それでは駄文ですが…どうぞ
「では部屋を暗くしますね!」
一色の声と同時に部屋の中が暗くなる。
俺がこの闇鍋を乗り切るには、いかにはずれ食材を引かないかにすべてがかかっていると言っても過言ではない。
出汁に影響が多少出ているのを織り込んだとしても、出汁が致死に至る可能性は薄いと見れる。
部屋が暗くなった後、一色が鍋の蓋を取る。
すると、鍋から危なそうな臭いが漏れ出てきた。
「では、まずは雪ノ下先輩どうですか?」
「いや、由比ヶ浜さんどうかしら?」
「うーん、陽乃さんどうですか?」
「ええと戸塚君は?」
「材木座君はどう?」
「いや、ここは発端の一色殿が行くのが筋では?」
うーん、すがすがしいほどの押し付け合いである。俺より乗り気だったろ! お前ら……。
「じゃあやっぱり先輩ですかね」
「そうね」
「ヒッキー頑張って!」
「頑張って比企谷君」
「八幡、ファイト!」
「うむ、男には分かっていても進まなきゃならないときがあるものよな」
そして、俺に回ってくると……わかっていたさ……分かっていたとも。
「どうせ、お前らも食べるんだからな……誰が先に食ったっておんなじ目に会うのは変わらないんだぞ……覚えておけよ……。」
捨てセリフを吐きながら、箸を構える。さて、自陣と雪ノ下、材木座あたりが安全圏と考えているから、ここはとりあえず自陣にある肉団子を狙う。箸を鍋に入れて肉団子らしき感触を探す。これは違う……これか? 丸っこいし…。
「よし、これだ。」
丸っこいのを取って自分の皿に入れて、そのまま口に放り込む。
………こ……れ……は……! 肉団子じゃない!
「ゲホ、白玉団子だと……しかもあんこまで入ってやがる。」
「あ、先輩それ私の手作りです!」
こいつ……俺が肉団子を用意してくると分かっててあえて白玉団子をチョイスしたってことか……団子の部分ならまだしもあんこが出てくるのはキツイ……。白玉団子が発覚してことによって2分の1の確率で丸っこいのは地雷で決定した。
「先輩の考えなんて私にはお見通しですよぉ~ しかも自分の陣地で取るとこなんか予想通りです。」
「てめぇ……」
すでに先手を打たれていたということか……くそ!
目論見が甘すぎたか……。
「というわけで次は材木座さんから順番で行きましょう」
「うむ……我か……よし!」
ということはこれから逆時計周りということか。なぜに逆なのか。
材木座は箸を豪快に入れて
「うむ、これはなかなか大きいぞ、よしこれで行こう」
何か板みたいなシルエットの具材だ……なんだあれ?
そのまま箸で取ったのを口に突っ込んだ……
「こ……これは!」
あれ、身体が静止したぞ……。
「ぐはぁ!!」
その場で後ろに倒れた。
「えぇぇぇ! ちょ、中二が倒れるって一体何入れたの?」
由比ヶ浜、お前は一度こいつを料理で倒しているんだが、それは置いとくとして……
多分、相当きつい地雷食材を引いたのだろう。ご愁傷様。
あの正体は俺に回ってくるまでに判明すればOKだが……
「では、次は戸塚さん行きましょうか」
戸塚は当たってほしくない。
そして平然と進んでるあたり、材木座の扱いの雑さにも悲しみを覚えるな……本当にご愁傷様です。
「怖いけど、やるしかないよね!」
戸塚はガッツポーズをたぶんとっているのだろう……かわいい……
戸塚には本当に地雷を引いてほしくないなぁ……
「うん、これにしようかな。」
そのまま戸塚が具材を口に運ぶ
「あ、これ普通のお豆腐だ。」
よかった~……豆腐ならあんまり出汁もしみ込みにくいから影響が少ない。
ここで豆腐に誰も手を上げないということは豆腐は…故…材木座の物ということか。
「はぁ、じゃあ私行くね」
雪ノ下さんが箸を鍋に入れて探っている。
ここで犠牲というつもりはないが、出来たら新規の食材を引いてほしい。
材木座を殺した?食材を引けというつもりはないが……
「とりあえずこれにしとこうかな?」
雪ノ下さんはもぐもぐと食べ始めた。なんか食べ方かわいいな……。
「あ、これ牛肉のしかもお高いやつだね。変な味だけどまぁ、牛肉だし普通かな。これいれたの雪乃ちゃん?」
「えぇ、あんまり闇鍋のルールを知らなかったものだから……その…みんながおいしく食べれそうなものを……」
もったいない!
もったいないです……もったいなさすぎです。
いや、予想はしてたけどきっと高いんだろうなって……でもね……普通の鍋で食べたかった。食べたかったよ……。俺が食えたかどうかは置いておくとしてもだが……。
「じゃあ次は私だね! 行くよ~!」
お次は由比ヶ浜ね。こいつは地雷食材を入れたんだ。痛い目を味わえ。
「これにしようかな、よいしょ。あむ」
その食べ物を食べるときに出す音なんなの?
天然物か……俺の横にいる人口物とは偉い違いだな。
「先輩、何か不埒なこと考えてません?」
「いえ、そんなことはありません」
何故、部屋も暗いのに、俺の表情とか思考が分かるんだろうか……怖い…。。
「あ、これ私が入れたフルーツ缶の桃だ。うえ、変な味~」
ですよね~。
本命は桃缶だったけど、大方予想通りだわ!
お前はどんだけフルーツ系好きなんだよ……。基本的にそういうのは単独で食べるからおいしいんだぞ。まったく、鍋にそんなの入れんなよ。あ、これ闇鍋だったわ。普通の鍋じゃない。
「じゃあ次は私ね。」
さて、基本的にあまり胃腸が強くない雪ノ下はこんなものを食って大丈夫だろうか?
「これは普通の肉団子ね。これは……」
「あぁ、俺が買ってきたやつだ。」
「そう、よかったわ。」
まぁ、とりあえず影響の少なそうなやつでよかった。
これで世間様にお見せできないグロ画像……おっとこれ以上はいけない。
「では、私ですね。」
一色は意気揚々と鍋に箸を突っ込んでいく。
とりあえず、女性が食べるもんじゃないとは思うが材木座を瀕死に追い込んだ食材を引いてくれ。お前が倒れたら、とりあえずこの闇鍋辞められるからな。まぁ、企画したのお前だし、自業自得だよな。
「これにしよっと!」
その時、鍋から一色が取った食材のシルエットが見えたが、あれは材木座を殺ったシルエットに似てる。すると、そのまま一色はその食材を俺の口の前に持ってきた。
「先輩、あーんですよ~」
「「「「は?」」」」
「だからあーんですよ」
はい?
「もう! 先輩、ちゃんとルール覚えてます?」
口を膨らませあざとい感じで俺を見ているのだろう。暗闇でようわからんが……。
確か、溶ける系NGと取った食べ物は必ず口に入れるってやつだよな。
「必ず口に入れるんだろ。」
「そうです、でも私は
自分の口だなんて一言も言ってないですよ。」
Really?
「待ちなさい、一色さん。そんなの聞いてないわよ」
「そうだよ、ずるい!」
「まさか、闇鍋にしたのも……」
「はい、全部このための作戦ですよ。」
多分だが、舌をだして小悪魔してる一色さんの顔が目に浮かぶ。
……小悪魔って動詞なんですね。
「では、先輩お覚悟を」
「その言い回しはおかしい。」
俺、それ死ぬやつじゃないか?
「待て……その爆弾は材木座を殺ったやつだ……絶対に嫌だ!」
「結衣先輩のお料理の味見をしているなら、このくらい許容圏内ぎりぎりアウトですけど大丈夫ですよ。」
由比ヶ浜の料理を鉄人の胃腸を作る試練扱いするのはやめなさい。
そしてアウトなのかよ! そこはセーフっていうところ……。
「いろはちゃん……それはひどいよ……」
さすがの由比ヶ浜も落ち込んでるぞ。
後でフォロー大変じゃねーか。
「結衣先輩、これを食べて比企谷先輩が胃腸強くなったらもっと味見役してくれますよ。」
「ホント!」
フォローはいらなかったそうです。
ねぇ、俺が味見役するのは確定なの? ねぇ……そこすごく重要なんだけど……。
「先輩は私をお茶の間に出せないグロ画像にして、その写真で私を脅すつもりですか……先輩がS的思考で迫ってくるのは中々魅力的ですが、そういうのは付き合ってからやってください。ごめんなさい。」
もう何処から突っ込んでいいのか俺には分からない。
え、これ本当に食べるしかないの?
「あの作戦が実行できるかもしれないならここは従うのが吉かしらね……あーんできないのは悔しいけど…。」
「ヒッキーが味見役に絶対になってくれるっていうなら仕方ないかな……あーんできないのは悔しいけど…。」
「比企谷君がドSになる可能性は捨てたくないなぁ……あぁ…ダメ…比企谷君…」
雪ノ下と由比ヶ浜よ、あーんのとこしか興味ないのかよ……
というか雪ノ下さん!
何言ってんの?
ちょっと海老名さん混じってない?
「先輩、最初だけですよ、きついのは」
「それ後もキツイやつの台詞だからな!」
「ええい、観念してください!」
一色は俺の口に
あぁ……
今日はずいぶんと空が近いなぁ。
では一応おさらいです
雪ノ下 牛肉(高い)
由比ヶ浜 フルーツ缶詰(フルーツカクテル的なやつです)
一色 白玉団子
雪ノ下姉 不明
戸塚 不明
材木座 豆腐
比企谷 肉団子
出汁は昆布だしのつもりです。
さて、爆弾の正体とは一体なんなのか……来週すべてが明らかに……
八幡ですか?
生きてます……たぶん生きてます
一色が闇鍋にした理由も次回でw
では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします