睡眠を邪魔する厄介者を退治する時にアポロンが言ったセリフとは……。
これは一度Twitterで書いたものをショートショート用に書き足したものです。
ちなみに、Twitterのほうには絵師さんに書いて貰ったこの物語のワンシーンのイラストがあります。
プチえろっぽいので見れるかたは見て下さい。
「もう寝ようよ~、お姉ちゃん……」
アポロンが目をこすりながら居間に入ってきた。
それを見たアルテミスは、壁掛け時計に目を向けた。
いつの間にか、もう夜の11時を回っている。
アルテミスは妹の眠たそうなその愛らしい仕草を見て、今日はもう休もうと思った。
それに、夕方からずっと、自分達の使う弓の調整をしていたので、首や肩に疲労が結構たまってもいる。
「そうね。もう寝ましょうか」
アルテミスはそう言うと、手早く弓を片付けて、アポロンと共に隣の寝室へと入っていった。
すでに深夜とは言え、今は真夏の夜なので結構暑い。
それにいつも窓を開けて風を入れて寝ているのだが、今夜は風があまり吹いていないので、たぶん寝苦しいだろうと感じた。
パジャマに着替えた二人は一緒のベッドに寝そべった。
二人で薄い絹のような掛け布団を1枚かけて寝入ろうとしたが、やはり何だか蒸し暑くて寝苦しい。
その内にアポロンが我慢出来ずに言い出してきた。
「お姉ちゃん、暑いよ~。今日はもう脱いで寝ようよ~」
身を起こしたアポロンが、パジャマの裾をパタパタとはためかして風を寝巻きの中に入れている。
だがアルテミスは少し眉をしかめていた。
肌を出して寝るのはあまり風紀的にはよろしくないと言う観点からであった。
しかし、汗ばんで前髪が張り付いている妹の額を見て、しょうがないわねと内心ため息をついた。
たぶん妹は基礎体温が自分よりだいぶ高いのだろうと思った。キラーズ的にも自分は月で妹は太陽なのだから。
「いいわよ」
アルテミスはアポロンの額を撫でて前髪を整え、そう言った。
「うん!じゃあ、お姉ちゃんもね♪」
アポロンは嬉しそうな笑顔を見せた。
アルテミスは少し戸惑いながら言った。
「え?私も?」
「うん、……ダメ?」
アポロンに上目使いで見つめられてアルテミスは、少し躊躇ったあとに承諾した。自分も今日はとても寝苦しいだろうと思った事には変わりはないからだ。
それに寝室は2階で、このベッドに寝そべっている限りは、とりあえず外から誰かに覗かれる恐れはない。
アルテミスとアポロンはベッドの上で寝巻きと下着を全部脱ぎ、揃って裸になった。
アポロンは姉の前に足を折ってペタンと座ると、キラキラと輝く瞳で姉の大きな胸を見つめてきた。
「やっぱりお姉ちゃんは、胸大きいよね」
アポロンはそう言ってから、今度は自分のペッタンコな胸を触って言った。
「僕も、お姉ちゃんみたいになるかな」
彼女の胸は、手のひらで全て隠れてしまうような、慎ましい膨らみだった。
アルテミスは、妹のそのまだ幼い体型をいとおしげに見て言った。
「大丈夫ですよ、アポロン。貴女はまだまだこれから成長するのですから」
アポロンは嬉しそうに頷いて、アルテミスに抱き付いた。姉の胸に顔をうずめる。
「ありがとう!お姉ちゃん。だ~い好き♪」
「ふふ。さあ、もう寝ましょう」
二人はベッドに横になり、枕元の電気を消して、少し暑かったが寄り添って寝た。
アポロンの手が自然とアルテミスの胸のほうに伸びていった。
これは安らぎを求めての事なのだろうか。
まあとりあえず、あの形のよい胸の前ではしょうがない事なのだろう。
だが、この幸せそうな二人の仲を引き裂く邪魔物が静かに迫っていた。
それは電気を消すと聞こえてくる耳障りな羽音。
微かに聞こえる魔性の音色。
近づき遠ざかるを繰り返すまどろみを邪魔する厄介者の飛ぶ音。
そうそれは、蚊の飛ぶ羽音、モスキート音である。
アポロンはその音が一瞬聞こえてから、ずっと目を開けて暗闇をじっと見つめていた。
自分だけならまだしも、隣に大好きな姉が寝ているのだ。
姉の綺麗な柔肌に、蚊の無粋な針を突き立たせる訳にはいかない。
彼女はそう固く決心していた。
アルテミスのほうは起きてはいるが、もう寝たままで、あの蚊をやり過ごそうとしているらしかった。
アポロンは耳を済まして、ずっと機会を待っていた。
そして、自分の耳元を通り過ぎたところで、素早く枕元の電気を点けた。
その刹那、アポロンは素早く蚊が飛んでいると思われる辺りをじっと睨み付けた。
戦場で鍛えた彼女の眼がある一点を見つめる。
そして、ついに彼女の大きな目が宙を舞う小さな一匹の羽虫の姿を確実に捉えた。
驚いて少し身を起こした姉の前でアポロンは叫んだ。
その言葉は、このようなシチュエーションでは誰しもが言いたいと熱望するようなセリフであった。
「見えてるよっ!そこだねっ!!」
アポロンはダイブをするかのように、身を乗り出して、その蚊を両手で挟み込むようにして叩いた。
パチンッ!
小気味良い音がその場に響いた。
そして、アポロンは身を起こすと、叩いたその手をそうっと開いた。
その手のひらの中央には、まだ一滴も血を吸っていない蚊の潰された姿があった。
アポロンはそれを見てニヤリと笑って呟いた。
「僕に勝てると思った?マジ愚かなんだけど」
そしてアポロンは自慢気な可愛い笑顔と共に、その手のひらを姉に見せた。
それを見たアルテミスは微笑みを浮かべて、そして頼もしげな目で自慢の妹を見返すのであった。
{終わり}
仲の良い姉妹っぽさが出てたら嬉しいですね。
ではでは。
<(_ _*)>