やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う   作:遊哉

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えーと……一応あとがきに書いてます

とりあえず、駄文ですが、どーぞ


34 終わりの始まりは突然に

現在、2月頭

テストが終わり、大学生お待ちかねの春休みだ。

ちなみにテストは無事に終わりました。あいつら一応、授業中は静かだから。

 

春休みはとゆっくりしたいと思っていたが……もともとあの4人に駆り出されて休む時間もないと考えていた。しかし、ここ1週間特に音沙汰はない。むしろあまりの静けさにこっちが通常運転ができない。

 

まぁ、理由はなんとなく察しが付く。あのお菓子メーカーが作り出した販売を促進させるために生まれた日が近い。チョコでも作っているのだろう。まぁ、基本手作りなら誰のでも嬉しいから邪魔はしない。ほら、男なら手作りバレンタインに弱いからさ。

 

ピンポーン

 

そんなことを考えていると、チャイム音。フラグだったかな……

ア〇ゾン先生に最近注文したものはなかったよな。でもチャイムが鳴るってことはあの4人じゃねーな。

 

扉を開けると。そこには

 

「お兄ちゃん、ちょっといいかな」

 

少し、いや、かなり真面目な顔をした小町がいた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

とりあえず、ココアを入れて、差し出す。

 

「どうかしたのか?」

 

正直、病気でもかかっている印象すら受けてしまいかねないほど、小町の顔色は悪かった。

 

「ちょっとね、言伝を頼まれたんだ。」

 

「言伝?」

 

「うん、雪乃さん、結衣さん、いろはさん、陽乃さんの4人からね」

 

小町の顔色を考えると、ろくな言伝じゃなさそうという予感はする。しかし、いつもどおりの用件だったら、小町はあっけらかんとしているだろう。ということは俺の考えている内容とは多分違うということだ。

 

「どんな内容だ? いつも通り気楽に言えばいいじゃないか? 何をそんなに改まる必要性がある?」

 

「分からない?」

 

「一応、あのお菓子メーカーの日が近いことは存じているつもりだが?」

 

「そうだね、でもそれ以外にもあるんじゃないかな?」

 

それ以外?

別に誰かが誕生日とかそういう話はなかったような。何かあったかと悩んでいると小町が切り出した。

 

 

「4人の言伝を言うね。

 

    決めてほしいんだって、バレンタインの日に。」

 

 

 

……………あぁ、つまりあれか。

年貢の納め時ってやつか。

………マジか。

 

「私はどういう顔をすればいいのかな?」

 

「あ?」

 

「私はお兄ちゃんが選ばなかった人達にどういう顔をすればいいのかな?」

 

「別にそんなのいつも通りでいいだろ。お前には関係ないんだし」

 

 

「そんなわけないでしょ!」

 

 

小町の怒声が大きく部屋に響いた。

こんな激情の小町は初めて見た。

 

「わ……私は雪乃さん、結衣さん、いろはさん、陽乃さんをたきつけた。お兄ちゃんとの仲を取り持てるように仲介をたくさんやった。関係なんて大ありに決まってるじゃん!」

 

「でも、別にお前が恨まれるようなことはないだろ」

 

「あるよ……そりゃもう……」

 

 

恨まれる内容に皆目見当もつかない。こいつは確かに俺の妹という立場を使って4人を手助けしていた。これに関しては特に何かを言うつもりはない。身内から攻め落とす、要するに外堀を埋めるというのは定石の手段だからだ。だから小町はあの4人と仲良くするうえで俺を差し出すといった行為に別に冗談で文句は言うが、真面目に文句を言ったつもりはない。

 

 

「時間だよ。」

 

「時間?」

 

「私が奪ったんだよ。大事な学生の時間を」

 

「おまえなぁ……そんなことお前が気にしてどうする……これは俺が言うのは変だが、少なくともそこに関しては後悔をするかもしれないなんて覚悟の上でやってるんだろ。そこをお前が気にしてどうする……。」

 

「分かってる。雪乃さんも、結衣さんも、いろはさんも、陽乃さんも……みんな覚悟の上でやってるってわかってる。でも………でも……」

 

小町の声が急につまり始めた。

顔を見ると、目から一筋の涙が流れている。

 

「私は、そんな覚悟できてない。負い目を感じないなんてできるわけがない。私はみんなと仲良くしたい。でも……私を見たら必ずお兄ちゃんを思い出しちゃう。そんなつらい思いさせたくない。どうしたらいいか分からない……もう頭の中ごっちゃごっちゃで何を言ってるのかもわかんなくて……うわぁぁぁぁぁん」

 

小町はとうとう泣き始めてしまった。

俺はなんてことをしていたんだろう……妹が苦しんでいるのを理解せずに自分のことだけ気にしてしまっていたのか。

 

自分がしているのはただの選択肢の先延ばしだということはわかっていたはずだった。けれど、その先延ばしがここまでの問題を起こしていて、それを自分じゃない他者に先に影響が来ているなんて想像もしていなかった。いや、想定できなかったんだ。もうこの仲はたとえ誰がどういう間柄になろうとも……壊れないと無意識にそう認識していたのではないか? だからこそ、いつか起こるだろうと思っていたことを楽観的に捉えていたんじゃないか。今の関係があの時求めていたような関係だと認識をしていたから……俺は……。

 

「お兄ちゃん」

 

思い悩んでいると、小町から声がかかった。

 

「これはお兄ちゃんの問題だから、お兄ちゃんがどういう選択をしても私は文句なんて言わないよ。だからお兄ちゃんは私のことなんて気にしなくていいから。ただ、私がここで本音を漏らしたのは内緒にしてね。」

 

「小町……」

 

「えーとね、本音言えてスッキリしたよ。後、お兄ちゃんこれだけは約束してほしい。」

 

「約束?」

 

「4人にきっちりと答え………違うね……お兄ちゃんが納得した答えを出してほしい。それがあの4人の総意だから。」

 

それを言うと小町はコートを着始めた。

 

「それじゃ、お兄ちゃん……私は帰るね」

 

「あぁ……またな。」

 

小町が出て行った後の家の雰囲気は嵐が去った後の静けさのように

ただ、静かに……しかし、緊迫した雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




元々、バレンタインに決着予定だったので、一応これで最終章突入です。今年も楽しみにしてた方はすみませんとしか言えません。リアルの方が3月あたりから忙しくなるので、ちょうどいい幕引きだなと始めた時から決めてました。

どういう結末を迎えさせるかはもう決まってますので皆さんはお楽しみに
初めてシリアスな描写を書いた気がします。難しい……コメディの方が書いてて楽しい……

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
最終回までお付き合い、応援よろしくお願いします






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