ドラクエ30周年おめでとう小説。
ドラクエバトルロードシリーズでドラクエ2の3人がミナデインを使うと知って書いたものです。
この作品はピクシブにも投稿しております。

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3人で勇者!(ドラクエ30周年おめでとう小説)

『ドラゴンクエストシリーズ30周年おめでとう!』

 

 煌びやかなシャンデリア、真紅の絨毯、上等な鎧に身を包んだ衛兵達、大勢の客人……特別な記念の宴はラダトーム国王の乾杯の合図で幕を開けた。

 

 祝いのグラスにはシャンパンが注がれ、グラスが軽やかにぶつかる音とともに楽しそうな笑い声が城内の大広間に響く。

 

 此処、アレフガルドのラダトーム城では盛大な宴が催されており、招待された者達……人間だけでなくモンスター、魔族、エルフ、ドワーフ、ホビットなど様々な種族が集まっている。

 

 今年ドラゴンクエストシリーズは30周年を迎え、ラダトーム城の王が主催した祝いの席には歴代の勇者や魔王達が立場を超えて、それぞれ思い出話に花を咲かせていた。

 

「ははは……お前も勇者なのか? 世界の半分をお前にやろう?」

 酔っているのか何杯目かのワイン片手に、お馴染みのセリフを語る竜王。

 

「面白いジョークをいうなあ竜王さんはーボク元からグランバニアの王なんで、自分の国で精一杯ですよ! ……それにボクじゃなくて息子が勇者なんです」

 

 竜王の30周年ジョークに笑って答えるグランバニア王リュカ。

 彼の傍には3人の美女……金髪の幼馴染みビアンカ、青髪の清楚な令嬢フローラ、黒髪のセクシーゴージャスなデボラがドレスアップした姿でリュカに寄り添っている。

 3人とも天空の花嫁という肩書きで、誰が正妻なのかは会場の魔王達ですら分からない。

 

 パーティー会場には、勇者の仲間達が大勢招かれているせいか、腕が立ちそうな戦士や武闘家の姿も見られる。

 

「あら、あの人すごく強そうね? 武道家かしら……是非、手合わせお願いしたいわ!」

 

「姫様、パーティー会場での勝負はおやめ下さい」

 

 サントハイムのおてんば姫アリーナが大きな瞳をキラキラ輝かせながら、いかにも力自慢のモヒカンヘア大工ハッサンを見かけて勝負を申し込もうとしているのを従者のクリフトが止めている……どうやら、このような事は姫と従者にとっては日常茶飯事のようだ。

 

「久しぶりのラダトーム城……今夜は特別賑やかで楽しいわね!」

 

 紫色のロングヘアを巻き髪にし、魔導師特有のローブに身を包んだ可愛らしい容姿の美少女ムーンブルクの王女ルーナが集まった人々を見て感想を述べる。

 

 のんびり屋でマイペースなサマルトリアの王子サトリは、オードブル片手に異世界の魔王と談笑していた。

 

 精霊ルビスの導きにより、気がつくとラダトームのパーティー会場に召喚されていたローレシアの王子ロラン達。

 

 3人とも王族であるため破壊神シドーを倒した後は、それぞれの国の復興に忙しくなかなか顔を合わせる機会がなかったが、元気そうで何よりだ。

 

 特に、壊滅状態で心配されていたムーンブルク城も国民達が普通の生活が出来るくらいには回復し、ひと安心である。

 

 異世界の勇者や魔王達はロラン一行のことを『勇者一行』と呼んでくれたが、自分たちは伝説の勇者の子孫というだけで明確にメンバーの誰が勇者なのか考えたことすら無い。

 

 ロラン王子は呪文を一切使わない戦士型。

 サトリ王子は魔法戦士。

 ルーナ王女は呪文のエキスパートだ。

 過酷なことで有名な白銀の大地ロンダルキアも3人でチカラを合わせて乗り切った。

 あえていうなら、3人で一人前といったところだろうか?

 

 歴代の勇者達と会話していくうちに、得意呪文の話になった。

 

「ソロ君ってミナデインって呪文が使えるんだ……いいなぁ、仲間と呪文が共有できて。オレなんかひとり旅だから」

 

 竜王からラダトームを救った勇者は、天空の勇者ソロが導かれし者達と協力して放つ呪文ミナデインを羨ましいと語る。

 

 ローレシアの王子ロランは魔法を使うことは出来ないので、呪文の話題はよく分からない。

 

「ロランさんは、どんな魔法が使えるの?」

 

 悪気なく質問してきた漁師の少年アルスにロランは素直に、

「魔法……使えないんだ」

 と、答えた。

 

 その時、勇者一同の中で沈黙が起こり、そして何故かみんながすごいと言い始めた。

 

「ロラン君って、呪文無しで破壊神を倒したの? 凄すぎ……オレなんかMP切ればかり気にして戦闘してるのに」

 

「僕も長期戦になるとMP気にしてヒヤヒヤしてるよー」

 

 どうやら、他の勇者達は魔法力であるMPに気を使いながら戦闘しているようだ。

 ロランには無縁の話だが……。

 

「じゃあ、特技スキルは? どんなスキルを持っているの? メタル斬りとか?」

 

 元守護天使ナインの質問にロランは、

「スキルも持って無いです……はぐれメタルくらいなら1、度殴れば倒せるし……」

 と、再び正直に答える。

 

メタルを一撃発言にさらに驚く勇者達。

 

「もしかしたら、ロラン君は呪文や特技を使わなくても充分すぎるくらい強いから、精霊神ルビスがチカラを制限してるのかもしれないね」

 

 アレフガルドを救った伝説の勇者ロトは、ロランの魔法も特技も使わない特殊な攻撃力の高さについて分析してみせる。

 

 次第に話題は、グランバニア王リュカの正妻は誰なのか……天空の花嫁論争へと移っていく。

 

 やがて夜も更けていき、30周年記念パーティーは終焉を迎え勇者や魔王達はそれぞれの故郷に帰って行った。

 

 

 

 せっかく3人集まったのだから……と伝説の勇者ロトの勧めもあり、ロラン達は久しぶりに小旅行も兼ねた冒険として異国の地に足を踏み入れた。

 

 迷い込んだ洞窟の最奥は、マグマが噴出しているのではないか? と、いうほどの熱量で覆われている。

 ジリジリと全身に伝わる熱量に3人は引き返そうとしたが、その瞬間何かの気配を感じ取った。

 現れたのは巨大な肉体に三つの目を持つ地獄の帝王と謳われる、魔王エスターク。

 

「グゴゴゴゴゴ……我が眠りを妨げるものは誰だ……?」

 

 双剣を振り下ろし、襲いかかってきた地獄の帝王にロンダルキアでは負けなし……というくらいレベルを上げたハズのロラン達は苦戦を強いられる。

 

 地獄の帝王の異名に相応しく、圧倒的な攻撃力、凍てつく波動によるスクルトなど補助魔法の無効化、吐き出される炎のブレスはロラン達3人に大ダメージを与えた。

 

 せっかく世界に平和が戻ったのに、こんなところで負けるわけにはいかない……。

 

 それとも、やはり勇者という明確な存在がいない自分達パーティーには限界があるのだろうか?

 

 ダメージの影響でロランの稲妻の剣が地面に音を立てて落ちる。諦めかけたその時、ムーンブルクの王女ルーナが自身の回復よりもベホマでロランの回復を優先させた。

 

「ロラン! 諦めちゃダメよ」

 

「僕たち、3人で何でも乗り越えてきただろう? 今回もやれるよ!」

 

 楽観主義者のサマルトリアの王子サトリもロランを励ます。

 何度彼らに救われたことか……。

 

 けれど、今回の敵はそんな簡単に倒せる敵だろうか?

 戦闘の主導権を完全に向こうに取られてしまっている。

 何かの攻撃をきっかけにこちらのペースに出来れば或いは……。

 せめて、オレが魔法を使えれば……。

 

 ロランは、何度努力しても魔法だけは使えるようにならなかった。

 仕方なく、剣技のに絞って腕を磨くと右に出るものはいない程の強さへと成長を遂げる。

 さらに、ありとあらゆる武器防具を使いこなせるようになった。

 

 そうだ、オレはこの世界に存在するほとんどの武器防具を使いこなすことが出来る……たとえ、呪文が唱えられなくとも。

 

 ロランは手にした稲妻の剣を見て閃いた。

 

【稲妻の剣は雷を発生させる……まるで、他の勇者達が使えるあの魔法のように】

 

「サトリ、ルーナ、オレの剣に全力で魔力をぶつけてくれ!」

 

「⁈」

 

 サトリとルーナは一瞬戸惑ったものの、戦闘のリーダーであり、苦楽を共にしたかけがえのない仲間ロランのことを信じ呪文詠唱に入った。

 

 ロランの稲妻の剣に仲間の魔力が集められていく。

 そして、ロランは稲妻の剣をエスタークに向けて斬り込んだ。

 

「いくぞ! ミナデイン‼︎」

 

「グアアアアアアアアア!」

 

 激しい電撃のエネルギーは地獄の帝王の身体を貫き、エスタークは衝撃でバランスを崩した。

 

「チャンスだ!」

 

 ルーナが爆発魔法イオナズンを放ち、サトリが破壊の剣とはやぶさの剣を融合させた『はかぶさのつるぎ』で2回攻撃を仕掛ける。

 

 止めに渾身の力でロランはエスタークを撃った。

 

「ゴゴゴゴゴ……なかなかやるな……再び眠りにつくことにしよう……」

 

 大ダメージを受けた影響か、エスタークは地底に戻り洞窟内は再び静寂を取り戻した。

 

 

 

「久しぶりにモンスターと戦ったけど、まだまだ知らない強敵がたくさんいるな……」

 

 激しい戦闘後、移動呪文リレミトで洞窟から脱出したロラン達は、近くの街の公園で休息を取っていた。

 露店に売られていた『スライム肉まん』というスライムモチーフの肉まんを食べながら、今日の戦闘の検討会だ。

 

 ロランの素直な感想にルーナは、

「私も呪文の腕をもっと磨くことにするわ! イオグランデを覚えることにしたの。イオナズンより強力なのよ」

 と、新しい魔導書片手に笑顔で語る。

 

「僕は、もっといろんな世界のモンスターや料理に出会ってみたいなあ……スライム肉まん以外にもきっと知らない料理があると思うんだ」

 

 スライム肉まんを平らげたサトリは、観光気分で他の世界を廻ってみたいようだ。

 

 つまり……。

 

「もちろん3人で一緒に行くでしょ?」

 

 新たな本格的な旅の誘いに、断る理由なんてなかった。

 冒険の旅を3人でするのは当然だ。

なぜならオレ達は……。

 

「当たり前だろ? オレ達は3人で一人前の勇者だからさ!」

 


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