験の時も、一人前400グラムはありそうなステーキ定食を自分のぶんまで全部平らげていた、とヒソカは思い出す。

「いっぱい食べておっきくなるのっ! 今はチビだけど……」

「大きくなりたいのかい?」

「うん! 目標、ウボー!」

 それは無理だろう、と当然ヒソカは思うが、子供の夢は壊さないでおこう、と、6杯目の天丼をかっ込むシロノを黙って見守った。

 

「ほんへへ、ひょっほひーひゃんにひひはいんはへほ」

「喋るか食べるかどっちかにしようね♥」

「ぼべん」

 エビの尻尾が突き出た口元から謝罪らしきものとともに飛んだ米粒を、ヒソカは華麗に避けた。

「……ぷは。 そんでね、ちょっとヒーちゃんに聞きたいんだけど」

「なんだい?」

「能力ってどーやって考えるの?」

「……んー」

 熟練者にとっては、漠然とし過ぎて答えにくい質問である。ヒソカは視線を少し宙に泳がせた。

 

「フェイタンからは、何も言われてないのかい?」

「ジブンで考えるネ。ワタシそこまで面倒みきれないヨ」

 シロノは自分の目尻を両方の人差し指で引っ張って狐のような細目を作ると、カタコトの口調で言った。どうやらフェイタンのモノマネらしいが、本人に知られたらナイフをぶっ刺される程度では済みそうにない。

「……とか言っちゃってさ! あれ絶対めんどくさくなってきただけだよ!」

「じゃ、ここではどういう修行してたんだい」

「んーとね、もともとフェイ兄は体術関係のセンセーな感じなんだけど、ここではずっと組み手で“流”の練習と、不意打ちを“硬”でガードしたり“凝”で見抜いたりできるかの訓練ばっかしてた」

「流石。あくまで実戦用、な訓練だね♥」

 こうまでリラックスして食事をしていても一切の乱れが無い“纏”を見れば、シロノがそれなりのレベルの実力を身につけている事は明らかである。

 そして“発”としての能力をあえて鍛えず、こうして基礎のオーラ技術のみをかなりのレベルで磨かせている、という教育法は風変わりで、しかしどこまでも実践的──いやここはさすが盗賊・幻影旅団、“蜘蛛的”と言った方が良いだろう。

 

「修行をつけてもらってるのはフェイタンだけ?」

「ううん、みんなちょっとずつ教えてくれる」

「……それはまた」

 凄まじいが、ある意味贅沢極まることだな、とヒソカは思った。いま世界中を震え上がらせている盗賊団、全員がかなりのレベルの念能力者である幻影旅団メンバー全員から教えを受けるなど、そうそう、いや、ありえないと言い切っていいような事だ。

「クロロも?」

「パパはねー、最近ヘンなの」

 シロノはごくりと水を飲んでから、不満そうに言った。

「なんかね、修行より勉強の時間増やしたり、とにかく本読ませようとするのっ! あたし本きらいなのに! 今だって世界名作全集全部読めって宿題出てて」

「……本、か。ナルホドね」

「へ? なにが?」

 納得したようなヒソカに比べ、シロノはわけがわからない、ときょとんと首を傾げている。ヒソカは笑みを浮かべると、ゆっくりした口調で説明を始めた。

 

「聞いた事無いかな? 小さい子供が“念能力者”と言えるまで念を使えるようになることは無い、と言われてる♦」

 

 生まれながらに精孔が開いており、そのせいで無意識のまま念を使ってしまっている子供は僅かながらも存在する。赤ん坊の居る家で起こる、ポルターガイストやラップ音などと呼ばれる症例は殆どがそれだ。

 しかし、確固たる意思を持って、制約などを定めた具体的な念能力を行使できる子供は、幼ければ幼いほど存在しない。それは何故か?

 

「才能は重要だけど、才能だけじゃダメ♣」

「どーゆーこと?」

「念能力には、個人の得意分野や精神状態・人生経験などが大きく関わってくる♦」

 

 自分の能力を考え設定するには、想像力が必要になる。何の経験も無い赤ん坊は、その想像の元となる経験値がゼロ。だから赤ん坊は騒音を起こしたりものを移動させたりといった単純で漠然とした力を使えはしても、安定した一つの能力を持つ事は出来ない。

「キミも同じ♥」

「あたし、赤ちゃんじゃないよ」

 シロノは些かむっとして、眉を寄せた。しかし反してヒソカはにこにこした笑みのまま、続ける。

「経験が少ない、という点では同じ事さ。あまり旅団と行動していないボクが知る限りでも、キミは常に旅団の人間と一緒だし、彼らの行動範囲から出る事は無い♦ 旅団から長い間ひとりで離れたのは、今回のハンター試験が初めてだったんじゃないかい? キミもなかなか箱入り育ちだねえ、シロノ♥」

 にやにやと笑みを向けられ、しかしきっちり図星だったので、シロノは箸をくわえたまま、きまり悪そうな顔で黙り込む。

 

「おそらくキミのパパは、どうやっても能力を持つ事は無理だろうと思われる今までの間、キミに基礎のオーラ修行を徹底させた。ここでフェイタンとやっていたようなね♥ そしてひとりの人間として自我が出てくる──いわゆる“ものごころ”がしっかりついてきた今、箱入りで経験不足なキミに、想像力の元になるものを与えようとした♦」

 

 つまりそれが本であり、勉強、つまり、実際に経験しなくても身に付く、知識という名の疑似経験である。

 おそらく、ハンター試験に出させたのも“発”修行の為の下準備の一つだろう、とヒソカは推理する。

 強力な念能力者を育てるという目的において、“ものごころ”つく前から、見ているだけでも多大な影響力があるだろう実力者集団の中に居るという環境だけでも希有であるのに、その彼ら全員から教えを受けさせて頑強な基礎能力を育てさせ、そして疑似経験となる知識を詰め込み、その基礎を昇華する“発”を覚えさせる。そして今シロノが能力を持てたとしたら、おそらく世界最年少、またはそれに近い年齢での念能力者ということになるだろう。

 

 大事に、そして上手く育てられている、とヒソカは評価した。

 一般教育としてどうかなんて事は彼の知った事ではないが、念能力者を育てるということであれば、これ以上無い完璧な教育プランなのではないだろうか。その道ではゾルディックもエキスパートであろうが、イルミや今回のハンター試験でのキルアを見る限り、おそらくあの家では、洗脳に近い教育法をとっている。

 しかし、クロロのやり方はそうではない。シロノの性格もあるだろうが、自我を自由にさせているからこそ、キルアのように飛び出していってしまう事はまずなさそうだ。

 

「よく考えてるねえ。クロロもかなりの教育パパだ♥」

「……むー?」

 

 何か納得できないような顔をしたシロノが、曖昧に唸る。

「……そんで、結局どーしたらいいの?」

「だから、本読めって言われてるんだろう? 読んだら?」

「ええええええええ、結局それー?」

 いつの間にか食べ終わった6杯目の丼を前に、シロノはテーブルに突っ伏し、ばたばたと足を振った。椅子とテーブルがガタガタと忙しない音を立てる。

「こらこら、パパからの宿題だろう? ちゃんとやらなきゃ♦」

「……うううう」

「フェイタンとも約束したじゃないか。今度はナイフじゃ済まないかもしれないよ?」

「でもっ、……あたし、ホンッ、とに、本が、きらい、なのっ!」

 ガンッ、と、シロノはテーブルの足を蹴飛ばした。

 おそらく鉄製のそれがやや曲がった、つまりオーラの調整が乱れているのを観て、ヒソカはシロノの活字嫌いが筋金入りであることを知る。

 そして、ここまで嫌がっている所を見ると、本によって知識を得るのはシロノにとってあまり得策ではない──というか、あまりにも向いていないのではないだろうか、とヒソカは思った。

 

「……うーん」

 

 駄々を捏ねるようにしてテーブルに突っ伏したまま動かなくなってしまったシロノを前に、ヒソカは暫く考えた後、言った。

「そう、そんなに嫌なら、やったってしょうがないよね。じゃあ他の方法を考えようか♦」

「へぁ?」

 思いがけない言葉に、シロノは素っ頓狂な声とともに顔を上げた。目の前には、頬杖をついてにこにこと微笑むヒソカが、シロノを見下ろしていた。

 

「ボクも蜘蛛の一人だからね。ここに居る間、キミの先生になってあげよう♥」

 

 果実たちがここに辿り着くまでの、うってつけの暇潰しができた、と、道化師は機嫌良く微笑んだ。

 

 

 








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