超巨大総合動物園「コジマパーク」。
そこでは神秘の物質
「コジマ粒子」の力で、
動物たちが次々とアクアビットマンの姿をした
「コジマガール」へと変身――!
訪れた人々と賑やかに
楽しむようになりました。
しかし、時は流れ……。
ある日、パークに困った様子のトーラスマンの姿が。
帰路を目指すための
旅路が始まるかと思いきや、
コジマガールたちも加わって、
大冒険になっちゃった!?
新番組 こじまフレンズ!このあとすぐ!
あ!頭に羽根があるから、貴方は烏のフレンズだね!そこの君は……山猫のフレンズ!!
てれびのまえのみなさん こんにちは
きょうは みなさんに たいせつなことを おしえようと おもいます。
いいですか?よくきいてくださいね?
普通の生物はコジマを浴びりゃ死にます。
めんそーれアクアビット。今日も今日とてジャンヌ・オルレアンです。おそらく明日にはジャパリパーク・オルレアンに変化し、明後日にはジャミトフ・オルレアンに変化してるでしょう。ちなみに昨日はジャンヌ・きらりん・オルレアンでした。
さて、なんで私がテレビの前のぼーい&マダムに対し、突然コジマ粒子が危険だという事を解説したのでしょうか。わかる人いますか?え?わからない?そうかー。
「あー、あー、博士?聞こえてます?」
『こちらパトリック。どうしました?』
どうしましたって大問題だ。というか、てめぇらはこれに対し何の疑問も抱かんのか?
私は、深ぁく溜息を吐くと、上から私の姿を眺めているであろう阿呆共に対して口を開いた。
「コジマ粒子の濃度が高すぎて前が見えないんだけど」
そう、現在、私の目の前は一面のクソ緑である。五里霧中ならぬ五里コジマ中。一寸先はコジマ。コジマ、コジマ、コジマ。上も下も右も左も後ろも前もコジマである。
もし、このテレビを御覧のみなさまの中で、AC4系をやった事がある人がいるのであれば、コジマタンクの中二入ったりコジマエネルギープラントの中に入った経験はある筈です。その時、どうでした?前が見えなかった事ってありましたか?いえ、ありませんね?テロリスト共の特殊MTや、プラント内の風景はしっかりと確認できていた筈です。
うん。なんだこれは。なんなこのこれは。なぁ、ここに存在するものの中で、コジマ粒子を発生させている存在って私の乗るこいつだけだよな?
『こちらも同様です。現在、試験場内全域に極めて高濃度のコジマ粒子が蔓延しており、そちらの様子は愚か、内部の一切の観測ができません』
馬鹿なのか?
「どうするの?本当に何も見えないんだけど……試験中止するの?」
『いえ、そちらのカメラを赤外線モードへと変更して下さい。それで一応は視界を確保できる筈です。こちらでも、いくつか赤外線カメラを用意するのでそれまで待機していてください。』
あぁ、サーモなんてつけてるのか。ならマシなのかな?
「了解、カメラはどうやって操作を……あ、出来た。」
すると、視界がクソ緑からボンヤリと何かが白く浮かぶ
クソ緑に変化した。
『こちらも君の姿を確認しました。どうです?プライマルアーマーですが、それで足りますか?』
「あー、博士。それは冗談ですよね?そこまで常識を失ってませんよね?」
『酷いなぁ。でも、開発部の理想値から言うと、まだそれでもコジマ粒子の生成量は足りてないんだよ。その程度では、地上で敵ネクストのプライマルアーマーを減衰する事が出来ないんだ』
…………それは、あれか?ワシにアンサラー並のコジマを放てと言うのか?
というか、閉鎖空間なら敵のPAを剥ぎ取れるって事か?
「…………あー、まぁー、うん、そうですね」
たすけてりりうむ、わちきなにもわるいことしてないのに、非人道的な殺人機械に乗せられてる。何をしたってんだ。色々してたわ。
『では、これより試験を開始する。ジャンヌ。機体への接続を開始してくれ』
「ジャンヌ了解。事故らんでくれよ~」
深く目を瞑り、座席に身体をゆだねる。一瞬の痺れ、AMSにより、自らの脳と脊髄に様々な信号が送られてくる。機体の隅の隅まで、人体に例えるならば、足の爪先から髪の毛の先端まで、神経が通っていくようなそんな感覚が、身体中を駆け巡る。
視界が黒からクソ緑に変わった。アイカメラから送られてきた電気信号を、脳が受信し、私に見せてきたのだ。人の限界を超えた高画質の瞳。そこに映された白く光る目標を眺めながら、ゆっくりと身体の調子を確認する。
不思議な感触だった。本来、自分の身体に存在しない筈の部位が自由に動く。元から存在している指などのパーツも、何の障害もなくダイレクトに、なめらかに、機敏に、繊細に動く。前の指では、集中してセンチ単位の作業が出来たくらいだが。これならマイクロ単位の動作だって行えそうだ。
うん、やっぱり楽しい。
「こちらジャンヌ。接続完了。いつでもどうぞ。」
『うん、ではとりあえずまっすぐ歩いてみてくれ。』
「了解した」
さて。歩く……か。これまで乗った機体だと、当たり前に出来た事だが。今回は少しばかり緊張する。
息を深く吐き、ゆっくりと吸う。右脚と左脚に神経を集中させる。あぁクソ。身体中にギチギチに詰められたブースターとジェネレーターが干渉してくる。配置に一切余裕を持たせないからこんなことになるんだ。
全身に蜘蛛の巣の如く張り巡らされた人工筋肉に命令を与えながら、歩行を行う。おいっちに。おいっちに。まぁ、とりあえず、歩くだけなら、問題は、無……くせる。
すぐに、普段の歩行と変わらない速度で歩けるようになる。ワシ天才かもしれへんな。
『よし、歩行はそれくらいにしよう。次に、ブースターを起動してください』
「りょーかい」
さて、ここからが本番だ。事前にシミュレーションは行っているが、それでも緊張はする。
この、仮称試作一号機は、ある面白い試みにチャレンジしている。エネルギーなど無視して、コジマの発生能力のみに特化したジェネレーターを複数搭載しているため。常識では考えられないほどのKP出力を誇る機体に仕上がっている。普段は、それを防御用に回しているが、ネクストACの戦場は一般的に重戦車のような装甲よりも戦闘機のような機動性が求められる。かつての巡洋戦艦や巡航戦車と違い、速度が防御力にも直結するからだ。
そのため、研究者たちはこの機体にある工夫を加えた。それは……
「メインブースター稼働。全ブースターへのコジマ粒子供給を確認。」
メイン・バック・サイド。これらのブースター全てを、コジマをプラズマ化させて噴出するものにしていた。
つまり、ブースター稼動中は常時OB状態である。(オーバードブースターを使用してるわけではない、それにQB機能を足した、新開発のブースターだ。これの開発には、旧レイレナードの技術者が多くかかわってるという事から、出力は察して欲しい。)消費エネルギーでいうなら、GA製の大型ジェネレーターだって、立ってるだけですっからかん。レギュ1.15だからこそ許される荒技だ。(ちなみに、研究者たちはこれを、体内のナノマシンの影響であると結論したらしい。それは思考停止では?)
ただし、だからといって常に時速2000kmだしているってわけではない。通常状態では、出力はある程度デチューンしてあるし。機体の強度を限界まで高くするために、ネクストには余り使われない高強度の複合チタン装甲などを使っているため。とんでもなく重量が高くなっていた。なんと、質量でいったら雷電よりも重い。
まぁ、軽量のACと同程度には動けるのだが。前進速度は1024。うん、速い。速すぎない?(この後、部屋に戻ってACfAを起動して気づいたのだが。クーガー製のメインブースターを搭載したフラジールの速度が800ほどだった。は?)しかし、機体の調整はとんでもなく面倒くさい。常に体内に気を向けて、異常が発生しないように注意し続ける必要があった。
右に左に前に後ろに、全身のブースターから噴出されている緑色の粒子の勢いのせいで、体感速度は速度計が示すそれよりも速く感じる。
さて、まぁ、とりあえずは問題はないだろう。なめらかに動く。武器は装備してないが、いまさらちょいとばかし重量が上がったところでそんなに変わるとは思えない。
うん、第一関門はクリアだろう。真の問題は、次だ。
『よし!ここまでは順調です!ジャンヌさん!次はクイックブーストをお願いします。』
すーーーーはーーーー。深く、ふかぁく、二三度呼吸を行う。覚悟を決める。まぁ、うん、なんとかなるのだろう?なら、信じるしかない。
ブースターに集中する。狙うは音速の向こう側。無論、二段QBだ。神よ、どうか、どうか…………!!
「我を救いたまえッッッ!!!」
その瞬間、何が起こったか。正直思い出したくもない。
私は、会心の二段QBを出しました。サイドブースターからは特大の光の尾が伸び、耐えるとかそんな、そんな生易しレベルじゃないGが私に襲いかかりました。
まぁ、うん、そこまではまだ良いんだ。問題は、私の視界の隅っこに映し出されている速度計だ。コンマ単位で変わる速度を正確に把握することは流石にできなかった。うん、そこまで余裕があったわけじゃないしね。
ただ、ほんの一瞬だけ、そこに映された数値の四の位が、5になったのを見た。うん、この、空力とか抵抗とか全く考えてねぇだろって機体で。うん、どいうことでしょうね?
ま、ま、そこはまだ良しとしよう。わちきはチーターだ。その程度なら、普通に、損傷なく、耐えれちゃった。
うん 自分は 耐えることが できた。
同時だった。コアにジョイントしてあった全てのパーツが、クイックブーストをかました瞬間に吹き飛んだ。脚部など、腰と脚で別れてたし、膝でも、足でも分解してた。腕は引きちぎれ、何本か指が単独で舞っている。多種多様なパーツが無理矢理発生した推力により空を飛び、試験場の壁に突き刺さっていく。
ちなみに、頭部はコアに固定していたため。そんな様子をちゃんと見る事ができていた。きゃー!幻想的!
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぃぁいぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
なお、口からは悲鳴しか出ていません。おしっこ?あぁ、試験前にすましといたからなんとかなった。
エネルギーだけを与えられ、ソレを止める為の装置が全て吹き飛んだ私を乗せたコアは、音速で壁に激突しましたとさ!めでたし、めでたし!
「私を殺す気かぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
全力で長机をぶん殴る。怒りによって制御できなくなった人工筋肉から発生したパワーと、衝撃により硬化した拳によって伝えられたエネルギーは、哀れな長机を破壊するのに充分だった。ばきりと、机が割れる。
場所は、アクアビット本社に存在する会議室。そこでは、ネクスト研究者たちが渋い顔で並んでいた。
なんとか自力で脱出し、除染を終えて試験場を出たときは。生きてることへの感謝以外が出来ないような状況であった。そのまま会議室へと移動し、実験を振り返ってる中で怒りが再燃し、発言を求められた事で爆発した。
「……返す言葉もありません」
なんとか、発言するだけの元気が残っているパトリックが答えた。
「で、何が問題なのアレは。というか、問題じゃない所はあるの?」
「実際の所、問題しかありません。」
パトリックの野郎断言しやがった。
「ですが、その殆どをジャンヌさんの特異体質により無視しています。通常の生物の致死量を無視したコジマ粒子の濃度、ジェネレーターによるエネルギー生成能力を無視したエンジン出力、人体の構造を無視した速度など……」
無視してばっかりやないかい。なんだそれ。中学生の物理か?
「ですが、やはり、機体の強度だけはどうにもなりません。新設計のチタン合金や炭素素材を使用しておりますが……結果はこの通りです。」
「シミュレーションではうまく行ってたんでしょ?原因は?」
「コジマ粒子による劣化です。閉鎖空間で、高濃度のコジマ粒子を浴び続けた事により、機体の損傷が進んだのだと考えています」
……ようするに、アレか。ハードのB7やアンサラー状態ってことか。
いや、でも待てよ?
「だけど、APに問題は無かったような」
そうだ、いくらバカみたいなAPしてるからって。削れてるんなら自分は気付く。私の記憶では、クイックブーストの瞬間まで少しもAPは減っていなかった。
「おそらくですが、通常のPAでも機体損傷を……それこそ、目に見えないくらいにですが……受けていたのでしょう。ですが、今回はマッハ4を超える程の推力を一気に受けた為……」
何度聞いてもおかしいよなそれ。何だよマッハ4て
「……それらの小さな傷が原因となり、分解が始まったのでしょう。」
「はぁ、なるほど……」
私は、目の前においてある冷たい水に手を伸ばし、一気に飲み込んだ。うん、とりあえず怒りはおさまってきた。……さ、て。
「で、解決策は?」
「新素材の研究……それも、コジマ粒子の影響を受けないようなソレを開発するか。出力を落とすかです。」
「なぁーるほど。なるほど。うん」
「正直言うと……ネクスト部全員の意見ですが。性能を落とすことはしたくありません。本プロジェクトは、我がアクアビット社の全ての技術を集結させた、理論上最強のネクストを設計することにあります。ならば、これ以上スペックを下げたくはありません」
それは私も同意見だ。最強。最強。最強。凄まじく良い響きだ。最も強いネクストAC……素晴らしい。本当に素晴らしい。
「うん、まぁ、私も、ほかのネクストなんて歯牙にもかけないような化け物ACに乗りたいもん」
「ですから今後は、新たな装甲素材やフレーム素材の開発。それに機体のデザインの見直しを中心に設計を仕直すことになります。それまではどうかお待ちを」
「了解。ま、うん、アレだ。とりあえず、ラグナロクがあるからね、気楽に待っとくよ」
周囲には聞こえないよう、溜息を小さく吐く。このままじゃ、fAが始まっても製造に成功せんかもしれんなぁ……
「こちら第38区画!本部、聞こえてるか?」
『こちら本部、どうした?事故か?』
「いや、事故なんかじゃない。ドリルが貫通した!」
『貫通だと?どういう事だ?』
「わからん、掘っている最中、唐突に手応えが無くなったと思ったら。大きな空洞にぶち当たったんだ」
『空洞だと?事前の地質調査では、こんな所に空洞なんて……。とりあえず、何人か送る。そのまま作業を停止してくれ』
「了解した!……しかし、なんなんだろうなぁこれ」
「監督!ちょっと来て下さい!」
「あ?どうした?」
「それが……何か、下から音が聞こえるんです。」
「音だと?どんな?」
「それが、何か、飛んでいるような……」
「飛んでいる……?どういう……いや、待て。こっちでも聞こえた」
「えぇ、何か、段々近づいてくるような……」
「なんだ?風にしてはおかしいよな。いった……」
「本部!本部!こちらラットリーダー!調査予定地の第38区画において爆発らしき音が!一体何が起こってる!」
『こちら本部。こちらでも確認した。いま呼びかけているが、第38区画からは一切の反応がない。一旦引いてくれ』
「了解した!クソ、何だってんだ……。ん?」
『どうした、ラットリーダー』
「おい、何か、向こうから何か飛んでくる」
『何か飛んでくる?何かというのはなんだ?』
「わからん、見たこともないものだ。赤い、これは……こっちに突っ込んで……まずッガッ!!………………」
『ラットリーダー!どうした!応答を……!』
「クッ!至急、全区域に警報を!私は全隔壁の閉鎖を行う!それとミセス・テレジアに連絡を!B3階層において問題発生と伝えろ!緊急だ!!」
to be continued
重量級の機体をハイパワーのエンジンでぶっ飛ばしながら高機動かますのってロマンですよね。