八幡の武偵生活   作:NowHunt

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総武高校編⑪ 飛ぶ

「……八幡さん。止まってください」

「ん、ここか」

「はい」

「ありがと。……さすがに俺じゃ分かんないな」

 

 あれから歩き始めて2時間経ったか経ってないほど。レキが地図とは違う地形を見付けた。

 

 その部分――天井を注視してみると、俺らが入ってきたときと同じような造りになっている。上に人1人が通れるだけの穴が空いており、そこには梯子も蓋もされてない。パッと見じゃ通気孔のような扱いを受けるだろう。ていうか、薄暗くてまず気付かない。

 おおよそ3mの高さがある。微妙に高いな。俺が身長170前後だから……1mちょっとは飛ばないといけない。飛んだとしても中が空洞だったら――いや、よくよく見れば、穴に入るとうっすらと梯子が見える。さすがに暗すぎると危険だからだろう。

 

 登る前に俺は地図を開く。

 

「現在位置はと……」

 

 地図を確認。あー、幕張駅から数百m離れた辺りか。 一応印付けておこう。警察にいずれ教える必要あるだろうし。スゴい、俺ってばめちゃくちゃ考えて動いている。やるじゃーん。……なんか自分で言ってて悲しくなるな。

 

「どのように登りますか?」

「ワイヤー銃で行こうと思ったが、さすがに鉤爪引っ掛からなそうなんだよな。梯子に引っ掻けるのもしにくそうだし。そもそもが暗いしなおさら。……ちょっと待ってて。あ、ドラグノフ貸して」

「はい」

 

 レキのドラグノフを肩に担いで飛翔で狙いを定めて飛ぶ。

 

 慎重に飛んだ結果、無事梯子を掴むことは成功した。ドラグノフもどこにもぶつけてない。

 

「なぁ、レキ。ロープとかある?」

「いえ」

「さすがにワイヤーじゃ引き上げるの厳しいか。……よっと」

 

 一度降りる。

 

「俺がドラグノフ背負ったまま運ぶのは可能だ」

「私が持ちますけど」

「それでもいいけど、下手に引っかけるのもあれだし、先にレキに登ってもらってそのあと俺が手渡すって形でどうだ?」

「分かりました」

 

 レキは一応は納得した形をとる。まぁ、そらゃ自分の一部なんだから、そう簡単に手放したくないか。

 となると、まずは――

 

「……レキ、俺の上に乗って」

「……そういうご趣味でしょうか」

「違うわ! 背負うから上から飛び移ってくれ。ドラグノフ持っとくから」

「ふふっ。はい、分かりました」

「――っ」

 

 不意に見せたレキの笑みにドキッとしました、はい。あれは卑怯。コイツも冗談言うようになったな。

 

 

 

 そして、無事に上に上がってからGPSを用いて詳しい現在位置を調べる。今俺らがいるのが薄暗い駐車場だ。とはいえ、全然車が停められていないところを見るに普段は使われていない駐車場だろう。かなり暗いし、非常灯くらいしか点いていない。

 

 調べてみたはいいけど。

 

「どこだここ。なに、ビル?」

「……の地下のようですね。商業ビルとのことですが、石動組と関わりのある企業がいくつかあるようです」

「えー、これ片っ端から調べるのか。……だるっ」

「どう進めます。隠密に行きますか?」

「いや、適当に歩こう。誰かそれっぽい奴見付けたら適当に痛めつけりゃいいし」

 

 とりあえず階段を探す。一応小声で会話は続ける。わりと声響くな、ここ。

 

「そういえば、猛妹と会ったビルじゃねーんだな」

「あそこは普段一般の客も使われているホテルだそうで」

「そか。そういやそうだったな。てことは、ただ場所を用意しただけかー」

「そもそも藍幇と現在も取引しているのでしょうか?」

「どうだろうな。そんなピンポイントに乗り込めるとは思わないけど、何かしら証拠残ってればいいな。あ、取引については人がいない倉庫とかで行われているって坂田さんたち言っていたっけ。だからまぁ、必ずしもここと石動組が関係しているかって言えば、微妙な線だがな」

 

 適当に非常階段を登りつつ、誰かいないか探す。調べた限り、このビルは普通に高いレベルの建物だし、さすがに無人ではないと思う。なかなかこのレベルのビルが夜に差し掛かった時間帯で無人になるとは考えにくい。

 

 ネット調べだと、ビルの全体像は載っていない。どこかで探せればいいが。まぁそれは二の次だ。適当に誰か探すかな。

 

「最初にどこへ行きますか?」

「最上階?」

「その心は」

「何となく」

「……はい」

「呆れた?」

「いえ」

「なら行くか。エレベーター使えるかな」

「使えなかったら運んでくださいね」

「それ俺に負担かかりすぎるだろ」

「お姫様抱っこで」

「それ気に入ったの?」

「……」

「おい」

「お願いします?」

「任された」

 

 なんてワガママなんだこのお姫様は。めっちゃ可愛い。死ぬ。

 

 

 

 

 数分が経って最上階へ移動。エレベーターは普通に使えたからお姫様抱っこはなしの方針だった。微妙すぎて分かりにくかったが、少しレキはムスッとしていた。

 まぁそれはいい。ただ、ここまで行くのに誰ともすれ違わなかったのは気になる。あれか、昨今流行りの残業なしが浸透しているのか。残業したらぶっ殺すぞ的なあれか。なんて素晴らしい心がけだ。しかし、今だけはありがたくねぇ……。誰もいないと情報がないんすよね。

 

「誰かいるかな」

 

 エレベーターホールのとこほから耳を澄ます。話し声は……ん?

 

「しますね」

「だな。うっすらとだが。防音設備でも使ってんのか?」

「でしょうね。その上で扉が少し開いているから漏れているのではと」

「男の声……複数」

 

 ここで一旦俺らは黙って目で会話する。『行くぞ』とか『分かりました』とかそんな感じの会話だ。ここまで来たらさすがにおふざけはしない。足音を殺して周りに気を配る。センサーも全快だ。

 

 歩くこと20秒。目的地に着いた。つっても、すぐそこだったんだけどな。昨日、猛妹と会ったようなフロアだ。あそこほど豪華絢爛というわけでもないが、まぁそれなりには高そうなフロアだ。扉が微妙に開いており、そこから中を確認できた。男が複数……4人程度か。あれ、意外にも少なくてびっくり。

 

 パッと見若い青年社長みたいな奴。背が高い目付きが厳つい老人。プロレスラーのような風貌をしたゴツい体格をした奴。なんか……武士みたいな風貌をしている奴。この計4人。

 

「アイツら……」

 

 遠目からで完全に判別できないが、恐らく全員石動組の幹部だ。……昨日会った木崎はいない。幹部全員はいないみたいだ。まぁそれはいいとして――――組長がいる。あの青年社長みたいな奴がそうだ。それに、何かトランクがある。それも数台。正確な数はここらでは分からない。特に食事をしているわけではなさそうだ。

 

 レキと目を合わせ、俺は瞬き信号で『待機』を送る。レキはコクッと頷きドラグノフに手をかける。いつでも撃てるようにと。俺もヴァイスをそれぞれ取り出し組み立てておく。臨戦態勢で中にいる奴らの会話を聞く。

 

 

「藍幇の大使に話はついているか?」

「えぇ、組長。上々ですよ。といっても、私は今回の藍幇の責任者は知らないので間者でのやり取りですが」

「あー、そりゃ悪いな」

「そこは組長の役割だから割り切ってるっての。……で、実際どんな奴なんだ?」

「ん、いやー、そこも黙ってろって言われているからな。信用のためにも話さないでおく。ま、意外な奴とだけ言っておくぜ」

「気になりますな……」

 

 

 …………うん、ドンピシャですねこれは、はい。藍幇との取引現場ではないから、証拠を抑えるのは厳しいだろう。しかし、取り押さえてあとは警察に押し付けよう。とりあえず坂田さんにメール送っておこう。

 

 

「で、銃はどれだけ集まった?」

「途中警察の邪魔があったが、概ね予定通りってところだな。これだけあれば弱った鏡高組を滅ぼすことはできるだろ」

「こっちの人数も少ないのが難点ですけどね」

「木崎の奴と佐倉の爺さんは鏡高組と全面的に抗争するの反対してるからな。あの2人に付いている奴らは連れ出せねーし」

 

 

 鏡高組――それは東京を中心に活動しているヤクザだ。確か近年組長が死んで石動組と似た状況になっているはずだ。ヤクザ同士戦うということになるのか。出入りってやつ?

 

 というより、そもそもどうしてここで話している? 普通に本拠地で話せばいいものを。

 

「ま、あの2人の気持ちも分かるがな。なにせ、これがミスれば逆にこっちが取り込まれるんだからよ。組長として、あの2人を責めるつもりはない。……それで、鏡高組の内部分裂はどうなってる?」

「順調とだけ。少しずつこっちに取り入れているよ」

 

 内部分裂か。なるほど、石動組が今回藍幇と手を組んだのは鏡高組と抗争するためか。確実に勝つために敢えて内部分裂を引き起こしたみたいだ。ということは、向こうにも鏡高組の組長を良くと思わない奴らが多いってことか。

 

 で、さっきの疑問に対してのアンサー出ていたな。つまり、穏健派……のような奴らから反対くらうからこんなとこで話しているって訳だ。

 

 

「おっと――――」

「おい、気を付けろよ。今から決行するんだからよ」

 

 

 ……おいおい、トランクを1台倒したと思えば明らか30は超える銃が出てきたぞ。トランクに詰め込んでいたのか。けっこうなトランクが置いてあるかと思えば。

 

 

「下に組員集まってるよな?」

「はい、抜かりなく」

 

 

 レキと顔を合わせて互いに頷く。警察到着まであと3分ってところだ。証拠もばっちり。

 

「じゃ、そろそろ――」

「――――行かせねーよ。オラッ!」

 

 扉を思い切り蹴破り、割って入る。それどころかバギィィ――――! と、見事なまでに扉は勢い良く吹っ飛んだ。えぇ……。立て付け甘くない?

 

「……ッ!?」

「なんだぁ?」

「ほう……」

「その服装……武偵か」

 

 組長は驚き、プロレスラーみたいな図体の奴はのんびりとこちらへ向き、背が高い目付き悪い老人は達観しており、なんか武士っぽい奴は俺らの服装から武偵と見破ってきた。

 

「どもども、皆さん初めまして。あー、組長さんは俺ら知ってますかね? 昨日の件でお世話になりました」

「ハッ。そうか、テメェが比企谷八幡か。藍幇の人が会いたいって言ってた武偵」

「へぇ、木崎が送迎した奴か。こんなチビッ子がか」

「しかし、えぇ。やりますな、彼……」

 

 ヤクザはすぐこちらの戦力見抜くから嫌いだ。といっても、パッと見じゃ見抜けない戦力が俺やレキにはあるんだがな。そう簡単に見破られてたまるか。

 

「とりあえずそのトランクにはわんさか入っているそれ、押収させてもらうぞ。ついでに取っ捕まえてやる」

「アァ――!?」

「うっせーな。こっちだって長い捜査でぶっちゃけかなり疲れてるんだよ」

「チッ、組長。人数ならこっちが勝ってんだ。こっちが捕まえてやり――――ッ」

 

 あら、プロレスラーみたいな図体の奴倒れた。俺の隣ではレキがさっさとドラグノフぶっぱなしたみたいだ。いつもの相手の神経を麻痺らせる凄腕の狙撃で。……それはともかく。

 

「……っ。あぁ! うるせっ! レキ、隣でいきなり発砲は耳痛てぇわ。つか、隠密任務なら消音器つけろよ。いや、俺もつけてないけどさ」

「あれは命中率が落ちるので嫌いです。それにこれだけ距離が近ければ無意味です。すぐバレます」

「そうだけどさ。あと撃つなら合図送ってほしかった」

「……正直面倒です」

「でしょうね」

 

 なんてマイペースでやり取りを続けながらも烈風で駆け寄り、2mほどある棍棒――ヴァイスを振り回す。棍棒っていいよね、適当に振り回すだけでかなり脅威になる。熟練者でも素人でもだ。

 

「グッ――!」

「アッ」

 

 組長は股間を思い切り下からヴァイスを突き上げ、武士みたいな奴は俺がヴァイスの端を持ちってから遠心力で振り回しアゴを殴った。それだけでノックダウンする。

 どれだけ鍛えてもアゴや股間は鍛えようがないからな。股間は言わずもがな、アゴはクリティカル貰うと脳が揺れる。プロテクターとかあるなら、もちろん話は別だが、わざわざそこにプロテクター付ける奴はまぁいないわな。だからこれが一番手っ取り早い。

 

「……」

 

 で、残り1人もレキがちゃちゃっと気絶させた。うーん、制圧に30秒もかかってない。とりあえず組長は話を聞くから残すとして、残りはスタンバトンでオチさせとこう。あとはロープ……ないからワイヤーでいいだろう。ぐるぐる巻きにしてと。

 

 普段慣れていない股間を殴られた痛みに涙目になっている石動組組長を見下ろす。尋問開始か。全然経験ないから何から始めればいいのやら。坂田さんたちが来るまで適当にするか。

 

「……で、この銃たちはどこから買ったものか?」

 

 せっせとトランクをまとめているレキに指差し、そう訊ねる。

 

「――――」

 

 ま、黙秘するよね。知ってるよ。誰だってそうする。俺だってそうする。いきなり喋る奴は普通にいない。

 

「答えなくていいけど。別に藍幇絡んでるの知ってるし」

「…………なに?」

「だって昨日聞いたし。証拠なかったからどっちも抑えることはできなかったけど、まぁこれだけあれば充分だろ。照合すれば未登録……密輸の銃って分かるだろう。それはいい。さっき鏡高組と抗争って言っていたな?」

「……」

「あれはそのままの意味か?」

 

 目を逸らした。

 

「どっちの事情も概ね把握している。どうやら今日仕掛けると言っていたが、どこでだ? 車ってことはここからそれなりに離れた場所か? どうせ言うことになるんだから、さっさと言った方がいいぞ。言わなかったら……どうしよっか。指の関節変な方向に曲げるか、脱臼させるか」

 

 と、口では言うが、無抵抗な相手を故意に痛め付けるのは趣味じゃない。できれば早く言ってくれた方がこちらとしたは助かる。

 

「下にある程度ヤクザの子分たちがまとまっているって言っていたな? てことは、その中にドライバーいるだろ。さすがにドライバーには目的地教えているよな?」

「……さぁな」

「めんどくせっ。どうせ時間の問題だっての。……で、どうして今日なんだ?」

 

 あまり痛めすぎると自身の痛みで話せなくなりそうだから、どこをやると効率的なのかさっぱり分からない。尋問の授業苦手だったしな。評価かなり低かったので。とりあえずスタンバトンの威力を弱めて電気を流す。

 

「ガ――ッ」

「どう? 話す?」

「はぁ……はぁ……誰が」

「まだ余裕あるのか」

 

 ダメだ、思い付かない。というわけで、もう色々考えるの面倒だから一思いに銃で足撃つかどうか真剣に迷う。まぁ、しないけど。じゃあ――――

 

「動くなよ」

 

 ――――パァン!

 

「――――……ッ」

 

 乾いた銃声。

 別に当ててない。頬を掠めるギリギリを攻めて撃っただけ。弾は床にめり込んでいる。恐らく多少は頬に熱はあるだろうが、ケガはしていない。ただ、自分の命が失くなるかもしれないという恐怖を与えただけだ。

 

 組長さんはとても怯えた目付きで。

 

「し、正気か、お前……」

「えっ、いやいや。俺別に当ててないだろ。それに、ヤクザならこういうのにも慣れっこじゃないの。知らんけど」

 

 関西人、伝家の宝刀『知らんけど』。これを文末に付けるだけで話をなあなあで済ますことができる。てか、てかさ、ヤクザってこういうの良くやってるんじゃないの? 創作物だけの話? それとも自分に向けられるのでは話が違うと? なんと身勝手な。

 

「さっも言ったけど、動くなよ。下手に動けばどうなるか知らないからな。それに俺ら武偵は殺人禁止だからな。当てはしない。でもまぁ、言わない限りずっと続けるけど。恐怖との戦いかな、これは。じゃあ、次発発射す――」

「待て、待ってくれ」

「……オッケー」

 

 随分と呆気ない。俺からしたら時間短縮になったからありがたいので文句は言わない。

 

「鏡高組の組長が死んだのは知っているな?」

「何となくは。お前らも似たようなもんだろ?」

「あぁ……。で、新しく組を継いだ奴がその組長の娘だ」

「ほぉー」

「……当然、そんなの良しとしない奴だっている。まだ年もいってない。いくら血縁関係だろうとな」

「あぁ、なるほど。それで、鏡高組の一部が反乱すると」

「そういうことだ」

 

 確かに年端もいかない奴が継いだら、多少なりと反感は起きるだろう。

 

「それで、お前らがバックアップに付いたと?」

「とは少し違う。俺らは鏡高組の反抗勢力と話をつけて、ソイツらを石動組に勧誘した。その条件に武器と人員の手配を要求された。向こうにもツテはあるが、下手に動きを勘どられたくないってな」

「あー、それでか。話は分かった。それで、どうして今日なんだ?」

「さぁな。どうも向こうが今日反乱を始めるって連絡が来たんだ」

 

 これは……ウソは言ってなさそうだ。この状況でウソつけるほど余裕はなさそうだ。万が一にも撃たれたら――そんな可能性が頭に過るのだろう。冷や汗や視線から間違いではなさそうと判断する。

 

「どこでだ?」

「聞いてどうする?」

「え、乗り込んで制圧するだけだけど? 明らか事件だろ。お前らの様子見るに発砲起きる可能性だってあるし」

「チッ。――――だ」

 

 そう組長が言った途端、ドタバタと警察が乗り込んできた。機動隊が数人と坂田さん、それにあと何人かも。

 

「お疲れ様です」

「比企谷さんもありがとうございます」

「まぁ、タイミングがたまたま噛み合っただけですよ。それでは、コイツらの確保お願いします。そういや、下の方……階数は分からないですけど、まだ何人か固まっているそうで」

「それについてはご安心を。もう取り抑えています。幸いにも、下にいる奴らは武器を持っていなかったので」

「それなら多分、あれですね。……レキ」

 

 レキを呼ぶと、トランクを引きずり中身を確認してもらう。けっこうな数に坂田さんは目を丸くさせるが、すぐに気を直しこちらに向く。

 

「本当にありがとうございます」

「いえホントタイミングが良かっただけですよ。……ここ最近取引がなかったのは恐らく警察を警戒したってのもそうですが、大方揃ったというのが最大の理由でしょうね。あとで報告まとめるんで、失礼します」

「ひ、比企谷さんにレキさんまで、どちらに?」

「厄介事ができたんで片付けに行きます。後お願いします。あ、そこの銃痕俺がやっちゃったので後始末頼みます!」

 

 

 とだけ言い残し、警察に頭を下げつつ退室をする。お仕事、お疲れさんです。内心めちゃくちゃ頭をペコペコしながら人目のつかない廊下の端へ移動する。

 

「ところで、どちらに行くのです?」

「東京の……えっと、遠山の実家近くに飛ぶ。何回か遊びに行ったことあるし、正確な座標はイメージはできる。武偵高よりかはまだそっちのが近い」

「飛ぶ――ということはアレを試すのですか?」

「おう。事前に試しはいるが、千葉から東京の長距離は初めてで自信がちょっとないけど……頑張ります。誰もいないよな?」

「はい」

 

 軽く深呼吸。

 

「――――」

 

 集中。目を閉じて瞑想をする。……集中だ。

 

 キラ、キラキラ――――

 

「…………」

 

 

 俺の周囲には蒼色の小さな光の粒が、2個、4個、8個、16個――――倍々に増えていく。

 

 

「レキ、手を」

「はい」

 

 俺とレキは手を繋ぐ。互いに存在を証明するために。

 

 

 今から俺が行うモノは色金の力の一部――――視界外瞬間移動(イマジナリ・ジャンプ)

 

 

 字の通り、瞬間移動だ。点から点へ移動する超能力。

 ここ最近、ヒルダを捕まえてから驚くほど色金が俺の身体に馴染んでいくのが分かる。まだ全ての力を引き出せているとは思えない。しかし、手に入れてから数ヶ月かかってやっと使えていた今までとは違う間隔で、もっと早く色金の力を使えている。

 

 この瞬間移動は視界内であれば、5秒で発動できるようになった。烈風や飛翔で距離を詰める方が今のところ使い勝手はいい。視界内でも、遠すぎる場所なら瞬間移動の方がいいが、現時点ではそんな状況が少なすぎる。もちろん、これから先もっと短縮する必要があるのは置いておく。

 

 しかし、視界外ともなると、行きたい場所への明確なイメージがないと飛ぶことはできない。例えば、実際行ったことがあるとか、その地の場所の座標を理解しているとか――簡単に言えば、『空を飛ぶ』仕様だ。それに加えて、かなり時間がかかる。だから、現時点ではある程度マーキングした場所へ飛ぶようにしている。ホントにポケモンみたいだ。まだまだ練習段階にあるから、これからもっと使えるようになるかもしれない。

 

 

「行くぞ」

「はい」

 

 

 光の粒が128個、256個、512個――――といったところで。

 

 

「――――……ッ」

 

 視界が変わる。さっきまでいたビルの廊下ではなく、東京の巣鴨へと着いた。ホントに一瞬で。何度も試しているが、この感覚は未だに慣れていない。しかも飛ぶ距離によって超能力の消費も激しくなる。……この程度なら、まだ烈風は使える。大丈夫だ。

 

「ここからどう移動します?」

「飛翔で行く。目的地はここだ。道案内を頼みたい。……覚えたか?」

 

 片道分なら足りる。

 

「大丈夫です」

「夜でも見られないとは限らない。高いとこを全速力で飛ぶ。お望み通り、お姫様抱っこで運んでやるから……しっかり掴まってくれ」

「――ッ。は、はいっ。分かりました」

 

 珍しく語調が揺れたレキをチラッと見ると、薄暗くて分かりにくいが、それでも、レキの頬が紅く照っているのが見て取れる。こんな状況なのに肝が据わっているな、と思わず苦笑しそうになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近、エロゲにハマりつつあることを報告します。どうでもいいかもしれないけど、千恋*万花や9-nine-めっちゃ良かった。まだゆきいろや新章はプレイしてないけどね。9-nine-が終われば、次はリドル・ジョーカーにしようかなと思案中です

……ちょっとここ最近出費増えてて色々ヤヴァイので、8月になるまで抑えるけどね

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