雪の軌跡・リメイク 作:玻璃
題名通り。ただし、報告書風なのでお話ではないです。
では、どうぞ。
これは、遊撃士協会ツァイス支部から提出された、とある記録である。当時から受付だったキリカ・ロウランの記録とその記録を見た遊撃士諸君、そして遊撃士協会本部のコメントが、そこには克明に記されていた。
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ツァイス魔獣異常発生事件および協力員アルシェム・ブライトについての報告書 (記録者:キリカ・ロウラン)
閲覧日:S1202.9.30
着任初日
ツァイスにて大規模な魔獣の襲撃が発生。ロレントより留学に来ており、当時まだ協力員でなかった彼女は新型導力銃の実験の最中に当該の襲撃に巻き込まれ、アルバート・ラッセル博士から予備の弾倉を貰い受けて対応。カルデア隧道から襲い来る無数の魔獣を撃退。
撃退後、ツァイス支部より派遣されたA級遊撃士クルツ・ナルダンが到着。あまりの手腕に不審を覚え、彼女を詰問。右肩に傷を負わせる。その場に駆け付けた巡回シスター・リオ・オフティシアにより治癒を施され、事なきを得る。
追記:まさか彼女が本当にカシウス・ブライト遊撃士の養女であると思わなかった。反省している。(クルツ・ナルダン)
追記:まさか初日からこんなことに巻き込まれているとは思わなかった。クルツはもう少し落ち着いて行動するように。(カシウス・ブライト)
追記:クルツ遊撃士には謹慎もしくは罰金を命じた。深刻な人手不足より、昨年度の年収の三割を遊撃士協会に寄付することに決定した。(本部)
二日目
ようやく負傷を完全に治しきり、記録者と交渉。遊撃士協会の協力員として主に導力銃のテスターとして動くことで契約した。この際、クルツ遊撃士は責任を取るべく彼女を看病していたのだが、協力員にトラウマがあることが発覚。以後、接近禁止を申し渡した。
追記:いくら七耀教会のシスターが有能だったとしても刺し傷が都合一日で完治するわけがない。治癒力が非常に高い人物であると見受けられる。(本部)
追記:もしかしたら東方の技術も少しばかり持っているかも知れんな。気功系統など。(ジン・ヴァセック)(リン)
五日目
導力銃β-1の実地テスト中、協力員は知らずに手配魔獣サンダークエイクを退治する。クルツ遊撃士が駆け付けた時には既に当該魔獣は力尽きてセピスと化しており、念のために間違いがないか周囲を確認したが発見できず。
その後、記録者と相談して無理のない程度で手配魔獣の退治を請け負うことで再契約した。
追記:深刻な人不足であったためである。(キリカ・ロウラン)
追記:だからと言って戦闘訓練も受けていない一般人を手配魔獣狩りに駆り出して良いものではない。(本部)(ヴェンツェル)
十日目
本部より当該協力員への手配魔獣の振り分けの停止を通達。しかし、この日の依頼には間に合わず。何故か大量にカルデア隧道にわきだしたペングーの除去を依頼したところ、数時間の奮闘の末に全滅させることに成功。しかし、その後もペングーは出現し続けた。ペングーがわき出て来る原因を掴むことは出来ず、撤退。他の依頼も滞るため、近隣支部より遊撃士を借り出して警戒に当たる。
この際、人手不足の観点から後方支援のみの協力を申し出た協力員の要請を承諾。中央工房からの申し出もあり、導力兵器系統のテストをペングーたちを的にして少しでも数を減らすことになった。
追記:深刻な人手不足により近隣支部より要請されて派遣されたのは、ルーアン支部よりカルナ遊撃士、ボース支部よりグラッツ遊撃士である。(キリカ・ロウラン)
追記:この日、カシウス・ブライト氏より当該協力員についての情報が入る。協議の末、魔獣退治に関しては解禁することが決定された。(本部)
十七日目
度重なるペングーの襲来により、集中力を欠いた準遊撃士が死亡。これによりツァイス支部の準遊撃士が揃って辞職し、ますます人不足が深刻となる。記録者は独断で魔獣狩り全般の依頼を当該協力員に依頼。当該協力員は快諾し、手配魔獣狩りとペングー狩りにいそしみつつ中央工房でペングーの行動を阻害する装置の研究を開始。
追記:この独断に対し、本部は記録者キリカ・ロウランに一ヶ月分の給料の返納を命じた。(本部)
追記:反省はしている。しかし後悔はしていない。最善の策はこれ以上になかったためである。(キリカ・ロウラン)
追記:記録者キリカ・ロウランに更に一ヶ月分の給料の返納を命じた。(本部)
二十六日目
協力員によって『ペングー除去装置Ver.1.0.0』がカルデア隧道に設置される。それと同時にカルデア隧道の一般人の通行が禁止され、迫りくる魔獣を撃退することに成功する。しかし、動く者すべてを射撃するアルゴリズムが組まれていたため、使用の停止を求めた。
協力員はすぐさま『ペングー除去装置Ver.1.0.0』を撤去し、魔獣退治のローテーションの間を縫って改造を始めた。
追記:何というものを発明している。悪用されては危険なため、破壊を要請する。(カシウス・ブライト)
追記:遊撃士協会としてその機械を外部に出さないよう要請。当該協力員はそれを快諾し、ペングーの異常湧出が止まった暁にはノウハウごと破壊することを確約した。(本部)
追記:どんな協力員なんだよ。(トヴァル・ランドナー)(サラ・バレスタイン)
三十七日目
協力員によって『ペングー除去装置Ver2.1.1』がカルデア隧道に設置される。撃ち漏らしはあったものの、概ねペングーだけを撃退することに成功。更に異変がない限りは静観することに決定した。
追記:狙いは全てイワシになるように設定しました。(アルシェム・ブライト)
追記:協力員の追記を見た本部は使用の停止を命令。すぐさま当該協力員は改修し、ペングーの内包する七耀石の分量・配合にのみ反応するVer.3.0.0を完成させ、その日のうちに設置した。(本部)
六十五日目
手配魔獣の頻発により、支部内はパニック状態。遊撃士たちに一日一手配魔獣の退治を徹底させる。体力に余裕のあるものはそれ以上狩るように要請。当該協力員も例外ではなく、彼女は一日二手配魔獣は軽く狩ってくるので依頼がスムーズに動くようになった。
この日、当該協力員は手配魔獣三種十匹を退治した。
追記:原因の追及を急ぐよう記録者に要請。(本部)
追記:七耀教会にも協力を要請した。(キリカ・ロウラン)
追記:あまり無茶はしないように。(カシウス・ブライト)
八十二日目
手配魔獣の頻発が止まらない。一日一手配魔獣の退治では追い付かなくなり、一日二手配魔獣を請け負って貰うことになった。既に半数の遊撃士が手配魔獣に傷つけられて市内を駆け回るだけの依頼に従事するようになっている。
そんな中、当該協力員は進んで手配魔獣を狩っていた。最近の一番の成果は古代種を一種含めた手配魔獣三種十一匹狩りである。
追記:非常事態なのは分かるが、協力員にばかり古代種系手配魔獣を回さないように。(本部)
追記:……見間違いではないようだな。まだ年若いというのに興味深い。(アリオス・マクレイン)(スコット)
百一日目
七耀教会からの協力取り付けに成功。星杯騎士(本人と七耀教会の意向で名は伏せる)が調査を開始。護衛にと遊撃士協会と深くつながりのない協力員を指名する。本部の指示を仰ぐ。
追記:それ以外の人物ではダメだというのならば仕方がない。(本部)
百三十二日目
当該協力員を連れまわす星杯騎士に警告を送る。何でも、星杯騎士と共に当該協力員は手配魔獣を乱獲しているようである。協力員に怪我をされては困るが、七耀教会とも関係を悪くしないために警告でとどめる。
この日、星杯騎士と当該協力員は一緒に古代種系手配魔獣三種を含む手配魔獣八種三十匹を退治した。
追記:本部より七耀教会へ警告を送付。返答は『星杯騎士に一任している』とのこと。(本部)
追記:(コーヒーらしき染みがついている)おい馬鹿止めろ。……取り乱した、何をさせているんだ七耀教会は。(カシウス・ブライト)(トヴァル・ランドナー)
追記:……見間違い、ではないだと……(アリオス・マクレイン)
百五十五日目
魔獣の異常発生について原因が特定できたとのこと。十分な準備をしたのち、原因を除去するらしい。星杯騎士によると、原因は取り除いてはいないものの一度は終息させたとのこと。手配魔獣の目撃もない以上、しばらくは平穏な日々になりそうである。
因みにその終息した前日、別行動をしていた当該協力員は一人で古代種系手配魔獣四種十六匹を退治していたことをここに明記しておく。
追記:くぁwせdrfgthy(裏面からビニールテープで補修してある)……キリカァァァァァ! (本部)
追記:彼女以外大小の負傷があったため致し方なく依頼した。(キリカ・ロウラン)
追記:……当該協力員に報奨金10万ミラを贈呈しておく。(本部)
追記:え、えっと……本当に人間、なのよね? (エオリア)
二百七日目
本日、魔獣の異常発生の原因の除去を開始する。当該協力員も参加し、異常の根源とも思われるカルデア鍾乳洞へと突入。一体どれだけ発生しているのか、鍾乳洞の中の空間全てにペングーが詰まっていて先に進むのも困難な様子。ペングー除去装置の量産を依頼される。
追記:……もう何も言わんぞ。(本部)
追記:え、何それめちゃくちゃ見たかったなー。ペングーの群れ……じゅるっ。(アネラス・エルフィード) (エオリア)
追記:その光景、かなりグロいと思うわよ……(シェラザード・ハーヴェイ)
二百三十六日目
『量産型ペングー除去装置Ver.5.5.0』完成。鍾乳洞前まで運搬し、ペングーを正面から除去しながら内部に向けて装置を押し込む作業を開始する。この日のうちに進めたのは約数十アージュ程。先は長いようである。
追記:どうやってペングーが生存していたのかの調査も依頼する。(本部)
二百六十七日目
ようやく見渡せるほどペングーを除去することに成功。内部に装置の設置を開始する。この時点より、一日に発見される手配魔獣の減少を確認。繁殖しすぎたペングーが原因だと推察された。
追記:カルデア隧道以外にもペングーが流出していた可能性アリ。(本部)
追記:確認したところ、テティス海を渡っていった種と川を遡上していった種があるようである。(キリカ・ロウラン)
三百日目
洞窟湖を残してペングーの除去に成功。副産物としてペングーの毛皮という商品が出回り始めるようになる。たたき売りされているが、質は上々。警戒する必要があるだろう。
追記:バリアハート産の毛皮の価格に影響を与えた模様。(本部)
三百三十五日目
この日、ようやく洞窟湖までペングーの除去に成功。巨大ペングー『オウサマペングー』『ディバインペングー』の目撃あり。当該協力員は星杯騎士と協力して両者を討伐。
原因はその二者のペングーたちとそれによって毛皮を流通させることを目的とした猟兵団《グリンピース》の首領ベーコンによって意図的に引き起こされたペングーの大量発生であることが判明した。
追記:今後の動向に気を付けるように。(本部)
追記:首謀者はアーティファクトを使用していたようで、七耀教会本部へと連行された模様。(キリカ・ロウラン)
三百六十七日目(最終日)
中央工房より、魔獣の大量発生の終息宣言が出される。この日に当該協力員は留学を終えてロレントへと帰還。協力員契約もここで切れた。
追記:これほどの逸材を一般民として放置するのはどうかと思う。(アリオス・マクレイン)(クルツ・ナルダン)(ジン・ヴァセック)(トヴァル・ランドナー)(以下省略)
追記:カシウス・ブライト氏より入電。当該元協力員は遊撃士になる意志を見せたため、特別措置について協議することに決定した。(本部)
追記:同僚になれる日が待ち遠しいぜ。(グラッツ)(カルナ)
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以上が報告書の内容である。これが遊撃士協会本部にて会議にかけられ、満場一致でツァイス支部に限りアルシェム・ブライトに対して遊撃士協会協力員特別推薦状を発行することが認められたのであった。
後悔はしてないキリッ
では、また。