緋弾のアリア――碧き守護者――   作:メルチェ

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すこしずつお気に入りが増えて嬉しいメルチェです。


今回は陸の実態に迫る!? かもしれません。(多少)
オリジナルの解釈とか入っているのでそこは適当に流してください。


では、本編どうぞっ。


3、ドレイ宣言

『こうなったのも全てあんたらのせいよっ!』

 

 

 

と大変ご立腹なアリア嬢と猛牛みたいに追いかけてきたクラスメイトたちを何とかまいた俺はキンジと理科棟の屋上まで来ていた。

だってあいつら戦兄妹(アミコ)の事ばっかり聞いてきて答えるの面倒だったんだもん。そんなに気になるなら探偵科(インケスタ)情報科(インフォルマ)のヤツが調べてやればいい。儲かって良かったじゃん。普通に調べても出てこない情報もあるんだけど。

 

 

 

 

「なあ、陸」

「なんだ」

「俺も少し気になったんだが、同い年で神崎の戦兄妹(アミコ)だって事はお前インターンで中等部いったのか?」

 

 

 

給水塔の裏で腰を下ろしくつろいでいるとキンジが質問を投げかけてきた。お前もかと思わなくもないが、クラスの連中みたいに全部聞いてくるんじゃなくてある程度は仮説を立ててるみたいだし。なぜか「キンジならいいか」って思うんだよ。自慢じゃないが俺の勘は良く当たる。

 

 

 

「ああ。俺は8歳から10歳までフランスの中等部にインターンで行っててな。いわゆる飛び級? みたいな」

「……それ、お前相当やばいヤツって分かってる?」

「自他ともに認めてる」

「……そうか」

「それで2年後にロンドンに仕事の関係で移ったときにだな、中等部に転校する予定だったんだけど『キミはもう中等部では扱えません』って無理矢理高校に入れさせられた」

 

 

 

俺の告白にキンジがすごく微妙な顔をする。そんな顔にもなるわな。俺だって聞いたときそう思ったし。

考えても見てくれよ。13歳のガキが自分たちと同級生(タメ)だぞ。しかもアメリカとはほぼ真逆のお国柄。実力主義の真反対、階級主義だ。俺が何かをするたびにやれ自分のところはこういう一門で、だとか。こんな功績を残していて、だとか。知らないよそんなの。やったのは全部ご先祖様だろ? 俺と一緒に依頼(クエスト)受けると成績あがるとかで、媚売ってくるヤツいたけどうざかったなぁ。

 

 

 

「んで、学校でよく1人でいた俺を見たアリアが、自分のプライドも相まって戦徒契約試験(アミカチャンスマッチ)を申し込んできたってワケ」

「そうだったのか。神崎プライド高そうだしな」

 

 

 

そうなんだよ! 同じ年なのに何でアンタが高1なのか、とか。私にその実力を見せてみなさいだとか。簡単に組み手して合格にしたらガチギレしてたな。十二分に実力ははかれたんだけど。アリア、今よりもさらに子供っぽかったからな。ツンデレぶりだけは相変わらず。

 

 

 

 

「陸も苦労してるんだな……」

「全くとは言わないがそんなにしてないぞ? アリアからかうの楽しいしな」

「……そうか」

 

 

 

アリア、基本的に素直でウソつけないから鎌かけるとすぐに引っかかるんだよね。それがおもしろいの何のって。ただ引き際を間違えるともれなく二丁拳銃(相棒)の一撃が腹に刺さる。と言うかぶっちゃけからかった時点で刺さる。マジ痛い。なに、じゃあからかわなければいいだろ? 何まじめなこと言ってんの。何のために痛い思いまでしてアリアからかってると思ってんの。……俺が楽しいからに決まってるじゃん。

 

 

 

 

「……お前への評価が変わったわ」

「ふーん。俺は最初からおもしろそうな奴だと思ってるけど?」

「……アリガトウ」

 

 

 

おーい、片言ですよー。

密かにこいつめんどくさい奴かもと思ってるのは知っている。言われたことあるからな。

 

 

 

「―――キンジ、隠れるぞ」

「急に何だよ」

「静かに。女子だ」

「!!」

 

 

 

2人でいそいそと給水塔の裏側に隠れて身を潜める。

足音からして3人。動きの雑さから言って強襲科(アサルト)の女子だろう。こいつらに見つかるのは非常にまずい。さっきのクラスメイトたちの様子から言って、俺たちが見つかれば通信科(コネクト)のヤツらが校内ネットで情報拡散して捕まる。それだけはマジで勘弁。

 

 

 

 

「さっき教務科(マスターズ)から出てた周知メールさ、2年生の男子が自転車を爆破されたってヤツ。あれ、キンジじゃない?」

「あ、あたしもそれ思った。確か桜さまもだよね? 本当は始業式出る予定だったけど通りがかりに救助してたんでしょ?」

「転校初日で救助とかかっこよすぎ!」

「やばいよね!!」

 

 

 

実際屋上に上がってきたのは強襲科(アサルト)の女子どもだった。しかもさっき見かけた気がする。うちのクラスじゃねぇか。

3人はフェンスに腰掛け弁当をたべ始める。まてまて。もしかしなくてもこいつらが食べ終わるまで俺たち動けないじゃん。

 

 

 

「それにしても2人とも不憫だよね。アリアに目つけられるとか」

「確かに。なんか朝から探り回ってたしね。朝は探偵科(インケスタ)の先輩になんか依頼してたよ」

「マジで? あたしもいきなりキンジの事聞かれた。『昔は強襲科ですごかったんだけどねー』って適当に答えたけど」

「さっきは教務科の前にいたよ。キンジの資料漁ってるんじゃない?」

「うっわー。ガチでラブなんだ。桜さまと知り合いなのになんでキンジ?」

「「さぁ」」

 

 

隣から「余計なお世話だ」と小声で呟いているヤツがいるが、ここはスルーしておこう。

ふむ。ここでもアリアは浮いているらしい。気心が知れればツン要素が強いだけで意外と仲間思いでいいヤツなんだが、いかんせんそれまでの過程に問題がある。基本1人で行動するアリアは周囲から勘違いされやすい。俺が来るまで、階級主義のロンドンでもつまはじきにされてたみたいだしな。何かと誤解を生みやすい性格をしているからな。

 

 

 

「キンジとか女嫌いなのによりによってアリアとか最悪だよね。アリアってさ、ヨーロッパ育ちだかなんだか知らないけど空気読めてないよねー」

「でもでも、アリアってなにげに男子の間では人気あるみたいだよ?」

「あー、そうそう。3学期に転校してきてすぐファンクラブできたんだって。写真部が盗撮した体育の写真、万単位で売れるヤツもあるって聞くし」

「そう言えばさ、写真で思い出したけど――これ見た!?」

「見た見た! 峰さんの『りこブロ』でしょ!?」

「そうそう!! さすが探偵科のAランクって感じのすばらしさだよね!」

 

 

 

なぜかアリア批判が理子(バカ)の褒めちぎり大会にすり替わっている。あいつがAランクとはさすが武偵高だな。今度何か依頼をしてみよう。使えそうな人材は把握しておきたいし。で、その『りこブロ』でなぜ理子(バカ)のすばらしさが分かる?

 

 

 

「いつの間に撮ったのか知らないけど桜さまの正面アングルとかやばすぎ。かっこよすぎて鼻血出るかと思った!」

「それ分かる!! ぶはっ、てなるよね」

「不知火くんもイケメンだからうちのクラスって最高だよね!」

「不知火くんの場合は噂さえなければ完璧なんだけどね……」

「それはもう言ってもしょうがない。でも正直さ――不知火くんと桜さまならあたしいけるかも」

「「右に同じく」

 

 

 

すごい危ない会話をしているのは気のせいだろうか。……いや、気のせいと言うことにしておこう。なんかその方が幸せな気がする。

 

 

 

「話それたけど、桜さまのその写真校内ネットのオークションで6桁いったらしいよ」

「高っ!? まあ、でも納得できるけど」

「今峰さんに焼き増しの注文が殺到してて、校内の女子ほぼ全員がうちのクラスに押しかけてるらしいし」

「私も頼まなきゃ!!」

「体育の写真とかほしくない!?」

「ほしい!!」

「というかむしろ着替え途中の写真でしょ?」

「「それな!」」

 

 

 

この学校本当に大丈夫なんだろうか。盗撮写真が万単位とか6桁とか。犯罪臭がやばい。なるほどあの理子(バカ)が『さすが』って言われるのは盗撮の腕の話か。何とも武偵高らしい無駄なスキルでやけに納得だ。能力の使い方を明後日の方向に間違えている。

 

 

「……ご愁傷様」

 

 

さすが武偵高、バカだなと思っているとキンジが同情の視線を向けてきた。今の会話のどこにその要素があるのか全くもって不明。何で俺に言うのかも不明。だが、1ついっていいか。

 

 

 

「『桜さま』って相当人気あるんだな」

「……」

 

 

 

 

なぜかこの後キンジから向けられる同情の視線が強くなった。いや、なぜに?

 

 

 

 

 

 

 

―――ところ変わって寮の一室。

先生に確認したところ探偵科のキンジの部屋が空いていると言うことなので、そこに入る事になった。キンジと同室って言うのは気が楽でいいよね。キンジからも「まあ陸なら……」と了承してくれたし。未だに昼休みからの同情視線引きずってるけど。ホントになんで。現在は放課後でこれから自室となるリビングでくつろいでいる最中だ。

 

 

 

5限の専門科目の時間ではずっとキンジのチャリジャックについて調べてた。どうやらあれは『武偵殺し』という武偵を狙って殺害するとネーミングそのまんまの犯罪者の犯行らしい。ヤツは爆弾魔で、過去にも3件事件を起こしている。もっとも、真犯人はすでに逮捕されていて今回のは模倣犯の犯行という事になっているらしい。その記事見たから言うけど、今回の犯行も真犯人のものだ。つまり過去のは誤認逮捕。でも、逮捕に踏み切った過程も強引だしどちらかというと『裏』が絡んでる可能性の方が大きい。

 

 

6限は学校の生徒情報について。アリアは相変わらず強襲科のSランクを保っているようで、ここでも浮いているっぽい。『唯我独尊傍若無人、逮捕率は高いが協調性に劣る。圧倒的実力で敵を制圧するワンマンタイプ。作戦は考えず犯人逮捕のためなら大抵の無茶はやる。よく言えば臨機応変だが悪くいえば考えなし。実力は認めざるをえない』とずいぶんな評価をされている。危険だから直せって言ったんだけどな…。

他には学校で有能な人材を捜していたのもある。同じクラスで行けば昼休み話題にあがっていた不知火亮。強襲科のAランクで武器をそつなく何でも使いこなす秀才タイプ。

後はアリアに席を譲った装備科(アムド)Aランクの武藤剛気。乗り物なら何でも操縦できると言う特技を持つ。

2人ともキンジの親友らしいが全くの正反対で不知火はモテるが武藤はモテない。

 

 

 

 

 

「―――キンジ。アンタあたしのドレイになりなさい!」

 

 

 

 

 

……うん。誤解しそうになっているそこのキミ。経緯を話すから少しまとうか。

 

 

6限が終わってすぐ、キンジと待ち合わせして一緒に寮に帰宅→少し時間がたってからアリアがピンポンダッシュならぬピンポンプッシュで登場→尾行をしているものだと思って言わなかったら知らなかったみたいでキンジがパニック→なぜか俺が怒られる→アリアのトランクを部屋の中に運ばされた(キンジが)→そして現在。

 

 

 

……誤解されてもやむなし。と言うか誤解するなっていう方がムリゲー。

 

 

「ほら! さっさと飲み物ぐらい出しなさいよ! 無礼なヤツね!」

 

 

 

盛大にスカートを翻しながらソファーの1つに腰を降ろす。

アリア、キンジの顔をよく見ろ。『呆れてものも言えない』って顔だぞ。ったく。俺がいない間に性格がほぼ元に戻っちまったじゃねぇか。仕方ない。元・戦兄(あに)として一言いってやるか。

 

 

 

「キンジ、いろいろ借りるぞ」

「あ、ああ」

「アリア、ほれ。飲み物だ」

「ありがと、陸」

 

 

キンジに一言宣言してマグカップに入れたインスタントコーヒーをアリアの前に置いてやる。俺の部屋でもあるのだから断らなくても良かったんだが、キンジの方が居住歴は長いからな。

 

 

 

「人の家に押しかけてきて無礼者とはずいぶん偉くなったな、アリア?」

「――!」

 

 

 

対面のソファーに座って笑顔で話しかけると、コーヒーを飲もうとしていたアリアの手がびくッ、となって止まった。こぼさないようにテーブルに戻す。

 

 

 

「とても英国貴族とは思えないな」

「アンタに……いわれたくないわよっ」

「? ……!」

 

 

 

昔はこういう言い方をするとすぐに撃って来たので迎撃準備をしていたが……いっこうに来ない。不思議に思ってアリアの顔をのぞき込むと――瞳に涙をためて拳をぎゅっと握っていた。こんな事は初めてなので対処に困る。キンジは……使えそうにないし。かと言って放置もできない。

 

 

 

「どうした?」

「アンタが『戦兄妹(アミコ)の契約が終わっても隣にいる』って言ったんじゃない! なのにあたしの14歳の誕生日前日に書き置きとプレゼントだけしていなくなるし。消息不明だし、この3年間連絡の1つもこないし」

「……」

「あたしがどれだけ心配したと思ってんのよバカ陸!!」

 

 

 

バンバンバンバン!!

 

 

 

今度は優しく声をかける。事情を話し始めたのはいいがいきなりキレてガバで乱射するの止めようか。

とりあえず銃弾は全て避けてアリアの手を掴み俺のこめかみに銃口を当てさせる。

 

 

 

「俺が悪かったからとりあえず落ち付けって。分かった?」

「! ……うん」

 

 

 

これをやると根っからの武偵なアリアはすぐに我を思い出す。たまにヘッドショット狙ってくるけどあれは至近距離じゃないからOK。

ガバをおとなしくホルダーにしまってまた座り直す。そのときにスカートがきわどいところまであがっているのを見てキンジが素早く目をそらした。

 

 

 

 

「その件は俺が全面的に悪かった。事件を追っていろんなところを転々としたり潜入(もぐ)ったりした関係で連絡どころじゃなかった。でも日本に来る前に連絡するべきだったな」

「ううん。あたしも事情も聞かずに怒ってごめんなさい……」

「よし。2人とも謝ったからこれで終了な?」

「うん!」

 

 

アリアのピンク色の頭を数回なでてやる。これが好きなのは昔からだな。

 

 

 

「……で、俺にドレイ宣言した理由は?」

 

 

 

っは! アリア叱ってたらすっかり忘れてた。

今まで黙っていたキンジがキッチンから顔を出す。どうやら今まで隠れていたらしい。

 

 

 

「陸は『お前が自分に足りないものを身につけたらパートナーになってやる』って言ったわ。アンタをドレイにすればそれが分かる気がするの。言うなれば陸をパートナーにするための……捨て石?」

「布石な」

「まあいいわ」

 

 

捨て石意味違うから。ものすごく失礼な単語だから、それ。ぜんぜん良くない間違え方だから。

俺をパートナーにって話し。現在進行形なんだな。アリアに俺がいなくなってからの3年間パートナーがいなかったのはまだ自分に足りないところを見つけられてないからだろう。元にもどってるわけだし。

 

 

 

 

「何でそんな事が言い切れる」

「あたしの勘よ」

 

 

 

さすがアリア。直感が優れてるだけあるな。

 

アリアとは違う意味だが、俺もキンジに目をつけている。

一年時強襲科Sランク。ネクラそうな見た目の割に強襲科の生徒からは今でも人気がある。リーダーシップに富みカリスマ性あり。そして気になったのは――――調子の波と、定期考査未受験によるEランク判定。いかにもワケありって感じだろ?

 

 

 

「勘って……お前なぁ。人の家に押しかけてきていう言葉じゃないだろ」

「まあ、いいじゃない」

「よくねぇよ」

「ねぇ、おなかすいた」

「おい」

 

 

 

突然話題を変えたアリアにキンジが突っ込みを入れる。意外とキレがいいな。

キンジが「こいつになんか言ってやれ」とアイコンタクトを送ってきた。そういったってなぁ。追い出す必要性を感じるほど失礼な発言はしてないし。さっきの事で少し罪悪感あるし。仕方ない。

 

 

 

「俺が夕飯を作ろう」

「ホントに!? やったー!」

「は? なぜにそうなる」

 

 

ということでレッツクッキング!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第3話いかがでしょう?    



陸のチート感がかいまみれたでしょうか(笑)
『インターンで中等部』というのが個人的解釈に当たります。なにぶん『小学生がインターンで高校に入る』という文を見つけてしまったので。チゲーよ、と思う方。オリジナル設定だと思って見逃してください。


アリアをしかれる人材が必要だなと思っていれてみましたが、結局陸の方がひどいヤツ(笑)


思ったより文字数が多くなって最後尻切れトンボみたいになってしまいましたがそこはご容赦を。


これからも亀更新ですが頑張って2日以上はあけないようにします……たぶん。


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