俺、悪魔になりました!……でも契約先とか色々違うような?   作:ボストーク

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皆様、こんにちは。
今回のエピソードは……赤い賢龍(ドライグ)が、あるヒロインを(そそのか)しにかかります(^^

本来は妄言かもしれませんが、もしかしたら平行世界(げんさく)との大きな乖離点や分岐点なのかもしれません。




第52話 ”賢龍、時計を進めるべく未来を語る”

 

 

 

さて、ここは強いて言うなら”隔離拠(かくりよ)”と呼べる場所。

夢と夢の狭間にある場所、更に言うなら物理世界に在りし日の姿のまま顕現できぬ赤龍帝(ドライグ)が、本来の龍としての姿で居られる”魂の座”と呼べる場所だった。

 

『ふむ……計画通りと言えば計画通りだが、予想外と言えば予想外の状況だな』

 

今夜も夢の中で一誠やアーシアを鍛えながら、ドライグは龍の上位種なら基本スキルである”複列同時思考(マルチタスク)”を使い、最近の出来事をまとめ始める。

ちなみに強力な龍族が魔法や技を発動させるのに呪文無詠唱で済む理由の一つは、このマルチタスクの恩恵だと言われている。

要するに喋ったり思考したりしながら、龍族は平行して脳内で術式を構築できるというのだ。

 

ドライグは最初に一誠の”龍精”を賜るのはてっきり”龍の巫女(ドラゴン・プリーステス)”唯一の候補であるアーシアかと思っていたが、”黒猫”はともかく……

 

『セラフォルー・シトリーまでこうも早期に”入って”くるとは、予想外だな』

 

ドライグは、そう遠くない将来にセラフォルーは一誠と”繋がる”とは考えていた。

そういう意味では古馴染みのアイカ・アスモデウス(人間名:桐生藍華)の語った通り、計画には組み込まれていたのではあるが、ドライグの予想ではもっと先のイベントである筈だった。

そう、例えば”相棒”がもっと悪魔社会で頭角を現してから……とか。

 

 

 

『しばらくソーナ・シトリーお抱えの執事見習いという立場を隠れ蓑とし、雌伏させる予定だったが……』

 

だが、あのソーナの快楽の溺れ、蕩けきった顔を思い出せば、最早そうも行かないだろう。

それに、

 

『相棒の成長()予想より早い、か……』

 

今はまだ、ドライグが予想した上昇率の誤差の範囲で成長が収まっているが、一誠の成長速度は徐々にではあるが確実に予想を上回り始めていた。

 

『おそらく、戦闘経験の蓄積効率……フィードバック率が半端ではないのだろう』

 

SRW風にいうなら”努力”がずっとかかりっぱなしな状態のような物かもしれない。

だからこそ、短期間であれだけの……魔王や堕天使総督や天使長にまで目に付くような活躍ができたのだろう。

まさか、獲得経験値に”倍化(ブースト)”がかかってるとは思えないが……

 

『ならばいっそ、時計の針を進めてみるか?』

 

もはや相棒の強さを隠すよりも、積極的に世に放つほうが効率がいいのかもしれない。

そう判断したドライグは咆哮と共に術式を発動させ、取り回し易い小さな人の形へと姿を変えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

 

 

 

 

「”()()”、聞こえるか?」

 

あれ? 

この渋いオジサマ声はドライグちゃん?

 

「ああ、俺だ。今、お前の夢の中に入り込んでる」

 

その声と同時に、私の知覚は急速に覚醒する。

おかしな言い方になっちゃうけど、夢の中で目覚める感じだ。

 

「わわっ!? ドライグちゃん、その姿って……?」

 

目の前に立っていたのは、長身で痩身のサングラスと顎鬚がトレードマークっぽいオジサマ……真っ赤で派手な詰襟の軍服(?)が、激しくドライグちゃんであることを自己主張してる気がした。

あっ、よく見ればサングラスのレンズも色合いや濃淡が違う赤だ。拘ってるなぁ~☆

でも髪と髭は黒なんだ?

 

「相棒や龍の巫女を鍛えるのは本来の俺の姿でも構わんのだがな。夢渡りをするのには少々図体がデカ過ぎる。無駄に処理リソースを使うのは、俺の好みじゃない。ただの”メンタルモデル”のようなものだ。別に人型インターフェースでも構わんがな」

 

え、えっとぉ……?

もしかして、ドライグちゃんて結構マニアックなアニメとか見てるとか?

 

「それは大きな体だとデータ量が大きくなって回線の負荷も大きいから、小さなデータで済む人の姿に切り替えたって感じ?」

 

あっ、でも鍛えてる”龍の巫女”ってアーシアちゃんのことかな?

なんだろう? やっぱりあの娘って”特別”なんだ……

 

「大体その認識で合ってる。実際、今の俺とお前は、相棒がお前の胎内に残した”龍精”を媒介し、専用直通回線として繋がってる」

 

ほえっ?

 

 

 

***

 

 

 

『”()()”のお前ではまだ相棒の子を孕むことはできん。されどその代わり胎内に残された精は子宮や卵巣に定着し、そこで擬似的な生体集積回路を構築し「()()()()()()意味においての”龍脈”」を形成する……簡単に言えばそういう仕掛けだ』

 

うん。ドライグちゃんからその説明を聞いたときは、結構驚いたよぉ~☆

 

『もっとも定期的に”()()”しなければ、やがてその効果は薄れて消えるだろうが』

 

うん。補給線の維持は重要だもんね?

それは絶対に補充を欠かさないようにしないと。

 

「イッセーちゃんの子を生めないのは残念だけど、”現状は”ってことは、将来的にはアリってことだよね?」

 

『それはお前が、「相棒の精に食い尽くされないだけの卵」を作れるかどうかだな。どれほど小さな単位であろうと龍は龍だ。生粋の捕食者である本質は変わらん』

 

よぉ~し☆ 頑張るゾぉ~!

 

『将来の話は今はいい。だが、いくつか聞きたいこと……いや、確認したいことががある』

 

「えっ? 何を?」

 

『先ず確認だ。お前たち悪魔、いや相棒を重用する四大魔王の少なくとも三名は、相棒の社会的ステータスを引き上げる気はあるのか?』

 

「社会的ステータス? 中級悪魔とか、それ以上ってこと?」

 

『そうだ』

 

それなら自信を持って言えるよぉ☆

 

「あるよ☆ ”()()()()()()()目ぼしい成果”があったら、すぐにでも中級悪魔に推挙するつもりだったしね☆ サーゼクスちゃんとは既にその話は出来てて、折込済みだよ?」

 

黒歌ちゃんを狙う大王派に雇われた追っ手を一網打尽にした”始末屋家業作戦(オペレーション・パニッシャー)”の前に、サーゼクスちゃんとの合意はできてるし☆

というよりむしろ、サーゼクスちゃんから言い出したことなんだけどね?

 

『なるほど。なら()()()はどうだ?』

 

その先?

 

『前にお前とサーゼクス・グレモリーと会談したとき、俺が言った台詞を覚えているか? 「相棒には器が無い。未だ深さも広さも見えぬのが相棒」だと』

 

「う、うん。覚えているけど……」

 

『では聞こう。相棒が上級悪魔、更に上の上級悪魔に至ることを許せるのか? これは仮定の話じゃない。先の戦いで示したように、相棒の戦闘レベルは既に完全上級悪魔に匹敵しよう。そう遠くないうちに”完全なる禁手化(パーフェクト・ルールブレイク)”に至るだろう』

 

うん。あの時のイッセーちゃんの実力は、本当に上級悪魔の中でも上位に位置するものだった。

現状でも、あれで全力じゃないんだからドライグちゃんが言うことは本当なんだって思う。

 

『無論、上級悪魔とやらが単純な戦闘力で語れないのは知っているが、だが戦闘力は悪魔にとっても重要な()()のはずだ』

 

 

 

「それは大丈夫だと思うよ? 冥界には”リュディガー・ローゼンクロイツ”って元人間で最上級悪魔に至った人がいて、それが()()になってるから」

 

え~っと……今はレーティングゲーム・ランキングの7位だったかな?

 

『ふむ。ならば、仮に相棒もまた最上級悪魔に至ったとすればどうする?』

 

「えっ?」

 

『相棒の今のポジションは「()()()()()()()ソーナ・シトリーの眷属」なのだぞ?』

 

 

 

***

 

 

 

単純なだけに、難しい話だった。

イッセーちゃんが上級悪魔になるのは、確かにこのまま実力が伸び続ければ難しくは無いと思う。

だけど、そうなってしまえば……

 

「ソーナちゃんの眷属じゃいられないよねぇ……」

 

”はぐれ悪魔”って存在がいることからわかるように、「眷属が主を越える能力を持つ」ことはそれほど珍しいことじゃない。

 

逆説的に言えば、「主を超える実力があるのに不当に下級悪魔などの低い地位にいることを強要される」ことも珍しくなく、それが”主殺し”……はぐれ悪魔が発生する大きな要因にもなってるんだけどね。

 

実際、リュディガー・ローゼンクロイツが元人間なのに最上級悪魔に認定されてる理由の一つが、「転生悪魔でも実力如何では最上級悪魔になれる」って前例を作ることで希望を持たせ、転生悪魔の不満のガス抜きを行うって意味もあるみたい……

 

無論、私はイッセーちゃんに不当な扱いをする気もないけど、そうだったらいずれ「実力に相応しい地位に着く」ことは避けられないと思う。

 

「最上級悪魔が上級悪魔の眷属でいるなんて、悪魔の序列的に考えられないもん」

 

 

 

そもそも転生悪魔を悪魔と認めていない旧魔王派や純血悪魔であることを重視する大王派ならいざ知らず、私たち魔王派は実力主義を御旗に掲げている。

ならば、もしイッセーちゃんが最上級悪魔に至ったとしたら、そのまま上級悪魔(ソーナちゃん)の眷属でい続けたほうが、むしろ秩序を壊すことになりかねないから。

 

「多分、上級悪魔になった時点で、眷属契約は解消になると思う。もしかして断絶した家名を襲名してもらうことになるかもしないけど……」

 

それこそ悪魔には断絶した家紋なんていくらでもあるもんね~。

 

『なるほどな……そういう道が開けてるなら、いずれ相棒は「お前が横に立っても”()()()()()()()()()”」になるかもな』

 

「えっ?」

 

『最上級悪魔になるというのは、そういうことでもあるだろう?』

 

「そ、それはそうかもしれないけど……」

 

『それに最上級悪魔ともなれば、障害があろうと「()()になる」のも夢じゃない……違うか?』

 

「ドライグちゃん、何を言って……」

 

『ただの妄言さ』

 

ドライグちゃんは口の端だけを吊り上げて笑っていた……

 

『だが、お前が”セラフォルー・()()()()”として”イッセー・()()()()()()にずっと仕える……そんな未来もあるのかと、ふと思ってしまってな』

 

 

 

ソーナちゃん、ゴメンね……

お姉ちゃんもやっぱり、欲望に忠実な悪魔だったみたい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様、ご愛読ありがとうございました。
ドライグの狡猾さと口車が絶好調なエピソードはいかがだったでしょうか?

”この世界”のドライグは、どんな歴代の相棒たちと過ごしたのかは知りませんが、ホント悪賢いです(^^
しかも、具体的な方法は示唆せずに「セラフォルーが無自覚あるいは潜在的にに望むだろう、”()()()()()()()()()()()()」をわざわざ言葉にして突きつけるあたりがもう(笑

あっ、ちなみにドライグの人間モードは中の人繋がりで『碇ゲンドウ2Pカラー』って感じで。ただ服やサングラスの基調が赤なので、オリジナルに比べてかなり派手です。
ドライグ・ゲンドウなら素手で使徒をノシイカにしたりして(^^

さて、ドライグがセラを唆したお陰で、またしても本人与り知らぬ所で不在の主人公(イッセー)にとんでもない未来が訪れる悪寒が……

それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!

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総合評価:1561/評価:6.41/連載:54話/更新日時:2026年06月27日(土) 17:25 小説情報


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