直死の眼を持つ優しき少女   作:黄金馬鹿

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今回は主力艦隊との決戦と、新たな仲間の追加です


南西諸島沖 後編

 新しく発見した艦娘。それは、暁達よりも一回り、色んな場所が大きく、電達が小学生から中学生の間と考えれば、新しい艦娘は中学生から高校生、もしくはそれ以上かと思える年齢の少女だった。

 眼帯を着け、頭部には角のような艤装が装着され、腰にはかなり独特な刀を差している。

 可愛さよりも凛々しさ、格好良さ、男らしさを感じるその少女を見た瞬間、四人の頭の中に一つの名前が浮かんできた。

 

「天龍よね……?」

「私達の記憶が正しければ、だけど」

「そう言えば、眼帯着けてたわね」

「眼帯繋がりで木曾さんも思い出したのです」

 

 天龍型軽巡洋艦一番艦『天龍』。かつて、第四艦隊にて第六駆逐隊の面々と共に戦った頼もしい軽巡洋艦だ。その時の繋がりで龍田や木曾の顔や格好も思い出したが、今は必要ないだろう。

 気を失うように寝ている天龍を暁が揺すり起こせば、少しだけ天龍は声を漏らしながら上半身を起こし、海水に濡れた頭を少しだけ振った。

 

「ここは……ん?よう、お前ら。久しぶりだな」

 

 目を覚ました天龍は第六駆逐隊に緩く挨拶をすると立ち上がり、体を伸ばした。

 

「くぅ〜……はぁ。で、どういう事だこれ」

「目覚めた時に大体分かってるはずだけど」

「わーってる。ただ、少し困惑してるだけだ。すぐに落ち着く」

 

 流石に人の体を手に入れた直後故か、少し困惑しているのだろう。天龍は自分の体を見回しつつ、艤装を動かしたり刀を抜いてみたりして体の調子を確認している。

 その間に電は提督に通信を入れる。

 

「司令官さん。新しい艦娘は天龍さんです」

『天龍?えっと……少し待っててくれ』

 

 電が新しい艦娘は天龍だったと知らせると、提督は一旦通信を切り、数分後に再び通信を入れた。

 

『軽巡洋艦、天龍だな。電達とも一緒に戦った事がある……うん、いい艦だな。じゃあ、通信機を天龍に渡してくれないか?』

「了解なのです。と、いう訳で天龍さん、パスなのです」

「ん?あいよ」

 

 電が艤装から通信機を取り外して天龍に投げ渡し、天龍は提督との通信に入る。

 

『やぁ、天龍。俺は第六駆逐隊を指揮してる者だ』

「お前がその、提督ってやつか。って事は、オレはお前の指揮下に入ればいいのか?」

『あぁ。是非ともそうしてほしい。君のような百戦錬磨の艦娘が加わってくれれば助かる』

「そうかそうか。まぁ、世界水準軽く超えてるオレが仲間になるんだ、任せとけ。深海棲艦、だったか?そいつ等なんてオレが一掃してやるよ」

『そりゃ心強い味方だな。じゃあ、今回は電の指揮下に入って進軍を続けて欲しいんだが……行けるか?』

「愚問だな。弾が無くなった所で斬りこむだけだ」

『よし、なら通信機を電へ返してくれ。詳しい作戦は電から聞いてくれると助かる』

「おうよ」

 

 通信が終わり、天龍が電に通信機を返す。電はそれを受け取ってすぐに艤装に付ける。

 

「んじゃ、電。よろしく頼むぜ」

「こちらこそ、なのです」

 

 旧型と言えど、幾度もの戦いを潜り抜けてきた百戦錬磨の軽巡洋艦。頼もしくない訳がなく、第六駆逐隊は天龍を笑顔で迎えた。

 

 

****

 

 

「なるほど。電の眼……えっと、直死の魔眼?を活かすためには突貫が必要で、オレ達はサポートをしたらいいと」

「そうなるね。電もかなり身体能力は高めだけど、駆逐隊だからサポート無しだとすぐに沈められる」

「じゃあ、電の突撃にオレも付き合う。一応は刀持ってるしな」

 

 電を先頭とした単縦陣で、響が移動しながら天龍へ色々と必要な事を伝達した。天龍は特に文句を言う事もなく作戦を了承。さらには突貫する電の護衛まで務めると言い出した。その刀は伊達ではないという事だろう。

 

「まぁ、電の眼の色が違う理由も分かった事だし、駆逐艦の無茶をサポートすんのも軽巡としての役目だ」

「天龍さんも一緒に突っ込んでくれるのは心強いのです」

「そりゃよかった。で、次はどんな作戦で行く気だ?」

 

 もうすぐ敵主力艦隊が目撃された海域だ。作戦の確認をしなければ間に合わない。

 

「前と同じじゃないの?」

「そうですね。今回の主力艦隊は軽巡二隻に駆逐二隻、さらに雷巡がいます。まずは砲雷撃戦で削ります」

「いや、まずは突っ込んですぐに雷巡と軽巡を落とした方がいい。雷巡と軽巡の主砲と雷撃はお前らにとって脅威だ。俺が盾になりながら突っ込むから、電がせめて一隻は仕留めろ」

「確かに、一理あるわね。私達の主砲で軽巡をすぐに落とせるかと言われたら微妙だし」

 

 主砲の威力が高くない駆逐艦にとって、こちらを一撃で轟沈させてくる可能性のある軽巡と雷巡は脅威だ。だからこその天龍の発案。天龍が盾になり突っ込めば電の負担は軽くなり、すれ違いざまに一撃入れるだけでもその後の戦いはかなり楽になる。

 装甲を一枚使ってしまった電にとっては、願ってもない話だった。

 

「じゃあ、天龍さんの案を採用します。それに伴い、隊列も天龍さんを先頭に私が後ろに付きます。暁ちゃん達は私達の後ろで梯形陣をお願いするのです」

「あいよ」

『よーそろー』

「うらー」

 

 電が一時的に速度を落として天龍が先頭に。そのすぐ後ろに電がつき、暁達はその後ろで梯形陣を展開する。

 

「私達が突っ込んだあと、暁ちゃん達は少し回り込みつつ移動してください。後は私達の方で合わせます」

「安心しろ、電は守ってやら……っと、敵さんのお出ましだ。まずはキツイの一発、叩きこむぞ!」

 

 天龍の視界に五隻の深海棲艦が現れる。だが、恐れるに足らず。天龍がこれまで戦ってきた敵はこれ以上がゴロゴロといた。

 久しぶりの闘争に鼓動が高鳴り、自然と笑顔が浮かんでくる。ああ、懐かしい。懐かしい感覚だ。主砲を動かし、照準を合わせる。

 

「電、お前に合わせる!」

「了解!主砲一斉射用意!三、二、一……撃てっ!!」

 

 電の声に合わせ、五人の主砲が同時に火を吹く。爆音と共に砲弾が深海棲艦へと向かっていき、炸裂。一体のイ級が大破、一体のホ級が小破する。

 そのお返しにとすぐ様砲弾が彼女等に迫る。が、電がすぐに天龍と並び、一瞬だけ視線を交差させ、二人が得物を抜く。

 

『邪魔ァ!!』

 

 降り注ぐ砲弾。その中で味方と自分に当たるものだけを二人は一瞬で斬り落とす。瞬間、炸裂。水柱と爆炎が舞い、電達の姿を隠す。

 それが合図。電と天龍が同時に飛び出し、暁達が横へと抜け、主砲を放ちつつ横から回りこむように接近する。

 電が後ろへ回り、天龍が前へ。刀を構え、ナイフを構え、機関を最大にして突っ込む。

 それを見逃す深海棲艦では無く、すぐに魚雷が放たれる。このままでは直撃コース。だが、それをみすみす見逃す二人ではない。

 

「飛ぶぞ!」

「はい!」

 

 直撃する寸前、二人は水面を蹴り空へと舞い、海中を突き進む魚雷を躱す。着水し、体勢が崩れるが、手を付き海面を割き深海棲艦へと突き進む。

 残り数メートル。二人の間合いによる蹂躙の幕が上がる。

 先手は深海棲艦。主砲を構え、零距離での砲撃を企む。だが、それを天龍が見逃さない。

 

「遅ェ!!」

 

 刀を振るってホ級の主砲を真っ二つに切り裂き、炸裂させる。鬼か何かかと見間違うほどの笑みを浮かべながら天龍はその刀で追撃を試みる。しかし、その前に横からイ級とホ級の砲撃が天龍を沈めんと火を吹く。

 しかし、天龍は気にしない。当たる訳がない。何故なら、すぐ電が突っ込んできているから。

 

「三分割!!」

 

 砲弾の横から跳躍、回転するように舞いながら砲弾と接触した瞬間、銀が奔る。

 電が着水。青い眼の軌跡が残る空中で砲弾はそれぞれが三分割され、海へと着水する。

 その衝撃で水柱が空へと走り、天龍の姿を隠す。その間に天龍は刀を逆手に持ち、ホ級へ肉薄。頭から刀を突き刺し、魚雷管から魚雷を抜き取り、刀を抜くと同時にその傷口に魚雷をねじ込み、蹴りとばす。

 魚雷が炸裂。爆炎が舞い上がり、ホ級が木っ端微塵に砕け散る。水柱が収まれば、味方を沈められたと確認した残りのホ級、イ級が主砲を構えるが、その前にチ級による雷撃が襲いかかる。

 だが、それもとうに予測できている。電が最後の装甲をパージし、水中に投げ入れる。その装甲と魚雷が互いに当たり、炸裂。水柱が舞う。そして、その間に天龍がチ級へ向けて突っ込み、電がホ級とイ級に突っ込む。

 敵は三隻。少々キツイが勝てないことは無い。ナイフを逆手に構えながら電が突っ込もうとした時、イ級の後ろから乱入者が現れる。

 

「電、ホ級は任せたわ!」

「雷ちゃん!?」

「私だってそこそこ格闘できるのよ!!」

 

 主砲を片手に持った雷がイ級二隻を蹴りとばす。ホ級とイ級が分断され、電がホ級と戦う流れになる。

 雷に文句の一つでも言いたくなったが、口を動かす前に体を動かす。機関を最大にホ級へ突っ込む。

 その一瞬の出来事の間に天龍は既にチ級へと肉薄。刀を片手に格闘戦を始める。

 

「所詮、意志を持たない鉄の塊に負ける訳がねぇだろうが!!」

 

 ほぼ零距離での主砲。それを頬に掠らせながら避け、腹に蹴りを叩き込む。

 ガキィンッ!!と鉄と鉄がぶつかり合う音が響き、チ級が吹っ飛ぶ。それを見た天龍が主砲で追い打ちし、機関を最大に突っ込む。

 爆炎が舞い、チ級が怯んだその瞬間、煙を裂きながら天龍がその目を光らせ現れる。不味いと思った時には既に遅い。天龍の刀による一閃が魚雷管を切り飛ばした。

 獰猛な笑みを浮かべながらチ級の体液を全身に浴び、返す刀で一閃。

 今度は主砲が。さらに次の一閃でもう一つの魚雷管が切り飛ばされる。正しく一瞬の間の攻防で天龍の勝ちが決まる。

 

「じゃあ、沈め」

 

 天龍の口が開いたその瞬間、全身が切り刻まれる。背を向け、刀を腰に刺した瞬間、チ級の体が分割され、崩れ、深海へと沈んでいく。

 背中を向けた天龍の視線の先には、電。電はホ級を相手にナイフを構え突っ込んでいた。

 再び放たれる主砲。それをナイフで切り裂き無力化。無機物の死の線を見たことによる頭痛を意識の外にやり肉薄。ホ級の手らしき物を切り裂き、頭部らしい物にナイフを突き立て抜くと同時に蹴りとばす。しかし、それでも沈まないのか魚雷が発射される。

 舌打ちをして主砲で魚雷を撃ちぬき、無力化。水柱が上がり、電とホ級の間に壁が出来る。しかし、電はその壁へと突っ込む。

 壁を割き、見えたホ級は呆然としている。ここで決めると決意し、電は目をさらに見開く。死の線がさらに色濃く視界に写り、さらに死の線が渦巻く一点を凝視する。

 

「その存在そのものを、殺す!」

 

 電を殴ろうとする腕らしい物を切り飛ばし、空いている左手でその死の線の塊を貫く。

 鉄の装甲を突き刺したとは思えないほど呆気なく腕は突き刺さり、ホ級が一瞬痙攣する。が、すぐに動かなくなる。

 腕を引きぬき、蹴り飛ばせばホ級は深海へと沈んでいった。

 体液まみれの腕を海水で洗い流し、視線を横へ向ければ、雷がイ級とまだ戦っていた。やはり、近接武器を持たない雷ではイ級相手には分が悪い。電はすぐにナイフを取り出し、構える。

 再び目を見開き凝視。徐々にイ級の死の線が色濃くなっていき、死の線の渦が見える。

 

「せーのっ!」

 

 思いっきり振りかぶり、ナイフをイ級へ、イ級の死の渦へ向かって投げつける。抵抗なく突き刺さるナイフ。よし、ビンゴ。と電が呟くと共にイ級は悲鳴を上げながら深海へと沈んでいった。

 急に沈んだイ級に驚く雷。何事かと電の方を向くが、明らかに何かを投擲したポーズをしていたので、電が何かをしたのだと理解し、すぐに戦闘に戻る。

 雷の戦闘スタイルは、零距離射撃による一撃轟沈。これしかない。

 直死の魔眼を持たない今、手刀や艤装パージからの装甲での切り裂きも意味を成さない。

 艦娘が深海棲艦を倒す方法。それは、己の装備による攻撃をぶち込むか、元々持っている刀剣類で切り裂くか。二択しかない。だからこそ、雷には近接戦闘は向いていない。

 撹乱に対空機銃を撃とうと、隙すら生めずにイ級は己の口で雷を食い殺さんと襲いかかる。それを後退しながら避け続ける。そして、何とか距離を取ろうと主砲を発射。それが命取りになる。

 雷の主砲はイ級には当たらず、海に炸裂。水柱が打ち上がり、イ級の姿が隠れてしまう。

 しまったと思い距離を取ろうとした瞬間、水柱を割いてイ級が姿を表す。

 

「畜生っ!!」

 

 汚い言葉が出るのも気にせず、艤装の装甲を展開。その場で回転して展開した装甲でイ級を殴り飛ばす。

 水柱をあげて殴り飛ばされ、着水するイ級。出てきた瞬間主砲をぶち込んでやると主砲を構えるが、水柱が収まってもイ級の姿が無い。

 

「い、いない?」

 

 まさか、あれだけで轟沈したとはとても思えない。だとしたら、何処にいるか。

 決して海面からは見えず、確実に隙を突ける場所。

 

「まさか、下!!?」

 

 雷が下を向く。そこには、緑色の目を光らせ海中から上を向き浮上してくるイ級がいた。急ぎ飛び退こうとするが、時既に遅し。雷はイ級の下からの体当たりに空へと打ち上げられる。

 

「うぐっ……!」

 

 真下からの衝撃に歯を食いしばり耐える。だが、打ち上げられた体のすぐ下にはイ級。砲を構え目を光らすソレを目だけで追い、思考を加速させ、どうするかを考える。

 このままいれば、着水の前に撃たれて沈む。だとしたら、やる事は何か。この一撃を何とか不発にする事。

 そう考えた瞬間には、雷の体は動いていた。

 装甲を目の前に展開。それをパージ。脳を焼くような痛みを歯を食いしばりながら耐え、体を回転させる。

 

「いっ……けぇぇぇぇぇ!!」

 

 回転しながら空気を切り裂き、イ級へ装甲が当たる。金属同士がぶつかり合う音が響き、イ級の砲は若干傾き、発射されたものの雷のすぐ横を通り過ぎるに留まる。

 そして、滞空が終わり、背中から海面に叩きつけられる。一瞬、水の中に体が沈み込み、浮上して吐き出された空気を肺に取り込む。だが、ボーッとしてはいられない。

 イ級は何処だ。顔を動かし、イ級を探す。しかし、その必要は殆ど無かった。何故なら、イ級は既に、雷を食らおうとその口を開け、目の前にいたのだから。

 食われる。そう確信した雷は咄嗟に主砲を持った右手を突き出す。その結果、雷の右手がイ級の口の中に収まり、歯が閉じられる。

 骨が砕かれるような音が雷の全身に響き渡り、余りの痛みに身体が痙攣する。

 

「せ、めて……!!」

 

 腕を持って行かれる前に撃つ。まだ動く主砲に脳で指示を出し、主砲を放とうとしたその瞬間、雷の体に影が指す。

 

「動くなよ!」

 

 誰の声だ。誰の声か判別する前に影は雷へと近付き、声の主は空から海へと着水。その瞬間に振るわれた太陽の光を反射する一閃がイ級の体を真っ二つに切り裂く。

 だが、それでもイ級はせめて雷の右腕を持って行こうと更に力を込める。が、それを第二の乱入者が止める。

 

「極死……」

 

 イ級の上に誰かが立っている。いや、片手だけで乗っている。そう判別するや否や、青い眼が残像を残して煌めく。

 

「七夜!!」

 

 無音の斬撃。雷の後ろから飛び出し、イ級の向こう側へと眼の持ち主が着水したその瞬間、イ級の、残っていた半分が三分割にされ、バラバラになり深海へと落ちていく。

 雷はそれに呆然とし、立ち上がろうとしていた足の力が抜け、小さな水音を立てて雷が座り込む。

 

「大丈夫か、雷!」

「腕が折れて……あー、砕けてますねこれ。でも、幸いにも潰されて砕けただけで出血はありません。雷ちゃん、痛いですか?」

「え、えぇ……かなり」

「天龍さん、添え木になる物ありますか?」

「剣と鞘でいいだろ。布は?」

「服を破ります。どうせ、入渠したら直るのです」

 

 電が自分の服の、破れても多少は問題ない場所を破って刀と鞘を添え木代わりにして、患部が傷まないように固定する。

 その間も雷はボーッとしたままされるがままだった。

 応急処置が完了し、天龍が雷の無事な方の手を引いて立たせようとするが、雷は立っても前に倒れこむ。

 

「どうした、腰でも抜けたか?」

「き、緊張が解けたから……」

「気にすんな。碌な近接武器も無いのにあんだけやりゃあ腰の一つや二つ抜けても可笑しくねぇよ」

 

 倒れ込んだ雷を抱き抱えた天龍はそのまま雷の膝の裏に手をやり、バランスを後ろへ崩させてからもう片方の手で雷の肩を抱えるようにして持ち上げる。所謂、お姫様だっこをする。

 

「ちょっ!?」

「腰も抜けて腕折れてんだ。大人しくしとけ」

 

 顔を真っ赤にして暴れて降りようとするが、天龍の言葉に唸りながらも黙りこむ。

 

「雷〜、大丈夫〜?」

 

 そのすぐ後に暁と響が雷の後を追うようにやってきた。響はニヤニヤとしている。

 

「一人で突っ走って行っちゃった時はホント心配したのよ?」

「うっ……ごめんなさい」

「まぁまぁ。今は反省してるみたいだし?天龍にお姫様だっこされて」

「ちょっ、響ぃ!」

「よかったね、おっぱいの付いたイケメンにお姫様だっこしてもらって」

「よくな〜い!」

「おっぱいの付いたイケメンってオレのことかよ……」

 

 戦いが終わった直後にヤケに姦しいが、その会話は何かが水面に落ちる音で中断された。

 その音の発生源は電がいた方。まさかと思い、暁と響がそっちを向くと、さっきまで元気だった電が海面に倒れこんでいた。

 

「い、電!?」

 

 すぐに暁が近寄り、うつ伏せに倒れる電をひっくり返してから揺する。だが、電は息を荒くしたまま目を覚まさない。

 

「ひ、響……」

 

 暁が不安を孕んだ目で響を見る。響はすぐに電を軽く触診する。

 

「……体に怪我はない。ただ、凄い熱だ。風邪じゃないから……直死の魔眼のせいかもしれない」

「とにかく、早目に基地に戻った方がいいな。暁、響。オレの先を進んでくれ」

「分かったわ」

 

 暁と響が電の手を取って肩に回して起こし、最初はゆっくりと、徐々にスピードを上げて鎮守府へと向かう。

 道中、提督に響が通信を入れ、勝った事は伝えた。だが、電が倒れ、雷が腕を砕かれた事を知らせると、すぐに入渠の準備に入った。

 二つ目の海域の占領は、完全勝利とは言えない結果に終わってしまった。




サラッと極死・七夜を使う電さん。まぁ、劣化技ですけどね

そして何気に強いフフ怖さん。多分、この人に直死の魔眼持たせた方がいいと思います

あと、雷に関してですが、近接戦闘能力に関してはかなり低めです。魔眼が無いのもそうですが、刀剣類を持たないうえに近接戦闘の訓練をしてませんから、近接戦闘してもイ級に負けます。ちなみに、暁と響も同じような感じになります。まぁ、ナイフであれだけ戦う電さんが可笑しいだけです。某犬二匹でも近接戦闘では多分勝てません
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