大変ながらく書いてなくてすみませんm(_ _)m
もう、お前誰だよ?状態かと思いますがまた読んでいただけると嬉しいです!
side 陸
目を開けて1番最初に見えたのは真っ白な天井。まだ視界はぼやけていて、覚醒しきっていない頭では的確な状況整理もできない。
えっと…ここは?
首を回して辺りを見回すと『レキより』とメッセージカードのついた白百合。後は果物の入ったバスケットや、ベッドの上に持ってこれるキャスター付きの机。
ということは、
「病院か」
海に落ちたあたりから記憶が無い。ここはたぶん武偵病院だな。飯が不味いことで知られている。
そして病室で寝ているのが俺、ということは...俺が入院してんだろうな。
「陸…!」
病院特有の引き戸をガラガラと開けて入ってきたのは、コンビニの袋を持ったアリア。
最近までコンビニに行ったことなかったのに、1人で行けるようになったのか。
なんて場違いな驚きを浮かべてみる。
「陸ーー!」
しばらく固まっていたアリアだが、袋をポイッとほっぽり出すと飛びついてきた。
「心配かけたな、あり、痛い痛い……‥‥! 脇腹!」
「あ! ごめん!」
背丈の関係か腕を回したのが負傷中の脇腹だったので激痛が。
まあ、でも涙目だったし。相当心配させたのは十分分かったから。
「心配かけてゴメンな。御見舞ありがとう、アリア」
「…陸がこんなに大ケガしたの初めて見たから、このまま目が覚めないんじゃないかって思って、だから、起きてくれてよかった……」
溢れてきてしまった涙を一生懸命拭いている。
俺はよしよし、とずっと頭をなでていた。一定の速度で同じことを繰り返されるとリラックス効果が出てくるんだ。少しは落ち着いてくるだろう。
「そうだ。バカキンジにも伝えて来ないと。陸、ちょっと電話してくるね」
「分かった」
アリアが泣き止んだ頃。恥ずかしくなったのか、アリアは早口に喋ると病室から出ていってしまった。
キンジに電話、は嘘じゃないだろうけど、逃げるための口実だな。あれは。昔からそういう照れ屋なところは変わらないなあ、と少し微笑ましく思ったり。
アリアが帰って来るまでになにか果物でもむいておくか、とバスケットの中身を物色する。お、メロンとかあるじゃん。
ガラガラー。
メロンを手に取りナイフを探していたところで後ろから扉の開く音がする。アリアが照れを冷ます時間にしては短すぎるような……? 振り返るとそこにいたのはアリアではなく。
「おー、レキ」
「こんにちは」
なんとレキであった。
人となりを理解するほど知り合ってからの時間は立っていないがなんか意外な感じだな。
「見舞いにきてくれたのか?」
「はい。風がそういっていたので」
「風?」
「はい」
……風か。レキはなんとも不思議ちゃんだよな。バスジャックの前にもやったこの風のくだり。いまいち理解できないんだよなあ。
「...この白百合ありがとな。なんか悪いな、こんな立派なもの貰っちゃって」
「はい」
分からないことはとりあえず放置で。
たぶん今考えても結果は出てこないだろうしな。
「今、メロン食べようと思ってむいてるところなんだ。アリアももうすぐ帰ってくるし一緒に食べる?」
「いえ、陸さんの顔を見たので帰ります」
ペコリ。
肩にかけてるドラグノフとともにお辞儀をしてレキは病室から出ていく。なんと滞在時間2分。
本当に顔を見に来ただけのようだな。
「お見舞いありがとなー」
聞こえるかは分からないがその背に向けてお礼を言っておく。
風のような子だな。
「陸!」
レキが病室を出てから10分後ぐらい。
今度はあわただしくキンジがやって来た。
軽く汗をかいてるし、走ってきたな。
「おー、キンジ。メロン食うか?」
「
「食べ終わってから喋りなさい」
「みゃう」
お行儀の悪いアリアに軽くチョップ。
まず何喋ってんのか分からないし。
「おまっ...ケガは?」
「全回復ってとこだな。もうメロン食ったら退院する」
「...は?」
ハトが豆鉄砲を食らっているような顔だ。あ、ほんとにキンジの顔が鳩っぽく見えてきた。
「え、だって脇のところえぐれてたんだぞ!? そのうえ海にまで落ちて、1日もたたないうちに全回復って、は!?」
あらら。見事にパニクってるじゃないの。
キンジよ。お前は重要なことを見落としているぞ。
「おいおい、忘れたのか? 俺は全専門科目Sランクだぞ?」
「...?」
「そしてそこにはもちろん、SSRも含まれている」
「なっ、まさか!?」
アリアは俺のここら辺の事情もよく知っているので驚きはしない。それにしてもキンジはいい反応するなあ。
「超能力で回復治療も出来るってわけ」
「むぐっ!?」
回復具合を証明するため、病院着の上だけ脱いでみせる。なぜかアリアがノドを詰まらせた。というかすでに桃まん3個目。...没収だな。
「桃まん!」
「ご飯なし」
「...いらないです」
すっごい恨めしそうな顔で桃まんの入った紙袋を睨んでる。手を左右に動かすと視線もついてくるし。あ、ちょっと面白いかも。
「...やっぱりお前は人間じゃないな、うん」
「ご飯なし?」
「ごめんなさいうそです」
しみじみと呟かれたので
人様に向けて人間じゃないとか言ったらいけないんだからな?傷つくんだからな?
「まだ仮段階のものらしいが報告書を預かってきた。理子を中心に探偵科と鑑識科で調べてるヤツだ」
「さんきゅ」
キンジからファイルを受け取る。パラパラとめくってみるがあの場にいればわかるような事がほとんどだな。でも良くまとまってて読みやすい。
「アイツら今夜は徹夜してでも証拠見つけるって息巻いてたけど、実際はほとんど分からなくて苦労してるみたいだった。一応俺のチャリジャックの時の調査も入ってるけど、セグウェイもUZIも盗難品で手がかりなし」
「だろうな」
「でしょうね」
キンジの言葉に俺とアリアは同時に頷く。
相手が相手だからな。みんなが力不足なんじゃなくて、『武偵殺し』が何歩も上手なだけだ。
「やつはケタハズレに狡猾なやつよ。これぐらいで尻尾を出すわけがないわ」
「俺はチャリジャックもバスジャックもてっきり模倣犯の仕業かと思ってたんだけどな。なんたってーーやつはもう捕まってるんだら」
「だから何度も言ってるじゃない。それは誤認逮捕なのよ」
「模倣犯にしては犯行が完璧すぎる。逮捕された人も報道とか見る限り大した証拠もないのに引っ張られてるし、何かしら裏がありそうなかんじだな」
俺が根拠を示したことでキンジはアリアの仮説に反論出来なくなった。これに反論するんじゃ相当なこじつけが必要だからな。
「明日になれば本格的な報告書を持ってくるだろうけど...まあ、あんまり期待できる感じでは無かったな」
「そうね。そんなもの最初からしてなかったし別にいいわ」
キンジの言葉に強気な返事を返しながらも落ち込んでいるふうに見えるアリア。『武偵殺し』はアリアがずっと追ってる事件だったみたいだし、心のどこかでやっぱり期待していたのだろう。
「まあ、ここで終わりにするような犯人でもないだろうし手がかりを掴むチャンスはすぐやってくるさ。だからそんなに落ち込むな?」
「なっ、落ち込んでなんかないわよ!」
よしよし、と頭を撫でてやる。真っ赤になって否定しながらも、俺の手は振り払わないんだよな。
「〜〜! もう全部食べてやる!」
照れが最高潮に達したのか、俺がむいたメロンを両手にそれぞれ掴むと。
ガブガブガブー!
大食い女王もビックリなメロンの早い食いをしだした。
「ふー。ごちそうさま!」
そして、俺とキンジがほうけていた数分の間にメロン丸々1つを食べてしまったのだ。
俺は1切れ食べれたし別にいいけど…。
「...はぁ!? お前、全部食べたのか!?」
キンジに一口もやれなかったな。
「そうよ? なにか悪い?」
「当たり前だ! 1人で全部食べやがって!」
「あんたがトロいのが悪いんでしょうが!このうすのろ!」
「お前なぁ!」
こんな感じでキンジとアリアの口論が始まった。食べ物の恨みは恐ろしいって事だな。
しばらく終わりそうにもないし、他の果物でもむいとくか。
俺が早々に放置を決め込んだこの言い争いは病院の廊下にまで響いており、救護科の生徒に怒られたのは言うまでもない。
***
バスケットに入ってた果物を3人で全部食った後2人は帰っていった。と言っても、俺の服を取ってきて学校に1度よったら戻ってくるそうだ。教務科への報告もあるし、俺も退院したら寄るように、とキンジが伝えてくれた。
「失礼するわね。桜田くん具合はどう?」
1人になってヒマだったので、外の様子でも眺めようかと思っていた時。病室に救護科の矢常呂イリン先生がやって来た。武偵病院は救護科の担当だし、ここに担当教諭が来るのは普通のことだ。
「まあ、超能力使ったんで自然回復じゃ無いですけどバッチリです」
「退院する気って言うのは本当かしら?」
「はい」
アリア達が来れば着替えて即出るつもりだったしな。今はいたって健康体だし。
「とりあえず担当としては許可出来ないわ。腋窩動脈損傷に低体温症で死ぬ間際だったのよ?いくら桜田くんと言ってももう少しいてもらいます。せめて検査で異常なしと出るまではね」
「いや、でも健康体ですし…」
「い・い・わ・ね・?」
「はい」
じゃあこっち来て、と言って出ていく先生に着いていく。とりあえずアリアには書き置きを残しといて、っと。それにしても...こっわかったぁ。 美人な分迫力が凄い。
いくつかの検査(結構精密というか本当にくまなく)をして、病室に戻ってきた。矢常呂先生いわく、
「検査結果出すのにそこまで時間かからないけど、そのまますぐ帰りそうだから明日伝えるわ」
だそうだ。今日は泊まりだな。
「陸、服持ってきたわよ」
「さんきゅー、アリア」
はい、と渡されたバックを受け取りベッドサイドに置く。と言っても今日はこれ意味無いんだよな…。
「陸は早く退院したかっただろうけどあたしは安心したわ。今日ぐらい休みなさい」
「そうだな。今戻っても教務科行って終わりそうだし。そうだ、キンジは?」
「教務科への報告で捕まって、さらに強襲科でも捕まってたから置いてきたわ。あいつ意外と人望あるのよね」
あいつもカリスマ持ちだからな。それにしてもご愁傷さまって感じだな。
「これ、装備科から預かってきたわ。あんたの携帯」
「おおー!もう出来たのか。さすが文ちゃんだな」
アリアから携帯を受け取る。俺のなんだが、海に落ちた時に思いっきり海水に浸かってぶっ壊れていたので修理してもらってたんだと。見たところデータとかもとんでないみたいだし、よくもまあこの短時間で。
「キンジも人気者だけど陸だって凄いわよ。学校よったらみんなが陸のこと聞いてくるんだもん。火野や佐々木にはあんたが無事だって伝えといたわ」
「そっか…みんなにも心配かけたな。...ん?あかりは?いなかったのか?」
「陸をヘリで乗せて武偵高の救急車まで運んだんだけど、その時に飛び出したっきりで帰ってないらしいの」
「それは気になるな」
ライカ達も行き先を知らないとなると…危ないな。あかりには間宮の秘術があるけど、不意打ちされたら反応出来ないだろうし。
「なにか行先の手がかりになるようなものとかは?」
「雨の中傘もささずに飛び出したらしいから、陸が運ばれてパニックになったと思うんだけど…。ふらふらと歩いっていったって言う目撃情報しか無かったわ」
超能力でも使って調べるか?そんなのは簡単な事だけど…その必要も無いな。たった今、新情報が入ってきたところだし。
「アリア、メール見たか?」
「メール?」
「ああ、高千穂から」
「本当だわ」
『拝啓陸先輩へ』
その書き出しで始まったメールは…ものすごく長文だった。それは短編小説なんか書けるんじゃないかってぐらいの長さ。なので省略してまとめると。
『あかりが敵と思われる黒髪ロングの少女と接触。TNK製のワイヤーで攻撃されていた所を救出。相手は一時撤退したようだが、またすぐに襲撃してくるだろう』
といった感じだ。高千穂ナイスタイミングだな。さらにあかりから話が聞ければいいんだがな。俺の無事を証明するためにも1度ここへ来てもらうか。
「アリア、読んだか?」
「ええ。内容も同じようね。あんたのは最初の謝罪文がものすごく目立つけど…」
「...あかりを探しに行こう。きっとお見舞いに来てるハズだし」
「...そうね」
謝罪文が内容の半分を占めているという事実。
俺は携帯をそっと閉じてベットから降りる。微妙な顔をしたアリアが後ろから着いてきた。
...そんなにトラウマだったのかなぁ?高千穂。