第7話です。
珍しく朝に投稿しました。いつも22時過ぎに投稿してたから新鮮です!
では本編どうぞ!
「ぱんちゅー、丸見えー♪ キィーン」
「こっ、こら-! バカライカ! ローアングラー! お金払え!」
こんにちは! 私は間宮あかりです。この前あこがれのアリア先輩の戦姉妹になった強襲科の1年生だよっ。ちなみに今怒っている方が私。
そして私が追いかけているのは同じ強襲科の友達で火野ライカ。金髪の髪を短いポニーテールにしている女の子だよ。強襲科でもAランクをとってる強いこなんだけど――
「今日という今日は許さないんだからー!」
「白木綿のガキぱんちゅはいてるヤツに言われても全然怖くないよーだ!」
――下から人のスカートの中を覗いてパンツを見るようなヘンタイなんだよ!
強襲科ではノルマが終われば何をしててもいいから、他の人と同じように自主練をしていた。アリア先輩こないかなぁ……、なんて考えながら二階のトレーニングルームでエクササイズバイクを立ちこぎしてたらめくられたの! ライカに! 立ちこぎなんてしてるからだろ? だって座ると足がペダルに届かないんだもん……。
毎回恒例の追いかけっこをする私たちだけど、それも長くは続かなかった。1階を見下ろす男子生徒の会話を聞いてライカが急に立ち止まったからだ。そのせいで、むぎゅ! とライカの背中に激突してしまう。
「―――おい、聞いたか。キンジが強襲科に帰ってくるって!?」
「付き添いで桜田も来るらしいぞ!?」
「マジかよ! キンジって遠山キンジだよな? それにあの桜田もかよ!」
「強襲科の主席候補って言われてたヤツと『静嵐』か!」
2年の先輩たちがどこか興奮気味に語るのを聞いたライカは―――
勝ち気なその顔に緊張感をよぎらせている。その様子があまりに珍しかったので、一度怒りを脇において呼びかけた。
「……ライカ?」
「遠山キンジ……あの人が帰ってくるのに加えて桜田陸か」
「キンジに陸……? その人たち誰?」
「両方とも2年の先輩。桜田陸の方はお前も知ってるだろ? 4月から転校してきた『桜さま』だよ」
「え、あの?」
「そう。最近学校中で噂になってるあの人」
2年の『桜さま』は学年が違う私たち1年生の間でも有名だった。すごくかっこいいんだって。そう言う噂をあまり知らない私でも知ってるくらいだから相当人気があるんだと思う。残念ながら顔は見たことないんだけどね。
「んで、その桜田陸の二つ名が『静嵐』。Sランク保持者で8歳の時からインターンで中等部に在籍。13歳の時に武偵高1年に飛び級したって言う超絶エリート。解決事件は大小合わせて4桁に迫る勢いらしい」
「8歳から!? 飛び級!? 4桁ぁ!?」
「詳しくは分からないから探偵科のヤツにでも依頼して聞いてみれば?」
ライカから聞いた桜田陸の情報は驚きでいっぱいだった。高校生で2つ名を持っているのももちろんすごいけど、それより年齢の方が気になる。もちろん今の時代武偵になりたい小学生がインターンで入る事もあるにはあるけど、よっぽど優秀じゃないと入れないハズだ。12歳で入るのも考えられない事なのに8歳からなんて。
ライカも私が驚くのは分かってたみたい。アリア先輩ぐらいすごい人なんてそんなにいないし、志乃ちゃんにでも依頼してみようかな。
「もう1人の遠山キンジは任務でいつもいなかったし、去年転科しちゃったけど……前は強襲科でSランク武偵だった」
「い、1年の時にSランク!? そんな人いるんだ……!」
こっちにも!?
武偵ランクの頂点――Sランク武偵は厳しい人数制限があり、各分野で突出した能力を持つ者だけが選ばれる。大人の武偵も含めて、世界で数百人しかいない存在だ。
アリアもそうだが、高校生がSランクに格付けされるというのは希なことだ。それが経験を積んだ2,3年ではなく1年生以下と言うことであればなおさら。
「遠山キンジは入試で教官を倒したらしい。伝説の男だよ。先に紹介しちゃった人があれだからそう感じないかもしれないけど、プロ武偵に勝てる厨房も十分バケモノだろ」
ライカの解説に内心納得してしまう。
武偵高の教官は前職が強靱な軍人・傭兵・警察……他にはマフィアなどと噂をされる全国選りすぐりの屈強なプロたちだ。その強さは生徒であれば身をもって日々思い知らされる。
そんな彼らを当時中学3年生が倒したというのだ。桜田陸と同じようにバケモノ扱いされても不思議ではない。
「……バケモノ……」
ライカの話から2人の人物像を想像してみる。遠山キンジは教官を倒したのだ。きっとアクション映画でバズーカ砲を片手で撃つようなプロレスラーみたいな大男。桜田陸は女子が話題にするほどの美少年だ。さすがにプロレスラーはない。ボクシングの選手みたいなマッチョだろうか。
(そんな人たちが同じ学校なんて……私、入試は補欠合格だったのに……)
1人想像をして恐怖に震えている私の横で。
「2人とも話した事ないけど顔は知ってる。あっ、あれだ」
「……」
「キンジだ!」「本当に帰ってきた!」「桜さまー!」「超絶イケメン!」
ライカがおもむろに指したのは1階のホール。私もおそるおそるそこを覗いてみると、2人の男子生徒があっという間に人に囲まれていた。片方は男子。もう片方は女子。2年の先輩がもみくちゃにしてる方が遠山キンジ。女子に囲まれて困り顔なのが桜田陸だろう。
(……?)
2人のギャップに私は戸惑う。だって全然想像と違う。遠山キンジは少し目つきが悪い暗そうな人だし、桜田陸は芸能人と言われても納得してしまうほどの美形。中性的な顔立ちですごくきれいな人だ。女子が噂するのも頷ける。加えて2人とも細身で武偵高の生徒が騒ぎ立てるほどバケモノな感じはしない。
「……なんか……想像してたのと違う……」
「そう見えるんだよな。特に遠山キンジなんか。上勝ちすると大手柄だから狙ってる1年もいるけど……どうも勝てる気はしない」
上勝ちとは下級生が上級生に私闘で勝つと言う意味の武偵高の隠語のこと。実戦的な訓練の年数は本人の実力に直結する。数ヶ月でも差が出るほどだ。年単位で違えばその差は大きい。普通はそんな上級生に勝つなんて事は起きえないので成し遂げた者は教師かあらも周りからも高く評価される。
口ぶりから察するにライカも少しは狙っているのかもしれない。
「それに、あの人の戦妹は
と、後頭部をかきながら歯がゆそうにライカがトレーニングジムを出ようとした、そのとき――
「ちょっとおs「アンタが『静嵐』さんですかぁ!?」
仲間を大勢引き連れた男子生徒が桜田陸に声をかけていた。どちらかというと挑発っぽいだろうか。仲間も剣や銃を取り出していてまるでケンカを売っているよう。
「ライカ! なんか下でケンカが起こりそうな雰囲気だよ!」
「何っ!? 上勝ち狙いの1年か! 誰だ?」
私の一言にライカがトンボ帰りしてくる。正直なところは分からないけど
男子生徒たちが一方的に騒ぎ続けること数分。入り口から蘭豹先生が入ってきた。蘭が名字で豹が名前の香港出身の女教師である。
「仕切ってるのは田村か。あたしにも負けるようなヤツが上勝ち狙いとはバカもいいところだが……桜田先輩の戦い方が見れるならナイスだな」
「……?」
ライカがおもしろそうに階下を見下ろす。ライカは強襲科で男子よりも強く、転がされた男子は大勢いる。田村くんはそのなかの1人だ。
桜田陸の呼び方を紹介の時とは違って『桜田先輩』とライカは言い換えた。そこには何か尊敬の念がこもっている気がして気になる。私もアリア先輩に憧れてたからそういう気持ちはよく分かるんだ。でもライカが男の人を尊敬なんて珍しい……。
――と、人の事を考えていた思考は次の瞬間一瞬で吹き飛ばされる。
「『武偵』として殺していいんだったら遠慮しませんけど」
言葉とともに濃密な殺気を感じとったからだ。もちろん私に向けられたワケじゃない。対象は田村くんたち1年生の男子。そこの一点に集中するように向けられている。間宮の本能が告げる。この人だけは――敵に回しちゃいけない。
「あかり?! お前具合悪いのか?」
「え?」
「すごい汗かいてるぞ!?」
ライカに言われて初めて気づく。体中に冷や汗が伝っていた。緊張の度合いが半端じゃない。ライカは心配そうに私に声をかけている。この様子から見て殺気には気づいていない。一部の人しか気づかないなんて相当なコントロールが必要だ。それをいとも簡単にやるとはさすが武偵高で騒ぎ立てられる人物と言うことか。
「……!」
「桜田先輩余裕だな……。なんかこっちに手振ってるけど、あかり知り合いか?」
「ううん」
突然、桜田陸がこちらに向けて手を振る。自分の殺気に気づけた人間だと分かっているのだ。しかしその顔は実に穏やかで。まるで友達に手を振るような気軽さだ。同一人物の雰囲気とは思えない。気づけば、私は桜田陸を窓越しに食い入るように凝視していた。
「……それにしてはやけに魅入ってるな」
「……」
この至近距離でライカのつぶやきが聞こえないほどに私は階下の人物を注視していた。
「……すっげぇ」
――結果だけ言えば1年生の惨敗だった。
剣や銃を使う数十人を相手に日本刀一振りで圧倒する実力。闘う姿は何かの踊りみたく綺麗。先ほどの恐怖はどこへやら、そこには思わず息を止めてしまうほどの綺麗さがあった。一言しかもらせないライカの気持ちが良く分かる。ここまで実力を見せられては認めるしかない。この人はアリア先輩と同等かもしくはそれ以上。ライカが尊敬するのも仕方ない。
「あかり、どうせだから近くに行こうぜ」
「ちょっと、ライカ!」
ライカが私の手を引いて1階に駆け下りる。速いってぇ!! 30㎝ほどの身長差があるライカに引きずられるように走る。足の長さが違うんだから考えろ、バカライカ!
私たちが降りている間に桜田先輩についての話題は進んでいたみたい。
「「『ADCT』?」」
「要はあれやあれ。生徒兼教師や」
「「教師ぃ!?」」
学年問わず生徒の間から連続で驚きの声が上がる。え、桜田先輩って先生だったの!? 先輩で先生なの?
武偵高では優秀な人材を教師として雇っている。19歳という若さながら教師をやっている蘭豹先生がいい例だ。しかし生徒兼教師の『ADCT』という制度は初めて聞いた。外国で活躍していたアリア先輩なら何かしってるかも。帰ったら聞いてみよう。
「こいつとりあえず全部できるからいろんな専門科目で見れるで」
「「マジか!?」」
「だいたい強襲科にいることが多いから気軽に来てもらえれば。それと指導はするけどあくまでも生徒だから。よろしく」
「「よ、よろしくおねがいしまーす……!!」
さっき闘っていた1年生だけではなく2年の先輩たちも背筋を伸ばしている。みんな同じように緊張しているのだ。私も隣のライカまでも背筋を伸ばしている。そんな中、一人だけ自然体の男子生徒は目立った。遠山キンジだ。他の人と同じように緊張した面持ちだけど、そこまで体は固まっていない。いくら存在感が薄くて暗い人でもさすがに一人だけ違ってたら目立つ。桜田先輩に自然体でいられるなんて、遠山キンジはライカの言うとおりバケモノなのかもしれない。そう言えばどこかで名前を聞いたような……。
全然思い出せないけど。
「キンジ、申請に行こうぜ。俺も一応武器だけ登録しないと」
「お前登録してなかったのかよ?」
「始業式にごたごたしてた今まで忘れてた」
「その節はどうも」
桜田先輩は遠山キンジと仲がいいらしい肩を組みながら出て行った。桜田先輩はさっきの怖い笑顔じゃなくてすごく無邪気な顔で笑っていた。
「「桜さまカワイイ~!!」」
「不知火×桜さまだと思ってたけど……キンジ×桜さまも捨てがたい!」
その笑顔に1、2年の女子が騒ぎ出す。蘭豹先生も出て行ったので、体育館の中は余計に盛り上がっていて、みんな自主練どころではなくなっていた。
「ライカ、キンジ×桜さまってどういう意味?」
「なっ……あたしにそれを言わせるなッ。あかりにはまだ早いっ」
さっきの女子の会話について聞いただけなのに、ライカは顔をすごく真っ赤にして体育館から出て行っちゃった。同い年なのに教えてくれないなんてライカのケチ! いいもん、志乃ちゃんに聞くから!
意地悪なライカにあっかんべー、と舌を出しながら、2階のトレーニングジムで自主練を再開した。アリア先輩に近づくためには頑張らないと!
今回は予告を無視らなかったメルチェです。
次ぐらいまでAAでいきたいと思います。(変更の可能性アリww)
6話あたりからお気に入りが倍近くになってとても嬉しいです!
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