問題児たちと『黄金の回転』が異世界から来るそうですよ? 作:あかひ
7.ギフト
白夜叉が用意した試練というのは、鷲獅子グリフォンの背に跨り湖畔を舞う、というものだった。
「この鷲獅子に勇気、知恵、力のどれかを示せばいいんだろう? いいぜ、そのくらい僕一人でも―――」
「私にやらせて」
春日部が名乗りを上げた。しかしもともと試練に乗り気ではなかった三人にジョニィは参加させるつもりはなかった。
「・・・悪いけどあんた達には任せられない。僕がやる」
「私にやらせて、お願いします」
真剣に頭を下げる春日部。グリフォンと聞いてからの食い付き、彼女にも譲れない何かがあるのだろう。
しばらくの沈黙の後、折れたのはジョニィだった。
「うっ・・・わかった! わかったよ! わかったから頭を上げろ!」
「本当に! ありがとう!」
「ただし、負けたら容赦しないからなッ!」
「もちろん負けるつもりはないよ」
足が動かないというアドバンテージ、彼はこのゲームは分が悪い事を理解していた。
渋々、本当に仕方がなく彼女に任せることにした。
白夜叉・・・否、グリフォンとのギフトゲーム。
春日部は『命』を、グリフォンは『誇り』をかけたゲームは春日部が何とかクリアできた。
「うむ。試練をクリアしたおんしらへちょいと贅沢な代物だがサービスをしよう。コミュニティ復興の前祝いだ」
パンパンと白夜叉が柏手を打つと、四人の眼前に光り輝くカードが現れる。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム"
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム"
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム"
アイルトーンブルーのカードにジョニィ・ジョースター・ギフトネーム"
「ギフトカード!」
「? なんだ、それ」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「ち、違います! というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのです!? このギフトカードは顕現してるギフトを収納できる超高価なカードですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
黒ウサギに叱られながら四人はそれぞれのカードを物珍しそうにみつめる。
「我らの双女神そうめがみの紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは"ノーネーム"だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」
そう言って己のギフトカードを見せる白夜叉。彼女のカードには2人の剣を持った女神が向かい合っている。
「そのギフトカードは、正式名称を"ラプラスの紙片"、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった"恩恵ギフト"の名称。鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」
「へえ? じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
ん? と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗きこむ。そこには確かに "正体不明"の文字が刻まれている。ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉は表情の変化は劇的だった。
「・・・いや、そんな馬鹿な」
白夜叉は顔色を変えて十六夜からギフトカードを取り上げる。
「"正体不明"だと・・・? いいやありえん、全知である"ラプラスの紙片"がエラーを起こすはずなど」
「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」
むむむ、と白夜叉が納得出来ずに考えを巡らしている隣でジョニィも驚きに目を見開いていた。
「馬鹿なッ! いや、しかし・・・少し前からあった違和感。なぜ・・・
ここに存在するはずのないモノ。
ここに存在していては行けないもの。
ジョニィは自身の左腕、その恩恵から恐ろしいほどの重圧を感じていたのだった。
六人と一匹は暖簾の下げられた店前に移動し、耀達は一礼した。
「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」
「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むものだもの」
「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」
「いつか、勝てるようになったら、改めて、挑ませてもらうよ」
「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。・・・ところで」
白夜叉はスッと真剣な顔で黒ウサギ達を見る
「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」
「ああ、名前とか旗の話か? それなら聞いたぜ」
「ならそれを取り戻すために、“魔王”と戦わねばならんことも?」
「聞いてるわよ」
「・・・では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」
「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」
「"カッコいい"で済む話ではないのだがの・・・全く、若さゆえなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが・・・そこの娘二人と小僧。おんしらは確実に死ぬぞ」
春日部、久遠、ジョニィを正面から見据え、予言するかのように断言する。三人は一瞬だけ言い返そうと言葉を探したが、魔王と同じく"主催者権限"を持つ白夜叉の助言は、物を言わさぬ威圧感があった。
「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。小僧はともかく、おんしら二人の力で魔王のゲームは生き残れん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ」
久遠と春日部は白夜叉の経験から来る確信にも近い予言にゴクリと生唾を呑み込む。
「そしてバンダナの小僧。おんしはいくつかの死線を潜ってきたのであろう? そういう目をしておる。だがここでは勝手が違う、このままで生き残れると思うな」
「ご忠告どうも、でもそんなの僕には関係ないね。僕には目的があるんだ、そのためだったらなんだって利用してやる」
「ふふ、そうか。おんしがそれで良いのなら良い。娘二人も覚悟をしておくのだな」
「ご忠告ありがとう。肝に銘じておくわ。次は貴女の本気のゲームに挑みに行くから、覚悟しておきなさい」
「ふふ、望むところだ私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。・・・ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」
「嫌です!」
「つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」
「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」
怒る黒ウサギ。笑う白夜叉。店を出た四人と1匹は無愛想な女性店員に見送られて"サウザンドアイズ"二一○五三八○外門支店を後にした。
場所は再び白夜叉の私室。
そこにいるのは二人、部屋の持ち主白夜叉と異邦人ジョニィ・ジョースター
「して、聞きたいことというのはなんだ、小僧。わざわざ一人で引き返してきたのだ、あの四人にはあまり聞かれたくない話なんだろう?」
「・・・単刀直入に聞く、並行世界の中でひとつの世界にしか存在のしない物ってあるのか?」
お久しぶりです! あかひです!
遅くなりましたがもういっそ開き直ってみます^^
レポート地獄なども生還し、およそ一年ぶりの最新話! 普段より5割増でハイテンションです!
と、ここで本文中の補足を致します。(急に真面目なトーン)
ジョニィのギフトの内に"漆黒の殺意"というギフトが含まれています。
こちらに関してはジョニィの強烈な意思がギフトとして昇華したものと考えて頂ければ幸いです。
目的のためならば一国を敵に回しても良い。そんなにも強い意思ならばそれはもうギフトとして認められても良いのではないか。
そもそもギフトとは才能、ジョニィのこの意思もある意味では才能、つまるところギフトでは無いのかと思ったのです。
以上の点をこの作品内での共通認識と致しますので、ご理解していただいた上で、今後ともこの駄作をよろしくお願いします。
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