何とか2日開けずに更新できた、と自己満足中です。
―――sideキンジ―――
翌朝。
昨日はどっかの
「バカキンジ! ほら、起きる!」
がすっ! と腹にハンマーパンチが決まり。
ぐしゃ! と俺の顔面をアリアが黒いオーバーニーソックスで踏みにじってくる。
……ああ、夢オチじゃなかった。
「
「朝ご飯! 陸が作ってくれたんだから早く起きなさいよ!」
「じゃ……あ……ど……け!」
俺は顔に押しつけられたアリアのアンヨを両手で押し返す。もう本当に昨日から何のエロゲですか。
「陸のご飯が冷めるじゃない!」
「行くからそれぐらいで攻撃してくんな、バカ!」
「それぐらい!? バカ――ですって!? キンジの分際で!」
分際でって何だ分際でって。ずいぶん好き勝手言ってくれるじゃねぇかこの野郎。
「お前が黙れb」「2人とも~? 朝飯はこれからずっとなしでいいんだな?」
「「すぐ行きます!」」
これからまともな朝飯が食えるのに棒に振る手はない。ここはひとまずアリアと休戦して急いで行かなければ。本音? ……陸の間延びした声がクソ怖い。
アリアと手分けして(?)俺の着替えをし、急いでリビングに向かう。
「やっときたか。悪いな、昨日のあまりだとフレンチしか作れなかった。食べれるか?」
「あ、ああ。大丈夫だ。パンもいけるぞ」
「OK。明日は和食にしよう」
そこにはどこぞのレストランかと思うぐらいの朝食が並んでいた。フレンチトーストにサラダ、冷製のコーンクリームスープ。最近は和食のお重を食べたりコンビニのおにぎりで済ませたりと両極端だったのでなんか新鮮な感じがする。ってか昨日の余り物って感じの料理じゃないだろ……。めっちゃうまいし。陸に完全に胃袋掴まれてるな、俺。向かい側でも「ふにゅ~」と言いながら頬に手を当ててご満悦で食べている。こいつもか。
「アリア」
「ふにゅ?」
「クリームついてる」
「ありが、#$%&*!?」
「んむっ!? げほごほ!!」
ちょうどコーンスープを飲んでいる時に来たその行動の威力は絶大だった。なんと陸がアリアの鼻についた(どうやってつけるんだあれ)クリームを指でとって食べたのだ!
ありえん!! 俺はこんな『恋人の朝食』みたいなもの求めてないぞ!? 外国ではよくやるのかと思ってたらアリアの顔も真っ赤だし。昨日から思ってたけど陸って鈍感な上にたらしなのか……。あんまり近くにはほしくないタイプだぜ。女子が増える。……でも言ったら飯がなしになりそうだから言わないけど。
「ん、朝から少し甘かったか」
あんたの行動がな! アリアと意見がシンクロしたようだ。コクコクとすごい勢いで首を振っている。
「そんなに甘かったか? アリアも大人の味覚になったんだな」
「~~~!!」
えらいえらい、と陸がアリアの頭をなでる。それに対してアリアはまた顔を真っ赤にしてガタン! と立ち上がると
ぱかぽこがすっ! ぱこぽこどすっ!
と3回に1回のペースで俺にパンチやキックを決めてくる。みぞおちやすねに入って痛い。そんな真っ赤になりながら急所狙うって何。というかなんで俺に攻撃してくるんでしょうね!?
「いた、いたいってアリア! アリアっ」
みゃうー! となおもパンチを繰り出そうとするアリアの卵肌のおでこを手で押さえる。リーチの分、こちらにはパンチが届かない。やっと話ができるぜ。
「なによぅ」
「登校時間ずらすぞ。お前先に出ろ」
「なんで」
「何でも何も、この部屋から俺たちとお前が一緒に並んで出たら面倒な事になるだろ」
「一応男子寮だしな、ここ」
陸も朝食の片付けをしながら俺の意見に賛同する。昨日あれだけアリアで追い回されたんだ。今日もその二の舞なんてごめんだね。
「うまいこと言って逃げるつもりね!」
「同じクラスなんだし隣の席だ俺たちは! 逃げようがないだろ!」
一度アリアを躱し、部屋から鞄その他諸々をとってくる。玄関の前に戻るといつの間にか準備を終えてる陸とむうぅぅぅ、とふくらんでいるアリア。
「そんな風船みたいにふくれてもダメだ! 別々に部屋を出るぞっ」
「やだ! 逃がすもんか! キンジはあたしのドレイだ! 陸も! アンタのためのドレイなんだから捕まえるの手伝いなさい!」
「はいはい、分かりましたよ」
アリアは俺の腕にしがみつき、絶対に放さないぞ! の構えを見せる。本当に勘弁してくれ! 陸だって反応に困って、え。
「待て待て待て!! なんで俺を捕まえるんだ陸!」
「えー、だってガバで脅されたら仕方なくない?」
「分かるけど粘れよ! 『静嵐』さんよぉ!」
「陸、よくやったわ!!」
「それとこれとでは事情が違う。アリア、お前もだ」
「みゃうっ!?」
「お前らにつきあってたらバスに遅れるんでな」
陸が俺の首根っこをつかみ、アリアを小脇に抱えたまま部屋を出る。こんな細身でどこにそんな腕力が、じゃなくて! 何でか知らない間に靴も履かされてるけど! とりあえず言わせろ!!
「「この裏切り者ーー!!」」
―――sideキンジ・end―――
―――side陸―――
「りっくんおまたせにゃー!」
俺がいるのは武偵高の屋上。盗聴の心配も少なく、もし襲撃が来てもすぐに対応できるベストポジションなのだ。
「これが頼まれたものだよぉ」
「サンキュー、理子」
「だからりこりんだって言ってるのにぃ!」
ぽすっ、と抱きついて来ようとする理子を軽くいなし封を開ける。数日間接してきて分かった。こいつはこういうヤツだ。
――俺は理子にキンジの情報調査を依頼していた。一応俺の方でも調べてあるがどれくらい信憑性があるものか確かめるためである。後はこいつの実力? Aランクと格付けされているがBに近いのとSに近いのでは大差がありすぎる。それをはかるためだ。
ざっと内容に目を通す。
『遠山キンジ。元強襲科のSランク武偵。現在は探偵科のEランクで4月には武偵を辞めようと思っている。リーダーシップがあり――』
ほぼ俺の調べた内容と同じか……と言うことはこいつはAランクでも結構上の方だな。
「りっくんでもライバルの情報はきになるんだねぇ」
「ライバル? 誰と誰が?」
「キーくんとりっくんが」
「ああ。アリアの話? 俺らはライバルとかそんなんじゃないよ」
調査書をしまってブレザーの内ポケットに入れる。
「うっそだー! だって今日キンジの寮から3人で出てきたモンだからいろんなカップリングが生まれてるんだよ? アリアファンクラブと陸ファンクラブが対戦してるし」
「ファンクラブ? 俺に?」
「うんにゃ」
「それ、多分気のせいだよ」
「え!? あー、うん」
だって俺生まれてこの方告白なんて一回もされた事ないし。つきあった事もない。もちろんそう言う展開になったことなんかないし……。言ってて悲しくなってきた。モテないってつらい……。理子にまで『かわいそうな子』みたいな目で見られるし。モテないって、つらい……。
「(うすうす思ってたけどこういうタイプかぁ。そりゃ近づけないわ)」
「ありがとう、理子。報酬については連絡してもらえればいいから」
「オッケー! 何でも1つりこりんの好きなことにつきあってくれるんでしょ?」
「ああ。俺にできる範囲であればな」
「了解! 楽しみにしててね!」
「じゃあまた明日な」
手を振って別れようとすると
「りっくん!」
ぎゅうー、と理子が後ろから抱きついて来た。普通なら背後とられるってあまり良くないんだけど、敵意は感じなかったしとりあえずやらせてみた。むにゅっ、と背中に柔らかいものが張り付く。理子を『ロリ巨乳』とあがめ奉っているヤツらがいるとは聞いたが……これのせいか。そいつらに今の状況知られたら殺されかねない。
「1つ聞きたいんだけどぉ。――何で理子に依頼したの?」
「同じクラスにAランクの探偵科がいたからだけど?」
「う・そ。自分で調べた方が早いじゃん。全部『ランクオーバー』なんだからさ♪」
「……」
「理子も陸の事調べたんだぁ。こんな成績出せる人いるんだねー?」
理子が胸元から(なぜそこにしまっている)出した紙を俺に向き直って眼前でぺらっと掲げる。
「『桜田陸。13歳までで武偵高全課程を修了。武偵始まって以来の最年少記録である。専門科目は全て。その全てにおいてSランクを取得しており解決した事件は大小合わせて4桁に登る。二つ名は『静嵐』。いるだけで人が集まってくる天性のカリスマ持ち。その人に見合ったものを事件の報酬とする少々変わり者。基本は
理子の読み上げたそれは、よくそこまで調べたな、と思うようなものまで入っていて。努力に免じて少しまじめに相手しますか。
「それで? 何が言いたいわけ?」
「おっ、ちょっと雰囲気かわったねぇ。理子はそっちの陸も好き」
「そりゃどうも」
「つれないなぁ」
――『ランクオーバー』。
これは俺の二つ名ほど有名ではないがそこそこの知名度がある。主に俺をさして言う言葉だが要はSランク以上Rランク未満のことだ。Sランクの人間じゃかなわないが、勝手にRランクにするわけには行かない、と言うことで日本政府が勝手につけた単語である。だが意外にも海外でもこれを知っているヤツがいて、二つ名のように何回か呼ばれた事がある。俺もそのときに初めてこの単語知ったんだけどね。
「それ別に二つ名じゃないんだけどヘンなふうに広まってんのな」
「カタカナだから向こうの人の方がむしろ愛用してるんだと思うよー」
ふふっ、といたずらっぽく笑いながら紙をまた胸元に(だからなんでそこ?)しまう。俺を下から見つめる仕草はやけに手慣れていて。そう言えばこいつCVRの評価高いんだっけ。結城先生にこの間廊下ですれ違ったらなぜか興奮気味に「うちこない!?」と誘われたな。美少女しか入れない特殊学科に男を何で勧誘する。しかもこんなに平凡なのに。不知火とか誘えばいいのに。
「理子、りっくんの事しりたいなぁ」
「理子が調べた事が全てだよ」
「ぜぇったい、何か隠してるー」
「――じゃあ報酬使う?
まだ疑っているようなので奥の手を使わせてもらう。こうすれば何も考えていないようで冷静な理子はすぐに分かる。今情報を引き出すために使うのと後で選んで使うの、どちらが有効か。俺は意外と『峰理子』という人物を高く評価しているつもりだ。
「むぅー! その手を使うとは卑怯だぞ、りっくん!」
「ごめんごめん。じゃあお詫びにヒントをあげよう」
「お? なになに!」
口をとがらせ、幼児さながら頬をふくらます理子の頭をなでてやる。お、髪の毛サラサラ。染めてるのかと思ってたけど地毛なんだ。
「俺がここに来たのは」
「うんうん!」
「授業を受けるためじゃないよ」
「……え?」
「じゃあ、これヒントだから」
「ええ?!」
「後は頑張って推理しな。仮にも探偵科なんだし?」
固まった後叫び声を上げた理子を尻目に横を通りすぎる。アリアとは対照的なシナモンの甘ったるい香りが漂ってくる。それはちゃんとした女の子の香りで、でも理子だから似合うんだろうな、と余計な事を考えた。
仮にも武偵で探偵科を専攻してるんなら自分で考えないとね? 答え待ちは良くない良くない。アリアぐらい推理が壊滅的であれば救済措置をとるかもしれないけど。
「武偵憲章6条。『自ら考え、自ら行動せよ』。仮にも武偵なら従うべきだな」
「……はーい」
「じゃあ俺もう行くから。この後アリアに呼び出しくらってんだよね」
「いってらー」
「
「――!!
理子が一瞬驚いた様な顔をしてすぐに不敵な笑みに切り替える。なるほど。こいつもなかなかおもしろい。アリア、キンジとはまた別枠だな。もう少し探ってみてもおもしろいかもしれない。
今後の予定を内心で立てながら屋上のドアを閉めた。
一方その頃。
『こちら狙撃科棟。我らのマシュマロが! マシュマロが潰れております!』
『隊長! このままヤツの悪行を放置しておいていいんですか!?』
『う~む……』
『どうかご決断を!』
『早急にブチのめした方が世界人類のためです! リア充のクソ野郎!!』
『明後日作戦会議を開く! 相手は強敵だ! 準備は周到にせねばならん!』
『さすがです!』
『すぐ全隊員に通立つせよ!』
『『イエッサー!!』』
無線機ごしに物騒な男子間のやりとりが行われていた。
「これ、俺について、でいいのか?」
当の陸に盗聴されているとはつゆ知らず……。
陸の情報が出てきたので容姿などを書いておきたいと思います。
髪・藍色(金髪は染めてたのでこっちが地毛)
瞳・緑
身長・178㎝
体重・58㎏
性格・からかうのが好きなのに恋愛に関してだけは鈍感。なのに人たらし。やれ、と言われればハニートラップもできるかも。無自覚イケメン。モテない男子の大敵。
みたいな感じです。
一部加筆・修正しました。これからもたびたびあります(汗)
文字数を統一したい!と思いつつ、なかなか実現しそうにありません。尻切れトンボにならなかっただけいいんじゃ……と思っております。
次回は時系列的に(?)AAの話になると思いますが是非ご覧ください!