The House of the Dead 鎧の銃痕 作:おーばーねいちゃー
原作:The House of the Dead
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 ゾンビ HODシリーズ The House of the Dead AMS隊員 一作目の数時間前 独自解釈 短編
――1998年12月18日。ローガンとGがキュリアン邸に向かう数時間ほど前。
……キュリアン邸にいる研究員から連絡があった。その内容は救助を求めるものであった。
俺――ジャックはAMS隊員として隊長よりキュリアン邸に向かう事を命じられた。隊長によると俺が潜入してから遅れてローガンとGが来るらしい。俺の使命はローガンとGが来るまでに出来るだけ研究員を助けることだ。
「しっかし……研究員からってそんなに緊急のものなのか?」
軽い愚痴を溢しながらキュリアン邸の前に車を停める。隊長からは緊急時の為に銃と弾薬を渡されている。
「……ま、一応持っていくか」
渡された銃と持っていけるだけの弾薬を持ち俺はキュリアン邸の門を通った。
◇◆◇◆
天気が雨のせいでキュリアン邸が不気味に見えるが、あそこはいつも不気味である。
門を越えてキュリアン邸に入ったが人の気配すら感じない。
「ったく……誰もいないじゃねぇかよ……」
髪をガシガシと掻きながらまた愚痴を溢す。その時だった。
『ガサッ』
誰かが歩く音が聴こえる。研究員だろうか?
「おい、研究員か?」
足音の聞こえた方に向かう。そこには黒いスーツを着た男性が立っている。後ろ姿しか見えないのでどんな男性かは分からないが、きっと研究員だろう。とりあえず他の研究員は何処か聞いてみようと思い男性に近寄った。
「なぁ、他にはどこに……ッ!!」
男性が振り向いた。だがその男性は普通ではなかった。顔の肉は腐り落ちており、骨が見えている。そして男性は俺を見るなり呻き声をあげて足を引き摺るように向かってくる。
「お、おい。落ち着け、落ち着くんだ」
銃を向けて脅してみるが男性は歩むのを止めない。
「これ以上近付いたら撃つぞ?」
それでも男性は近付いてくる。
「―ッ!! どうなっても知らねぇぞ!」
俺は引き金を引いた。轟音と共に銃口から銃弾が発射され男性の腕を撃ち抜く。…撃たれた腕がいとも簡単に吹き飛ぶ。が、男性は歩みを止めない。それどころか痛んでいる素振りすら見せずに近づいてくる。これじゃあまるでゾンビじゃないか。
「…すまないが許してくれ」
銃口を男性の頭部に向けて引き金を引く。そして腕の時と同じように頭部が吹き飛び、男性はその場に倒れた。…何かがおかしい。俺の直観はそう告げていた。なんせ俺の持つ銃に腕を吹き飛ばすほどの威力はない。あったとしても体を貫く程度なのだ。それなのにあの男性の腕は、頭部はいともたやすく吹き飛んだのだ。
…今はそんなことを考えている場合ではない。ローガンたちが到着する前に早く研究員たちを救出しなくては。
倒れている男性の死体に目をやる。このようなものが館内を徘徊しているというのなら研究員たちの命が危うい。急がなくてはならない。
「…急ごう。ローガンたちの到着までに少しでも…」
周りに目を向ける。どうやら先ほどの二度の発砲音で周囲のゾンビたちが集まってきている。
「はぁ…。まだしゃべってる途中だろ…」
ため息まじりに愚痴を溢しながらも俺はゾンビたちを無視しながら館に駆けていった。
◇◆◇◆
館のエントランスに入ってから状況を理解する。
館内は予想通りであった。ゾンビたちが徘徊しており、ところどころに研究員たちの無残な死体が転がっていた。と、その時背後で素早く動く何かがいた。
「ッ!」
振り向くがすでにそこには何もいない。しかし、横目でその動き回るものの姿をとらえていた。そいつはサル…という動物に似た容姿をしていた。
銃を向けるが、素早いせいでうまく銃口を合わせることができない。相手もこちらが見ていることに気付いたのか、挑発するような動きから攻撃に移ってきた。が、それによりこちらもサルに狙いをつけやすくなった。サルが向かってくるときに合わせ引き金を引く。銃弾が当たり、サルがのけぞる。しかし、完全に仕留め損ねたのか、まだサルは向かってくる。だが、動きは先ほどと同じ。ただ向かってくるだけである。再び引き金を引き、銃弾が放たれサルの脳天を打ち抜いた。
「動物型のゾンビ…ったくどんな研究してるんだよ…」
静かになったエントランスから続く扉をぬけ、道なりに進んでいく。
この館はかなり特殊なつくりである。ところどころで館内のつくりが違うのだ。いや、正確には館を抜けた先に研究所があるため、研究所に近づくにつれ館の中にも機械が多くなってきているのだ。
石造りの道を進んでいくと悲鳴とともに金属がぶつかり合うような音が聞こえてきた。
悲鳴の主は研究員である可能性が高い。急がなくてはならない。
声の聞こえたほうに向かうと、一足遅かったのだろう。研究員がなにかで
はたして、その音の主はそこにいた。全身を覆う鎧と、何よりも目を引くのは三メートルはくだらない巨大な斧であった。その斧から滴り落ちる血はまだ新しかった。つまり、先ほどの研究員を殺したのはこいつで間違いないのだろう。
今までのゾンビと同じような思考ならば牽制をかけるべきであろう。銃を向け引き金を引く。
が、放たれた銃弾は奴の鎧に弾かれてしまった。
そして、それにより奴の標的が俺に移った。
「ッ!!」
非常に不味い状態になった。今は逃げることを優先しなくてはならない。急ぎ足でその場から逃げる。しかし、奴も俺を追いかけてくる。
「んで、あの巨体で早いんだよッ!!」
重そうな鎧を着けているのに奴の走る速度は予想より早かった。
このままではじきに追いつかれてしまう…、と窓に視線を向ける。中庭が見えた。
「くっ…一か八かだ!」
勢いよく窓ガラスに向けて走る。そして、窓ガラスを割り中庭に出ることができた。
「はぁ…はぁ…。アイツは…来ていないようだな」
どうやらアイツは俺を諦めたらしい。しかし…、あんなのが徘徊していては研究員を助けるのに邪魔になってしまう…。さらにアイツに研究員が殺されてしまう。
「あー…今日は厄日だっ…!?」
背中に激痛が走った。まるで刃物で切られたかのような。距離を取りつつ背後の存在の正体を確認する。
最悪だ…。そこには奴がいた。
背中に受けた傷が深かったのだろう。頭がフラフラする。
「くそ…、まじで厄日だな…」
銃で応戦しながらも後ずさるが、やはり奴には銃弾が効いている気配すらない。
それでもお構いなしに奴はこちらに一歩ずつ確実に近づいてきている。
「どうにもならねえってか…っ!」
やけになりながらも銃弾を打ち続ける。弾が切れては装填し、弾が切れては装填し…、何度目だったろうか。奴に銃弾が当たった際に妙な音が聞こえてきた。その音は、弾が弾かれる音ではなく、何か硬いものに傷をつけたような音であった。
「…はぁ……、やっとだな」
どうやら奴の鎧の一部が銃弾に耐えれなくなった…、と考えるべきであろう。だが奴はひるむ素振りすら見せていない。一体どこに傷が…と奴の姿をよく確認すると胸のあたりにわずかだが体液らしきものが流れ出ている場所がある。
「そこかっ!」
残りの銃弾を…撃てる限りの銃弾を傷の部分に集中させる。
だが、意識を奴だけに向けていたのが間違いだった。首筋に激痛が走る。噛まれていた。
「この…っ!」
噛みついているゾンビの頭部に銃弾を放つ。ゾンビの頭部はたやすく爆ぜ、その場に頭部のない死体が残る。
さらに血を失ったことにより、意識が朦朧としてくる。もう助かることはないと頭が訴えかけてきている。だが、ここで死んではならない。せめて奴に…、鎧を壊せさえすればいい。
弾倉を確認する。残りは三発。壁にもたれかかりながら、銃口を鎧の傷に向ける。
一発――まだ壊れない。
二発――あと少し…。
三発――引き金を引き絞る。撃ちだされた銃弾は奴の鎧の一部を砕き、奴の本体を露出させた。
だが、奴は近づいてくる。傷には気づいていないようだ。
「はは…、ローガン。G。あとは頼むぜ……」
ローガンたちがあの鎧の傷に気づいてくれればいい。俺は目を瞑る。
数秒後、斧が振り下ろされAMS隊員ジャックは命を散らした。
◆◇◆◇
――同日。ローガンとGの活躍により、キュリアン邸の事件は解決した。
Fin
もはや妄想でしかない作品を読んでいただきありがとうございました。
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