問題児たちと『黄金の回転』が異世界から来るそうですよ? 作:あかひ
3.牙-問題児のとばっちり-
場所は箱庭二一〇五三八〇外門
箱庭の外壁と内壁をつなぐ階段の前で少年、ジン=ラッセルはいた。一人誰かを待っているようだ。
先程まで子供たちがここで騒いでいたが、待ちくたびれて帰ってしまったのだろう。
そこに彼を呼ぶ声が一つ
「ジン坊っちゃーン! 新しい方を連れてきましたよー!」
「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」
「はいな、こちらの御四人様が―――」
クルリ、と振り返る黒ウサギ。
カチン、と固まる黒ウサギ。
「・・・え、あれ? もう二人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!"ってオーラを放っている殿方と、あの馬に乗っていた、
「ああ、十六夜君のこと? 彼なら“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!"と言って駆け出して行ったわ。あっちの方に」
「じゃ、じゃあジョニィさんは・・・」
「ジョニィなら十六夜が“ヤハハ、こいつも連れていくぜ"って」
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「“止めてくれるなよ"と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「“黒ウサギには言うなよ"と言われたから」
「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」
「「うん」」
ガクリ、と前のめりに倒れる。新たな人材に心を踊らせていたら、まさかこんな問題児ばかり掴まされるなんて嫌がらせにも程がある。
そんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫んだ。
「た、大変です! “世界の果て"にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」
「幻獣?」
「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に“世界の果て"付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」
「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?・・・斬新?」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
ジンは必死に事の重大さを訴えるが、二人は叱られても肩を竦めるだけである。
黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった。
「はあ・・・・・・ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御二人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児達を捕まえに参ります。事のついでに―――“箱庭の貴族"と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」
悲しみから立ち直った黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。
「一刻ほどで戻ります! 皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」
全力で跳躍した黒ウサギは弾丸のように飛び去り、あっという間に三人の視界から消え去っていった。
「箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ」
巻き上がる風から髪の毛を庇う様に抑えていた久藤が呟く。
「凄いね三毛猫、私も黒ウサギと友達になったらあんな風に速く跳べるのかな?」
『
「ふふ、そうだね」
春日部は春日部で黒ウサギを話題にしているようだ。
「黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」
「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。二人の名前は?」
「久藤飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」
「春日部耀」
ジンが礼儀正しく自己紹介をすると、飛鳥と耀はそれに倣って一礼した。
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」
飛鳥はジンの手を取り、胸を躍らせるような笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。
――――――――――
「あーもう! 一体どこまで行っちゃったんですか!?」
黒ウサギは十六夜達を探して半刻が過ぎようとしている。
彼らの身を案じ、焦りを募らせ走る黒ウサギだったが、背後から声をかけられ足を止める。
「ん? おや、誰かと思えば。君、黒ウサギかい? 随分雰囲気が変わったね。どうしたんだい? その髪、赤色・・・いや、緋色になってるぜ?」
「ジョニィさん! 良かった、十六夜さんは御一緒では?」
「いや、逆廻なら先に行ったぜ。おかしな話だよな、僕を連れて来といて置いていくんだぜ?」
「アハハ、全く十六夜さんは自由すぎますヨ」
笑って誤魔化そうとするが、十六夜の自由人っぷりは誤魔化せない。ガクリと肩を落とす。
「では、十六夜さんはこの先に?」
「ああ、この先にいるぜ・・・
「え! 今なんて言いました?ちょっと待ってください! 今、小さくたぶんて付け足しませんでした? たぶんッ!?」
「うるさいな、大丈夫だ。いるって・・・
「何ですかそれ!? きっと!?」
「うるさいな、行けばわかることだろ?」
ギャーギャーと叫ぶ黒ウサギを置いて馬を走らせるジョニィと、それを追いかける黒ウサギ。
彼女はジョニィにストップをかける
「まっ、待ってくださ―――」
しかし言い切ることはできなかった
黒ウサギのセリフを遮ったのは巨大な大地の揺れだった
「うおッ! なんだ!」
「わわ! ま、まさか、十六夜さんが幻獣と!」
黒ウサギはすかさず大河の方角を見ると、彼方には肉眼で確認できるほど巨大な水柱が幾つも立ち上がっている。
「幻獣が何かはわからないが、取り敢えずヤバイってことはわかった! 早く行こう!」
「はい!」
黒ウサギとジョニィは先を急いだ。
―――――――――
「この辺りのはず・・・・・・」
黒ウサギが辺りを見回すとまたも背後から声がかかった。
「ジョニィ、遅いぜ」
「遅いって・・・。君が速すぎるんだよ」
ジョニィは馬から降りて少し馬を休ませる。
ほんの数刻だけだが足場の悪い森の中を走ってきたのだ。度々休ませてやらないと馬の足が壊れてしまう。
「そうか? ・・・あれ、お前黒ウサギか? 」
黒ウサギ達に気づいた十六夜は二人に声をかける。
ジョニィは十六夜と軽く会話をしているが、黒ウサギは異世界から呼んで早々に二人に振り回されたからか怒髪天を衝くような怒りを込めて勢いよく十六夜に声をかける。
「もう、二人して一体何処まで来ているんですか!?」
「“世界の果て"まで来ているんですよ、っと」
「ああ、見ればわかるだろ。というかあんたはこの世界に住んでいるんだろう? もしかしてあんたは俗に言う馬鹿ってやつかい?」
「く、黒ウサギは馬鹿じゃありません!」
ジョニィの茶化しで更に怒っていく黒ウサギ
「まあそんなに怒るなよ」
十六夜の憎たらしい笑顔も健在だ。心配して急いで来たがそれは希有だったようだ。
「しかしいい足だな。遊んでいたとはいえこんな短時間で俺に追いつけるとは思わなかった」
「むっ、当然です。黒ウサギは“箱庭の貴族"と謳われる優秀な貴種です。その黒ウサギが」
アレ? と黒ウサギは首を傾げる。
箱庭の貴族である黒ウサギが半刻以上も追いつけなかったことを疑問に思ったからだ。しかし
(途端でジョニィさんにあったりしていたのでそのせいでしょうか・・・?)
と今は簡単に結論を出し特に気にもとめずに話を進めていく。
「ま、まあ、それはともかく! 十六夜さんが無事で良かったデス。水神のゲームに挑んだと聞いて肝を冷やしましたよ」
「水神?―――――ああ、
え? 黒ウサギは硬直する。十六夜は川面にうっすらと浮かぶ白くて長いモノを指さした。黒ウサギが理解する前にその巨体が鎌首を起こし、
『まだ・・・・・・・・・まだ試練は終わってないぞ、小僧ォ!!』
なんでも、試練を選べ、と言ってきた蛇神に対し、十六夜を試せるかどうか試させてもらったらしい。
ジョニィは、いやジョニィじゃなくても今の話を聞けば誰でもそう思っただろう。
コイツ、何を言っているんだ?、と
『貴様・・・・・・付け上がるな人間! 我がこの程度の事で倒れるか!!』
蛇神の甲高い咆哮が響き、巻き上がる風が水柱を上げて立ち昇る。
「十六夜さん、下がって!」
黒ウサギは庇おうとするが、十六夜の鋭い視線はそれを阻む。
「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺が
「僕はそんなつもりは無いぜ?」
『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様の勝利を認めてやる』
「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。
『フン―――――その戯言が貴様の最後だ!』
蛇神は水を操っているのか、蛇神が雄叫びを上げると竜巻のように渦を巻いた水柱が蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げ、周囲の木々をも巻き込んでゆく。
「十六夜さん!」
黒ウサギが叫ぶ。しかしもう遅い。
竜巻く水柱は十六夜の体を激流に飲み込む―――!
「―――ハッ―――――しゃらくせえ!!」
水柱を殴り飛ばした。
比喩にあらず、周りの木々を巻き込みながら十六夜を襲っていた水柱は、その十六夜の手によって粉砕された。
「ま、なかなかだったぜオマエ」
蛇神の胸元に跳び込んだ十六夜は蛇神が胴体に蹴りを浴びせる。
その蹴りで蛇神の巨躯は空中高く打ち上げられて川に落下した。
更に、十六夜が殴り飛ばした水柱も無くなった。
しかし、水柱に巻き上げられていた木々が重力に従い落ちてくる。巨大な蛇神よりも高かった水柱に巻き上げられていた木々がその高さから落ちてくるわけで、それはもはや
そしてその木々の下には、馬から降りているジョニィがいる。
「な、うおおおぉぉ!!!」
一瞬、十六夜の行為に絶句したが、すぐに自分の危機に気づく。
ジョニィとしてはあまり自分の能力は知られたくない、がしかし足が使えない以上、避けるという選択肢は無くなる。
必然、彼の能力。
「うおおおああぁぁact.2!!!」
すぐさま巻き上がっている木々とは別の周りの木々に視線を向け、木の葉から黄金長方形のスケールを見つけ出す。
自然界に存在する、約1:1.618の比率からなる美しい長方形。そこから無限に生み出される回転は、ジョニィの爪を回していく。
ドバッ! ドバドバッ! ドバッ!
派手な効果音を立てて爪は回転したまま飛んで行き、着弾した爪弾はかくじつに木々を粉微塵にしていく。
だが圧倒的に数が足りない。
ジョニィが打てるのは両手分十発、既に四発撃った。爪の回復には数分かかる。それに対し、木々はその何倍もある。
「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
ドバッ!
最後に一発分音がしたが、何を破壊することもなく、ジョニィだけが潰された。
「ジョ、ジョニィさん!」
「なんだ? ジョニィはもう
十六夜は無慈悲な言葉を告げる。
まるで弱いものには興味無いというようである
「な、何呑気なことを言っているのでございますか!」
「・・・ここで再起不能って事はその程度ってことだろ。そこまできにする必要は・・・ん?」
そこまで言って十六夜はなにかに気がついた。
それは落下した木々の残骸の下から移動してきた奇妙な穴だった。その穴は“ギャルギャル"と音を発し、
そしてそれは徐々に十六夜に近づいてくる。
不思議に思い穴に触れてみる。普通に考えればこの行為は危険だ、得体の知れないものに触れるのだから。しかし、十六夜はたとえ何が来ても自分がやられる訳が無いという、一種の自惚れにも似た自信を持っていた。
バキィ!
「ッ痛!」
だがそんな十六夜の自信とは逆に十六夜の指はダメージを受けた。指先は穴に触れただけなのにも関わらず、刃物でズタズタに切り刻まれたようになっていた。
「・・・なんだ? この穴は」
呟いた数瞬後、穴からズズッと何かが出てくる。
十六夜は一瞬で臨戦態勢に入る。
穴から出てきたのは指のような物だった。
ゆっくりと穴から這い出すそれはやはり指であった。そしてその後からは手、腕と次々に穴から出てくる。
腕が出てきたところで、十六夜は警戒を解いた。これが誰なのかがわかったからだ。
その腕には特徴的な
IF〜ポルナレフ〜
十六夜「なぁ、ポルナレフ、世界の果て見に行かねぇか?」
柱「はぁ? 黒ウサギについて来いって言われただろ?」
十「いいだろ? 別に」
柱(こいつッ! 何が何でも俺を連れていく気だぜッ!)
柱:そこで問題だ! 十六夜からの圧力が凄い中どうやってあの勧誘をかわすか?
3択―一つだけ選びなさい
答え①ハンサムのポルナレフは突如断る口実がひらめく
答え②
答え③断れない。 現実は非情である。
俺がマルをつけたいのは答え②だが期待はできない・・・本人達には悪いがあの二人がアメリカンコミック・ヒーローのようにジャジャーンと登場して「まってました!」と間一髪助けてくれるほど優しそうには見えねーぜ。
やはり答えは・・・①しかねえようだ!
柱「お、俺も早く箱庭がとんなとこか見たいんだよ! な! だから世界の果てには一人で―――」
十「かんけぇねぇ、行くぜ」
そう言って十六夜はポルナレフの襟首をつかみ跳躍した。
答え―③かわせない。現実は非常である。
―――――――
どうもあかひです。
まず一言
ものすごく遅くなりました、すいませんm(_ _)m
あらすじで書いている通り受験生を不本意ながらやっているので
まぁ、んなことは置いておいて次回もまた一ヶ月、下手すると二ヶ月ほど開くかも知れませんが、失踪はしないので忘れた頃にまた見に来てください、てか前回の文字数を二倍以上超えてるのに話が進まないという(困惑)
とりあえず次回も楽しんで読んでくれたらこちらも幸いです。
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