やはり俺の福引旅行はまちがっている。   作:EPIPHANEIA

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俺ガイル二次小説第8話です。

沙希回後編になります。

今回は八幡がかなりキャラ崩壊しますので、予めご了承くださいw

宜しかったら、是非閲覧のほう、お願い致します。

いつも、閲覧して下さる皆様、感想を書いて下さる皆様、お気にいり登録して下さった皆様、ありがとうございます。


第8話

~大○公園~

 

沙希「イ○ヤ!!」

 

アタシは公園の噴水の近くで、家族を探してキョロキョロとしているイ○ヤに、叫ぶように声をかける。

 

イ○ヤ「あっ、サキ………。」

 

沙希「『あっ、サキ』じゃないよ!アタシ達も一緒に探すって言ってるのに、どうして1人で突っ走っていっちゃったの!?」

 

イ○ヤ「ごめんなさい……。でも、私、早くお兄ちゃん達に会いたいから、我慢出来なくなっちゃって……。」

 

沙希「……まっ、その気持ちは分からなくもないけどね。でも、少しはアタシや比企谷の事を頼ってよ。」

 

イ○ヤ「うん。でも、ヒキガヤって誰?」

 

沙希「……!……は、八幡の事だよ。」

 

成り行きとはいえ、アイツの名前を声に出してしまい、私の頬が紅くなるのを感じる。

 

イ○ヤ「……ふ~ん。サキはハチマンの事、ヒキガヤって呼ぶのね。」

 

沙希「そ、そうだよ。『八幡』って呼び方より、そっちの方が慣れてるから……。」

 

イ○ヤ「へぇ~、そっか♪」

 

顔を赤くしているアタシに、何故か小悪魔的な笑みを浮かべるイ○ヤ。何?ちょっと怖いんだけど……。

 

八幡「ハァ…………ハァ…………。待たせたな…………。」

 

そんなやりとりをしているうちに、少し遅れて比企谷が到着した。かなりキツそうな感じだけど。

 

沙希「比企谷、アンタ大丈夫?」

 

八幡「ああ……なんとかな……。それより、イ○ヤ。どうしたんだよ?突然、走り出して……。」

 

イ○ヤ「……ごめんね、ハチマン。どうしてもお兄ちゃん達に早く会いたくて……。」

 

八幡「そういう事かよ……。とりあえず、ここの公園で少し休まないか?流石に、ちょっとしんどいから……。」

 

沙希「そうだね。闇雲に廻っても疲れるだけだし。イ○ヤはどうなの?」

 

イ○ヤ「私もいいよ。ハチマンが体力回復するまでだったら。」

 

こうして、アタシ達3人は大○公園で、比企谷が体力回復するまでの間、休む事になった。

 

暫くして、少し体力が回復した比企谷が、コンビニかどっかのお店で飲み物を買ってくると言い出し、比企谷を休ませる為にアタシが代わりに行くと言ったのだが、女の子同士の方が話しやすいという事で、比企谷が飲み物を買いに行く事になり、イ○ヤと2人きりになるのであった。

 

八幡「それじゃ、行ってくるからな。大人しく待ってるんだぞ、イ○ヤ。」

 

イ○ヤ「うん。なるべく早く帰ってきてね。早くお兄ちゃん達を探したいから。」

 

八幡「おう。川崎もイ○ヤから目を離すんじゃねぇぞ。」

 

沙希「分かってるって。早く買ってきなよ。」

 

そうして、比企谷が飲み物を買いに行き、アタシとイ○ヤは2人きりになった。

 

イ○ヤ「ねぇ、サキ。聞きたい事があるんだけど、いい?」

 

比企谷の姿が見えなくなった直後、イ○ヤがアタシに尋ねてくる。

 

沙希「何?」

 

イ○ヤ「サキってハチマンの事、好きなの?」

 

沙希「なっ……!!」

 

イ○ヤはいきなり爆弾を投げつけてきた。それを言われた瞬間、アタシの頬が熱くなる。

 

沙希「な、な、な、な、な、何で、アタシが比企谷の事を……!?」

 

イ○ヤ「あれ?違うの?なんか、サキがハチマンを見る目がそんな感じかなって思ったんだけど。」

 

まさか、初めて出会った子に、こんな事を言われるとは思わなかった……。そんなに、アタシって分かりやすいのかな?

 

イ○ヤ「それに、ハチマンって私のお兄ちゃんになんとなく似ている気がするの。」

 

沙希「似ている?どういう事?」

 

イ○ヤ「簡単に言えば、ハーレム王みたい。いろんな女の子にモテている感じがするの。」

 

……この子、実はアタシや比企谷の事を知っているんじゃないの?そう思いたくなるくらい、イ○ヤはアタシだけじゃなくて、比企谷の事も正確に把握していた。

 

沙希「へ、へぇー。そうなんだ。イ○ヤのお兄ちゃんも結構モテるんだね。もしかして、イ○ヤもお兄ちゃんの事、大好きなんじゃないの?」

 

アタシと比企谷の事をはぐらかすように、イ○ヤに他愛ない質問をしてみる。

 

イ○ヤ「うん、そうよ。愛してるって断言してもいいわ。」

 

沙希「…………へっ?」

 

しかし、イ○ヤから返ってきた答えは、予想の斜め上をいく答えだった。

 

沙希「あ、あ、あ、あ、愛してる!?おかしいでしょ、その答え!!だって兄妹なんでしょ!?家族愛とかじゃないの!?」

 

イ○ヤ「ううん。家族愛じゃないわ。異性としてお兄ちゃんの事を愛してるの。他にも私と同じくらいお兄ちゃんの事を愛してるライバルが3人いるけど、負けるつもりないもん。」

 

沙希「…………」

 

ぐうの音も出ないとはこの事を言うのだろうか。自分はもとより、おそらく留美より年下の女の子が、こんなにはっきりと自分の好意を言われるとは思わなかった。イ○ヤの言葉に、アタシは何も言えなかった時だった。

 

イ○ヤ「だから、サキも自分の好意をはっきり伝えなくちゃダメだよ。余計なお節介かもしれないけど。」

 

沙希「えっ……!?」

 

気が付くと、これまでの幼い無邪気な笑顔とは一変した、真剣な表情をしたイ○ヤが、アタシにアドバイスしてきた。

 

イ○ヤ「ハチマンの事が好きなんでしょ?もう分かってるんだから。」

 

沙希「…………そうだね。アタシは…………アイツの事、好きだよ…………。」

 

イ○ヤ「私、応援するよ。サキもハチマンも凄く優しい人達だから。」

 

沙希「…………ありがとね。イ○ヤ。」

 

今日初めて出会ったこんな小さな子に小さな勇気を貰うなんて、夢にも思わなかった。なんか知らないけど、アタシの心が凄く暖かい気持ちに包まれている。

 

この子にそんな勇気や暖かい気持ちをくれたお礼を言った直後だった。

 

?「あっー!!いたー!!見つけたぞー!!」

 

沙希「えっ?」

 

少し離れた場所から、知らない男と女の子達がアタシ達の方を指差して、走り向かってくる姿が見えた。

 

イ○ヤ「あっ!お兄ちゃん!!みんな!!」

 

彼等の姿が見えた瞬間、イ○ヤがこれまでにない満面の笑顔で、彼等の所に走っていく。アタシはその様子を見ていた。

 

?「イ○ヤ、何処に行ってたんだよ!?本当に心配したんだからな!!」

 

イ○ヤ「…………ごめんね。シ○ウ。」

 

シ○ウ「言っておくけど、謝るのは俺じゃない。俺と一緒にイ○ヤを探してたみんなだ。」

 

イ○ヤ「……ごめんなさい。セ○バー、○ン、サ○ラ。」

 

セ○バー「イ○ヤスフ○ール!!貴女は何を考えているのですか!?せっかくの旅行を、台無しにするつもりなのですか!?」

 

○ン「セ○バーの言う通りね。こんなんじゃ、嫌な思い出作りにしかならないわよ。」

 

サ○ラ「ま、まあまあ。セ○バーさんも姉さんもその辺にしましょうよ。イ○ヤちゃんだって、反省しているみたいですから。」

 

シ○ウ「そ、そうだぞ。イ○ヤも迷子になりたくてなったわけじゃないんだろ?」

 

イ○ヤ「うん。本当にゴメンね、みんな……。」

 

沙希「…………」

 

イ○ヤと家族の人達(見た感じ、アタシと同年代ぐらい)が再会出来た様子を見て、自然と笑顔がこぼれる。何はともあれ、イ○ヤが家族の人達と出会えて良かった。アタシももし、京華が迷子になってしまったら、絶対にあの人達と同じ事をすると思うから。

 

シ○ウ「ところで、あの女の子は?もしかして、イ○ヤが迷子になったのを、助けてくれたのか?」

 

イ○ヤ「そうよ。サキって言うんだけど、凄く優しい人だよ。」

 

イ○ヤがそう言うと、彼等がアタシのもとに近づいてきて、アタシに頭を下げる。

 

シ○ウ「本当にすいません。イ○ヤや俺達の為に、ご迷惑をおかけして。」

 

沙希「あっ、いえ、いいんですよ。アタシ、イ○ヤみたいな幼い妹がいますから、何か放っておけなくて。むしろ、アタシの方が余計な事を言っちゃったせいで、この公園に来る事になったんですから。」

 

セ○バー「いえ、貴女には本当に感謝します。見ず知らずのイ○ヤス○ィールを保護したと、お伺いしましたから。」

 

沙希「えっ?どうしてそれを……?」

 

○ン「貴女の旅行を担当しているバスガイドさんからです。貴女ともう1人の人がイ○ヤを追い掛けて、ここに行ったって聞きましたから。」

 

沙希「バスガイド?もしかして、茶色のショートカットの?」

 

サ○ラ「そうです。その人にこの公園の場所を教えて貰って、私達もここに来たんです。」

 

沙希「そうですか……。そうだと分かったら、イ○ヤに言わなきゃ良かったかな……。」

 

シ○ウ「いえ、それでも本当に助かりましたよ。ありがとうございます。ほら、イ○ヤも。」

 

イ○ヤ「うん。ありがとね、サキ。お陰でサキの貴重な話も聞けたし。」

 

沙希「なっ……!!そ、それと今は関係ないでしょ!」

 

イ○ヤの小悪魔的な笑顔で言われた言葉に、アタシは顔を赤くしながら、反論する。

 

セ○バー「そういえば、さっき○ンが言っていたもう1人って、何処にいるのですか?その者にも、お礼を言いたいのですが……。」

 

沙希「ああ、ソイツでしたら、今……。」

 

アタシが彼等に、比企谷が飲み物を買いに行っていると言おうとした時、

 

八幡「あっーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

沙希「えっ!?」

 

シ○ウ・イ○ヤ・セ○バー・○ン・サ○ラ『えっ?』

 

ようやく、買い物から帰ってきた比企谷が、アタシとイ○ヤ達を見て、普段の比企谷では考えられない叫び声を出した体勢で、唖然としながら固まっていた。

 

沙希「ど、どうしたの!?」

 

イ○ヤ「ハ、ハチマン?」

 

突然の叫び声をあげた比企谷に、アタシとイ○ヤがビックリしながらも訊ねる。

 

八幡「…………」

 

一方の比企谷は、唖然としながら固まっている。しかし、暫くして

 

八幡「…………」コツコツコツ……

 

何か意を決した表情で、大志に少し似ている亜麻色の髪の男――――シ○ウに近づいてくる。

 

シ○ウ「な、何だよ!?」

 

シ○ウは比企谷を警戒しながら、近づいてくる比企谷に対して問い掛ける。しかし、

 

八幡「…………う、嘘だろ?まさか、こんなところで出逢えるなんて……。」

 

シ○ウ「……へっ?」

 

八幡「超感激ッス!!まさか、あなた達と出逢えるなんて!!俺、本当に嬉しいですよ!!」

 

セ○バー・○ン・サ○ラ『えっ……?』

 

イ○ヤ「ハ、ハチマン……?」

 

沙希「……はい?」

 

比企谷はシ○ウ達を見て、まるで無邪気な子供のようにはしゃいでいた。アタシとイ○ヤ達は、その様子を見て唖然とする。

 

八幡「そうか。イ○ヤってどっかで聞いた名前だって思ったけど……そういう事だったんだな!!」

 

イ○ヤ「えっ?私達の事、知っているの?ハチマン。」

 

八幡「当然だろ!!俺はイ○ヤ、いや、イ○ヤス○ィール・フ○ン・ア○ンツベ○ン達の大ファンだから!それに、そちらの皆さんは、衛○士○さんにセ○バーさん、遠○凛さんに間○桜さんですよね!?」

 

シ○ウ「そっ、そうだけど……君は一体……?」

 

八幡「言ったじゃないッスか、皆さんの大ファンだって!!やっべー、パネェわー!夢じゃ無いんだよな!?そうだよな、川崎!」

 

沙希「ひ、比企谷……。」

 

何か口調が戸部っぽくなってるし……。ここまではしゃぐ比企谷を見たのは初めてだった。どういう事……?イ○ヤとこの人達って、アタシが知らないだけで、実は結構有名なの?

 

八幡「あっ、そうだ!!俺、コンビニでカメラ買ってきますよ!あなた達と写真撮りたいから!いいッスよね!?」

 

シ○ウ「あっ、ああ……。俺達は構わないけど……。」

 

写真を撮りたいが為に、コンビニに行こうとする比企谷。

 

沙希「(あれ?そういえば……。)」

 

さっき、ホテルに忘れた携帯を探してた時に、アタシは『ある物』を携帯と勘違いして取り出した事を思い出す。

 

沙希「あの、比企谷。」

 

八幡「あん?どうした、川崎?」

 

沙希「アタシ、カメラ持ってるんだけど……。」

 

そう言って、アタシは『ある物』――――カメラをバッグから取り出して、比企谷に見せる。

 

八幡「えっ!?マジで!?」

 

沙希「うん。アタシのカメラで良かったら、写真撮ってあげるよ。」

 

八幡「いいのか!?サンキュー!愛してるぜ、か……いや、沙希!!」

 

沙希「なっ……!?」

 

い、いきなり、何言い出すの!?コイツは!!しかも、文化祭でのあの言葉を今度は名前で呼ぶなんて……!!

 

アタシは比企谷から言われた言葉に、顔が真っ赤になるくらいの恥ずかしさを感じた。

 

イ○ヤ「あーっ!サキ、顔が真っ赤になってる!」

 

シ○ウ「こら!イ○ヤ!知り合いになったばかりの人に失礼だろ!」

 

サ○ラ「でも、いいですね。初々しいカップルで。」

 

セ○バー「そうですね。まるで、少し前の私とシ○ウを見ているようです。」

 

○ン「フフ、何か新鮮な気持ちになるわね。この2人を見てると。……って、どさくさ紛れて、何ほざいてんのよ!?セ○バー!!」

 

サ○ラ「そうです!それを言うなら、私と先輩ですよ!決して、セ○バーさんや姉さんやイ○ヤちゃんじゃ無いですからね!!」

 

○ン「そんな訳ないじゃない!!私と士○以外あり得ないわよ!」

 

シ○ウ「お、おい!落ち着け!お前ら!!」

 

あ、あの……アタシと比企谷、まだ恋人にすらなっていないんですけど……。というより、貴女達がイ○ヤの言っていたライバル達なんですか……?そして、イ○ヤを含めた皆さん全員がシ○ウを愛してると……。

 

イ○ヤの『比企谷がシ○ウに似ている』って言葉が、この光景を見て、何となく理解出来た。この光景、まるで空港やホテルで大騒ぎしていたアタシ達みたいじゃない……。

 

八幡「うんうん。やっぱり、士○さんパネェッスわー。流石、ハーレム王ッスね。」

 

そして、大志と戸部の口調がごっちゃ混ぜになってる比企谷が、嬉々としてこの光景を見ている。……そのハーレム王って言葉、アンタにのしつけて返してやりたいよ。

 

沙希「……比企谷、写真撮るの?撮らないの?」

 

八幡「あっ、そうだ!皆さん、俺と一緒に撮ってくださいよ!一生の宝物、いや、むしろ家宝にしますから!!」

 

シ○ウ「い、いや、そんな大袈裟な……。」

 

イ○ヤ「うん、いいよ。でも条件が1つだけあるわ。」

 

八幡「うん?何だ、イ○ヤ?」

 

イ○ヤ「ハチマンとサキは私達と別れた後、手を繋いで帰る事。それが条件よ。」

 

沙希「えっ……!!」

 

八幡「おう、分かった。それでいいなら、お安い御用だ。」

 

沙希「なっ…………!!」

 

アタシは写真を撮る条件を出したイ○ヤを見ると、アタシにウインクをしてきた。『サキの恋のキューピッドになってあげる♪』と言わんばかりに。

 

沙希「(…………ありがと、イ○ヤ。)」

 

アタシは顔を赤くしながらも、比企谷との距離を縮めてくれるきっかけを与えてくれたイ○ヤに、心の中で感謝していた。

 

それからアタシと比企谷は、暫くの間、イ○ヤ達との写真撮影会をやっていた。比企谷とシ○ウの2ショット、比企谷がイ○ヤ達女の子4人に囲まれての写真、時折カメラマンをしていたアタシも、比企谷との2ショットやイ○ヤ達との女の子5人での写真、イ○ヤと比企谷との3ショット等々、いろんな写真を撮った。最後には、近くにいた人に頼んで、全員での記念撮影も撮ったりしていた。

 

写真を撮った時の比企谷は、いつもの比企谷らしくない満面の笑顔を浮かべていた。凄く生き生きしていたし、知っている人にとっては、『こんなの比企谷じゃない』と言いたくなるくらい。

 

そして、撮影会が終わり、イ○ヤ達とのお別れの時がやってきた。

 

八幡「本当にありがとうございます!今日皆さんと撮った写真、大切にしますから!!最後に握手してくださいよ!!」

 

シ○ウ「ああ。こっちこそ、ありがとな。イ○ヤを助けてくれて。」

 

比企谷がシ○ウ達と握手をしていた。最初は比企谷のハイテンションに引き気味だった彼等も、慣れてきたのか普通に応対していた。

 

イ○ヤ「頑張ってね、サキ。応援してるから。私を助けてくれて、ありがとね。」

 

沙希「う、うん。アタシこそ、本当にありがと、イリヤ。」

 

イ○ヤ「それじゃハチマン、手を出して。」

 

八幡「えっ?」

 

アタシとイ○ヤが握手していた時に、イ○ヤが比企谷に手を出すように促す。

 

イ○ヤ「はい。これが写真を撮った条件ね。」ギュッ

 

沙希「あっ……!」

 

イ○ヤがそう言いながら、アタシと比企谷の手を繋がせる。更にイ○ヤは言葉を続けた。

 

イ○ヤ「言っておくけど、ホテルに戻るまでその手を離しちゃダメだからね。私と約束してくれる?ハチマン。」

 

八幡「おう、勿論だ。一緒に写真を撮ってくれた以上、約束は破らねぇよ。」

 

顔が少し赤いものの、比企谷はイ○ヤと交わした約束を守ると宣言していた。

 

沙希「あ、あの、比企谷?本当にいいの?」

 

八幡「大丈夫だろ。これぐらい、俺達じゃ普通じゃねぇか。」

 

沙希「なっ……!お、俺達じゃ普通って……!!」

 

本当にコイツとイ○ヤは、さっきから何、アタシが恥ずかしくなるような事ばっかり、言ってるの!?さっきから、ずっと顔が赤くなったまんまなんだけど……!

 

イ○ヤ「うんうん。何かいいわね、ハチマンとサキの雰囲気。それじゃ、私達もう行くからね。」

 

八幡「ああ。縁があったら、またどっかで会おうぜ。士○さん達もですよ。」

 

沙希「じゃ、じゃあね、イ○ヤ。皆さんもありがとうございました。」

 

シ○ウ「ああ、お別れは言わないさ。またな、八幡、沙希。」

 

サ○ラ「また何処かでお会い出来るといいですね。」

 

○ン「あなた達には本当にお世話になったわ、主にイ○ヤがね。」

 

セ○バー「あなた方のご好意、心から感謝します。」

 

イ○ヤ「バイバーイ!!またねー!!ハチマン!サキ!」

 

そうして、アタシと比企谷は大きく手を振っていたイ○ヤ達と別れて、さっきいた商店街に戻る事にした。

 

それにしても、イ○ヤもそうだけど、他の人達も不思議な人達だったような気がする。見た目はアタシ達と同じぐらいの年令なのに、何となくいろんな経験をしてきたって感じがした人達だった。

 

比企谷もよく知っている人達みたいだし、あの人達は本当に何者だったんだろう……?

 

 

 

 

 

 

~札幌市街~

 

イ○ヤ達と別れてから、暫くの間会話もせずに、手を繋ぎながら札幌の街を歩いていた。

 

それもそのはず、比企谷が繋いでいない方の手で、アタシのカメラを持って、さっきイ○ヤ達と撮った写真をホクホク顔で見ていたからだ。

 

こんなニコニコしている比企谷、初めて見た……。アタシ、実は貴重な瞬間を見てるんじゃないのかな?いつも、どっちかって言えばブスッとした顔位しか見てないから。

 

八幡「なあ、川崎。」

 

そう思っていた時に、比企谷は突然、アタシに尋ねてくる。

 

沙希「な、何?」

 

八幡「お前、このカメラで撮った写真、絶対現像して俺にくれよ!絶対だからな!マジで一生の宝物にするから!」

 

沙希「あ、ああ。分かってるよ。アタシもそのつもりだから……。」

 

な、何だ……。写真の事か……。

 

少し残念な気持ちになりながらも、アタシは比企谷の要望に応える。言われなくても、そのつもりだったんだけど……。

 

八幡「本当か!?サンキュー!愛してるぜ、沙希!!」

 

沙希「なっ……!ア、アンタ、また……!!」

 

本当にコイツは……!また、アタシの事、名前で呼んで……!

 

でも、不思議と嫌な気分にならなかった。比企谷との距離が、今回の事をきっかけに縮められたような気がして、むしろ幸せな気持ちに包まれていた。それと同時に、そのきっかけを作ってくれたイ○ヤにも心から感謝していた。しかし――――

 

陽乃「――――へぇー……やっぱり抜け駆けしていたんだね、沙希ちゃん……?」

 

八幡・沙希『…………えっ?』ビクッ

 

その幸せな気分も一瞬の内に終わりを迎えたのだった。背後から突然聴こえてきた底冷えする声に、アタシと比企谷が恐る恐る後ろを振り向くと

 

結衣「ズルいなぁ……沙希。抜け駆けなんて、本当にズルいなぁ……。許せないなぁ……。」

 

いろは「何が迷子の家族を探すですか……。そんな事言って、本当は先輩とデートしてたんじゃないですか……川崎先輩?」

 

留美「本当に迷子の家族を探していたの?何かそんな手を繋いでいるところを見せつけられると、信用出来ないんだけど……。」

 

雪乃「そうね。しかも、今の『愛してるぜ、沙希』という言葉、それも含めて、私達に納得の出来る説明が欲しいわね。手繋ぎ谷君に川崎さん。」

 

そこにはいつの間にか、アタシ達に冷たい視線を向けた、雪ノ下・由比ヶ浜・一色・留美・陽乃さんがいた。

 

めぐり「は、はわわわわ……。比企谷君と川崎さん、いつの間にそんな手を繋ぐような仲に……!」

 

小町「うーん……。これは、小町的にポイント爆上げなんですけど……。この状況じゃ笑えないかも……。」

 

奈呼・璃夢『ハ、ハハハ……。』

 

その後ろには、うろたえている城廻先輩、複雑な表情をしている小町、苦笑いをしている奈呼さんと璃夢さんもいた。

 

その後、アタシと比企谷は釈明をしたが、奈呼さんと璃夢さん以外のメンツに一向に信じてもらえず、最終的にはカメラで撮ったイ○ヤ達との写真+璃夢さんの証言で、ようやく信じてもらえたのだった。

 

イ○ヤ達と一緒に撮った写真を見せた時に、比企谷が小町に彼女達の事を話したら、小町が『あああああああ!!思い出したーーーーーー!!何で小町達が行くまで引き留めてくれなかったの、ゴミぃちゃん!!小町もこの人達と一緒に写真撮りたかったー!!』とか『アー○ャーやラ○サーやア○シンやギ○様はいなかったの!?』とか、小町も比企谷同様、彼女達の事を知っていたらしく、物凄く興奮していたのであった。(因みに、他のメンツは知らなかったみたいで、興奮している比企谷と小町にドン引きしていた。)

 

最後に、この旅行の後日談として、アタシのカメラに収めてあるアタシと比企谷とイ○ヤ達の写真を見せたところ、大志と戸塚、材木座と海老名辺りが、比企谷や小町と同じぐらいの反応を見せていた。

 

大志は『マジかよ!?姉ちゃんとお兄さん、良いなー!俺もこの人達と会いたかったー!!』と羨ましがっていたり、戸塚は『八幡と川崎さん、凄ーい!!本当にこの人達が来てたの!?』と驚いていたり、材木座は『おのれ、八幡……!!何故、セ○バー嬢や遠○姉妹やイ○ヤ嬢達と……!!』と血の涙を流すぐらい悔しがっていたり、海老名は『もしかして、『しろ×はち』!?禁断のコラボの『しろ×はち』なの!?キーマーシーターワーーーーー!!!!!』とか、訳の分からない事を言って鼻血を出していた。

 

もしかして、あの子達、一部の人達にはかなりの有名人だったのかな……?

 

 

 

 

 

―――――おまけ・第6話――――

 

○ン「ねぇ、イ○ヤ。1つ聞いていい?」

 

八幡と沙希と別れた後、ホテルに戻ってる時に○ンがイ○ヤに尋ねていた。

 

イ○ヤ「何?」

 

○ン「どうして、あの八幡ってヤツ、私達の事を知っていたのかしら?まさか、私達の秘密を話した訳じゃないわよね?」

 

イ○ヤ「話すわけないじゃない。でも、本当に何でだろうね?」

 

セ○バー「あのハチマンという男、魔術師だったという可能性は?」

 

イ○ヤ「それはないわよ、セ○バー。だって、ハチマンもサキも手に触れた時、魔力を全然感じなかったもの。」

 

サ○ラ「うーん………でしたら、どうして私達の事を知っていたんでしょうね?セ○バーさん以外の私達の名前まで、フルネームで答えてましたからね。」

 

イ○ヤ「そういえば、そうね。私の本名も『イ○ヤス○ィール・フ○ン・ア○ンツベ○ン』って言ってたぐらいだし。」

 

シ○ウ「まあ、いいじゃないか。アイツ、悪い奴じゃ無さそうだったしな。俺達の大ファンだって事で。でも、俺達、そんなに有名人じゃないはずなんだけどな。」

 

イ○ヤ「まったく、シ○ウは相変わらずお人好しね。そんなところが、シ○ウらしいけどね。」

 

5人は、八幡の事を話題にしながら、ほのぼのとした平和な会話をしていた。

 

シ○ウ「あっ、そういえばあのもう1人の女の子、沙希って子なんだけど……。」

 

イ○ヤ「えっ?サキがどうかしたの?」

 

シ○ウ「あの子、結構良かったよな。俺達の周りにはいなそうな同年代の綺麗でクールな美人なのに、俺の勘だけど家庭的な優しい感じがするんだ。何となく、ああいう子と結婚したいなって思って。」

 

しかし、シ○ウのこの(本人的には)悪気の無い言葉で、ほのぼのとした平和が終わりを告げる。

 

○ン「ふ~ん……私達を目の前にしてそんな事言うなんて、いい度胸してるわね、衛○君?」ゴゴゴ

 

シ○ウ「あっ……!」ビクッ

 

シ○ウが気が付いた時には、後の祭りだった。4人の目の前でこんな事を話してしまったら、只では済まないという事を、彼は失念していたのだ。

 

セ○バー「……シ○ウ、貴方という人は……。」ゴゴゴ

 

サ○ラ「……先輩、私達というものがありながら、その発言はなんなんですかねぇ……?」ゴゴゴ

 

イ○ヤ「……お兄ちゃん、いくらサキが私を助けてくれたって言っても、今の発言は許せないよ……?」ゴゴゴ

 

シ○ウ「い、いや、ご、誤解だ!悪気は無いんだ!ただ、そう思っただけで……!!」

 

○ン「問答無用よ!徹底的にお仕置きするわよ!!」

 

イ○ヤ・セ○バー・サ○ラ『了解(よ)(です)!!』

 

シ○ウ「ぎゃーーーーーー!!!!なんでさーーーーーーーー!!」

 

こうして、シ○ウは自分の失言によって、哀れにもお仕置きを受けるのであった。そして、そんな光景の目撃者がいた。

 

かおり「何、あの人達?超修羅場ってるんですけど、ウケる!」

 

サッポ○ビール博物館から家族と一緒に帰ってきた折本かおりが、偶然彼等と宿泊したホテルが一緒だった為、ホテルの近くで起きていた修羅場を見て、ウケていたのであった。




以上、第8話でした。

次回からは、1日目の夜の部の物語になります。

では、また次回お会いしましょう!

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