八幡の武偵生活   作:NowHunt

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総武高校編⑩ そろそろ事件解決に動きます

 

 

 猛妹と話をした翌日。あれからは帰ってレキと情報をまとめて、もうそのまま寝た。いやうん、疲れたんだよ。主に精神が。色んな意味であれだけハラハラしたの初めてでは?

 

 そして朝の登校時、早く出たので誰もいない通りを歩き、レキと今日進めることを話し合う。

 

「じゃあ、いつも通り放課後まで見回り程度で操作して――」

「はい、放課後に詳しく調べましょう。平塚先生にマスターキーを借りないとですね」

「あぁ、それならまだ持ったままだ。先生から許可は取ってある。一応は夜中までの滞在許可も校長先生から貰ってあるし、ある程度は遅くまで調べるか。夜はさすがに明かり消されるから厳しいかもだが。それで、あれってどの辺りにあると思う?」

「安易な考えですが、どこかの引き出しでしょうか? もし学校に手引きしている人間が生徒であるなら、生徒がいて不自然ではない場所だとは思いますが。教室や部室などでしょうか」

「……教師だった場合はなかなかにキツいか。あまりスペース取らない物だし、探すのも大変だな。ワンチャンあれを家とかに持って帰ってたら、それこそ捜査が行き詰まるな」

「とはいえ、明日に体育館を詳しく調べる予定ですので、もしかしたらその段階で手引きしている人が判明する可能性はあります。最悪、証拠がなくてもカチコミに行けます」

「まぁ、あった方がやりやすいのは確かだが……」

 

 うーん、このガバガバ感よ。

 

 確かに、ここに手引きしているであろう奴を抑えなくても、現場を抑えれば解決できるかもしれない。しかし、それだとヤクザと繋がっている奴が学校にいるという状態に陥る。さすがにそれは危険すぎるから、どちらにせよ見付けないといけないし、そもそも普通に犯罪だから捕まえる必要がある。

 

「とりあえず今日調べれるところは調べるか。いくら平塚先生や校長から許可貰ってるとは言え、他の教師に知られちゃ不味いし、あくまで怪しまれない程度に慎重にな」

「はい。いざとなったら、気配を消しましょう」

 

 俺とレキからそれくらい可能だ。単純な隠蔽なら俺らのチームは他の武偵のチームよりずば抜けて高いだろう。……といっても、俺よかレキの方が圧倒的にレベルが高いんだけどな。そこは経験の差というか元々の素質だろう。

 

「そういや、一昨日のやつ現場にお前もいたけど、クラスメイトから何か言われたか? ていうか、あの場に雪ノ下の他にいたのか?」

 

 ふと気になって訊ねたのは俺がゴロツキを適当に制圧していたら、レキが援護してくれた件についてだ。

 俺の場合は由比ヶ浜に大丈夫か聞かれたが、レキはどうだっただろうか。変なことを訊かれて、変なことを口走ってはいないだろうか。そういう一抹の不安が過るが、プロのレキはその辺りの分別は弁えている。大丈夫だとは思うが、念のために訊かずにはいられない。

 

「あの場に雪ノ下さんを除いてクラスメイトが2人いたそうです。その2人に安否を訊かれました」

「ん、他にもいたのか。さすが進学校。2年から受験勉強か。気が滅入るわ」

 

 俺も武偵の道に進んでいなかったら、こういうことに通って日々勉強漬けだったのかもしれない。何て言うか、今の俺からしたらその選択肢がなかなか思い浮かばない。

 

「私は何ともないと答えました」

「実際何ともないしな」

「はい。それと八幡さんを褒めてましたよ」

「俺を?」

「えぇ、ヤクザ相手に立ち向かったことなどについてです。かなり興奮した様子で語ってました。彼女らにはどこか新鮮に映ったようですね」

「あー、何となく分かるかも。日常に慣れすぎてたら、非日常に憧れるというか普段とは違う高揚感でも味わえたんだろうな」

 

 といっても、ああいう場面で、そういうキャッキャっとした反応になるが普通なのか。それとも由比ヶ浜みたいに心配してくれるのが稀な反応なのか。野次馬は気が楽でいいね。当事者やそれこそ川崎みたいな被害者からしたら、たまったもんじゃないだろうに。

 

「そういえば、川崎さんはどうなりました?」

「分からん。昨日は学校休んでいたし、坂田さんがどうにかしてるはずだけど」

 

 昨日の今日だから情報が出揃っていないってものある。無事だといいが……。ヤクザは借金取りみたいにどこまでも追いかけるからなぁ。

 

「そういえば、先ほど坂田さんにあれを渡していましたが、いつ調べがつきますか?」

 

 家を出る直前に坂田さんにはわざわざ来てもらい、昨日見付けた手掛かりを渡したところだ。

 

「さあな。容疑者は多いから何とも言えないなぁ」

 

 とだけポツリと呟いた。

 

 

 

 そして、朝の教室へ。今日は早く出たのでほぼ一番乗りかと思ったが、先客がすでに何人かいた。

 

「あ、ヒッキー! おはよー」

「おう。由比ヶ浜早いな」

「今日は早起きだからね!」

「……それと川崎も」

「別に。いつも通りだよ」

 

 教室にいるのは由比ヶ浜と川崎だけか。なんか話してたようだけど、この組み合わせ見たことねぇな。でも、雪ノ下と由比ヶ浜は仲が良いし、若干雪ノ下と雰囲気の似ている川崎と話していても特段不思議な感じはしない。コミュ強こわっ。

 

「ていうか、あんた」

「ん、どした?」

「いや、まだちゃんとお礼言ってなかったから……」

「あぁ、気にすんな」

 

 仕事だし。それを差し引いていも久しぶりに暴れて楽しかったまである。……ごめん、由比ヶ浜の前でそういうこと言うの止めてくれる? 隠してはいないけど、やっぱほら、下手に知られたくないし。……ねぇ?

 

「えっ、何の話なの?」

 

 ほらぁ、食い付いちゃった。

 

「由比ヶ浜知らないの? あそこにいたんでしょ?」

「いたけど……。ヒッキー何かしたの?」

「何かしたというか、そいつがヤクザを殴ったりしてあたしを助けてくれたんだけど」

「…………え、えぇ!?」

 

 ワンテンポ置いて、由比ヶ浜はとても驚いた声を上げる。

 

「そ、それホントなの?」

「あたし、こんなことで面倒な嘘つかないけど。……あんたも何か言ったら?」

「……なんで言うかね」

「いや、お礼は言わないとじゃん」

「ちょっと待って。ヒッキー、嘘じゃないの!?」

 

 めっちゃ肩グワングワンされる。気軽にボディータッチされて正直ドギマギしています。この子、数多の男子を勘違いに追い込んでそう。恐ろしい!

 

「誠に遺憾ながら事実です」

「それ使い方おかしくない?」

 

 と、川崎のツッコミが入りつつ話は続く。やっかましい。

 

「ど、どういうこと!? ……なんでヒッキーがそんな危険なことしたの?」

「いやだって、あそこで動けたの俺しかいないし」

 

 そもそも武偵ですし?

 

 それを差し引いていも、野次馬はがりで自分から解決に身を乗り出す人間なんてかなり稀有な存在だろう。怖いものには手を出したくないくせに、周りが危険な目に遭うのは嬉々とする奴らが多いことだ。他人の不幸は蜜の味とはよく言ったものだ。俺もこの言葉好きだがな。

 

「ていうか、そんな危ない人たちに勝てたの!?」

 

 そう信じられないという視線を向ける由比ヶ浜。素直だねぇ。実際、そう思うのもムリないっていうか、その通りすぎるが。パッと見、ただの高校生だもんな。え? 日頃から銃撃ってるだって? 今は撃ってないのでセーフ。何がセーフか分からんが。

 

「まぁ、不意討ちだったからな」

「にしちゃ、あんたスゴい動きしていなかった?」

「ほっとけ」

 

 恐らくあのロンダートのことだろうな。

 というか、あの不意討ちで地味に仕留めきれなかったし、やっぱそこはいくら下っぱだろうとヤクザってことか。気絶させるだけなら、スタンバトン使う方が手っ取り早いよなぁ。あのとき持ってなかったし、意味ないけども。

 

「過ぎたこと考えてもどうしようもないし、この話はこれで終わり。……って、そうだった。川崎、あれから大丈夫か?」

「あー、うん。警察が来てくれて色々とやってくれたよ。もうしばらくかかるだろうけど、大丈夫だと思う。今日も警察寄るしね」

「なら良かった」

 

 ……とりあえずは一安心といったところか。

 

 

 

 その後、由比ヶ浜のしつこい追撃をのらりくらりと受け流し、わりと頑張って授業を受け昼休みになった。未だに由比ヶ浜はこちらに怪訝な視線を向けているが、敢えて無視する。こら以上反応するのは危ない。

 

 さて、昼飯だ。昨日の疲れで弁当作る余力はなかったので、購買に行かないといけない。レキと話ながら登校してたからコンビニ寄るの忘れてた。レキはカロリーメイトがあるだろうが、さすがに年頃の男子高校生の腹はそれだけではもたない。

 

「ヒキタニくーん、一緒に飯食わない?」

 

 椅子から立ち上がったところで席が近い戸部が誘ってくれた。そこには葉山と、女子2人……確か三浦と海老名って名前だったな。それと由比ヶ浜もいる。陽キャグループとでも言うべき人が集まっている。

 

「悪い、今日購買なんだ」

「あ、そうなんだ。あそこ早くいかないとマジヤバいよ」

「おう」

 

 ごめん、あのガチガチ陽キャグループに入る勇気はないんだ。別に葉山含めて悪い奴らではないのは分かる。それでも、雰囲気的に入りにくい。特に三浦。あのトゲトゲとした感じはどこかヒルダを連想してしまい、なかなかに苦手だ。勝手に自爆してるだけだがな。

 

 そして、転校して初日以来購買を訪れるが、やはりここは混んでいるなとしみじみ。

 

 人がごった返している。武偵高も大概だが、あそこはかなり敷地が広いから購買の数や面積もその分デカい。

 ただまぁ、普通の公立だとそこまで購買は広くないしここに訪れる生徒は多いしで……面倒だ。この中並ぶのかぁ。マジでコンビニ行けば良かったと軽く後悔する。

 

「……」

 

 列の最後尾に並ぶ。ていうか、購買って何があったっけ。別にパンをいくつか買えれば大丈夫だろう。

 

「…………」

 

 あれ、俺の前にいる奴――アイツだ、相模だ。

 俺は相模の不登校や本人にとって不名誉な噂を知っている。別に口を滑らせることはないが、変に関わったら、色々と面倒なことになりそうだ。向こうから声をかけることはないだろうけど……念のために気配消しておくか。

 

 暇だから相模を観察する。変な意味じゃないよ? ただボーッと前を眺めているだけ。

 

「――――」

 

 頭が左右に小刻みに揺れている。これはあれか、どれだ。不自然に周りをキョロキョロと視線を動かしているみたいだ。やはり不登校の期間についての自分の噂を気にしているのか。それなら、コンビニに行くなりして人混みを避ければいい。……それに加えて、これといって相模を見ている奴らはいないように見える。

 それとも、誰かと待ち合わせしていて探している? これは……違うか。だったら、もうちょい頭を大きく動かすだろう。

 

 名前も知らない他人の視線なんざ気にしなきゃいいのに。まぁ、いいや。

 

 

 

 購買でパンをいくつか買い、食べながら適当に学校を歩く。目的の物を探すために目ぼしい辺りを狙って歩いてみたが、 まぁないよな。

 

 あるとしたら特別棟のどこかかと思ったけど。生徒がいる棟は使われていない教室は存在しない。頻度は多少差は存在するが、どの教室も何かしらのタイミングで使われている。そんなとこにあるとは考えにくいし、何よりもうそこは調べた。

 うーん、教室の外からだと、どうも中が鮮明には見えないよな。マスターキーは昼休み使うわけにもいかない。誰かに見られたら怪しまれるし。

 

 特別棟の4階を歩いていると、見知った人物が教室から出てきた。

 

「……あら、比企谷君」

 

 黒い綺麗な髪を揺らしつつ、少し意外そうな視線を向けた雪ノ下はこちらに声をかけてきた。こんな誰もいない廊下で俺みたいな奴と遭遇したら、驚くよな。

 

「おう。何してんの?」

「昼食よ」

「教室で食わねぇの?」

「……別にいいじゃない」

 

 と、軽く口を尖らせる雪ノ下を見てある程度察した。教室に居場所ないというか、あの空間は苦手なんだろうな。

 

「ところで、あれから大丈夫だったかしら?」

 

 一昨日のことか。昨日は雪ノ下と会っていなかったから、事の顛末を伝えてはいなかったな。

 

「平気だ。ま、あいにく俺は強いんでな」

「川崎さんも?」

「おう。もう学校に来てたよ」

「そう、なら良かったわ。……ところで貴方はこんなところでどうしたの?」

「適当にブラついてるだけだ」

「……貴方も私と何も違わないじゃない」

「失礼な。俺は購買寄ったついでに歩いてるだけだぞ」

 

 自分で言っていて、大差ないことに気付く。

 

「じゃ、しばらく彷徨くんで。じゃあな」

「えぇ」

 

 雪ノ下は校舎の方へ戻り、俺はまだ時間があるので探索を続ける。雪ノ下には俺が何かしらの捜査をしているとバレていそうだが、まぁ特に問題ないだろう。弁えている奴だし、こちらから訊ねない限り下手に首を突っ込んでこない。

 

 

 特別棟の4階から1階にかけて廊下から見える分だけだが、改めて教室を全部見終えた。ていうか、マジでここ人いねぇな。ホントにアレあるのか? それかアレに類ずるモノ。昨日手掛かり見つけた分は朝早くから坂田さんにお願いして渡したばかりだ。

 

 午後の授業を受けている間にそればかり考えてしまい、授業に身が入らない。ここである程度予習しとけば、アホアホ武偵高の授業で大きくアドバンテージを取れる可能性がある。もしかしたら、定期テストの総合で星伽さんを抜けるかも……よしっ、真面目に受けよう。万年2位は返上だ。

 

 

 ――――と、そんな思いで授業を受けてから時間は経ち、現在は放課後。今日は部活中止になってないので、レキは現在美術部の方へ参加している。

 

 雪ノ下たちがいるかと思い、特別棟の奉仕部がある教室……昼休みに雪ノ下と会った場所まで足を運んだが、鍵は空いておらず気配もしない。空室の状態だ。しばらく隠れてみたが、由比ヶ浜も来る様子はなかったから休みにしているのだろう。まぁ、毎日やるような部活でもなさそうだしな。

 

 都合が良いと言えば都合が良い。誰もいない場所をより調べられるのだから。あるとしたら、特別棟のどこかだと予想はしている。中の教室をより詳しく調べようか。……にしても、こんな立派な校舎なのに、なぜ誰も利用しないのか。生徒たちがいる校舎だけで事足りると言うなら、そうなのだろうが、勿体ない気がする。

 

「さてと……」

 

 色々な教室に入り、詳しく調べる。引き出し開けたり、机の下を調べたり……やってることがただの空き巣だ。音を立てないようにしているから尚更な。

 

「ない」

 

 この教室には何もない。

 

「……ない」

 

 ここにも。

 

「チッ……」

 

 ない。

 

「めんどくせぇ……」

 

 これで何回教室に出入りしたのか。1つの教室調べるのにもけっこう時間使うしで微妙に疲労が溜まる。調べる範囲はそこまで多くないのが救いか……。

 

 

 そして、いくつめの教室か忘れた頃――――

 

「……あった」

 

 ようやくお目当ての物を発見できた。まさか本当にこんなところにあるとはな。俺の推理……いや、地道な捜査もバカにできないもんだ。

 それにしても……つ、疲れたー。ひたすら中腰だったし、やけに疲労が溜まる。あー、しんどっ。こんなのするくらいなら、神崎の相手している方がよっぽどマシだ。いやまぁ、どうせ転がされるんだけどね。

 

 さてと、これは回収して、レキと合流してから警察行くとしよう。指紋とかで分かるかなー。そんなことを思いつつ教室に戻ろうと足を踏み出した瞬間――

 

 

 ――――カツン、カツン。

 

「――――ッ」

 

 足音が聞こえる。誰もいない廊下に甲高い音が響く。俺は咄嗟にしゃがみ、廊下から見れない角度の場所に隠れる。……音は立ててないはずだ。鍵もかけているから、その教室に対応している鍵がなければ入れない。大丈夫だ。平塚先生か校長先生以外に見付かったらややこしいことになる。

 

「――――」

 

 音は次第に通り過ぎていく。もう音も小さくなりそれなりに離れているだろう。

 

「……ふぅ」

 

 安堵のため息を吐きつつ、足音を殺して誰だったのか確認をする。……ダメだ、ここからではあまり見えない。しかし、チラッとは見えた。といっても髪の色しか分からなかったな。一瞬すぎて男か女かも微妙だ。この学校、わりと髪の毛染めている人多いから困ったもんだ。

 

 

 

 

 

 ――――そして、レキと合流してから警察に行き、色々と坂田さんに渡した翌日の放課後……というか、部活をしている生徒も下校してほとんど人がいない時間帯で。

 

 色々とすっ飛ばしすぎかもしれないが、特に語るようなことがなかったので……。ほとんど事務連絡だけだったし……。許してヒヤシンス。これたまに聞くことあったが、元ネタ知らない。恐らくかなり昔のもんだろうが。

 

「では八幡さん」

「おう」

 

 武偵高の制服に着替え、銃と棍棒を装備している俺とドラグノフを構えるレキ。今から事件解決に向けて本格的に動き出す。……まぁ、賭け要素がめちゃくちゃ強いんだが、そこはまぁなるようになるだろう。

 

「行くか」

 

 

 先日レキが見付けた体育館――――その地下に続く扉を開ける。

 

 

 で、地下への扉を開けると、階段に銃弾やら他にも色々と転がっていた。数は限りなく少なかったが――まぁ、これで石動組と何も関係ないとは言いにくいだろう。

 ということで、詳しく調べることに。上手く行けば、証拠を抑えられるし、決定的な何かを見つければ、一網打尽にできる可能性だってある。

 

「…………」

 

 地下に続く階段を降りる。歩いている途中に出口への穴があったので蓋を開けてから飛び降りる。……ったく、梯子ないのか。不便だな。

 

 俺もレキも飛び降りたそこには――コンクリートで整備されている用水路があった。

 

「暗いな、灯りはと」

「こちらに」

「ありがと」

 

 レキの肩に設置している電灯を点けてから、俺も懐中電灯を取り出す。

 

「……どっから進む?」

「少々お待ちを……」

 

 と、レキは目を閉じてしばらく黙る。

 

「こちらに行きましょう」

 

 目を開けてから、行く方向に指を指す。

 

「反対側は?」

「風が止まっています。恐らくですが、ほぼ行き止まりです。出口もありません」

「分かった。さて、どれぐらい歩くかね。……これって、石動組の取引現場と学校が繋がっている感じか?」

「可能性としはそれが高いでしょうね」

「あとは単純に石動組の本拠地と学校を繋ぐ通路か」

「警察も用水路までは捜査できてなかったみたいですね」

「……あっ」

「どうしました?」

 

 レキの会話で思い出した。そうだ、警察。昨日坂田さんにもらった物がある。

 

「悪い、忘れてた。地図もらったんだった」

「それは用水路ですか?」

「そう。ついでにいつから総武高がここに繋がっているか調べてもらったが、どうもこれが不明らしい」

「不明、ですか」

「あぁ。この用水路自体はかなり昔に造られたもんだが、多分石動組かそれに関わる組織が工事に関わっていたみたいだ。石動組はかなり歴史のあるヤクザだからな。警備会社や水道の会社に知らされている造りとは少し違うらしい。まぁ、いざという時の逃げ道だな。こういうのが恐らくあといくつかあるっぽい」

「実際、ここは多少灯りはありますが、そこまで明るくありませんね。むしろ暗いです」

 

 俺らは懐中電灯を持ってきているが、それでも足元ははっきりしない。100m間隔に電灯が設置されている程度だ。普通の用水路がどんなもんか分からないが、普段は関係者も常日頃からこんなとろに入らないだろうし、こんなもんか。

 

「それで、もらった地図というのは」

「これ」

 

 レキに明かりを灯しつつ見せる。今日の朝に学校に行く前にもらったものだから、俺も詳しくは見れていない。これのどこかに石動組と関わりのある場所に繋がっているはずだ。

 

「八幡さん、この赤丸は何でしょう?」

「ん、ホントだ。印あるな。えーっと……あー、これあれだ。石動組に関係ある施設と繋がっている場所だわ。……ていうか、この用水路ほぼ一本道だな」

 

 確かに赤丸のある場所は石動組の本拠地やそれに類する場所……取引現場とかに使われた場所だろう。この辺りを探せばいいかもしれない。といっても、実際の隠し道はどこにあるかは定かではないがな。

 

「……レキ、地図は覚えたか?」

「はい」

「んじゃ、地図と見比べて何か違和感あったら教えてくれ。俺も注意しながら歩くけども」

「了解です」

 

 今思ったが、総武高から幕張の方まで歩くのこれキツくね?

そして、改めてレキが有能すぎる。俺の必要性よ……。まぁ、レキは近接ボロボロだし、銃剣ないから俺がそこはカバーするしかないので、まだ必要な場面があるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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