お久しぶりです、メルチェです!
投稿が1ヶ月ぶりとなってしまいました……。まあいろいろあったわけですよ、はい。
キンジがでてこないなぁ。
とそんな11話です。どうぞっ。
―――陸side―――
「もっと脇しめて。親指はそこに置かない方がいい」
「はい!」
「桜田! こっちも見てくれ」
「分かった!」
タァン、タァン!
長い銃身から出る弾が少し反響音を残しながら飛来する。
ここは狙撃レーン。今日の俺は狙撃科での訓練を指導している。
狙撃科の生徒に指導しているのは良いが、壁際で口を閉ざしている南郷先生がさっきから視線を逸らしくれない。まるで実験動物を観察するかのような目でこちらを見ている。
「……桜田。手本、みしてやれ」
「分かりました。銃借りますね」
いったん後ろに下がろうと思ったら、バッチリ目が合ってしまった。
指示され狙撃銃を借りるために奥の武器庫にはいる。適当に一番手前のを掴んだらM21だった。
このM21はベトナム戦争の時にアメリカがM14を改良した物で、アメリカ陸軍の主力狙撃銃だったが、現在はさらに改良したM24があるため結構マイナーな狙撃銃である。
「
「……狙撃手単独抗戦の場合の敵の完全無力化」
「了解」
狙撃レーンに立ち、100メートル前方の人型の的に狙いを定める。
狙うは―――
タァン、タァン、タァン、タァン、タァン、タァン。
両手、両膝、そして
「……上出来だ」
「ありがとうございます」
訓練所内が唖然とした雰囲気に包まれる中、俺は狙撃銃を降ろして南郷先生にお礼を言った。
確かにみんな狙いは良い。的には高ポイントが与えられる場所もあるし、そこを狙えば9割は無力化出来るだろう。
だが――残りの1割は?
実戦において「予想外なので時間をください」なんて言えるわけがない。だから予想外の事――学校の訓練では無力化出来ない場合――でも対処できるようにしなければいけないんだ。
「今のが基本。そこからは体格や装備、敵の身体能力によって変わってくる。狙撃は主に後方支援だけど単独で敵にぶつかる可能性がない訳じゃない。そのときに応援がくるまで1人で持ちこたえる技量も必要なんだ。的に当てるだけが戦術じゃない」
南郷先生は黙って聞いてくれている。この人が訂正を入れないって事は俺が経験から経た分析も間違っていないらしい。
「とりあえずは止まってる的相手に誤差2ミリ以下で仕留めること。それが出来るようになったらバリエーションを増やしてどれが一番自分に向いた仕留め方かをもさくしてもいい。その次は動く的に向けての練習。最終的には強襲科と合同訓練でも良いかと思っているんですが」
「……いいだろう」
最後は先生に提案をする。許可も頂いたので後はみんなが出来るようになってから蘭豹先生に話を持って行こう。……どうせすぐにOK出すだろうが。
「大丈夫。俺を練習台だと思って撃ってればA以下の強襲科生は倒せるよ」
(((だろうな!)))
みんなの顔が青白くなっていくので励ましたら、さらに真っ青になった。
普段から俺の事狙ってるくせに何でだろうね?
「なんか向こうが騒がしいな……」
体育の授業が終わり教室に戻る途中、なにやら教務科の前に人だかりが出来ていた。
噂している人たちの話を聞くに、
教務科の前でケンカしているのはどんなヤツらかと興味本位に近づいてみた。
「こらーッ! 教務科の前でなにやってんの!」
どうやら争っていたのはあかり達のグループらしい。相手方は高千穂麗。強襲科でAランクのいかにも典型的なお嬢様みたいなタイプだ。
今はあかり達のグループが一方的にやられたところらしい。1人三半規管をやられてるな。やったのは陽菜か。
「あ、陸! あんたそこで面白そうに観戦してないでこっちに来なさい!」
おっと。魔王様に見つかってしまった。潔く出て行くことにする。
「随分派手にやられたもんだな。これでとりあえずは満足した? 高千穂さん」
「失礼します」
ふん、と顔を背けて高千穂さんは去ってしまった。
傾向的に加虐趣味がある。なまじ実力がある分、ああいうのは早く叩いとかないと危ないかもな。
「島さん、大丈夫?」
「桜田様……フラフラしますわ……」
ちゃんと聞こえてるみたいだし、鼓膜まではやられていない。まあ陽菜が牽制でそこまでするとも思ってないけど。
「アリア、お前シャワールーム行くだろ?」
「ええ」
「じゃああかり達連れて行ってやれ」
「もちろん。そのつもりよ」
だろうな。
「ライカ、立てるか?」
「大丈夫ッス」
「じゃあ、島さんシャワールームまで運んであげて。1人じゃ歩きにくいだろうし」
男の俺に触られるのもいやだろうしね。
島麒麟。CVR所属の
ここから察するに男嫌いだろう。ただ俺に話しかけられて答えるって言うことは恐怖から来る物ではない。
「なるべく横抱きで。俵担ぎにすると余計に揺れるから」
「え、で、でも」
注意点を付け足すとライカの顔が赤くなってしまった。女のこ同士で何を照れてるんだ?
「桜田様、感謝しますわ……麒麟、とお呼びくださいまし、うっ……」
「お、おい……大丈夫かよ?」
「? なんか良く分からないけど、はしゃぎすぎるなよ麒麟ちゃん」
今の状況で何故感謝された? 俺今なにかしたっけ。
頭の中で大量の疑問符を浮かべながらも、何故か少し嬉しそうな麒麟ちゃんに忠告をしておく。あんまりはしゃぐと回復が遅くなるから。
* * *
「陸先輩、お待たせしました!」
「ん」
俺は女子更衣室の壁に寄りかかって後輩達を待っていたところである。なんでも聞きたいことがあるだとかで。あ、勿論待ってるのは外だからね。
「麒麟ちゃんはもう大丈夫?」
「はいですの! 桜田様のおかげですわ!」
心配したら手を握られブンブンと上下に振られた。え、なにこれ、え。
絶賛困惑中の俺に麒麟ちゃんは、
「桜田様、メールアドレス交換しましょうですの!」
「え? いや別に良いけど……」
何故か追い打ちをかけてくださった。
困惑しながら携帯を取り出し連絡先を交換する。今の若い子って分からない。
「「あ、あたしも!」」
その不思議現象にあかりやライカも加わった。いや、ホントに交換するのに何の問題も……あるかも。
なんかさっきからアリアさんがこちらを睨んでいらっしゃる。俺は何もしてないはずだ。多分。
「それにしても、高千穂のヤツむかつくよなぁ……」
「私の、あかりちゃんを……!」
「どうかした? 佐々木さん」
「ッ、いえ!」
「?」
思い出したように眉をしかめるライカの横で佐々木さんが何事かを呟く。慌ててるのが気になるけど本人が何でもないと言ってることだし、別に良いか。
「相手の挑発に易々と乗るからよ! ……陸、何か言いたそうね?」
「滅相もございません」
それをお前が言うか、と思ったが口に出すようなヘマはしない。言ったら確実に風穴である。
それに珍しく先輩面が出来るのだからやらせてあげるのが優しさって物だろう。
「アリア先輩、陸先輩。
どうやら後輩組の用事は元々是だったらしい。確かに俺たちは2年生だし先輩に過去の傾向とかを聞くのが一番だろう。
「……対策教えてあげたいけど、あたしその競技やったこと無いから分からないのよねぇ。陸は?」
「俺も教えてあげたいのは山々なんだけど、俺試験官だからなぁ……」
「「「「ああ……」」」」
申し訳なさそうな顔を浮かべて呟く。
本当に教えたいんだけどね。あかり達には勝って欲しいし。でも試験官が試験について助言出しちゃ駄目でしょ?
放課後に居残りとか『ADCT』って不便だ……。それに蘭豹先生とかに資料整理押しつけられるし。あの人重要書類とか全部捨てちゃうんだよね。
「土日はあたし忙しいし、手伝ってあげられなさそうだわ」
「じゃあ、理子に頼みなよ。麒麟ちゃんの前の
「――そうですわ! 理子お姉様がきっと稽古してくださりますの!」
先ほどポケットにしまっていた携帯を取り出しす。
「そうと決まったら、特訓に使う合宿所を借りようですの!」
「それは無理じゃないかな?」
「え?」
「武偵高近辺の施設が高千穂の名前で借り占められてる」
「借り占め……!? なんてお金持ちなの……」
ライカの報告に目を丸くして驚くあかり。
武偵と警察や自衛隊の違い。それは
だが特訓できないのは困るか。
「佐々木さんのお家はどう? こういう言い方は悪いけど、武装弁護士の家系なら広いんじゃない?」
助言できない代わりに提案をしてみた。と言っても提供するのは人の家だ。そう簡単には、
「ええ、そうしましょう、そうしましょう! 桜田先輩ありがとうございます!! 私も連絡先を交換して頂いてよろしいでしょうか!?」
いったようだ。
そして佐々木さんの興奮具合がおかしい。何故俺は感謝されているのだろうか。むしろ佐々木さん俺の事嫌いじゃなかったっけ?
目をキラキラ(ランラン?)と輝かせて携帯を突きだして来るので、少し引き気味に俺も携帯を出す。
何だろう、今日は。感謝&アドレス交換デーだろうか。なにその行事。
「志乃ちゃんのお家なら完璧だよ!」
「いやーほんと、持つべき物は友だな」
「佐々木様のお家楽しみですわ!」
まあ何にせよ、家主の了解も取れたし。みんなも乗り気だからこれで良いとしよう。後は理子に任せる。
「……やりました! お家にあかりちゃんを泊める大チャンス……!」
俺から背を背けた佐々木さんがそんな事を呟いてるとは露も知らず。
「あの子達、すっかり陸に懐いちゃったわね」
「そうか? まあ、俺も1年ではあいつらと良く喋るな」
更衣室前であかり達と別れた俺とアリアは教室に向かって歩いていた。
今はちょうど昼休みだ。武偵高の昼休みは次の5限が専門科目で各自移動があるため少し長めに設定されている。よって、少しおしゃべりしながらゆっくりと歩いていても時間に余裕があるのだ。
「ねえ、陸。ちょっと聞いて良いかしら?」
「なに?」
アリアは眉を下げながら不思議そうな顔で質問してくる。
「……なんで、あんた生徒から狙われてるのよ」
「ああ、それ」
どこか困ったようにこちらに銃口を向けているのが複数。まあ後は敵意? たぶんこっちはアリア親衛隊の皆様だろう。
「狙撃科の連中にこの前狙撃銃での完全無力化について演習したんだけど、そこで『動く的として俺を練習台にしていいよ?』って言ったから」
まだ一度も掠ってすらいないんだけどね、というと、アンタねぇ……と呆れられた。
だって他に動く的無いんだからしょうがないじゃん。戦場で停止してる敵の方が少ないんだし。武偵は常時戦場。
「ま、陸のスパルタは今に始まった事じゃないわね」
「酷い言われよう」
「そんな事より今日は何処に行くのよ?」
「今日? まだ決めてない」
「はぁ?」
『そんな事』と俺に対する評価が一蹴されてしまった。アリアにスパルタとかいわれたくねぇ。
俺が5限に訪れる専門科目では事前に申請があるのだが、ほぼ高確率で3科目ぐらいが被る。よってその日の気分でいつも決めるのだ。
今日は4つか……。
「アリア、俺が裏返しにするから1枚引いて?」
「ホント適当ねぇ……」
文句を言いながら渋々引いてくれる。人に決めて貰った方が公平かなと思って。自分で混ぜて引いても場所覚えてるから意味ないんだよね。
「んー、これ」
「……探偵科か」
アリアが引いた一枚は探偵科の申請用紙だった。高天原先生の字で今日の授業内容
が書かれている。今日は尾行術の発展的演習だそうだ。
俺が授業で教えるのは演習を元にした実戦で使える技。基本的に講義などは担当の教諭が行うのが常である。……蘭豹先生や綴先生はそれすらもやらせてこようとするが。
なので実際に対戦形式で戦う強襲科は一番行く回数が多い。俺自身も強襲科なので他の教科よりは動きやすい。
「バカキンジに演習やらせなさい。なんかあいつヘタそうなんだもの」
「了解。じゃあ俺教務科によるから此処で」
「分かった。じゃあね」
教務科へ行って高天原先生に今日行く旨を伝えなくてはいけない。
アリアと途中で別れて教務科へと向かうのであった。
俺の1日は大抵こんな感じだ。
どうでしたでしょうか?
次回は更新が遅くなりすぎない程度に頑張って参りたいと思っております!
次話もお楽しみに~