直死の眼を持つ優しき少女   作:黄金馬鹿

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響がフリーダムなイメージしかしないのって、某ニコニコに上げられている動画のせいですかね?

あ、予約投稿ミスった……orz


姉妹のキズナ 前編

「響だよ。その活躍振りから不死鳥の通り名があるよ」

 

 帰投した電と暁が連れてきたのは、そう自己紹介をする、白色の髪の毛と少しだけ吊り上がった目が可愛さよりも美しさを感じさせる女の子だった。

 暁型二番艦、駆逐艦『響』。かつての戦争を、大破こそすれど、生き延びてきた艦だ。そんな彼女が仲間になったのなら、これからの戦いはかなり楽になるだろう。

 

「あぁ、響。僕は君を歓迎するよ。まだ補給艦もいない鎮守府だけど、一緒に戦ってほしい」

「勿論さ。そのために私はここにいる」

 

 司令官は、手元にある『事前情報』の書かれた資料を見ながら響と、ここのルール等について話をする。

 識別番号D-072、暁型二番艦『響』。それについての、生前、つまりは鉄の船の時代の詳しい情報。そして、彼女には更なる改良が見込めるという情報を目に通す。

 艦娘。それは、かつての戦争で戦った船の生まれ変わり。同じ艦は二隻以上存在しない。それは、艦娘にも言える。

 同じ艦娘は存在しない。ここに居る暁と響。彼女達は今日この日、この世界に初めて誕生した、かつての駆逐艦『暁』と『響』の力を持つ子だ。だからこそ、事前の資料というのは、かつての戦争で使用された艦に番号を振り、活躍を纏めたに過ぎない。

 現在、振り分けられている艦の数は約二百五十。中には、最近確認された海外の艦も含まれているのだが、この中で、現在存在が確認されているのは百にも満たない。

 だからこそ、提督達には、艦娘達を指揮する他、発見した艦娘と同型艦についての情報を集め、大本営へと報告する義務が課せられている。

 現在、彼の保有している、新たに発見された艦娘は暁と響だけ。そして、彼女達の同型艦は残りは雷のみ。

 

「じゃあ、解散と行きたいけど……一つだけ聞いてもいいかな?」

「なんだい?」

「君の妹艦に当たる雷の事なんだが……何か分かる事はないかい?」

「分かる事?」

「性格や、武装、服装や髪形。何でもいいんだ」

 

 艦娘には、鉄の艦だった頃の記憶がある。その数割は欠落しているが、彼女達が共通して覚えている事。それは、姉妹艦についてだ。

 やはり、血の繋がりがあるのかどうかは分からないが、家族についての記憶だけは、現在確認されている全ての艦が持っているのだ。

 これが、島風だった場合は分からないが、それでも、あらかじめ知っておけば、別の提督が仲間に迎え入れたときに役に立つ。

 そして確認できた情報は幾つかあった。まず、性格についてはロリおかん、ダメ男製造機、母性の塊など、世話焼きな事が分かった。そして、服装は電と殆ど同じ。髪形はショートで電とかなり似ているらしい。

 と、雷の人柄や外見についての情報こそ入手できたが、殆どが大本営で電が提供した情報と同じだった。

 だが、これは予想出来たこと。響に礼を言って、退室を許可する。

 響はそれに応じてドアノブに手をかけるが、そこで動きを止めた。

 

「どうした?」

「司令官……司令官は電の事、どう思う?」

 

 急に聞かれたのは彼女の妹についてだ。

 目元は前髪に隠れて見えないが、抑揚のない声が若干彼の心を不安にさせる。

 

「い、電か?資料とは少し違う所があったが……優しくていい子だと思うぞ?右も左も分からない僕に色々教えてくれたんだからな」

「……そう。じゃあ、私も言っておくけど……あれは電じゃない」

「……え?」

 

 響が口から紡いだ言葉は、彼の予想していない言葉だった。

 電じゃない?なにが、一体どこが。

 

「私の知っている電はあんな『眼』をしない。あんな『眼』じゃない。あの子は、もっと優しかった」

 

 『眼』。あの、青くて少しだけ不気味だったあの眼の事だろうか。

 それに、もっと優しかった。その言葉も何か引っかかる。

 

「あの子は、いつも戦いに行くときは人を殺したくないって言ってた。なのに、今は敵艦をナイフで切り裂く……艦娘としても普通じゃないし、電としても普通じゃない」

 

 敵艦をナイフで切り裂く。確かに、暁からの報告では響の合流後、帰投時にはぐれイ級と遭遇したが、報告前に電がナイフで切り、轟沈させたと書いてあった。

 まさかと思ったが、こうやって響からも同じことを聞かされるという事は、ナイフでイ級を落としたというのは本当なのだろう。

 そして、何より気になるのは、『電』としても普通じゃないという言葉。響の言った通りの性格なら、戦闘は嫌いという事になる。だが、今の電はそんなのお構いなしに突っ込んでいくという。汚い言葉を吐きながら。

 

「まぁ、私の記憶違いかもしれないけど。暁はあまり覚えてないみたいだし。全く、あのばかつきは前から変わってない……」

 

 そう言いながら溜め息をつく響は、苦労する姉を持ってストレスを感じる妹のようだった。

 確かに、感じる雰囲気的には響の方が姉だと言われても何らおかしくはない。

 

「まぁ、そんな訳だから……気を付けて。電の眼は、明らかに私達とは、艦娘と人間とは『違う物』を見ているから」

 

 そういって響は部屋を出て行った。

 あの青い、綺麗だが不気味な眼。響は違う物を見ていると言った。何を見ているのか、彼には皆目見当がつかなかった。

 ここで悩んでも仕方がないと、彼は大本営に送る、真実味のない書類を、下手したら呼び出し食らうんだろうなと思いつつ作成をしていると、ドアがノックされた。

 食事かと思ったが、時間的にはまだ早い。

 

「誰だ?」

『暁よ。入ってもいいかしら?』

 

 来たのは暁だった。そういえば、響がばかつきとか言っていたのを思い出し、若干笑いそうになるが、入室を認めると、暁はちゃんと礼儀よく入ってきた。

 

「やぁ、どうしたんだ、暁」

 

 入ってきた暁の顔は、若干緊張か恐怖かが混じっているのか、少しだけ強張って見えた。

 それを解すためになるべく優しい声色で話しかけたら、暁は若干緊張が解けたようで、話し始めた。

 

「あ、あのね……その、さっきの戦闘中の電の事なんだけど」

「電の事か?別に、心配しなくても何もしないよ。単艦で突っ込んだのは後で説教物だけど……」

「そ、そうじゃなくて……電の眼の事、司令官も少しは分かってるでしょ?」

 

 電の眼。それを聞いて、若干彼の体が強張る。

 まさか、暁が何か知っているのか、と驚きつつ、彼は、目が異常なのしか分からないと答えた。

 すると、暁は、戦闘後、電本人から聞いた話を話し始めた。

 

「電はね、こう言ってたの……『死』が見えるって」

「死?死って、死ぬ方の死?」

「うん。詳しくは聞けなかったけど、電は『死の線』が見えるって言ってた」

「えっと……まるで意味が分からん。そんなファンタジーみたいな眼が……」

 

 ファンタジーみたいな眼が存在するわけがないと言いそうになったが、よく考えれば目の前の暁も、ファンタジーな存在と言えるだろう。

 途中まで言っていた言葉を切り上げ、咳払いを一度して雰囲気を改める。

 

「まぁ、ともかく、だ。今、生活に支障をきたさないのならいい。ただ、何かあるようだったら言ってくれ」

「……うん、そうね。分かったわ。電の事は任せておいて」

「よろしく頼むよ、暁」

 

 司令官がそう言うと、暁は満足したのか、頼られたことが嬉しかったのか、笑顔を浮かべながら部屋を出て行った。

 出て行ってすぐに暁の鼻歌とスキップする足音が聞こえ、遠ざかっていったところで彼は溜め息をついた。

 さて、どうやって大本営に報告したものかと。

 

 

****

 

 

 次の日。司令官は初めて、鎮守府で目を覚ました。昨日までは軍の宿舎で寝泊りしていたが、今日からはこの深海凄艦との戦争が終わるまで、艦娘が人の社会に溶け込めるまでは彼はここで寝泊りを繰り返すことになる。

 たまには実家に帰るのだが、それでも休みの日は少ない。だが、深海凄艦を撲滅したなら、軍人を止めてどこか、田舎に家を買ってのんびりと暮らすのも悪くないかもしれないと、何年、いや、下手したら何十年先の事を考えながらも彼はベッドから降り、白い軍服に袖を通す。

 給糧艦、間宮がこの鎮守府に配属されるのは既に決まっている事だがそれはもう数日先の事。それまでは彼か艦娘が食事を作る事になる。

 すぐに食堂へ向かい、自分の分を含めて電、暁、響の計四人分の朝食を作らなくてはならない。

 食堂の前に着いた彼は、食堂から漂ってくる美味しそうな匂いに気が付いた。誰か作っているのか?と思いつつ食堂に入り、台所に向かえば、そこでは電が料理を作っていた。

 

「電か?」

「あ、司令官さん。おはようございます」

 

 笑顔を浮かべ挨拶をしてくる彼女の眼は今日も青く、不気味だ。

 

「ん?目隠しはどうした?」

「司令官さん、目隠し着けろとは一言も言わなかったので外しました」

「いや、帰ってきたときは着けてただろ」

「頭痛かったから着けただけなのです」

 

 眼と頭になんの関係性があるのかと言いたくなったが、特に追及せずにお玉を持って味噌汁を作っている彼女の横にエプロンを着けて並ぶ。

 

「手伝うよ。魚焼けばいいか?」

「はい、お願いします」

 

 既に取り出して下ごしらえしてあった四尾の魚を焼き、その間に、大きな食堂の中に並ぶテーブルに箸と水の入ったコップを置く。

 

「電、二人を起こしてきてくれ。後、俺が怒られるから目隠しは食事とトイレと風呂と時間確認の時と出撃以外の時は基本的に着けるように」

「はーい、分かったのです」

 

 本当に分かったのか?と思うような軽い返事をしてから電はエプロンを外して、近くに置いてあった目隠しを着けてから杖をついて歩き始めた。暁は彼女に『死』が見えていると言っていた。だが、こうやってちょっとしたトンチを効かせつつ、朝食を作る彼女には、そんな物騒な物が見えているとは思わなかった。

 この後、かなり朝が弱く、子供のようにぐずり始めた暁と朝から軽いストレッチとランニングを済ませ、風呂でクラゲのようにプカプカと浮かんでいた、かなりフリーダムな響を加え、朝食を摂り、二日目が始まった。




暁と響が若干電に不安というか、不信感を抱き気味。まぁ、久々に会えた妹の性格がガラリと変わって、さらに目の色まで違うとか、何かあったか、もしくは何か企んでいるのか、そうで無くても妖しさがマックスなので、不信感を抱かれるのも当然かと

そして、この世界では艦娘の重複はありません。そして、まだ未実装の艦娘が沢山います。暁と響も未実装状態でした。なので、他の、未実装状態の艦娘の情報はかなり貴重です。ですが、海外艦はそこまで居ません。他の鎮守府にレーベとマックス、プリンツがいるくらいです

あと、ここの響はフリーダム要素が少し混じった冷静なクール系です
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